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Freebie

      2022/07/04

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 5 minutes

( 景品、 販促品など ) 無料でもらえるもの

初めて目にすると 「 フリスビー 」 に見えたりする字面。

” freebee ” と表記されることもあるから、なおさらだろう。

ともに、「 2音節 」の名詞。

強さアクセント( 強勢 )も、 初っ端の「 第1音節 」に置く。

  • Frisbee
    【発音】  frízbi
    【音節】  f
    ris-bee  (2音節)
  • freebie
    【発音】  fríbi
    【音節】  free-bi(2音節)

「音節」( syllable、シラブル )とは、発音の最小単位。

日本語の場合、原則として「 仮名一字が1音節 」。

そのため、音節を意識する機会は乏しい。

音節の日英比較は、 ” integrity ”  で事細かに記した。

複数形  ” freebies

 

  • “Don’t miss out on our freebies !
    (弊社の景品をお見逃しなく。)
  • “I got a freebie !
    (景品もらっちゃった !

 

◆  無論、 ” flying disk “( 円盤 )の商標名 ” Frisbee ” とは、完全別物。

どちらも、辞書では重要度・頻出度とも、ノーマーク。

マイナーな単語である。

現代社会では、なにかと幅を利かせる  “ freebie ”。

初見で誤解を生む酷似ぶりなので、 本稿で取り上げてみたい。


◆  2010年頃より数年間、 世界的に盛り上がったのが、
フリー戦略 」と称するマーケティング手法。

基本サービス無料による集客と認知拡大を目指す。

その上で、一部ユーザーの有料サービス利用により、
利益を求めるビジネスモデルである。

潮流を作った作品がこちら。


NHK出版、 2009年刊
<出版社HP>    <アマゾン>    <楽天ブックス>

著者 アンダーソン( 1961- )は、” Wired ” 誌の
当時の編集長。

2004年、「 ロングテール 」という概念をもたらした。

2007年には、米『 タイム 』の
世界でもっとも影響力のある100人 」に選出。

原書は各国でベストセラーに。


Hyperion、2009年刊
<出版社HP>    <アマゾン>    <楽天ブックス>



◆  ” freebie ” の活用は、 はるか昔に遡る。

手始めに、食品用ゼラチン「 ジェロ 」( JELL-O )。

1897年発明。

売り上げ不振を挽回するべく、1904年からレシピ冊子
を無料配布。

その数1万冊。


  無料のレシピ ( 1930年版 )
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Quick

◆  お次は、安全剃刀の「 ジレット 」( Gillette )。

1904年に特許取得。

本体を無料または大幅値引きし、替え刃を有料に。


  特許 ( 1904年11月15日付 )
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gillette


◆  いずれも、本書で紹介された古典的事例である。

両者とも、現在に至るまで、高い商品認知度を誇る。

21世紀に入ってからも、無料キャンペーンは
盛んに行われている。

パソコン・携帯本体を無料にして、 各通信会社が
激しく競い合っていた頃を思い出す。

低価のプリンター本体と高価なカートリッジを対象
とする「 サプライ・ビジネス 」 も完全定着している。

製品・ サービス・ サブスク  の「 初回無料 」や「 初月無料 」
は、 いたって当たり前になり、 新鮮味を失った当世である。
ーーー

◆  無料 を大歓迎する人は、いつの時代にも 遍在 する。

とりわけ 「 景品 」「 粗品 」「 ノベルティ 」が
好きな方は少なくない。

  けいひん【景品】

1.  商品に添えて脚に贈る品。景物。
2.  催し物の参加者に与える品。

( 広辞苑 第七版 )

  そしな【粗品】

1.  相手に物をおくるときの、けんそんした言い方。そひん
2.  景品。

( 三省堂国語辞典 第八版 )

  ノベルティ(英 novelty)

宣伝・集客目的で会社名、商品名などを
入れて配布する贈答用の品物。
「 ノベルティグッズ 」

( 精選版 日本国語大辞典 )


