プロ翻訳者の単語帳

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Booze

      2023/10/13

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 4 minutes

アルコール飲料、  大酒を飲む 

洋画やドラマでも見聞きする名詞・動詞。

字面から意味を推測することは不可能に近いので、
事前に学んでおく必要がある。

そのため、こちらで取り上げてみる。

◆  手始めに、 実物2点をご覧に入れたい。

氷の微笑 』 と 『 永久に美しく…  』。

ともに、 1992年日米公開のアメリカ映画。

https://getyarn.io/yarn-clip/a62b1892-7f0c-4be0-a9d9-5b060356e49b

- You're a broad! - You're a tragic, boozy, flaccid clown.

ふにゃ~

 

後者の  ” boozy ” は、 名詞 ” booze ”  を形容詞化したもの。

「 大酒飲みの 」 「 酒浸りの 」 の意。

【発音】   búːzi
【音節】   booz-y  (2音節)

boozy-woozy ” ( 酔っぱらった ) ともいう。

名詞に接尾辞 ( suffix ) ” y ” をつけて形容詞に。

  • “I got boozy and puked on my daughter.”
  • “I got boozy and barfed on my daughter.”
    ( 酔っぱらって、娘に ゲロ してしまった。)

    【発音】  pjúːk  (1音節) 
    【発音】  bɑ́ːrf  (1音節)

◆  同じく後者の  ” flaccid clown ”  は、
1990年代の字幕版と吹き替え版では、

「  ふにゃちん と和訳された。

無論、 男性器  を示す。

◇  ” flaccid ”  =  たるんだ、 ふにゃふにゃの ( 形容詞 )

【発音】   flǽksid
【音節】   flac-cid  (2音節)

◇  ” clown ”  =  ピエロ、 役立たず ( 名詞 )

【発音】   klaun
【音節】   clown  (1音節)


数年後、 地上波で放送された際も 「 ふにゃちん 」 のまま。

日本テレビ 「  金曜ロードショー  」 の吹き替えが忘れられない。


この  ふにゃちんが!
ふにゃ~!  ふにゃ~~!


「 あのメリル・ストリープ ( 1949- ) の罵倒が、 すごすぎ … 」

当時、 ずいぶんと話題を呼んだもんだ。

1990年代の日テレの吹き替えは傑作揃い。

ふにゃちん呼ばわりされた夫役は、 ブルース・ウィリス ( 1955- )。

米国でも、驚きをもって迎えられた名シーンである。

この映画の見どころのひとつ。

◆  ” booze ” の発音と語感は特徴的。

破裂音の子音  ” b ”  から始まる( 頭子音 ) 。

【発音】   búːz  (1音節)

[b]  は、 英日共通 破裂音 ( はれつおん )。

  •  英語の 破裂音  plosive  は 6つ
     [p][t][k][b][d][g

具体的には 「 有声両唇破裂音 」。

bombshell ”  で詳しく触れた。

 

◆  以下、 ” no need ”  より再掲。

口周りの運動が大振りなため、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が

分かりやすい、 英語ネイティブの  おすすめ YouTuber  をご紹介。


この度合いの激動は、 日本語を話す際には、 見られないと言ってよい。

日英の音言語習慣音節構造 ジェスチャー の大差が垣間見れる。

ゴムのように伸縮自在の口唇から放たれる、 抑揚満載の口調がたまらん。

とりわけ、 有声 [b] [m]、 無声 [p]  の子音で始まる単語を発音する口元。

  •  破裂音  plosive  /b/
  •  鼻音  nasal  /m/
  •  破裂音  plosive  /p/

3つとも 「 両唇音 」( bilabial ) で、 上唇と下唇が強めに接触。

両唇を勢いよく口中に巻き込み、 直後にぷっと一息で突き出す。

これほど分かりやすい動きを示す英語話者を私は見たことない。

口唇と舌の激しい動作にしびれ、 毎度うっとり見とれてしまう。

音声を消して、 口周りを凝視すると、 日本語にはない動きを見て取れる。

外国人の仰々しい表情とジェスチャー( 身振り )に見慣れる上でも役立つ。

頭の回転が速く、 語りは猛スピードであるが、 中級者 であればいける

表現力も豊かゆえ、 彼女専用の「 単語帳 」 を2022年より作成している。


見本にする英語の先生を選ぶ際は、 ベロ出しの有無が目のつけ所のひとつ。

平板で均一なリズムの日本語が母語の私たちの口周りは、 こんな風に動かない。

普段は  運び  を意識しないからこそ、  物珍しい眺めでびっくりするはず。

上掲  ” no need ” に加えて、  ” integrity ” 、 ” smooth out “、  ” hiatus

にて、 学習上の着目点を事細かに記した ( 図入り、 写真入り )。

→  Joce の  頻出表現

 

