語彙採集
2023/09/11
「 単語帳 」の一部 ( B5判、 100枚つづり )
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–◇ 2009年11月より、「 単語帳 」の基幹は「 Gmail 」
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◆ 40年以上、日本語と英語の語彙・用例を集めている。
翻訳・通訳を生業にすることになるとは
つゆ思わなかった、学生時代からの習慣である。
動機は単純。
楽しかったから。
小さい頃から、言葉そのものが大好きだった。
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言葉が大好き
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知らない語彙や用法を集めるのが うれしい。
トレカや切手のコレクションに似た喜びが伴う。
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その成果物こそ、
弊サイト 「 プロ翻訳者の単語帳 」
の正体である。
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言葉の響きにのぼせた。
イントネーションに酔った。
日英の語感や語調にしびれた。
使い手によって、 発音が微妙に異なるのも面白い。
その人の個性がにじみ出て、 私の想像をかき立てる。
苦手な相手ですら、 微笑ましく感じたりする。
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◆ 先生や上司に対面で叱られている時でさえ、
せっせと収集していた。
お咎め内容よりも、 目上の用いたユニークな
片言隻語を集めることの方が大事だったのだ。
真剣にメモを取りながら、 実際に書いていたのは、
その場で採集した言葉。
例えば、 日本人の女性上司に、
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ぐずぐず してないで、ちゃっちゃか、 ちゃっちゃか
実行しないと!
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お小言をいただいている最中、 私はノートに、
「 ちゃっちゃか 」 と 書きつけて いた。
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なんて滑稽で、 軽やかな言い回しだろう!
そのリズムが心を打ち、 叱咤の方はそっちのけ。
拗音 「 ゃ 」 と促音 「 っ 」 のコンボで胸弾む。
待てよ、 擬態語だから、 この 「 っ 」 は拗音か。
英語風に発音すれば、 「 2音節 」 または 「 3音節 」。
末字の破裂音 「 か 」 を弱化・脱落させると、 2音節。
第1音節 「 ちゃ 」 にアクセント ( 強勢、ストレス )。
怒られているのに、 非を悔いる心が雲散霧消。
収穫したての 「 ちゃっちゃか 」 に夢中になり、
ほくほくしていたのを思い出す。
面会後、 嬉々として 「 単語帳 」 に登録したもんだ。
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◆ 物心つく前から、 表現ばかりに気を取られていた。
会話内容は二の次。
ほとんどすべて上の空。
からきし聞いていなかったことを白状する。
そのせいか、 体罰が当たり前だった当時は、
年がら年中、 上輩にひっぱたかれていた。
それでも、 語彙はちゃっかりゲットしました。
1発やられて、 1語しとめる。
これぞ、 直接体験 ( firsthand ) の持ち味で、
” No pain, no gain. ”
一貫してこんな調子だったので、
実にけしからぬ 子・生徒・学生・部下 であった。
まったく感心できない無礼さ。
生意気にも、 今もそう変わらない。
叱られまくって半世紀、 日毎夜毎、 語彙力を強化中。
真面目に聞く素振りを見せつつ、 会議中も語彙採集。
議題そこのけで、 議論の中身にはてんで関心がない。
さりとては、 焦点をしっかり書き出しておかなければ、
急に話を振られた際、 落ち着いて応答できずにバレる。
学童期から、 二段構えで会合に臨む 「 内職のプロ 」。
メモする時は、 懸案事項と語彙採集に書き分けている。
特に高官の表現は豊か。
乱獲しては、 内心ほくそ笑む日々。
会議が終わると、 真っ先に 「 単語帳 」 に格納する。
獲物は、 即日エントリー。
もう、 うきうきわくわくして たまらんわ。–
高揚した気分が冷める前に、 勢いに任せて、
新たな学びをサイトにも反映してしまおう。
印象が薄らぐ前に処理したい。
理論の整理は、後回しでよい。
小学生時代、 昆虫採集に熱中した毎夏。
長じては、 語彙採集しに通勤する毎日。
仕事が楽しい。
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◆ けんか中も語彙採集。
相手の国籍・人種や言語はさまざま。
お目玉や口論の際は、
お互い興奮気味であるため、 記憶に残りやすい。
すったもんだ の場合、その場ではメモできない。
とりあえず 覚えておき、 後で「 単語帳 」に加える習慣。
激しくなじられた時ほど、 たやすく銘記してしまう。
すんなり長期記憶( long-term memory、 LTM )入りする感じ。
結果として、 いざこざが大きいほど学習できた。
その際に得たご利益( 日英 )には、 相当のものがある。
即座に覚えて、 忘れない。
ののしってくれた此奴に感謝。
かくして、 不快と不機嫌がたちまち吹っ飛ぶ。
人間関係のもつれは、 語彙力アップのチャンス。
きかんぼうの幼少期から現在に至るまで、 面罵される
機会にすこぶる恵まれたおかげで、 日増しに語彙が増加。
【参照】 Puke / Barf
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目の付け所は、 「 Gmail 」で作る単語帳 にて、
具体的にご案内している。
むかつく知人が 「 恩人 」 に成り変わる 「 歩く単語帳 ♪ 」
の作り方も、 きめ細かく記した。
トラブルは悪いことのみではないと、
弊サイトで繰り返し述べているわけである。
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格好をつけているのではない。
日英の語彙・用例採集を長年続けてきた感想として、
本気でこう考えている。
常用語は、無限に無償提供されている。
採集素材は、至る所に ある。
本や会話はもちろんのこと、映画、ラジオ、標識。
一般人が気軽に発した生の英語に触れられる穴場は、
YouTubeのコメントや商品レビュー( アマゾンなど )。
【参照】 おすすめ YouTuber と着眼点は、” No need ” に詳述 ( 図入り )
