思いやりがある
She is so thoughtful.
(彼女はすごく思いやりのある人ね。)
(彼女はとても思慮深い人だ。)
< 称賛 > と < 感謝 > によく使われる形容詞。
–
嫌みがなく、重宝される。
どの解釈でも、ポジティブな意味合い。
「思いやりがある」上、「思慮深い」「よく気がつく」。
心と頭脳に恵まれていることを同時に示すので、
褒め言葉には打ってつけ。
–
◆ その他の常用語は次の通り。
すべて形容詞。
◇ 形容詞 「思いやりがある」 「親切な」 6選
頻出順 ※ 私見
- kind
→ 心が優しくて寛大
– - nice
→ 快活で親切
– - thoughtful
→ 他人への積極的な気遣い
– - warm
→ 心が温かく、ほのぼのした人柄
– - caring
→ 親身になって、懇切丁寧に世話をする
– - considerate
/kənsídərət/ con-sid-er-ate (4音節)
→ 自分の言動に気を配りつつ、他人を気遣う
–
【反意語】 ※ 否定(無・不)の接頭辞 ” in ”
inconsiderate
/ ìnkənsídərət / in-con-sid-er-ate (5音節)
→ 思いやりのない、配慮に欠ける
中級学習者であれば、6つ全部、
自ら使えるようにしておきたい。
先頭の “kind” と “nice” は、英語母語話者(ネイティブ)なら、
3歳くらいの幼児でも使う身近な言葉。
続く “thoughtful” は、小学校高学年ほど
から、常用入りするだろう。
幼稚な印象やしかつめらしさがなく、
適度に知的で、使い勝手がよい。
私たち学習者が、優先して学ぶべき英語である。
驚くことに、”OALD”と『広辞苑』の解説がほぼ重なる。
そこで、色分けしてみた。
“thoughtful“
1. quiet, because you are thinking.
2. showing that you think about and
care for other people.
3. showing signs of careful thought.
(オックスフォード、OALD9)
【発音】 θɔ́ːtfl
【音節】 thought-ful (2音節)
→ “th”(θ) の発音は、”smooth out” 参照
–
おもいやり【思い遣り】
1. 思いやること。想像。
2. 気のつくこと。思慮。
3. 自分の身に比べて人の身について思うこと。
相手の立場や気持を理解しようとする心。同情。
(広辞苑 第七版)
3項とも酷似する。
とすれば、「思いやり」が “thoughtful” の
適訳と考えてよいだろう。
本稿では、上記枠内の赤字<他者への思いやり>
を中心に取り上げる。
最も活用できる表現と考えるからである。
–
◆ “thoughtful” は、形容詞のみ。
形容詞だから「状態」を表す。
【発音】 θɔ́ːtfl
【音節】 thought-ful (2音節)
–
名詞 “thought”(考え、思考)に、
接尾辞 “ful” をつけたもの。
■ 名詞 “thought” は、最頻出かつ最重要の英単語
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 θɔ́ːt
【音節】 thought (1音節)
→ “th”(θ) の発音は、”smooth out” 参照
ここでの “ful” は、形容詞 “full”(いっぱい) から
派生した接尾辞で、「~に満ちた」。
–
転じて、「~の性質・傾向をもつ」形容詞をつくる
- hopeful(希望に満ちた) → 有望な
- shameful(恥に満ちた) → 恥ずべき
- careful(注意に満ちた) → 注意深い
◇ 名詞をつくる ” ful ” については、”handful” 参照
【関連表現】 副詞 ” fully “(十分に、完全に)
◆ “heartful” について
カタカナ「ハートフル」は広告で度々見かける。
日本社会に根付いており、理解は難しくない。
名詞 “heart“(心)に、接尾辞 “ful“ をつけた構造。
heartful → 心に満ちた → 心がある
ところが、
◇ “heartful” は、英語ではほとんど使われない
” full of heart” ならば、普通に使われている。
“heartful” は、次の英和辞書には出てこない。
- ジーニアス英和大辞典
- リーダーズ英和辞典 第3版
- 3大学習英英辞典(LDOCE6、OALD9、CALD4)
◇ “heartful” は、英文ワープロソフトの
スペルチェック にひっかかる場合が目立つ
◆ しかし、こちらの有力辞書4冊には載っている。
- 心からの、心のこもった
(新英和大辞典 第6版)
– - 心からの、誠心誠意の、心のこもった
(ランダムハウス英和大辞典 第2版)
– - 心からの
(リーダーズプラス)
– - 心のこもっていること
(広辞苑 第七版)
★ それでも、3大EFL辞典 に記載なし。
実態は推して知るべし。
“thoughtful” の反意語は、”thoughtless“(不親切な、軽率な)。
【発音】 θɔ́tlis
【音節】 thought-less (2音節)
接尾辞 “less” は、形容詞 “less”(少ない) から
派生し、「~のない」を示す形容詞をつくる。
これに、性質の接尾辞 “ness” を加えると、
抽象名詞 “thoughtfulness“(思いやり、親切、気遣い)。
【発音】 ˈθɔtfʌlnɪs
【音節】 thought-ful-ness (3音節)
–
上述のように「思いやり」などの定訳はあるものの、
文脈に合わせて工夫する方が、より自然な和訳となる。
—
–
- “It was thoughtful of you to remember my birthday. ”
(誕生日を覚えていてくれてありがとう。)
–
【直訳】 私の誕生日を覚えているあなたは親切です。
– 人称代名詞 “it” は訳出しない
– “of” は主格関係の前置詞
– - “My teacher was very kind and thoughtful.”
(私の先生はとても優しく思いやりがあった。)
– - “That’s very thoughtful of you.’
(とてもご親切にありがとう。)
–
【直訳】 あなたはとても親切です。
– 指示代名詞 “that” は訳出しない
– “of” は主格関係の前置詞
– - “His mother is thoughtful and caring.”
(彼の母親は思いやりがあり、面倒見がよい。)
– - “We thought it was a thoughtful gesture.”
(それは思いやりのある態度だと私たちは感じました。)
– - “That was a thoughtful gift and has sentimental value.”
(あれは心のこもった贈り物であったため、
個人的な思い入れがある。)
– - “Thank you for your thoughtfulness.”
(お気遣いに感謝します。) ※ 名詞