要求されていない、 求められていない、 お呼びでない
< 注意書き > や < 免責文言 > で、
よく見かける 形容詞 ( adjective )。
ぴたりと対応する日本語がないから困る。
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◇ イメージすべきは 「 持ち込み原稿 」
【 定訳 】 unsolicited manuscripts
依頼や要請ではなく、 本人が 一方的に 持ち込んだ原稿。
【発音】 mǽnjəskrìpt
【音節】 man-u-script (3音節)
※ 例文参照
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【語源】
- 接頭辞 ” un “( ~ がない )
- 形容詞 ” solicited “( 意見を求められる )
の合成語
形容詞 ” solicited ” は、 動詞 ” solicit ” より派生した。
すなわち、 動詞 ” solicit ” の過去分詞形 ” solicited ” が
形容詞化したもの。
【発音】 səlísət
【音節】 so-lic-it (3音節)
動詞 ” solicit ” の初出は、 15世紀。
ラテン語 「 動揺した 」( sollicitus ) が語源。
「 動揺して、 不安になり、 懇願する 」 の流れ。
– 他動詞 「 懇願する 」「 せがむ 」「 誘う 」
– 自動詞 「 懇願する 」「 せがむ 」「 誘う 」
自他動詞の意味は、 以上のように重なる。
- ” I do not solicit donations or sponsorships on my site.”
( 弊サイトでは寄付やスポンサーシップを募っておりません。)
この意味合いは、名詞 ” soliciting ” と ” solicitation ” も引き継ぐ。
【発音】 sʌˈlɪsʌtɪŋ
【音節】 so-lic-it-ing (4音節)
– 名詞 「 勧誘 」「 売り込み 」「 客引き 」
訪問販売 お断り
【発音】 əlìsitéiʃən
【音節】 so-lic-i-ta-tion (5音節)
– 名詞 「 勧誘 」「 懇請 」「 教唆 」「 客引き 」–
ご紹介した以下すべて、 売春などの性的な「 勧誘 」も含む。
- 動詞 solicit /səlísət/ 3音節
- 名詞 soliciting /sʌˈlɪsʌtɪŋ/ 4音節
- 名詞 solicitation /əlìsitéiʃən/ 5音節
◆ ” unsolicited ” は、 否定の接頭辞 ” un ” が加わる。
よって、 これまで述べた内容の 「 逆 」 を意味する。
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” unsolicited ”
not asked for and often not wanted.
( ロングマン、 LDOCE6 )
【発音】 ʌ̀nsəlísitəd
【音節】 un-so-lic-it-ed (5音節)
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英英辞典の語釈はシンプル。
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日本語にぴたりと該当する語彙は見当たらない。
すんなり理解しにくく、 難しいと感じてしまう。
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この点、 形容詞 ” vulnerable “、 名詞 ” threshold ” に
共通する思い違い。
【 参照 】
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◆ 発音にも癖があり、 日本人にはなかなか難しい。
第3音節の 「 L 」 に強いアクセント( 強勢 ) を置く。
【発音】 ʌ̀nsəlísitəd
【音節】 un-so-lic-it-ed (5音節)
5音節 ( five syllables ) なのもきつい。
「 音節 」( syllable、 シラブル ) とは、 発音の最小単位。
日本語の場合、 原則として 「 仮名一字が1音節 」。
そのため、 音節を意識する機会は乏しい。
音節の日英比較は、 ” integrity ” で詳らかにした ( 図入り )。
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◆ “ unsolicited ” の言わんとすることは、 こんな具合。
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当方が要求したものではない。
–
あなたが 勝手に送り付けた のだから、
我々に責任は一切ない。
一方的に提出してきた ものを、 こちらが
どうしようとも文句は言わせないよ。
事前に、 きちんと理解しておいてね。
–
… 納得できないなら、 送ってくんな
… はっきり言って、 迷惑なんですよ
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黄ハイライト3つが、 本来の ” unsolicited ” を表す。
たった1語で、 上記の言い分を盛り込む場合が多い。
だから、 ” unsolicited ” は重宝される。
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◇ 日常使用での趣旨は、 歯止め と 牽制
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< 注意書き > や < 免責文言 > に明記すれば、
トラブル予防に役立つ。
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「 勝手に提出された( unsolicited )ものを、
当方がどう扱おうとも、 クレームの対象外 」
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冒頭にて和訳に困ると記したのは、
” unsolicited ” が、 上掲の太字部分すべてを併せ持つからである。
- 要求されていない
- 求められていない
が定訳に近い。
だが、 これだけでは物足りないことは、
ここまでのご説明で 自明 であろう。
「 お呼びでない 」 状態
和訳時に、 次のどちらににするかは悩みどころ。
文脈ごとに検討の上、 和訳するとよい。
◆ 実例を挙げる。
すべて実際に使われたもの。
これらが分かれば、 基本はOK。
- “an unsolicited job offer”
( 勝手に届いた仕事のオファー )
– - “an unsolicited advice”
( おせっかいな忠告 )
– - “an unsolicited refund”
( 一方的な返金 ) ※ 「 還付金 詐欺 」 など
– - “an unsolicited bid”
( 売却予定のない、買収の提案 )
※ 後述 「 敵対的TOB 」 も参照
– - “unsolicited remarks”
( 問わず語り ) ( 余計な発言 )
– - “We do not accept unsolicited visits.”
( 突然のご来訪はご遠慮願います。)
– - “I treat unsolicited gifts with caution.”
( 勝手に届いたプレゼントは、注意して取り扱います。)
– - “We should be cautious of unsolicited emails.”
( 一方的に届いたメールに注意するべき。)
– - “Unsolicited feedback can be found by listening to
recorded call center conversations. ”
( コールセンターの録音された会話を聞けば、
本音のフィードバックが入手できる。)
→ 一方的な自発性の発露で、「 本音 」 に近い
– - “Company X is preparing to fend off
an unsolicited takeover bid.”
( X社は一方的な株式公開買い付けを
かわす準備をしている。) ※ 「 敵対的TOB 」を示唆
– - “We use no unsolicited manuscripts.”
( 本誌は、持ち込み原稿 を採用しません。)
– - “The caliber of work matters for
unsolicited manuscripts.”
( 持ち込み原稿 は品質が重要です。)
– - “All unsolicited manuscripts will be returned
to sender unopened.”
( すべての 持ち込み原稿 は、未開封のまま、
返送いたします。)
– - “Don’t feel obligated to reply to
unsolicited emails.”
( 一方的に届いたメールに返信する
義務はないと考えてよい。)
– - “Your comment was unsolicited,
offensive and disgusting.”
( あなたの発言は、お呼びでなく、
侮辱的で不快でした。)
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◆ 「 持ち込み原稿 」 のくだりは、 今もよく見かける。
雑誌などの奥付近辺に、 ごく小さく記載されていたりする。
免責事項 ( disclaimer ) の一種である。
売文業の厳しさは、 英文の世界にも当然存在する。
【発音】 diskléimər
【音節】 dis-claim-er (3音節)
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【類似表現】
“ No need. ”
https://mickeyweb.info/archives/3363
(不要です。)
“ unwanted ”
https://mickeyweb.info/archives/8506
(望まれない、不要な)