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昔ながらの新聞・雑誌の読者欄は言うまでもない。
玉石混交とはいえ、手近な インプットの宝庫。
教材としても推奨できる。
お手元に英語素材がなければ、 手始めに コメントとレビュー
から取り掛かるとよい。
なにしろ、 投稿者の感情がほとばしり、 エネルギーにあふれる。
「 コメント回り 」 と称して、こうして語彙採集するのが、
永年の私の日課である。
見聞きした対象を、その都度、書き留めるだけ。
だから、 ネタ集めに困らない。
なんでもかんでも 「 先生 」 と勝手に思っている。
愛犬からは、 音節 ( シラブル ) を直に教わった。
詳しい経緯は、 ” integrity ” ( 図入り )に物した。
見るもの聞くもの、 貴重なコンテンツだらけ。
どれもこれも、 役立つ教材になってくれる。
日常生活は、 実は学びにあふれているのだ。
「 単語帳 」 がどんどん増えていく喜び。
これは遊び。 娯楽。 そして仕事。
幾星霜を重ね、今では 老化防止 も兼ねて、
連日飽きることなく勤しんでいる。
毎日が楽しい。
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◆ 開始当初の1980年代は、インターネットもメールもなかった。
これまで作成した膨大なノート( 冒頭写真 ) の管理に
悩んだ挙句、 蔵書同様に 「 単語帳 」も電子化している。
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◇ 現在は「 Gmail 」を活用している。
【参照】 「 Gmail 」で作る単語帳—
< 検索機能 > が優れているからである。
- メール本文のみならず、 バイナリ データ形式の
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添付ファイル ( エクセル、 ワード、 パワポ など )
の中身まで検索してくれる。
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- テキストエディター ( メモ帳、 秀丸、 テラパッド、
Visual Studio Code が代表格 ) などでテキストファイル
に変換しなくても、 検索可能。
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→ ベテラン翻訳者に人気なのは 「 秀丸エディタ 」
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▼ 下記の良書 ( 第7章 ) で、 丁寧に説明されている。
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『 翻訳者のための超時短パソコンスキル大全 』
高橋 聡 ( 著 )、 KADOKAWA、 2023年刊
B5変形判、 ソフトカバー、 504頁、 2色刷り
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<出版社HP> <アマゾン> <楽天ブックス>
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→ 書評は、 別稿 ” LDOCE “ の末尾参照 ( 図入り )
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– - Gmail は過去データに追加しやすく、 便利この上ない。
– - 仕入れた語彙や用法を、
辞書アプリ、 オンライン辞書、 キンドルなどの電子書籍
から、Gmailに直送するのも簡単。
ー - 「 アプリ不要 」なウェブメールなので、 他社メール
( yahoo や outlook など )にも 同時送付( CC )
しておけば、 容易に 持続性を担保 できる。
ー - 特定企業のアプリに依存すると、 廃業・仕様変更をはじめ
とする外部要因に左右され、 持続性に不安 が付きまとう。
ー - 個人のシステムではあるが、 知的財産の管理上も、精神衛生的
にも、 事業継続( business continuity )の視点は欠かせない。
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自分宛に 昼夜メールし、 データ構築中
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バックアップ は毎日実践。
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自分で作れば 自信 と 喜び が湧く
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うきうきする教材を、 自前で用意すれば、 退屈とは無縁になる。
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これ1本で、 YouTubeなどの動画と音声をダウンロードし、 保存できる。動画のURLを入力( コピペ )して、 提示された複数のファイル形式から
希望を選べば、 あとは内蔵の動画ダウンローダが保存先にダウンロード。動画の音声のみのダウンロード・保存も楽々できる。
私的利用目的の範囲内で、 「 自習教材 」 を好き放題に作れて楽しい。
自ら取捨選択し編成した素材なので、 市販教材よりも引きつけられる。
MP3で保存した動画音声を、 移動時間などに年がら年中聞いている。
殊に、 リスニング ・ 書き取り ・ 語彙採集 ・ 発音訓練 に有益。
直感的に操作でき、 数百のファイル形式に、 ワンタッチで高速変換。
( 中略 )
音声を聞く iOS アプリは、 2009年から上掲 GoodReader を使う。
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辞書の 「 自炊 」 と辞書アプリ より↑ 自習教材を自作するために使っている道具を記述
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言語習得の決め手は、持続性。
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「 3時のおやつ 」 みたいに、 学習習慣を挟み込んでいくことだ。
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◆ 人間の能力のうち、 語彙力のピークはかなり遅いとされる。
次の通り、 書き言葉、
伸び続けるとの学説も発表されている。
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[O]ur vocabulary skills, written and verbal,
require many more years before they
peak in our 60s and 70s.
