悪気はないのですが、~
相手の意に沿わないと思われる内容を
述べる前の前置き。
この後に、自分の本音が続く(ダッシュ部)。
逆接の接続詞 “but” を用いて、
「私としては悪気はないけれども、
こう言っておきたいの」という感じ。
< “No” + 名詞+”but” >なので、
そっけなくて生意気に聞こえる場合もあるだろう。
だが、慣用句として日常に定着済みのため、
反発は生じにくい。
◆ 次の2語表現にも、同じ傾向がみられる。
- “No need.“(不要です。)
- “No joke.“(冗談ではない。)
- “No worries.“(心配無用です。)
- ”No rush.“(急ぎません。)
- “No kidding.”(本当ですか! ウソでしょ!)
- “No way ! “(お断りだ!)
- “No buts ! “(「でも」じゃない! 口答えするな!)
◆ “offense” は、名詞のみの単語。
可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
語源は、ラテン語「傷つける」(”offendere”)
の過去分詞の名詞化。
名詞 “offense” の基本的意味は、
「侮辱」「無礼」「気を悪くさせるもの」「違反」。
形容詞・名詞 “offensive” と同源である。
意味もほぼ重なり、人の神経に障るような
ネガティブな内容を表すのは、語源通りである。
◆ 形容詞 “no” で、名詞 “offense” を否定し、
さらに逆接の接続詞 “but” なので、直訳は、
- 「無礼でない、しかし~」
- 「侮辱でない、しかし~」
- 「気を悪くさせない、しかし~」
- 「違反でない、しかし~」※ 不適切
慣用句としての “No offense, but – ” には、
「違反でない」は入らない。
また「無礼でない」「気を悪くさせない」とは、
「無礼になる気はない」「お気を悪くするつもりはない」。
ネガティブな意図はないと言いつつ、
逆説 “but” を置き、相手の意に沿わないことを述べる。
◆ よって、まさに「悪気はないけれども」。
これに続く内容こそ、発言者の趣旨、
つまり本音である。
その後の発言次第では、
相手は “No offense, but”
を言い訳がましい前置きと解釈しかねない。
そうなると、かえって不快に感じるだろう。
【参照】”Correct me if I’m wrong.”
- “No offense, but I don’t like your behavior.”
(無礼になりたくないけど、君の態度が不快なんだ。)
– - “No offense, but I think you are wrong.”
(お気を悪くするつもりはないのですが、
あなたは間違っていると思います。)
– - “No offense, but you are annoying.”
(悪気はないけど、あんたはうざい。)
◆ 現に、毎年恒例のMPO調査では、
日常会話中、最も煩わしい言葉の<第3位>
にランク入りしている。
2017年12月実施の調査結果がこれ。
33% of Americans consider “whatever”
to be the most annoying word or phrase.
The recent addition of “fake news” takes
second place with 23% followed closely
by “no offense, but” with 20%.
Dec. 18, 2017
http://maristpoll.marist.edu
【類似表現】
”Nothing personal.”
https://mickeyweb.info/archives/1402
(個人的な意味はない。悪気はない。)
“Just so you know, -”
https://mickeyweb.info/archives/2160
(念のため、あなたに言っておきますけど)
“In case you haven’t noticed, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2948
(一応言っておくけれど)
“With all due respect”
https://mickeyweb.info/archives/3944
(お言葉を返すようですが、失礼ながら)