プロ翻訳者の単語帳

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With all due respect

      2019/06/14

お言葉を返すようですが、失礼ながら

相手に反論する時の<決まり文句>。

主に口頭で、多くが文頭で使われるのは和文と同じ。
文中で使われることも少なくない。 文尾はまれ。

時に慇懃無礼に受け取られる場合もあるが、
耳馴染みのフレーズなので反発は生じにくいはず。

<4語ワンセット>が原則だが、後掲の英英辞典が示す通り、
<3語ワンセット>と<2語ワンセット>のパターンもある。

■ “due” には、形容詞・名詞・副詞がある。

語源は、ラテン語「借りている」(dēbēre)。
ここでは形容詞「然るべき」「正当な」。
【発音】

後に触れるように、“due” がなくても通用する

■ “respect” は、名詞と他動詞がある。

語源は、ラテン語「振り返ること」(respectus)。
ここでは不可算名詞「尊敬」。
【発音】rispékt


■ この2語に、随伴の前置詞 “with“(~とともに)を加えた
“with due respect” の直訳は「然るべき尊敬とともに」。

■ さらに、副詞 “all“(完全な)を付け足すと、文意が強調される。
強意の副詞なので、“all” なしでも通じる(後述の辞書参照)。

以上より、直訳は「然るべき完全な尊敬とともに」。

これでは、わけ分からない。

「然るべき完全な尊敬とともに」とは、相手とその意見を
「完全に尊敬」した上で、あえて異議を呈する前置き。

  • そちら様をきちんと尊重してるけど、言わせてください
  • ちゃんとスペクトしてるよ、でも言わせてね

くらいに理解しておけばよい。

意図は、

  • お言葉を返すようですが
  • はばかりながら
  • 失礼ながら

と同趣旨。

4大学習英英辞典(EFL辞典)の語釈は次の通り。

強意の副詞 “all” と 形容詞 “due” をカッコに入れたり、
抜いたりして、任意扱いする辞書が過半数な点に着目。

“with (all) due respect”
spoken
used when you disagree with someone or criticize 
them in a polite way.
(LDOCE6、ロングマン)

“with respect,  with all due respect”
(formal)
used when you are going to disagree,
usually quite strongly, with someone.
(OALD9、オックスフォード)

“with (all due) respect”
used to express polite disagreement in a
formal situation.

(CALD4、ケンブリッジ)

“with due respect”
You can say ‘with due respect’ when you are
about to disagree politely with someone.
(COBUILD9、コウビルド)

※ ハイライト・下線は引用者

4辞書に共通するキーワードにハイライトを施した。

すなわち、意見が合わないことを示す動詞 “disagree
及び不可算名詞 “disagreement“(不一致、相違)。

【発音】 dìsəgríː 、  dìsəgríːmənt

そして、下線部はキーワードに準じるもの。
「礼儀正しく」または「強めに批判」の意味合い。

“with all due respect” は、言い回しとして、

一見丁寧だが、手痛い仕打ち。

ぴりっとくる感じ。

◆ 相手に物言いする際は、言い方に気をつける必要がある。

下手に個性を出して相手を刺激するよりは、
誰もが使う<常套句>で切り抜ける方が
無難な場面も多い。

  • “My boss, with all due respect, was not a nice person.”
    (お言葉ですが、上司は優しい人ではなかったです。)
  • “With all due respect, I don’t agree with you.”
    (お言葉ですが、ご意見に賛成できません。)
  • “With all due respect, you are wrong.”
    (失礼ながら、あなたは間違っています。)
  • “With all due respect, you are making us uncomfortable.”
    (失礼ながら、あなたは我々を不快にしています。)
  • “With all due respect, I feel that your time is up.”
    (はばかりながら申し上げますが、
    あなたの時代は終わりだと思います。)

 

【類似表現】
”Nothing personal.”
https://mickeyweb.info/archives/1402
(個人的な意味はない。悪気はない。)

“In case you haven’t noticed, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2948
(一応言っておくけれど)

“Correct me if I’m wrong.”
https://mickeyweb.info/archives/4685
(私が間違っていたら訂正してください。)

“No offense, but – ”
https://mickeyweb.info/archives/11414
(悪気はないのですが)

“Am I disturbing you ? ”
https://mickeyweb.info/archives/4177
(お取り込み中ですか? )

“Sorry to interrupt”
(お取り込み中、申し訳ないのですが)
(話の腰を折って失礼ですが)

 

 

 

 

 

 

 

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