プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Don't judge -

      2025/04/12

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 6 minutes

~ を勝手に判断するな。  ~ を勝手に評価するな。


  Don’t judge people by –

( ~ で人を判断してはならない。)

  •  Don’t judge people by appearance(s).
  •  Don’t judge people by their looks.
    ( 人を外見で判断してはならない。)
  •  Don’t judge people by the color of their skin.
    ( 人を皮膚の色で判断してはならない。)
  • Don’t judge a book by its cover.
    ( 外見で中身を判断してはならない。)
    →  本に限らず、人を含む森羅万象


米国では、 幼少期より言い聞かされる教えの数々。

多様性に富んだ社会で生きていくためには、不可欠な考え方。

幼い頃から学習して身につけておかないと、長ずるに及んで
足をすくわれる危険が高まる。

racial slur ” を口にして、 地位を追われる役職者は数限りない。

大概の人間は、 本能的に外観から判断する。

だからこそ、 学校や家庭などで教育し続けるのだろう。

 

◆  大人であれば、 さらに、


Don’t be judgmental.

( 決めつけるな。)


こうたしなめて、 当人の自信過剰や傲慢さを突いたりする。

私自身、 何度も注意されてきた。

” judgmental ”  は形容詞で、 「 せっかちに判断しがちな 」 の意。

【発音】  dʒʌdʒˈmentl
【音節】  judg-men-tal (3音節)


相手の抱える事情を知らぬまま、 自分の価値観で一方的な判断をする。

大した  根拠もなく、 偉そうに 独善的に決めつける  感じ。

 

自説が正しいとは限らない。
まともに検証せず、無邪気に批判するのは、
大人として無責任。


こうした忠告である。

 

 

Don’t Judge

( 自分の価値観で決めつけなさんな )

 

◆  ” Don’t judge – ”  という言い回しは、 ビジネスでも使われる。

趣旨は同じで、

「 勝手な決めつけ 」を制する。


典型文言は、

  • Don’t judge customers.
    ( お客様を勝手に決めつけるな。)
    →  先入観のない、 公平な接客態度
  • Don’t judge one’s choice.
    ( 誰々の選択を勝手に評価するな。)
  • Don’t judge one’s decision.
    ( 誰々の決断を勝手に評価するな。)
  • Don’t judge me.
    ( 一方的に私を決めつけるな。)
    ( 勝手に私を評価するな。)
    ( よく知らないくせに、 私を批判するな。)
  • Don’t judge what you don’t understand.
    ( 自分の分からないことを勝手に評価するな。)
    ( 自分の知らないことに意見するな。)
    ( 何も知らないくせに、生意気言うな。)


◆  ” one’s ”  とは、「 誰々の 」。

【発音】  wˈʌnz  (1音節)

one’sには、 通常は人称代名詞 ( personal pronoun )の

所有格possessiveを入れる。

  •  my   私の
  •  your   あなたの
  •  his   彼の
  •  her   彼女の
  •  their   彼らの
  •  our   我々の
  •  its   それの

” one’s ” は、所有格の代表形 として、
辞書などで起用される。

具体的には、不定代名詞( an  indefinite  pronoun
” one ”  の所有格が  ” one’s “。

上記の所有格を代表する。

いわば、 所有格のワイルドカードとして使われる。

  • ” Don’t judge my choices.”
    ( 私の選んだことを、 いちいち評価するな。)
    ( 俺の選んだ道について、 うるさく言うな。)

「 外野は黙ってろ」 が本音。

具体的な名前でもよい。

  •  ” Don’t judge Mary’s decision.”
    (メアリーの決断を勝手に評価するな。)

< 押さえておきたい4点 >

1.  カタカナ「 ジャッジ 」との違い  ※ 後述
2.  ” Don’t judge – ” の意味    ※ 既述
3.  典型文言   ※ 既述
4.  使い手の気持ち    ※ 後述

 

◆  ” judge ” には、名詞・他動詞・自動詞がある。

【発音】  dʒʌdʒ (1音節)

語源は、 ラテン語 「 審判者 」 「 裁判官 」( jūdex )。
原義は、「 正しいことを言う人 」。

基本的意味は、この語源に沿う。

– 名詞 「 裁判官 」 「 裁判官の職責 」 「 審判 」
– 他動詞 「 判決を下す 」 「 裁く 」 「 判断する 」 「 見当をつける 」
– 自動詞 「 判決を下す 」 「 判断する 」 「 見当をつける 」

自他動詞の意味はほぼ重なるのが  ” judge “。

表題では、 他動詞「 判断する 」。

これらの基本的意味は、 カタカナとして定着したものが中心である。


ジャッジ【 judge 】

1.  審判員。審査員。
ボクシングやレスリングでは、レフリーに対して副審をいう。
2.  審判。審査。判定。

( 広辞苑 第七版 )

