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Handful of

      2020/11/05

少量の~、 少数の~、 一握りの~

筆舌問わず使われる数量表現。

後述のように、不定冠詞つきの “a handful of” が通例。

【発音】    hǽn(d)fùl
【音節】   hand-ful  (2音節)

一見簡単で、未習でも推測でどうにかなるように思える。
中級学習者の実力ならいけるはず。  ある段階までは。

楽勝と思いきや、はたと困惑するパターンがこれ。

“handful” が手のひら(掌)一杯なのは分かる。

これは多いのか少ないのか?

■  <手>の大きさに着目すれば「少量
■  <一杯>満たすから「大量

どちらもありうる気がする。

数量表現なので、あいまいのままでは使えない。

答えは 「少量

 

視覚に訴えるため、大きく図示してみる。

 

定訳「一握り」と同じ意味合いなので、一度覚えれば忘れにくい。

  ひとにぎり【一握り】

片手で一度握ること。また、その程度の量や太さ。
転じて、わずかの量
(大辞林 第三版)

※  下線は引用者

身近な「手」由来の成り立ちも一緒。

日英ともに、両手ではなく、片手を指す。

  • 可算名詞 “hand“(手)
  • 接尾辞 “ful“(一杯の)

“ful” は、形容詞 “full”(いっぱいに満ちた)から
派生した接尾辞で、“full” の基本的意味を引き継ぐ

主な意味は、

  1.  ~に満ちた(thoughtful、colorful)     ※  形容詞
  2.  ~の性質・傾向をもつ(forgetful、careful)     ※  形容詞
  3.  ~一杯分(spoonful、mouthful)     ※  名詞

“handful” は(3)に該当し、「手に一杯分」が直訳。

ただ、国語辞典に掲載される「手一杯」は、名詞 “handful”
の基本的意味には直結していないので要注意。

次の語釈 2 のニュアンスが、少々被る程度である。

  ていっぱい【手一杯】
〘名〙(形動)

1. 力のかぎりすること。思うように十分にすること。
また、そのさま。
2. 余裕のないこと。ぎりぎりであること。また、そのさま。
(精選版 日本国語大辞典)

1. 力の限り。なしうる限り。
2. その事をするのがやっとで、ほかに力が及ばないこと。
(広辞苑 第七版)

「形動」とは、「形容動詞」の略。
形容詞と異なり、「手一杯である」と表現できる。

日本語の形容詞と形容動詞の違いは、日本最大の国語辞典
と名高い『日国』を交えて、”conclusive” で事細かに触れた。

「手に一杯」と意味が異なるため、「手一杯」を
“handful” の語釈に含めない方がよいだろう。

2の「手一杯」であれば、複数形 “hands” を用いた
have one’s hands full の方がはるかに出てくる印象。

  • “He has his hands full.” (彼は手一杯だ。)

この内容を、名詞 “handful” で表現する使い方はまれ。

“figurative expression”(比喩的表現)としてはあり
うるが、“handful” の基本用法からは外れる。

影響力の強い『研究社 新英和大辞典 第6版』及び
ランダムハウス英和大辞典 第2版』は「手一杯」
を並べるが、誤解を招くので適切とは考えにくい。

名詞 “handful” の意味は3つ。

  1.  手に一杯、一つかみ
  2.  少量、少数
  3.  手に負えない厄介者     ※  口語中心

【発音】    hǽn(d)fùl
【音節】   hand-ful  (2音節)

今回調べた英英辞典9点すべてが、揃いに揃って
この3つを明記していた。

無個性で酷似するシンプル語釈ばかりであったため、
このうち最も明解と思われるCALDをご紹介したい。
先の 1~3 にちょうど対応している。

handful

[C] an amount of something that can can be
held in one hand.
[S] a small number of people or things.
[S] a person, often a child, who is difficult to control.
(CALD4、ケンブリッジ)

※  下線は引用者

◇  [C]  =  countable  =  可算名詞

◇  [S]  =  singular  =  単数名詞  
 →  単数形で使われるのが一般的な名詞 

【発音】    hǽn(d)fùl
【音節】   hand-ful  (2音節)

残りの8点もこんな具合で、ほとんど変わらない。
したがって、3つだけ押さえれば十分である。

  1.  手に一杯、 一つかみ 
  2.  少量、 少数 
  3.  厄介者

1  →  文字通り  /  語源通り
2  →  重要  本稿の中心
3  →  口語  /  マイナー用法  /  推測困難

それぞれ見ていこう。

  1.  手に一杯、 一つかみ 

語源は確認済みなので、1は改めて論じるまでもない。

「片手で持てる量」だから「一つかみ」とほぼ等しい。
本来は “the open hand(開いた手)で「手のひら一杯」
なので、容量が違ってくる。

だが、趣旨は同じ。

この用法では、基本的に可算名詞(countable)となる。
そのため、不定冠詞 “a” つきが原則。

続く名詞が複数形であっても、”a” つきなので注意。

  • a handful of rice
    (一つかみのお米)
  • a handful of sugar
    (一つかみの砂糖)
  • a handful of almonds
    (一つかみのアーモンド)
  • a handful of nails
    (一つかみの釘)
  • a handful of eggs
    (一つかみの卵)

時に、不可算名詞(uncountable)扱いすることもある。

辞書によっては、可算と不可算を併記する。

不可算扱いの場合、”a” なしだが、原則は可算の “a” つき

  2.  少量、 少数   

これが本題。

“handful” といえば、この意味が主となる。

1 は額面通りの意味、3 はマイナー用法である
ため、フレーズとしては 2 が肝要。

それゆえ、表題に掲げた。

a handful of” のパターンが基本。

“of” は、<分量>を表す前置詞「~の」。
ゆえに “a handful of” は、「少量の~」「少数の~」。

この用法では「単数名詞」扱いが原則。

すなわち、単数形で使われるのが一般的な名詞である。

可算名詞の単数名詞と不可算名詞の単数名詞
があるが、ここでは可算名詞の単数名詞

そのため、1同様に不定冠詞 “a” つきが原則。

続く名詞が複数であっても、単数形として
扱うので、やはり “a” つき。

「少ない」ことを強調するために、副詞 “only” または
“just”(ただ~だけ)を加えて、否定的な文脈で多用される。

  • only a handful of rich people
    (ほんの少数の金持ち)
  • just a handful of individuals
    (ごく一握りの個人たち)
  • only a handful of companies
    (ごく少数の会社)
  • a handful of employees
    (少数の従業員)
  • a handful of books
    (わずかな本)

形の似た類義語としては、”a small number of” と
a small amount of” が代表格。

“small” の代わりに、”tiny”、”few”、”trace” などの形容詞も
使える。

反意語の筆頭に数えられるのは “a lot“(多量、多数)。

  3.  手に負えない厄介者

この語義は、学ばない限り、推測しがたいに違いない。

「手に一杯」 → 「手に余る」 流れで、「厄介者」。

主に口語で使う。”informal” 表示のある辞書も多い。
上掲の9冊中、6冊が “informal” と明示している。

「非正式」「くだけた表現」が “informal”。

上記 CALD4は “person” と定義するが、動物にも使える。

可算名詞の単数名詞で、内容が複数でも “a” がつくのは、
上記と同じ。

  • “My sons are a handful.”
    (息子たちには手を焼く。)
  • “Mary is a real handful.”
    (メリーは本当に厄介な人。)
  • “Those boys can be a handful.”
    (あの少年たちは厄介者になりうる。)
  • “Her cat is a handful.”
    (彼女の飼い猫は厄介だ。)
  • “This dog is quite a handful.”
    (この犬は実に手に余る。)

 

 

 

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