◆  「 ブー イング 」 「 ブー ビー賞 」 「 ぶー たれる 」

などを想起し、 ネガティブに響き渡る感。

” booze ”  には 「 お酒 」 関連の意味しかないので、
まんざら外れてない。

今回調べた英英辞典6点すべてに  ” informal ”  表示がある。

すなわち、「 非正式 」「 くだけた言い回し 」。

俗語・スラングの雰囲気を帯びる感触だが、そうではない。

” informal ” でも、 単語自体に

下品さはなく、 使用上失礼はない。

ただし、「 アルコール飲料 」と「 飲酒 」を指すため、
使用場面は限定される。

 

 

ブ ー

◆  語源は諸説あるが、 有力説は中世オランダ語
「 飲み過ぎる 」( būsen )。

名詞と自動詞があり、 徹頭徹尾 「 飲酒 」 に関連する。

” booze “ 

■  noun  [ singular,  uncountable ]
informal
alcoholic drink

■  verb  [intransitive]
informal

to drink alcohol, especially a lot of it.

( ロングマン、LDOCE6)

【発音】   búːz  (1音節 )


◆  英英6点とも酷似する語釈ばかりで、 個性は乏しい。

–  不可算名詞  「 アルコール飲料 」
–  自動詞  「 大酒を飲む 」

中身はこれだけ。

唯一の違いは 「 単数名詞 」( singular )の表記の有無。

単数名詞 単数形で使われるのが一般的な名詞

上記のうち、 ” LDOCE6 ”  のみに記載があった。

  ” booze ” =「 酒 」


くらいにざっくり覚えておこう。

なにかと印象的な単語なので、 さほど難なく銘記できるだろう。

< 不可算名詞 >

  • ”Bring some booze for the party.”
    (パーティーに、お酒持ってきて。)
  • “He has been on the booze for a week.”
    (彼は一週間も酒浸りです。)
  • “Take it easy on the booze.”
    (アルコールは少々控えて。)
  • “Just stay off the booze.”
    (とにかくお酒を辞めなさい。)
  • “I smelled the booze on her.”
    (彼女からアルコールの臭いがした。)
  • “They served desserts spiked with booze.”
    (彼らはアルコール入りのデザートを出したの。)

 

【頻出のペア表現】

  •  booze and gambling ( 賭け事 )
  •  booze and cigarettes ( たばこ )
  •  booze and drugs ( 薬物 )
  •  booze and chips ( おつまみ )
  •  booze and self-pity ( 自己憐憫 )

<自動詞>

  • “She went out boozing.”
    (彼は飲みに出かけた。)
  • “I quit boozing altogether.”
    (完全に断酒した。)
  • “They had been boozing all afternoon.”
    (彼らは午後ずっと飲酒していた。)
  • “I’d rather booze myself to sleep.”
    (それよりは飲酒して眠りたい。)
  • “I almost boozed myself to death.”
    (アルコールで死にかけた。)

【関連表現】

  •  booze-up
    ( どんちゃん騒ぎ )   ※  可算名詞
  •  boozer
    ( 大酒飲み )( 飲み屋 )   ※  可算名詞

 

◇  ” alcohol ”  = 「 アルコール 」 の英語発音は、

ǽlkəhɔ̀(ː)l


ルコ   ホー  

ルカ    ホー 

などと聞こえる。

al-co-hol  (3音節)


3音節で、最初の第1音節に強勢( アクセント )を置く。


◆  ” alcoholism ”  = 「 アルコール依存症 」の英語発音は、

ǽlkəhɔ̀lìzəm

al-co-hol-ism  (4音節)


4音節
で、 こちらも初っ端の第1音節に強勢 ( アクセント )。


ルコ  ホー  ズム

ルカ   ホー  リズム

などと聞こえる。

◆  音節( syllable、シラブル )とは、 発音の最小単位。

平板で、 均一なリズムが、 日本語の持ち味


アクセントも音節も異なるカタカナ発音では、 どちらも
英語母語話者( ネイティブ )には、 ほぼほぼ通じない語。

日本語の場合、 原則として 「 仮名一字が1音節 」。

日頃、音節を意識する機会はなきに等しい。

音節の差異が顕著な日英比較は、” integrity ”  で詳らかにした。
( 図入り )

 

 

 

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