Please advise.
2024/01/30
■ ご意見をお願いいたします。
■ ご教示いただきたく存じます。
2語で完結する依頼文。
ビジネスメールの結びによく使われる慣用句。
上記太字が基本的な和訳。
文脈 に合わせていずれかを決めるとよい。
率直な意味は 「 教えてくれ 」。
意見を伺いたい場面であれば、 相手を問わない。
上司・社外など、 目上でもOK。
–
一見、 簡潔すぎてぞんざいな印象だが、
「 決まり文句 」 なので、 心配無用
–
◆ ” Please V ( verb = 動詞 )” のパターンが 陥りがち なのが、
「 半命令形 」
–
意図せずして、命令調になってしまい、
不遜に響く
–
↑ 高圧的な命令 として反発されがちの 「 半命令形 Please 」
と 低姿勢で婉曲的 な 「 仮定法 Could 」 の比較については、
” Could you update me on – ? ” で事細かにご説明している。
–
こうなるリスクもほぼないのが、 ” Please advise “。
なぜなら、誰もが使うレベルの 「 決まり文句 」 だから。
和文結びの 「 よろしくお願いいたします 」 に似た使い心地。
常日頃から気軽に用いられている様子で、 無礼になりがたい。
私たちも、そっくりそのまま真似して、 堂々と使っていこう。
–
「 仮定・条件 」 の従属接続詞 ” if ” ( もしも ~ なら )
を用いて、 内容を具体的に示す言い回しも多用される。
- “Please advise if you have any questions.”
( もし ご質問がありましたら、ご知らせ いただければ幸いです。)
◆ とある合宿申込書の項目がこちら。
–
□ Allergies ( please advise if any )□ Special Needs ( please advise if any )
□ Pre-Existing Medical Condition ( please advise if any )
–
「 アレルギー 」・「 特別な ニーズ 」・「 持病 」が、
「 もしあれば ( if any ) 教えてください ( please advise ) 」 。
トラブルの 予防措置 として、こうして事前に届け出させる。
–
◆ “ advise ” には、 自動詞と他動詞がある。
ここでは他動詞 「 ~ を助言する 」。––
–
名詞 advice → 別の単語
スペルに ご注意!
–
※ 語源は後述
発音も異なる。
–
◆ LDOCE6( ロングマン )も、 注意喚起する。
Don’t confuse the noun advice /əd’vaɪs/
with the verb advise /əd’vaɪz/.
–
You say : Can you advise me ?
× Don’t say : Can you advice me ?
–
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LDOCE6 ( 書籍版 ) p. 28.
(Pearson Education 2014).
–
◆ 「 2音節 」 である点は共通している。
- アド – バイズ ( advise ) 動詞
【発音】 ədváiz
【音節】 ad-vise (2音節)
– - アド – バイス ( advice ) 名詞
【発音】 ədváis
【音節】 ad-vice (2音節)–
–
–-1 ———-2 音節
両方とも、 後半の第2音節に強勢( 強さアクセント )を置く。
◆ 翻って、
日本語の持ち味は、 平板で、 均一なリズム
–
だから 「 5音節 」。
- ア – ド – バ – イ – ス
1—-––2—-––3—––4—-––5 音節
–
◆ 「音節」( syllable、シラブル )とは、 発音の最小単位。
日本語では、 原則として 「 仮名一字が1音節 」。
そのため、 音節を意識する機会は乏しい。
「 音節 」の詳細と日英比較は、 ” integrity ” で深掘りした。
( 図入り )
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–
–
◆ 日本社会に定着した、
◇ カタカナ「 アドバイス 」は、 両者を混合・混同・混用
–
こんな感がある。
–
◆ 国語辞典7点を調べてみた。
概ね、 不可算名詞 の ” advice ” の語義に該当する。
名詞 ” advice ” の原則は 不可算。
可算兼用の用法もある。
緑字 は、動詞 ” advise ” に重なる意味合い。
以下、それぞれ全文。
–
–
アドバイス 【advice】■ (名詞)スル
助言すること。 勧告。 忠告。( 大辞林 第四版 )
–■ (名詞・自サ)
こうすればうまくいく、といってやること。
助言。 アドヴァイス。( 三省堂国語辞典 第八版 )
–■ (名詞・他サ変)
助言や忠告をすること。
また、 そのことば。( 明鏡国語辞典 第三版 )
–■ (名詞・ス他)
助言。 また、 忠告や勧告。( 岩波 国語辞典 第八版 )
–■ (名詞)
忠告や助言をすること。
また、 その言葉。( デジタル大辞泉 )
–■ 助言。 忠告。 勧告。
( 広辞苑 第七版 )
–■ (名詞)
助言。 忠告。 勧告。( 精選版 日本国語大辞典 )
–
◆ 念には念を入れて、日本最大の国語辞典 と名高い『 日国 』も引用。
上掲『 精選版 』 の本家本元の国語辞典( 全13巻+別巻 )である。
「 アドバイス 」 の語釈全文。
–
『 日本国語大辞典 第二版 』第1巻、 p. 449.
