語彙採集
2022/04/17
「 単語帳 」の一部 ( B5判、 100枚つづり )
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–◇ 2009年11月より、「 単語帳 」の基幹は「 Gmail 」
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◆ 40年以上、日本語と英語の語彙・用例を集めている。
翻訳・通訳を生業にすることになるとは
つゆ思わなかった、学生時代からの習慣である。
動機は単純。
楽しかったから。
小さい頃から、言葉そのものが大好きだった。
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言葉が大好き
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知らない語彙や用法を集めるのが うれしい。
トレカや切手のコレクションに似た喜びが伴う。
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その成果物こそ、
弊サイト 「 プロ翻訳者の単語帳 」
の正体である。
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言葉の響きにのぼせた。
イントネーションに酔った。
日英の語感や語調にしびれた。
使い手によって、発音が微妙に異なるのも面白い。
その人の個性がにじみ出て、私の想像をかき立てる。
苦手な相手ですら、微笑ましく感じたりする。
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◆ 先生や上司に対面で叱られている時でさえ、
せっせと収集していた。
お咎め内容よりも、目上の用いたユニークな
片言隻語を集めることの方が大事だったのだ。
真剣にメモを取りつつ、実際に書いていたのは、
その場で採集した言葉。
例えば、日本人の女性上司に、
「 ぐずぐず しないで、ちゃっちゃか 実行しないと! 」
とお小言をいただいている最中、私はノートに、
「 ちゃっちゃか 」と書きつけていた。
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なんて滑稽で、軽やかな言い回しだろう!
その語気が胸を打ち、叱咤の方はそっちのけ。
怒られているのに、非を悔いる心が雲散霧消。
収穫したての「 ちゃっちゃか 」に夢中になり、
ほくほくしていたのを思い出す。
面会後、嬉々として「 単語帳 」に登録したもんだ。
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◆ 物心つく前から、表現ばかりに気を取られていた模様。
会話内容は二の次。
ほとんどすべて上の空。
からきし聞いていなかったことを白状する。
一貫してこんな調子だったので、
実にけしからぬ 子・生徒・学生・部下 であった。
まったく感心できない無礼さ。
生意気にも、今もそう変わらない。
会議中も語彙採集。
特に高官の表現は豊か。
乱獲しては、 ほくそ笑む日々。
会議が終わると、 真っ先に「 単語帳 」に格納する。
もう、うきうきわくわくして たまらない。–
獲得した新語は、その日のうちにエントリー。
高揚した気分が冷める前に、
新たな学びを弊サイトにも反映してしまおう。
印象が薄らぐ前に処理したい。
理論の整理は、後回しでよい。
小学生時代、昆虫採集に熱中した毎夏。
長じては、語彙採集しに通勤する毎日。
仕事が楽しい。
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◆ けんか中も語彙採集。
相手の国籍・人種や言語はさまざま。
お目玉や口論の際は、お互い興奮気味であるため、
記憶に残りやすい。
すったもんだ の場合、その場ではメモできない。
とりあえず 覚えておき、後で「 単語帳 」に加える習慣。
激しくなじられた時ほど、たやすく銘記してしまう。
すんなり長期記憶( long-term memory、 LTM )入りする感じ。
結果として、いざこざが大きいほど学習できた。
その際に得たご利益( 日英 )には、相当のものがある。
即座に覚えて、忘れない。
ののしってくれた此奴に感謝。
かくして、 不快と不機嫌がたちまち吹っ飛ぶ。
人間関係のもつれは、 語彙力アップのチャンス。
目の付け所は、 「 Gmail 」で作る単語帳 にて、
具体的にご案内している。
トラブルは悪いことのみではないと、
弊サイトで繰り返し述べているわけである。
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格好をつけているのではない。
日英の語彙・用例採集を長年続けてきた感想として、
本気でこう考えている。
常用語は、無限に無償提供されている。
採集素材は、至る所に ある。
本や会話はもちろんのこと、映画、ラジオ、標識。
一般人が気軽に発した生の英語に触れられる穴場は、
YouTubeのコメントや商品レビュー( アマゾンなど )。
昔ながらの新聞・雑誌の読者欄は言うまでもない。
玉石混交とはいえ、手近な インプットの宝庫。