こちらの『 広辞苑 』の語釈は、カタカナ用法の「 ジャッジ 」を網羅。

これ以外で 「 ジャッジ 」 を用いる場面はほぼない。

実は、『 広辞苑 』 の 「 第五版 ( 1998年11月発行 )」は、

  •  2.  判断。審判。審査。

だった。

第六版 ( 2008年1月発行 )」 から、

  •  2.  審判。審査。判定。

に変更され、 そのまま 「 第七版 ( 2018年1月発行 )」に
引き継がれた。

英語の  ” judge ”  から一歩下がった語釈になってしまった印象。

理由は不明である。

” Don’t judge –  ” は、 通常

  •  ~を判断するな
  •  ~を評価するな

「 第5版 」 は参考になったものの、「 第七版 」 からは見えてこない和訳。

「 第七版 」を参考にすると、 「 判定するな 」 となる。

なんだか奇妙。

現実的には使えない和訳である。

「 1. カタカナ「 ジャッジ 」との違い 」 として、 この点を強調したい。


◆  最後に、” Don’t judge – ”  の使い手の気持ちをまとめる。

きちんとした知識や検証なくして、
思い込みで判断するのは、
あなたの思い上がり。

相手にも周囲にも失礼で、
誤解を招きかねない。

ご自分の信用を落とす 軽薄な行為 ですよ。


こんな流れかと推察する。

状況や言い方にも左右されるが、 比較的思いやりのある苦言である。

言われて耳が痛いに違いないが、 確実にためになる。

非常に強い否定  ” Don’t “( = do not「 するな 」 ) と言い切り、

それが不心得、 無礼な作法だと相手に気づかせる効果が期待できる。

同様の場面における反応として、 例えば、

  •  Shut up. ( 黙れ。)
  •  You are rude. ( あなたは失礼だ。)
  •  What do you know ? ( あなたに何が分かっているの。)
    ※ 反語または嫌味

これらと比較すれば分かりやすいのではないだろうか。

3つとも、 言うなれば 「 一方通行 」 で終わりがち。

表題は、” Don’t be so sure. ” (そう決めつけないで。)

に似通う物言いであり、 思慮分別を促す。

結果的に、 本人の成長につながると考えられる。

 


 

◆  以下、 ” vocal about – ”  より再掲。

複数の要素を含むと、 全問正解は遠のく模様。

2025年4月、 自作した告発文を6つの翻訳サイトで和訳してみた。


I believe that having non-toxic, non-judgmental,
non-know-it-all supervisors is essential to a
positive work environment.

( 有害でなく、批判的でなく、知ったかぶりをしない上司の存在が、
ポジティブな職場環境には不可欠だと私は信じています。)

2025年4月10日実施。

   2つ  「 Google 」 「 Weblio

△  2つ  DeepL Pro 」 「 Bing

×   2つ   「 Mirai Plus 」 「 DeepL Free 」

※   「 DeepL Pro 」 及び 「 Mirai Plus 」 は有料版。
その他の4つは、 誰でも無料で利用可能。

 

〇  【 和訳OK 】 Google 」 「 Weblio

  「 Google 」  ↑  画像の拡大

 

Weblio 」    画像の拡大

「 非知ったかぶり 」 は日本語として不自然だが、 ぎりぎり合格。

====================================

△  【 一部誤訳 】 DeepL PRO 」 Bing 」

DeepL PRO 」  ↑  画像の拡大

「 知ったかぶり ( know-it-all ) をしない 」 が正解。

「 すべてを知っているわけではない 」 は誤訳とまでは言えないが、
「 知ったかぶりをしない 」 を意味するかは微妙。

 


Bing」  ↑  画像の拡大

” non-judgmental ” とは、 勝手に「 決めつけない 」 。

判断をしない結果として、 独善的に「 決めつけない 」 で済むため、
文脈上矛盾は生じない。

また 「 すべてを知っているわけではない 」 は誤訳とまでは言えないが、
「 知ったかぶりをしない 」 を意味するかは微妙 ( 既出 )。


====================================

× 【 誤訳 】 Mirai Plus 」 「 DeepL Free 」


× Mirai
Plus 」  ↑  画像の拡大

「 みらい翻訳 Plus 」 は有料版。

「 判断力がなく 」 は誤訳。

文脈上、「 判断力 」 がない上司は求めていない。

 

× DeepL Free 」  ↑  画像の拡大

「 物知りでない 」 は誤訳。

「 判断力があり 」 は文脈上矛盾はないが微妙。

直前に掲げた 「 Mirai Plus 」 の和訳は 「 判断力がなく 」。

真逆に訳されている点に着目したい。

” non-judgmental ” とは、 勝手に 「 決めつけない 」( 既出 )。

妥当な判断力があるおかげで、 独断で 「 決めつけない 」 上司

と解釈するならば、  ” non-judgmental ”  を 「 判断力があり 」

と意訳しても、 誤訳とまでは言えない。


▲▲  再掲終わり  ▲▲

上掲の ” vocal about – ”  には、 有名どころのAI翻訳の

誤訳例をたっぷり掲載している。

( 図入り、 実名入り )

 

【関連表現】

 

 

 

広告 / Advertisement




※ ページに広告が含まれる場合があります。

 - 英語, 英語フレーズ

プロ翻訳者の単語帳をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む