小学館( 2000年刊 )
–
「 アドヴァイス 」 の表記は、 『 精選版 』 には欠けている。
『 精選版 』の記述に加え、「 用例 」 と 「 発音 」 が添えられている。
◆ 一般向けの 「 カタカナ語辞典 」では、
–
『 コンサイス カタカナ語辞典 第5版 』
三省堂編修所(編集)三省堂、 2020年刊
<三省堂HP>
–
以上、 全文。
–
◆ ゴルフの「 アドバイス 」を引き合いに出しているので、
不可算名詞 ” advice ” を使って英訳してみたい。
「 自分のキャディー以外にはアドバイスを受けられない。」
- “A golfer is not allowed to get advice from someone
other than his or her caddie.”
とすれば、
- “A golfer is always allowed to seek advice from
his or her caddie.”
キャディー側から見れば、
- “Caddies can always give their players advice.”
- “Caddies are allowed to offer advice to their players.”
青字は、すべて他動詞( transitive verbs )。
名詞 ” advice ” の –連語( コロケーション–)の代表格4語である。
どれも基礎的な動詞なので、中級学習者 なら全部押さえておきたい。
【発音】 kǽdi
【音節】 cad-die (2音節)
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◆ 時に、 英語ネイティブがスペルを混同していたりもする。
取引先からいただいたビジネスレターがこちら。
- ” Please confirm and advice. ” → 【誤】
せっかくの結文が台無しである。
【誤】 ” Please confirm and . ”advice
【正】 ” Please confirm and advise. ”
( ご確認の上、ご意見をお聞かせください。)
–
同じく、
【誤】 ” Please kindly .”advice
【正】 ” Please kindly advise. ”
( お手数をおかけしますが、ご教示のほどお願いいたします。)
–
【誤】 ” Please review and . ”advice
【正】 ” Please review and advise. ”
( レビューしていただき、ご意見をお聞かせください。)
–
–
◆ ないまぜの模様だが、 さほど珍しくはなく、 案外見かける。
ただ、 英語母語話者 ( ネイティブ ) が、 口頭で ” advise ” と ” advice ”
の 「 発音 」 をごっちゃにする姿は、 私の経験からは想像しにくい。
つまり、 話し言葉では、 2単語を識別の上、 使い分けできている印象。
よって、 彼らの間違いの大半は、 うっかりミスに準じるものと考えている。
または、 スペルの不得手な人であり、 漢字が苦手な日本語母語話者に似通う。
同じ間違いでも、 私たち英語学習者とは、 その原因の異なる場合が多い。
理解度の大差に気づかず、 ネイティブと 「 一緒 」 などと侮ることなかれ。
【参照】 ” No need. ”
–
–
日本語の「 ください 」は、 目上には 要注意
◇ 「 半命令形 Please 」 同様に 失礼な理由
→ ” could you ” でご案内中 ( 図入り )
- ご教示いただきたく存じます
- ご教示を賜りたく存じます
- ご教示のほど、よろしくお願い申し上げます
- ご教示のほど、よろしくお願いいたします
などが、 ビジネス用途の無難な言い回しだろう。
【関連表現】
- ” I’m more than happy to give advice. ”
” I’m more than happy to offer advice. ”
( 喜んで助言しますよ。) ※ 名詞 advice
– - ” Request for Advice ”
( 件名 : ご助言のお願い ) ※ 名詞 advice
– - ” Take my advice. ”
( 私の忠告を聞いて。) ※ 名詞 advice
– - ” Don’t take my advice. “
- ” Don’t take advice from me.”
( 私の忠告は無視して。) ※ 名詞 advice
– - ” Please be advised that – ”
https://mickeyweb.info/archives/3530
( ~ をご承知おきください。)
– - ” Please give me feedback on – ”
https://mickeyweb.info/archives/254
( ~ について、フィードバックをお願いいたします。)
– - ” an unsolicited advice ”
“ an unwanted advice ”
( おせっかいな忠告 ) ( 要らぬ忠告 ) ※ 名詞 advice
【 語源 】
諸説あるが、 主力説をご紹介。
初出は、ともに13世紀。
名詞 ” advice ” の方が、約40年早い。
- 名詞 ” advice “
古期フランス語の ” ço m’est à vis “( 私には ~ と思われる )
との句を由来とする ” avis “( 意見 = opinion )から ” advice ” に。
– - 動詞 ” advise “
” avis ” の動詞派生語である ” aviser “( 考える )。
さらに ” avisen “( 見る )から ” advise ” に。
< 主要文献 >
・ https://www.etymonline.com/word/advice#etymonline_v_5165
・ https://www.etymonline.com/word/advise#etymonline_v_5166
・ ランダムハウス英和大辞典 第2版
・ “ OALD10 ” = 『 オックスフォード現代英英辞典 第10版 』 → 写真
・ ジーニアス英和大辞典
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