「 コメント回り 」と称して、こうして語彙採集するのが、
私の日課である。
見聞きした対象を、その都度、書き留めるだけ。
だから、ネタ集めに困らない。
なんでもかんでも「 先生 」と勝手に思っている。
見るもの聞くもの、 貴重なコンテンツだらけ。
どれもこれも、 役立つ教材になってくれる。
日常生活は、 実は学びにあふれているのだ。
「 単語帳 」がどんどん増えていく喜び。
これは遊び。 娯楽。 そして仕事。
幾星霜を重ね、今では 老化防止 も兼ねて、
連日飽きることなく勤しんでいる。
毎日が楽しい。
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◆ 開始当初の1980年代は、インターネットもメールもなかった。
これまで作成した膨大なノート( 冒頭写真 ) の管理に
悩んだ挙句、 蔵書同様に 「 単語帳 」も電子化している。
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◇ 現在は「 Gmail 」を活用している。
【参照】 「 Gmail 」で作る単語帳—
< 検索機能 > が優れているからである。
- メール本文のみならず、
添付ファイル( エクセル、 ワード、 パワポ など )
の中身まで検索してくれる。
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- 過去データに追加でき、便利この上ない。
– - 仕入れた語彙や用法を、
辞書アプリ、 オンライン辞書、 キンドルなどの電子書籍
から、Gmailに直送するのも簡単。
ー - 「 アプリ不要 」なウェブメールなので、 他社メール
( yahoo や outlook など )にも 同時送付( CC )
しておけば、 容易に 持続性を担保 できる。
ー - 特定企業のアプリに依存すると、 廃業・仕様変更をはじめ
とする外部要因に左右され、 持続性に不安 が付きまとう。
ー - 個人のシステムではあるが、 知的財産の管理上も、精神衛生的
にも、 事業継続( business continuity )の視点は欠かせない。
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自分宛に 日々メールし、データ構築中
バックアップ も常時怠らない。
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◆ 人間の能力のうち、 語彙力のピークはかなり遅いとされる。
次の通り、 書き言葉、
伸び続けるとの学説も発表されている。
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[O]ur vocabulary skills, written and verbal,
require many more years before they
peak in our 60s and 70s.
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2015年3月23日付
–【 当該記事が根拠とする学術論文 】
Hartshorne, J. K., & Germine, L. T. (2015).
When Does Cognitive Functioning Peak?
The Asynchronous Rise and Fall of Different
Cognitive Abilities Across the Life Span.
Psychological science, 26(4), 433–443.・ https://doi.org/10.1177/0956797614567339
・ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25770099/
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とすれば、 一生涯を傾けても、 あまりある知的努力に他ならない。
長生きする意義と張り合いを、 ここに見出すこともできるかもしれない。
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◇ 長期的なデータ管理とスペース問題、
さらに復習時の利便性を勘案すると、
「 単語帳 」は電子化しておくとよい。
「 自炊 」本と等しく、
「 電子化は 将来への投資 」
と私は考える。
■ 電子化した蔵書と「 単語帳 」は、< 一生の資産 >
■ 場所をとらないため、処分不要で、死ぬまで一緒
かけがえのない 宝物。
自分の < 成長の軌跡 > である。
◆ だが、 完全なペーパーレスは現実的でない。
無理すれば、かえって非効率に陥るようだ。–
【参照】 < 蔵書の「 自炊 」記録 > 連載一覧
蔵書を 3,000冊以上、電子化してみて、初めて気づいた。
【参考】 ※ 外部サイト
国語辞書作りの「 用例採集 」で景色が違ってみえる
https://dailyportalz.jp/kiji/141008165338
2014年10月8日付