( 景品、 販促品など ) 無料でもらえるもの
初めて目にすると 「 フリスビー 」 に見えたりする字面。
” freebee ” と表記されることもあるから、なおさらだろう。
ともに、「 2音節 」の名詞。
強さアクセント( 強勢 )も、 初っ端の「 第1音節 」に置く。
「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位。
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日本語の場合、 原則として「 仮名一字が1音節 」。
そのため、 音節を意識する機会は乏しい。
音節の日英比較は、 ” integrity ” で事細かに記した。
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複数形 ” freebies “
- “Don’t miss out on our freebies ! ”
(弊社の景品をお見逃しなく。)
– - “I got a freebie ! ”
(景品もらっちゃった ! )
◆ 無論、 ” flying disk “( 円盤 )の商標名 ” Frisbee ” とは、完全別物。
どちらも、辞書では重要度・頻出度とも、ノーマーク。
マイナーな単語である。
現代社会では、なにかと幅を利かせる “ freebie ”。
初見で誤解を生む酷似ぶりなので、 本稿で取り上げてみたい。
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◆ 2010年頃より数年間、 世界的に盛り上がったのが、
「 フリー戦略 」と称するマーケティング手法。
基本サービス無料による集客と認知拡大を目指す。
その上で、一部ユーザーの有料サービス利用により、
利益を求めるビジネスモデルである。
潮流を作った作品がこちら。
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NHK出版、 2009年刊
<出版社HP> <アマゾン> <楽天>
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著者 アンダーソン( 1961- )は、” Wired ” 誌の
当時の編集長。
2004年、「 ロングテール 」という概念をもたらした。
2007年には、米『 タイム 』の
「 世界でもっとも影響力のある100人 」に選出。
原書は各国でベストセラーに。
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Hyperion、2009年刊
<出版社HP> <アマゾン> <楽天>
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◆ ” freebie ” の活用は、 はるか昔に遡る。
手始めに、食品用ゼラチン「 ジェロ 」( JELL-O )。
1897年発明。
売り上げ不振を挽回するべく、1904年からレシピ冊子
を無料配布。
その数1万冊。
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↑ 無料のレシピ ( 1930年版 )
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Quick
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◆ お次は、安全剃刀の「 ジレット 」( Gillette )。
1904年に特許取得。
本体を無料または大幅値引きし、替え刃を有料に。
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↑ 特許 ( 1904年11月15日付 )
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gillette
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◆ いずれも、本書で紹介された古典的事例である。
両者とも、現在に至るまで、高い商品認知度を誇る。
21世紀に入ってからも、無料キャンペーンは
盛んに行われている。
パソコン・携帯本体を無料にして、 各通信会社が
激しく競い合っていた頃を思い出す。
低価のプリンター本体と高価なカートリッジを対象
とする「 サプライ・ビジネス 」 も完全定着している。
製品・ サービス・ サブスク の「 初回無料 」や「 初月無料 」
は、 いたって当たり前になり、 新鮮味を失った当世である。
◆ ” Public domain ” にある創作物ではなく、 著作権で保護される
作品ですら、 販促戦略の一環として一部無料のサービスも多々ある。
例えば、
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▲ 縦読みマンガが毎日無料 ( アマゾン フリップトゥーン )
【参照】 ” public domain ”
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とりわけ 「 景品 」「 粗品 」「 ノベルティ 」が
好きな方は少なくない。ー
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けいひん【景品】
1. 商品に添えて脚に贈る品。景物。
2. 催し物の参加者に与える品。
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( 広辞苑 第七版 )
–
そしな【粗品】
1. 相手に物をおくるときの、けんそんした言い方。そひん
2. 景品。
–
( 三省堂国語辞典 第八版 )
–
ノベルティ(英 novelty)
宣伝・集客目的で会社名、商品名などを
入れて配布する贈答用の品物。
「 ノベルティグッズ 」
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( 精選版 日本国語大辞典 )
–
一等席の乗り物や一流ホテルのアメニティグッズなら、
大勢の食指が動くだろう。