一等席の乗り物や一流ホテルのアメニティグッズなら、
大勢の食指が動くだろう。

  アメニティグッズ【amenity goods】

ホテルなどのバスルームの備品。
石鹸、シャンプー、歯ブラシ、整髪用具など、
宿泊客が持ち帰り可能なもの。
バス-アメニティー。

( 大辞林 第四版 )


もとよりお持ち帰り用の備品。

「 料金込みだから … 」 とバッグにぎゅう詰め。

企業のノベルティも同様。

「 宣伝用の記念品だし … 」 と配布者の前をうろちょろ往来。

仕入予算が不要なレア品のため、 転売にも打ってつけ。

入手困難な「 お宝 」品として、 高値が付いたりする。

【参考】    ※  外部サイト

ー-

「 ブラックフライデー 」とは、
感謝祭( 11月第4木曜日 )の翌日の金曜日

 

 

◆  このような「 景品 」や「 販促物 」こそ、” freebie ” の代表格。

無償提供の意図は多岐に渡るものの、 一様に無料である。

“ freebie ” の語原は不明とされている。

けれども、 どの語原辞典を調べても、 次の2点に争いはない。

  1.  ” free “( 無料 )の意味合いを含む
  2.  1942年には使われていた

英英辞典で一律に  ” informal ” ( 非正式、 くだけた表現 )
扱いされているのは、 正体不詳であることが一因となっている
と推察できる。



◆  既述のように、 意味は 「 無料でもらえるもの 」。

4大学習英英辞典 ( EFL辞典 ) の語釈は次の通り。

ハイライトが「 無料 」の意。

” freebie ” 

  informal
something that you are given free, usually
by a company.

( LDOCE6、ロングマン )

  informal
something that is given to somebody without
payment, usually by a company.

( OALD9、オックスフォード )

  informal
something that is given to you without you
having to pay for it, especially as a way of
attracting your support for or interest in something.

( CALD4、ケンブリッジ )

  informal
a freebie is something that you are given, usually
by a company, without having to pay for it.

( COBUILD9、コウビルド )

【発音】  fríbi
【音節】  free-bi(2音節)


※  下線は引用者


可算名詞で、 複数形は  ” freebies “。

日本語の「 ただ( 只 ) 」は、 時に品のない印象を放つ。

片や ” freebie ” は、 愛嬌のあるソフトな語感を伴うせいか、
下卑た感じは少ない。

もっとも、 「 ただ 」には違いない。

無代を潔しとしない者には、 好まれない言葉であろう。

◆  蛇足ながら添えると、 弊サイトは無料で公開中。

これは  ” freebie ”  なのだろうか。

たぶん、否。

そこで、先の英英語釈と 突合 してみる。

まず、 物品を提供( ” something given to you ” )していない。
また、 会社( ” a company ” )でもない。

さらに、 宣伝や販売促進の意識はないに等しい。

むしろ、 有名になることは一切望まない。

なぜなら、 諸々のリスクが高まるからである。

【参照】  ” household name


” as a way of attracting your support for or interest ”
( 下線部 ) に及んでは、 的外れ

したがって、 上掲の定義には該当しないと考える。

40年以上続けている「 単語帳 」の一環として、
管理人自身が好き三昧に楽しんでいるサイト。

【参照】  ” no need


今後も弊サイトは、 すべて無料公開することをお約束いたします。



【 景品サイト 】    ※  ” freebies ” の具体例を確認するのに便利

 

【類似表現】

  giveawaygive-away

–  可算名詞 「 無料サンプル 」「 景品 」
「 うっかり 漏洩して しまうもの 」

–  形容詞 「 無料の 」「 投げ売り( 捨て値 )の 」

【発音】   ˈɡɪvəˌweɪ
【音節】    give-a-way  (3音節)


大企業などの組織では、 設備入れ替え時に、
不用となった備品を ” giveaway ”  と称し、
first come, first served “( 早い者勝ち )
で取りに来るよう周知したりする。

 

 

 

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