語彙採集
2021/04/23
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◆ 35年以上、日本語と英語の語彙・用例を集めている。
翻訳・通訳を生業にすることになるとは
つゆ思わなかった、学生時代からの習慣である。
動機は単純。
楽しかったから。
小さい頃から、言葉そのものが大好きだった。
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言葉が大好き
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知らない語彙や用法を集めるのがうれしい。
トレカや切手のコレクションに似た喜びが伴う。
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その成果物こそ、
弊サイト「プロ翻訳者の単語帳」
の正体である。
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言葉の響きにのぼせた。
イントネーションに酔った。
日英の語感や語調にしびれた。
使い手によって、発音が微妙に異なるのも面白い。
その人の個性がにじみ出て、私の想像をかき立てる。
苦手な相手ですら、微笑ましく感じたりする。
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◆ 先生や上司に対面で叱られている時でさえ、
せっせと収集していた。
お咎め内容よりも、目上の用いたユニークな
片言隻語を集めることの方が大事だったのだ。
真剣にメモを取りつつ、実際に書いていたのは、
その場で採集した言葉。
例えば、日本人の女性上司に、
「 ぐずぐずしないで、ちゃっちゃか 実行しないと! 」
とお小言をいただいている最中、私はノートに、
「 ちゃっちゃか 」と書きつけていた。
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なんて滑稽で、軽やかな言い回しだろう!
その語気が胸を打ち、叱咤の方はそっちのけ。
怒られているのに、非を悔いる心が雲散霧消。
収穫したての「 ちゃっちゃか 」に夢中になり、
ほくほくしていたのを今でも思い出す。
面会後、嬉々として「 単語帳 」に登録したものだ。
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◆ 物心つく前から、表現ばかりに気を取られていた模様。
会話内容は二の次。
ほとんどすべて上の空。
からきし聞いていない。
一貫してこんな調子だったので、
実にけしからぬ子・生徒・学生・部下であった。
生意気にも、それは今でも変わらない。
会議中も語彙採集。
特に高官の表現は豊か。
乱獲しては、ほくそ笑む日々。
会議が終わると、真っ先に「 単語帳 」に格納する。
もう、わくわくして たまらない。–
小学生時代、昆虫採集に熱中した毎夏。
長じては、語彙採集しに通勤する毎日。
仕事が楽しい。
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◆ けんか中も語彙採集。
相手の国籍・人種や言語はさまざま。
お目玉や口論の際は、お互い興奮気味であるため、
記憶に残りやすい。
すったもんだの場合、その場ではメモできない。
とりあえず覚えておき、後で「 単語帳 」に加える習慣。
激しくなじられた時ほど、たやすく銘記してしまう。
すんなり長期記憶( long-term memory、 LTM )入りする感じ。
結果として、いざこざが大きいほど学習できた。
その際に得たご利益(日英)には、相当のものがある。
即座に覚えて、忘れない。
トラブルは悪いことのみではないと、
弊サイトで繰り返し述べているわけである。
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格好をつけているのではない。
日英の語彙・用例採集を長年続けてきた感想として、
本気でこう考えている。
常用語は、無限に無償提供されている。
採集素材は、至る所にある。
本や会話はもちろんのこと、映画、ラジオ、標識。
一般人が気軽に発した生の英語に触れられる穴場は、
YouTubeのコメントや商品レビュー( アマゾンなど )。
昔ながらの新聞・雑誌の読者欄は言うまでもない。
玉石混交とはいえ、手近なインプットの宝庫。
「 コメント回り 」と称して、こうして語彙採集するのが、
私の日課である。
見聞きした対象を、その都度、書き留めるだけ。
だから、ネタ集めに困らない。
「 単語帳 」がどんどん増えていく喜び。
これは遊び。 娯楽。 そして仕事。
幾星霜を重ね、今では 老化防止 も兼ねて、
連日飽きることなく勤しんでいる。
毎日が楽しい。
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◆ 開始当初の1980年代は、インターネットもメールもなかった。
これまで作成した膨大なノート( 冒頭写真 )の管理に
悩んだ挙句、蔵書同様に「 単語帳 」も電子化している。
◇ 現在は「 Gmail 」を活用している。
【参照】 「Gmail」で作る単語帳—
< 検索機能 >が優れているからである。
- メール本文のみならず、
添付ファイル( エクセル、ワードなど )の中身まで検索してくれる。
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- 過去データに追加でき、便利この上ない。
– - 仕入れた語彙や用法を、
辞書アプリ 、 オンライン辞書 、キンドルなどの電子書籍
から、Gmailに直送するのも簡単。
ーーー - アプリ不要なウェブメールなので、他社メール
( yahoo や outlook など )にも同時送付( CC )
しておけば、持続性を担保 できる。
–自分宛に日々メールし、データ構築している–
バックアップ も怠らない。
長期的なデータ管理とスペース問題、
さらに復習時の利便性を考えると、
「 単語帳 」は電子化しておくとよい。
「 自炊 」本と等しく、
「 電子化は将来への投資 」
と私は考える。
- 電子化した蔵書と「 単語帳 」は、< 一生の資産 >
- 場所をとらないため、処分不要で、死ぬまで一緒
自分の < 成長の軌跡 > である。
だが、完全なペーパーレスは現実的でない。
無理すれば、かえって非効率に陥るようだ。
両方の電子化を実施し、初めて気づいたことである。
【参照】 「Gmail」で作る単語帳