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アメニティグッズ【amenity goods】
ホテルなどのバスルームの備品。
石鹸、シャンプー、歯ブラシ、整髪用具など、
宿泊客が持ち帰り可能なもの。
バス-アメニティー。
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( 大辞林 第四版 )
–
もとよりお持ち帰り用の備品。
「 料金込みだから … 」 とバッグにぎゅう詰め。
企業のノベルティも同様。
「 宣伝用の記念品だし … 」 と配布者の前をうろちょろ往来。
仕入予算が不要なレア品のため、 転売にも打ってつけ。
入手困難な「 お宝 」品として、 高値が付いたりする。
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【参考】 ※ 外部サイト
- ホテルの備品を3人に1人が「持ち帰りすぎている」問題
2019年2月26日付
– - ホテルから持ち帰ってOKなアイテム22選
2020年2月12日付
ー-
「 ブラックフライデー 」とは、
感謝祭( 11月第4木曜日 )の翌日の金曜日
◆ このような「 景品 」や「 販促物 」こそ、” freebie ” の代表格。
無償提供の意図は多岐に渡るものの、 一様に無料である。
“ freebie ” の語原は不明とされている。
けれども、 どの語原辞典を調べても、 次の2点に争いはない。
- ” free “( 無料 )の意味合いを含む
- 1942年には使われていた
英英辞典で一律に ” informal ” ( 非正式、 くだけた表現 )
扱いされているのは、 正体不詳であることが一因となっている
と推察できる。
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ー
◆ 既述のように、 意味は 「 無料でもらえるもの 」。
4大学習英英辞典 ( EFL辞典 ) の語釈は次の通り。
ハイライトが「 無料 」の意。
–
” freebie ”
■ informal
something that you are given free, usually
by a company.
–
( LDOCE6、ロングマン )
–
■ informal
something that is given to somebody without
payment, usually by a company.
–
( OALD9、オックスフォード )
–
■ informal
something that is given to you without you
having to pay for it, especially as a way of
attracting your support for or interest in something.
–
( CALD4、ケンブリッジ )
–
■ informal
a freebie is something that you are given, usually
by a company, without having to pay for it.
–
( COBUILD9、コウビルド )
–
【発音】 fríbi
【音節】 free-bie (2音節)
–
※ 下線は引用者
–
可算名詞で、 複数形は ” freebies “。
日本語の「 ただ( 只 ) 」は、 時に品のない印象を放つ。
片や ” freebie ” は、 愛嬌のあるソフトな語感を伴うせいか、
下卑た感じは少ない。
もっとも、 「 ただ 」には違いない。
無代を潔しとしない者には、 好まれない言葉であろう。
–
◆ 蛇足ながら添えると、 弊サイトは無料で公開中。
これは ” freebie ” なのだろうか。
たぶん、否。
そこで、先の英英語釈と 突合 してみる。
まず、 物品を提供( ” something given to you ” )していない。
また、 会社( ” a company ” )でもない。
さらに、 宣伝や販売促進の意識はないに等しい。
むしろ、 有名になることは一切望まない。
なぜなら、 諸々のリスクが高まるからである。
【参照】 ” household name ”
–
” as a way of attracting your support for or interest ”
( 下線部 ) に及んでは、 的外れ。
したがって、 上掲の定義には該当しないと考える。
40年以上続けている「 単語帳 」の一環として、
管理人自身が好き三昧に楽しんでいるサイト。
【参照】 ” no need ”
–
今後も弊サイトは、 すべて無料公開することをお約束いたします。
–
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【 景品サイト 】 ※ ” freebies ” の具体例を確認するのに便利
- TheFreeSite.com – Home of the Web’s Best Freebies
https://www.thefreesite.com/
– - Freebies.org
https://freebies.org/
– - “31 Best Websites for Scoring Freebies”
https://www.huffpost.com/entry/31-best-websites-for-scor_b_7292692
2017年12月6日付
ー - “Master list of freebie websites”
https://www.yourmodernfamily.com/freebie-websites/
2017年7月28日付
【類似表現】
■ giveaway、 give-away
– 可算名詞 「 無料サンプル 」「 景品 」
「 うっかり 漏洩して しまうもの 」
–
– 形容詞 「 無料の 」「 投げ売り( 捨て値 )の 」
【発音】 ˈɡɪvəˌweɪ
【音節】 give-a-way (3音節)
–
大企業などの組織では、 設備入れ替え時に、
不用となった備品を ” giveaway ” と称し、
” first come, first served “( 早い者勝ち )
で取りに来るよう周知したりする。