プロ翻訳者の単語帳

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Smooth out

      2020/12/19

問題を解決する 

穏やかな語感で、分かりやすい成り立ちの
“smooth out”。

問題解決の場にうってつけの表現なので、
solve problems ” と ” resolve problems ”
に加えて、ご自分で使えるようにするとよい。

solve / resolve  の相違点は後述する。

【発音】   sɑ́lv  (1音節)
【発音】   rizɑ́lv  (2音節)  re-solve

 

◆  句動詞 “smooth out” の主な意味は3つ。

  1.  伸ばす
  2.  均一にする
  3.  問題解決する

 ビジネスで多用されるのは「問題解決する」

それ以外の意味は、辞書で省かれていることが多いものの、
問題解決については必ず書いてある。

今回調べた6点の英英辞典においても、この通りだった。

したがって、本稿では「問題解決する」を中心に見ていく。

“smooth out” が掲載されていた英英辞典5点のうち、
3つすべてを説明するのはロングマンのみ。

■  “smooth something out”
■  smooth out something

1.  to make something such as paper or 
cloth flat by moving your hand across it.
2.  to make something happen in an even 
regular way.
3.  to get rid of problems or difficulties.

(ロングマン、LDOCE6)

※  下線は引用者

一言で訳すと、先に掲げた通り、

  1.  伸ばす
  2.  均一にする
  3.  問題解決する

その他4点の辞書による「問題解決する」は、こちら。

それぞれ個性があるが、どれもシンプル。

  • to make problems or difficulties disappear.
    (オックスフォード、OALD9)
  • to reduce the difficulties or changes in a
    process or situation.

    (ケンブリッジ、CALD4)
    ※  「均一にする」の要素も含む語釈
  • If you smooth out a problem or difficulty,
    you solve it,
    especially by talking to the
    people concerned.

    (コリンズ / コウビルド)
  • to make something easier by removing
    or dealing with problems.

    (メリアム ウェブスター)

“smooth” には、形容詞・他動詞・自動詞・名詞がある。
語源は、古英語「滑らかな」(smōth)。

基本的意味は、この語源に沿ったものが中心となる。
カタカナ「スムーズ」と同じ。

  スムーズ 【smooth】

物事・動作が円滑に進むさま。  スムース。

(広辞苑 第七版)

–  形容詞 「滑らかな」「平らな」「静かな」
–  他動詞 「滑らかにする」「平らにする」「しわを伸ばす」
–  自動詞 「滑らかになる」「平らになる」「静かになる」
–  名詞 「滑らかにすること」「平らな部分」     ※  可算名詞

「問題を解決する」の意味の “smooth out” は、
他動詞の “smooth”「滑らかにする」由来。

転じて「円滑にする」。

他動詞なので、句他動詞 transitive phrasal verb)。

一方、「滑らかになる」「平らになる」「静まる」
の意味での “smooth out” であれば、自動詞 “smooth”。

自動詞なので、句自動詞(intransitive phrasal verb)。

【参照】  「動詞」「他動詞」「自動詞」とは
https://mickeyweb.info/archives/43508  

◆  句動詞に伴う副詞 “out” は非常に多義。

“smooth out” では「徹底的に」「最後まで」
または「外に出して」解消するの双方の解釈が
ありうると考えられる。

< 副詞「徹底的に」の “out” >

  •  clean out (徹底して掃除する)
  •  tired out  (疲れきった)
  •  burn out (燃え尽きる)
  •  iron out (問題を解決する)    ※  小規模な問題
  •  hash out (徹底的に議論する)
  •  spellout (詳しく説明する)
  •  map out (綿密に計画を立てる)
  •  talk things out (徹底的に話し合う)

< 副詞「外に出す」の “out” >

【参照】   句動詞の副詞 “out” 30例 


副詞 “out” の解釈がいずれにせよ、

障害物を 徹底的に外に出して
スムーズにするイメージ

スムーズに

 

この点、アイロンで徹底的にしわを伸ばし、スムーズ
にする “iron out“(問題を解決する) と似通う。

 

■  しわ、凸凹 のような 厄介な問題 を、

 「 スムーズ 」
つるつる   すべすべ   滑らか 

にして 解決

それが、”smooth out”。

  • “I want to smooth out our problems.”
    (私たちの問題を解決したい。)
  • “We need to smooth out differences first.”
    (差異を解決する必要がある。)
  • No problem. I can smooth things out.”
    (お安い御用。 私が解決できます。)
  • “I just need to smooth it out.”
    (とにかく、問題にけりをつけたい。)
  • “Let’s smooth this out.”
    (この問題をどうにかしよう。)

 

◇  “solve” と “resolve” の違い 

  •  The issue (problem) is solved.
  •  The issue (problem) is resolved.

