Don't judge -
2020/05/12
~を勝手に判断するな。 ~を勝手に評価するな。
Don’t judge people by –
(~で人を判断してはならない。)
- Don’t judge people by appearance(s).
- Don’t judge people by their looks.
(人を外見で判断してはならない。)
– - Don’t judge people by the color of their skin.
(人を皮膚の色で判断してはならない。)
– - Don’t judge a book by its cover.
(外見で中身を判断してはならない。)
→ 本に限らず、人を含む森羅万象
米国では、幼少期より言い聞かされる決まり文句の数々。
多様性に富んだ社会で生きていくためには、不可欠な考え方。
幼い頃から学習して身につけておかないと、長ずるに及んで
足をすくわれる危険が高まる。
“racial slur” を口にして、地位を追われる役職者は珍しくない。
大概の人間は、本能的に外観から判断する。
だからこそ、学校や家庭などで教育し続けるのだろう。
相手が大人であれば、さらに、
Don’t be judgmental.
(決めつけるな。)
などとたしなめて、当人の自信過剰や傲慢さを突いたりする。
私自身、何度も注意されてきた。
“judgmental” は形容詞で、「せっかちに判断しがちな」の意。
つまり、根拠もなく、勝手に決めつける生意気 な感じ。
【発音】 dʒʌdʒˈmentl
自説が正しいとは限らない。
まともに検証せず、無邪気に批判するのは、
大人として無責任。
このような忠告である。
“Don’t Judge”
◆ “Don’t judge – ” という言い回しは、ビジネストークでも
使われる。
趣旨は、これまで挙げた例と同じ。
すなわち、「勝手に決めつける」姿勢を制する こと。
典型例は、
-
Don’t judge customers.
(お客様を勝手に決めつけるな。)
→ 先入観のない、公平な接客態度 -
Don’t judge one’s choice.
(誰々の選択を勝手に評価するな。) -
Don’t judge one’s decision.
(誰々の決断を勝手に評価するな。) -
Don’t judge me.
(一方的に私を決めつけるな。)
(勝手に私を評価するな。)
(よく知らないくせに、私を批判するな。) - Don’t judge what you don’t understand.
(自分の分からないことを勝手に評価するな。)
(自分の知らないことに意見するな。)
(何も知らないくせに、生意気言うな。)
“one’s” とは、「誰々の」。
“one’s” には、通常は人称代名詞の
所有格を入れる。
すなわち、次のいずれか。
- my 私の
- your あなたの
- his 彼の
- her 彼女の
- their 彼らの
- our 我々の
- its それの
“one’s” は、所有格の代表形として、
辞書などで起用される。
具体的には、不定代名詞 ”one” の所有格が “one’s”。
上記の所有格を代表する。
いわば、所有格のワイルドカードとして使われる。
- “Don’t judge my choices.”
(私の選んだことを、いちいち評価するな。)
(俺の選んだ道について、うるさく言うな。)
「外野は黙ってろ!」が本音かも。
具体的な名前でもよい。
- “Don’t judge Mary’s decision.”
(メアリーの決断を勝手に評価するな。)
<押さえておきたい4点>
1. カタカナ「ジャッジ」との違い ※ 後述
2. “Don’t judge – ” の意味 ※ 既述
3. 典型文言 ※ 既述
4. 使い手の気持ち ※ 後述
◆ “judge” には、名詞・他動詞・自動詞がある。
【発音】 dʒʌdʒ
語源は、ラテン語「審判者」「裁判官」(jūdex)。
原義は「正しいことを言う人」。
基本的意味は、この語源に沿う。
– 名詞「裁判官」「裁判官の職責」「審判」
– 他動詞「判決を下す」「裁く」「判断する」「見当をつける」
– 自動詞「判決を下す」「判断する」「見当をつける」
自他動詞の意味はほぼ重なるのが “judge”。
表題では、他動詞「判断する」。
これらの基本的意味は、カタカナとして定着したものが中心である。
ジャッジ【judge】
1. 審判員。審査員。ボクシングやレスリングでは、
レフリーに対して副審をいう。
2. 審判。審査。判定。
(広辞苑 第七版)
こちらの『広辞苑』の語釈は、カタカナ用法の
「ジャッジ」を網羅する。
これ以外で「ジャッジ」を用いる場面はほぼない。
実は、『広辞苑』の「第五版(1998年11月発行)」は、
- 2. 判断。審判。審査。
だった。
「第六版(2008年1月発行)」から、
- 2. 審判。審査。判定。
に変更され、そのまま 「第七版(2018年1月発行)」に
引き継がれた。
英語の “judge” から一歩下がった語釈になってしまった印象。
理由は不明である。
“Don’t judge – ” は、通常
- ~を判断するな
- ~を評価するな
第5版は参考になったものの、最新版の広辞苑からは見えてこない和訳。
この第7版を参考にすると「判定するな」となる。
なんだか奇妙。
現実的には使えない和訳である。
「1. カタカナ「ジャッジ」との違い」として、この点を強調したい。
–
◆ 最後に、”Don’t judge – ” の使い手の気持ちをまとめる。
「勝手に決めつける」姿勢を制する趣旨
と先ほど述べた。
きちんとした知識や検証なくして、
思い込みで判断するのは、
あなたの思い上がり。
相手にも周囲にも失礼で、
誤解を招きかねない。
ご自分の信用を落とす軽薄な行為ですよ。
こうした忠言に伴う気持ちは、こんな具合かと推察する。
状況や言い方にも左右されるが、比較的思いやりのある苦言である。
すなわち、言われて耳が痛いに違いないが、確実にためになる。
“Don’t”(= do not「するな」)と言い切って、それが不心得だと
本人に自覚させる効果が期待できる。
例えば、同様の場面における反応として、
- “Shut up.”(黙れ。)
- “You are rude.”(あなたは失礼だ。)
- “What do you know ? “(あなたに何が分かっているの。)
※ 反語または嫌味
これらと比較すれば分かりやすいのではないだろうか。
3つとも、言うなれば「一方通行」で終わっている。
表題は、”Don’t be so sure.“(そう決めつけないで。)
に似通う忠告方法であり、受け手に思慮を促す。
結果的に、本人の成長につながると考えられる。
【関連表現】
“misjudge”
https://mickeyweb.info/archives/6380
(判断ミスをする、誤った判断をする)
“Talk out of – ”
https://mickeyweb.info/archives/33334
(説得して~をやめさせる)