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2015年3月23日付
–【 当該記事が根拠とする学術論文 】
Hartshorne, J. K., & Germine, L. T. (2015).
When Does Cognitive Functioning Peak?
The Asynchronous Rise and Fall of Different
Cognitive Abilities Across the Life Span.
Psychological science, 26(4), 433–443.・ https://doi.org/10.1177/0956797614567339
・ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25770099/
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とすれば、 一生涯を傾けても、 あまりある知的努力に他ならない。
長生きする意義と張り合いを、 ここに見出すこともできるかもしれない。
【参考】 上掲の学術論文が典拠の YouTube 動画 3本
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【老化しない人の特徴】
40代50代が老けて行く原因と老けないための習慣とは
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https://www.youtube.com/watch?v=VSLzWFbc7uU
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2022年4月5日
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うわさのゆっくり解説 【 18時30更新 】
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※ 全長 19分19秒
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【ベストセラー】 「 80歳でも脳が老化しない人がやっていること 」
を世界一わかりやすく要約してみた
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https://www.youtube.com/watch?v=TGFtLdsj5Ig
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2022年9月29日
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本要約チャンネル 【 毎日19時更新 】
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※ 全長 40分7秒
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STOP脳の老化! 脳を10分で活性化する10の方法
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https://www.youtube.com/watch?v=gvb7v91JXSI
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2022年5月2日
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ゆっくりは健康になりたい。
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※ 全長 17分30秒
( 敬称略 )
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◇ 長期的なデータ管理とスペース問題、
さらに復習時の利便性を勘案すると、
「 単語帳 」は電子化しておくとよい。
「 自炊 」本と等しく、
「 電子化は 将来への投資 」
と私は考える。
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■ 電子化した蔵書と「 単語帳 」は、< 一生の資産 >
■ 場所をとらないため、 処分不要で、 死ぬまで一緒
かけがえのない 宝物。
自分の < 成長の軌跡 > である。
手塩にかけて育てれば、 人生がきつい時、 自分を救う拠り所になる。
なんといっても、 何十年も苦楽を共にし、 生涯随伴してくれたのだから。
こういう仲間を、 たくさん作っておけば、 逆境にさらされても平常心。
常日頃、 自分を支える味方作りを心掛けることは、 心強い習慣となる。
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◆ だが、 完全なペーパーレスは現実的でない。
無理すると、 かえって非効率に陥るようだ。–
【参照】 < 蔵書の「 自炊 」記録 > 連載一覧
蔵書を 3,000冊以上、 電子化してみて、 初めて気づいた。
【参考】 ※ 外部サイト
国語辞書作りの 「 用例採集 」 で景色が違ってみえる
https://dailyportalz.jp/kiji/141008165338
2014年10月8日付
◆ 以下、 「 自分の世界 」 が広がる英語 より再掲。
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語学は < 老化防止 >< 認知症予防 > に効果ありと検証済み。
これを実証する有力な学術論文( 英文 )は次の通り。–
2010年発表。
要旨は、
「 バイリンガルはアルツハイマー病を発症しにくい 」
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Craik & Freedman (2010).
Delaying the onset of Alzheimer disease
Bilingualism as a form of cognitive reserve.
Neurology. 2010 Nov 9; 75(19): 1726-1729.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3033609/
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【PDF】
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3033609/pdf/8193.pdf
※ PDF 全4頁、 855KB
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