【発音】   sɑ́lv  (1音節)
【発音】   rizɑ́lv  (2音節)  re-solve

ビジネス用途やニュースになる問題解決」
に限定すると、明確には区別されていない

2語の使い分けについては、英語ネイティブでも
疑問に覚える人は数多く、相違点を解説する
英語サイトは極端に多い。

違いの分からない単語の代表格である。

語源から分析し、学者レベルの専門知識を駆使して
解釈すれば、確かに区別できるようで、
諸説紹介されている。

【例】   Difference Between  や  Grammarist

報道メディアを含む一般実務では、同義扱い

学者・専門家の回答と異なり、実務家の回答は、
概ね「 ほぼ同義 」。

【例】   ” roughly synonymous.
(BBC Ask about English)

私たち英語学習者も ほぼ同義 の理解で、
一応OKだろう。

<押さえておくべきポイント>

■  solve

「数学」の問題を解いたり、事件の「」を解く。

最適解が 論理的に存在する

→  “resolve” は使わない


■  resolve

あらゆる手段で けりをつける

  “solve” も使う 

日本語サイトも10件以上確認したが、上位表示
されていても、心許ない解説が少なくなかった。

その中で秀逸に感じたのは、この2つ。

・ http://talking-english.net/resolve-solve/
・ http://eigo-benkyo-kai.hatenadiary.jp/

日英サイト問わず、ほとんどが例文にて区別を示す。

ところが、 「両方とも使えますよ !
と反証
できるものが非常に多い印象。

つまり、区別になっていない。

実際にどちらも使えるから、みんな悩む。

それほどまでに、区別の難しい単語なのだ。

結局、日常用途では ほぼ同義となる。


◇  差異・相違点を英語で調べる方法は、
比較したい全単語と、名詞  ” difference ” (違い)
を検索欄に並べるのが基本。

【例】    solve     resolve     difference  

ところで、上掲の広辞苑に「スムース」と併記されているが、
英語では、

【発音】   smúːð  (1音節)

“smooth” の “th”は、有声の摩擦音 “ð” である。

発音時に声帯を使うため、声帯振動があり、喉はぶるぶる震える。

  声帯振動あり :  喉ぶるぶる  

◇  ð 「有声歯摩擦音」 ゆうせい は まさつおん


◆  “th” には、もうひとつ、無声の摩擦音 “θ” がある。

こちらは発音時に声帯を使わないため、声帯振動がなく、
喉はぶるぶる震えない。

  声帯振動なし : ぶるぶる   

◇  θ 「無声歯摩擦音」 むせい は まさつおん

  無声歯摩擦音「θ  (むせい は まさつおん)

舌先が上の前歯の裏側に軽く触れ、そのすき間から呼気
が押し出されて調音される。  その間声帯は振動しない。

新装版 英語音声学入門 CD付き』  p. 94、
竹林 滋 (著)、大修館書店、2008年刊


発音時の 声帯振動(喉ぶるぶる)の有無で、ð と θ に分かれる
ということ。

 

◇  ð」も「θ」も、日本語には存在しない発音

◇  ð も θ も、舌先と上前歯で、隙間を作って発音
【共通点】 舌先 の基本位置は一緒
【相違点】 声帯 を使い発音するか

ð 「有声歯摩擦音」
  声帯振動あり :  喉ごろごろ  

 

θ 「無声歯摩擦音」
  声帯振動なし :  喉ごろごろ   

 –

実際には、舌の先端を上顎前歯に軽く触れさせる程度。

舌先にとどまらず、ベロ丸見え で発音する人もいる。

下図のごとく、べろんべろんに舌を出して、 th
発する人にも出会えるから、人生まさに驚きが尽きない。

  ベロに注目 (ひそかに) 

 

「 なんか、ワンコみたい … 」  無礼にも、ふと頭をよぎる。

逆に、舌の存在を疑うくらい、まったく見えない人も珍しくない。

映画 や YouTube などの動画で、舌の「見え具合」
を観察してみると、三者三様であることを実感できる。

平板で、均一なリズムが特色 の日本語を話す私たちは
普段、舌運びを意識しない ので、割かし新鮮な気づき

英語に親しむと、人生に退屈しにくくなる 」と感じる場面。

人知れず、舌の位置に着目する 楽しみが人生に加わる。

気持ち悪いかもしれないが、試す価値はある。

日本語だけだと、こうはいかない。

こうした奇怪な視点は育ちにくい。

日常生活を送る中、目の付け所が違ってくる

見慣れているはずの日頃の光景に、変化が訪れる。

今の時代、自宅に居ながらにして、独りでも実行可能。

これが、「語学の喜び」。


◆  繰り返すと、

  ð」も「θ」も、日本語には存在しない発音  

そして、

 ★★★  語学の基本は「真似」 ★★★ 

とりわけ発音」は、恥ずかしがらずに、
幼児のように無邪気に真似

英語母語話者(ネイティブ)の口元を、さらりと
盗み見ながら、学び取っていく姿勢は、とても大事。

口周りこそ、舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が奏でる、
「発音」の生産現場だから。

もし対面ならば、

さりげなく、ちらりちらり、そっと、うかがう感触。

これなら、失礼とまでは言えまい。

よもや、他人様の唇をこじ開けるわけにはいかない。

やや気色悪いが、私もこうして学んだ。

【参照】   “hiatus

それにしても、日本の学校で教わった「舌をかむ」は妙。

かんでしまったら、うまく発音できないと思うのだが、
どうだろうか。

 

【関連表現】     ※  問題を解決する

“iron out”
https://mickeyweb.info/archives/2305
(問題を解決する)   →   小規模な問題

“work things out”
https://mickeyweb.info/archives/9698
(問題を解決する)

“We can work it out.”
https://mickeyweb.info/archives/685
(なんとかなるさ。)

“Get it over with”
https://mickeyweb.info/archives/1142
(けりをつける)

“Sort things out”
https://mickeyweb.info/archives/1464
(解決する。対処する。けりをつける。)

“bridge the gap”
https://mickeyweb.info/archives/19997
(ギャップを埋める、橋渡しをする、架け橋になる)

 

 

 

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