Booze
2022/04/18
アルコール飲料、 大酒を飲む
洋画やドラマでも見聞きする名詞・動詞。
字面から意味を推測することは不可能に近いので、
事前に学んでおく必要がある。
そのため、こちらで取り上げてみる。
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◆ 手始めに、実物2点をご覧に入れたい。
ともに、 1992年日米公開のアメリカ映画。
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ふにゃ~
後者の ” boozy ” は、名詞 ” booze ” を形容詞化したもの。
「 大酒飲みの 」「 酒浸りの 」の意。
【発音】 búːzi
【音節】 booz-y (2音節)
ここでの ” y ” は、名詞に伴い、
- ~ のような
- ~ がたくさんの
を意味する形容詞を作る接尾辞( suffix )。
” handy ” にて、代表例の一覧を挙げて、ご案内した。
同じく後者の ” flaccid clown ” は、
1990年代の字幕版と吹き替え版では、
「 ふにゃちん 」と和訳された。
無論、 男性器 を示す。
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◇ ” flaccid ” = たるんだ、 ふにゃふにゃの ( 形容詞 )
【発音】 flǽksid
【音節】 flac-cid (2音節)
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◇ ” clown ” = ピエロ、 役立たず ( 名詞 )
【発音】 klaun
【音節】 clown (1音節)
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数年後、 地上波で放送された際も 「 ふにゃちん 」 のまま。
日本テレビ 「 金曜ロードショー 」 の吹き替えが忘れられない。
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この ふにゃちんが!
ふにゃ~! ふにゃ~~!!
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「 あのメリル・ストリープの罵倒が、 すごすぎ … 」
当時、 ずいぶんと話題を呼んだものだ。
1990年代の日テレの吹き替えは傑作揃い。
ふにゃちん呼ばわりされた夫役は、ブルース・ウィリス。
米国でも、驚きをもって迎えられた名シーンである。
この映画の見どころのひとつ。
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◆ ” booze ” の発音と語感は特徴的。
破裂音の子音 ” b ” から始まる( 頭子音 ) 。
【発音】 búːz (1音節)
[b] は、 英日共通 の 破裂音 ( はれつおん )。
具体的には「 有声両唇破裂音 」。
” bombshell ” で詳しく触れた。
「 ブーイング 」「 ブービー賞 」「 ぶーたれる 」
などを想起し、 ネガティブに響き渡る感。
” booze ” には「 お酒 」関連の意味しかないので、
まんざら外れてない。
今回調べた英英辞典6点すべてに ” informal ” 表示がある。
すなわち、「 非正式 」「 くだけた言い回し 」。
俗語・スラングの雰囲気を帯びる感触だが、そうではない。
” informal ” でも、 単語自体に
下品さはなく、使用上失礼はない。
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ただし、「 アルコール飲料 」と「 飲酒 」を指すため、
使用場面は限定される。
ブ ー ズ
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◆ 語源は諸説あるが、有力説は中世オランダ語
「 飲み過ぎる 」( būsen )。
名詞と自動詞があり、 徹頭徹尾「 飲酒 」に関連する。
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” booze “
■ noun [ singular, uncountable ]
informal
alcoholic drink
■ verb [intransitive]
informal
to drink alcohol, especially a lot of it.
( ロングマン、LDOCE6)
【発音】 búːz (1音節 )
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◆ 英英6点とも酷似する語釈ばかりで、 個性は乏しい。
– 不可算名詞 「 アルコール飲料 」
– 自動詞 「 大酒を飲む 」
中身はこれだけ。
唯一の違いは「 単数名詞 」( singular )の表記の有無。
「 単数名詞 」とは、 単数形で使われるのが一般的な名詞。
上記のうち、 ” LDOCE6 ” のみに記載があった。
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” booze ” =「 酒 」
と覚えておけばOK。
何かと印象的な単語なので、 さほど難なく銘記できるだろう。
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< 不可算名詞 >
- ”Bring some booze for the party.”
(パーティーに、お酒持ってきて。)
ー - “He has been on the booze for a week.”
(彼は一週間も酒浸りです。)
ー - “Take it easy on the booze.”
(アルコールは少々控えて。)
ー - “Just stay off the booze.”
(とにかくお酒を辞めなさい。)
ー - “I smelled the booze on her.”
(彼女からアルコールの臭いがした。)
ー - “They served desserts spiked with booze.”
(彼らはアルコール入りのデザートを出したの。)
【頻出のペア表現】
- booze and gambling ( 賭け事 )
- booze and cigarettes ( たばこ )
- booze and drugs ( 薬物 )
- booze and chips ( おつまみ )
- booze and self-pity ( 自己憐憫 )
<自動詞>
- “She went out boozing.”
(彼は飲みに出かけた。)
ー - “I quit boozing altogether.”
(完全に断酒した。)
ー - “They had been boozing all afternoon.”
(彼らは午後ずっと飲酒していた。)
ー - “I’d rather booze myself to sleep.”
(それよりは飲酒して眠りたい。)
ー - “I almost boozed myself to death.”
(アルコールで死にかけた。)
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【関連表現】
- booze-up
( どんちゃん騒ぎ ) ※ 可算名詞
– - boozer
( 大酒飲み )( 飲み屋 ) ※ 可算名詞
◇ ” alcohol ” = 「 アルコール 」 の英語発音は、
「 アルコホー 」 または 「 アルカホー 」
などと聞こえる。
al-co-hol (3音節)
3音節で、最初の第1音節に強勢(アクセント)を置く。
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◆ ” alcoholism ” = 「 アルコール依存症 」の英語発音は、
「 アルコホーリズム 」 または 「 アルカホーリズム 」
などと聞こえる。
al-co-hol-ism (4音節)
4音節で、こちらも初っ端の第1音節に強勢( アクセント )。
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◆ 音節( syllable、シラブル )とは、 発音の最小単位。
平板で、 均一なリズムが、 日本語の持ち味
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アクセントも音節も異なるカタカナ発音では、 どちらも
英語母語話者( ネイティブ )には、 ほぼほぼ通じない語。
日本語の場合、原則として「 仮名一字が1音節 」。
日頃、音節を意識する機会はなきに等しい。
音節の差異が顕著な日英比較は、” integrity ” で事細かに解説した。