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Caliber

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能力のある

個人の優秀さを示し、

a man of caliber ”  と表現する。

【発音】  kǽləbər
【音節】  cal-i-ber (3音節)

 

a man of integrity


こちらの 「 清廉潔白な人物 」 と並び、
人品骨柄に対する最大級の賛辞に活用される。

名詞  ” caliber ” は、可算・不可算兼用。

この用途の  ” caliber ” は、不可算。

” a man of caliber ”  の  ” a ” は、
可算名詞  ” man ” についたもの。

格言・成句・ことわざに使われる ” man ” であり、
男女不問 の不特定な 「 人 」。

頻出レベルには至らないものの、
月並みな言い回しではなく、好印象。

おまけに使い勝手もよいので、ご紹介してみたい。


◆  ” caliber ” の語源は、中期フランス語「 靴型 」( calibre )。

ここから、円筒状 のものを示すようになった。

品詞は 名詞 のみで、大きく分けて意味は2つ。

(1) 語源通り< 円筒状のもの >: 可算名詞

  •  銃砲の口径
  •  円筒の内径

(2)そこから派生した< 能力 >: 不可算名詞

  •  能力
  •  力量
  •  品質


成り立ちは、(1) → (2)。

銃砲の口径 」が大きいほど、 殺傷能力が高まる。

その「 力量 」を示すから「 能力 」に。

◆  ” caliber ” の初出は16世紀。

15世紀のオスマン帝国は、銃を主兵器としていた。

この歴史に沿った語源である。

a .22 caliber handgun

a .22 cal handgun

22口径の拳銃


可算名詞 なので、不定冠詞 ” a ” つき

◇  「 22 」よりは「 .22 」が一般的な英語表記
5.6 mm caliber ”  に等しい。


< 銃砲の口径 >

・  米国 : ヤード・ポンド法( インチ )
・  ヨーロッパ( 英 : calibre ): メートル法


◆ 
カタカナ「 キャリバー 」をご存じの方も少なくないだろう。

銃口径以外にも、腕時計のメーカー型番にも使われている。

いずれも  ” cal ” と略記する。

銃が支配しない一般人の日常では、 主用途は(2)となる。

◆  実用の ” caliber ” は、

< 優秀さ > を表す趣旨 

で用いられる場合が多い。

少々しゃれた褒め言葉に起用される。

冒頭で「 使い勝手がよい 」と記した理由は、表現パターンが明確だから。

多用されるフレーズは、性質を表す前置詞  ” of ” を伴いて、

いずれも「 優秀さ 」を示し、副詞的に使われる。

◆  優劣判断の伴わない、中立的な「 品質 」の意もある。


◆  現実には、 男性を褒める際に用いられる感が強い。

女性への適用例には、 めったに出会わない。

無論、 優秀な女性がいないからではない。

世間一般の 「 銃 」 のイメージが影響していると、 私は推察する。

すなわち、 無骨すぎて、 女性にそぐわない感じ。

ところが、 銃 ” gun ”  の語源は、 女性名 ” Gunilda “。

14世紀から使われている。

【発音】  gʌ́n
【音節】  gun  (1音節)

その他、” Gunnhild ”  や  ” Gunnhildr ”  など諸説あるが、
とにかく女性由来。

そのため、 銃砲には女性名がつけられるのが、 長年の慣習。

なのに、 ” caliber ” に女性の出番が目立たないのは、 残念な話 である。

 

◆   締めくくりに、 世界最大の英語辞典  “ OED ” を掲げる。

” caliber ”  全文である。


“Calibre, Caliber.”  The Oxford English Dictionary.  2nd ed. 1989.


本稿で取り上げた「 能力のある 」は、語釈の「 2 」 。

とりわけ、2 の 「 b 」 。

Degree of personal capacity or ability; (中略)
Quality


まさしく、 先ほどの

 

◆  以上は、“ OED “ ( オーイーディー )の略称で名高い、
“ The Oxford English Dictionary ” ( オックスフォード英語辞典 )。

[ 公式サイト ]  →  http://www.oed.com/

1884年にイギリスで刊行が始まり、 最新版の第2版は1989年刊。

全20巻、 2万1730頁、 29万1500の見出し語、 62kg。

世界最大の英語辞典である。

語義の配列は、頻出順ではなく、発生順の「 歴史主義 」。

成り立ちを、系統的にたどれる利点がある。

▼  「 縮刷版 」及び「 CD-ROM版 」も発売されている  ▼

[ 両方入手済み ]  →   辞書の「自炊」と辞書アプリ

“ OED ” 編集主幹の James Murray 博士  ( 1837-1915 )
については、” in place ” で触れている( 写真入り )。


【関連表現】

 

◆  以下、 ” Smoking gun ”  より再掲。

< 銃 >


< 軍事・行政用語 >

  •  firearms( 鉄砲類 )   ※  頻出
    →  携行できる銃器( 拳銃、ライフル など )
    の総称として、公式文書やニュースで多用。

    【発音】  fáirɑ̀rm
    【音節】  fire-arm (2音節)

  •  small arms( 小銃類 )( 小火器 )

” Japan’s Shinzo Abe Fatally Shot in the Heart With Homemade Gun ”
https://www.thedailybeast.com/shinzo-abe-reportedly-shot-in-the-chest-on-nara-street-during-speech-and-rushed-to-hospital
2022年7月8日付

【参照】  「 Gmail 」で作る単語帳


【参考】

アメリカ合衆国憲法 修正第2条 ( 武器保有権 )

Right to Bear Arms
Constitution of the United States Second Amendment

A well regulated Militia,  being necessary to the security of a free State,
the right of the people to keep and bear Arms,  shall not be infringed.

Ratified December 15, 1791.


参考和訳 >

武器保有権

アメリカ合衆国憲法 修正第2条

規律ある民兵団は、 自由な国家の安全にとって必要であるため、
国民が武器を保有し携行する権利を侵してはならない。

1791年12月15日成立

https://constitution.congress.gov/constitution/amendment-2/
https://constitutioncenter.org/interactive-constitution/amendment/amendment-ii
https://americancenterjapan.com/aboutusa/laws/2569/

 

趣旨は  「 自由を守る 」 ことであり、 「 国民の権利 」。

自由を脅かすあらゆる敵から、 自らを守るため国民が武器を保有する権利。

大まかに知るだけでも、 いかに繊細で難しい問題か察することができよう。

【参考】    ※  外部サイト

 「 米国の銃問題 」 のニュース ( CNN )

https://www.cnn.co.jp/topic/us-gun-violence/

 

 

 

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