(1) 合計する (2) 要約する
口頭でよく聞く句動詞。
パソコンをお使いの社会人なら、
エクセルの「サム関数」はお馴染みであろう。
合計値を求める関数であり、エクセル最頻出
の関数である。
これらの “sum” は「合計」を示す。
“add up” と同義の “sum up”。
本稿では、身近な (1) ではなく、
(2) を中心に取り上げることにしたい。
◆ “sum” の語源はラテン語 “summa”
(highest、最高、総計)から来ている。
アメリカの大学などでは「最優秀」を
“summa cum laude“(sʊməˌkʊmˈlɔːdi)
と称するが、この “summa” が語源。
※ cum=with、laude=praise
“sum” には、名詞・他動詞・自動詞がある。
– 名詞「合計」「和」「総量」「金額」
– 他動詞「合計となる」「要約する」
– 自動詞「合計となる」「要約する」
名詞は可算名詞。
名詞「総計」は、定冠詞をつけて “the sum”
と表すのが通例。最終的な数値として唯一だから。
■ 最終的な数値を示さない、一般的な「和」
「合計」は、”a sum”。
■ 形容詞が直前に来る場合も、可算名詞の
原則通り、不定冠詞 “a” または “an” を置く。
- a good sum(相当な金額)
- a hefty sum(高額)
- a lump sum(一括払い)
- an additional sum (追加の金額)
- an exact sum(正確な金額)
- an immense sum(莫大な金額)
- an undisclosed sum(非公開の総計)
“sum” の自動詞と他動詞は、意味が重なり、
“sum up” は両方で使われる。
◆ “up” には、副詞・前置詞・形容詞・
名詞・自動詞・他動詞がずらりとそろう。
ここでは、句動詞に多い副詞の “up”。
副詞 “up” は非常に多義。
【例】
“open up“、”buckle up“、”shake up“、”rev up“、
“screw up“、”beef up“、”ramp up”
これらの句動詞の “up” と異なり、”sum up” では、
「合計して」「まとめて」を意味する。つまり、
ばらばらの多数をまとめ上げる様子を表す副詞 “up”。
次の句動詞の “up” は、同じ用法の副詞である。
【例】
“add up“(合計する)
“tally up”(集計する)
“team up“(組む、コラボする)
“gather up”(まとめる)
“round up“(総括する)
◆ したがって、表題 “sum up” は、
自他動詞 「合計する」「要約する」
を意味する。
“sum” 単体でも「合計する」「要約する」
を意味するため、定義的な句動詞とは異なる。
※ 「句動詞」の基本的定義とは、
前置詞か副詞と一緒に用いることで、
元々の動詞とは異なる意味をなす複数の単語。
(1) 合計する
上述の通り、”sum up” は、自他動詞で使う。
「サム関数」同様に、合計すること。
“Sum up the numbers.”
(数字を合計してください。)
“I have to sum up last year’s sales figures.”
(昨年の売上高を合計しなければならない。)
(2) 要約する
句動詞としての “sum up” は、こちらが主流。
(1) は当然すぎて、<句動詞扱い>されて
いない模様である。
その証拠に、(1) の用法が一切記載されて
いないEFL辞典(学習英英辞典)もある
(LDOCE6 など)。
要約する “sum up” も、自他動詞で使う。
同義語は “summarize“(自動詞・他動詞)。
使い方は難しくない。
次の2つを覚えておけば、基本はOK。
- “to sum up“
「要約すれば、~」
ーー - “to sum it up“
「要するに、~」
※ 代名詞 “it” は総称的であり、
特定の何かを示しているわけでない。
普通は訳出不要。
ーー
※<4語ワンセット>の慣用句であり、
“it” に呼応して “sums” にはならない
両方とも、口頭で使われることが多い。
日本語の「要するに」と同じく、
文頭に使われるのが一般的。
文頭だから大文字で、
“To sum up”、”To sum it up”。
“To summarize” または “In summary”
と換言できる。
“I guess this sums it up.”
(これがまとめになると思う。)
“I will sum up his story.”
(彼の話を要約します。)
“To sum up, you have to eat less to lose weight.”
(要するに、減量には減食が必要ってこと。)
“I want you to sum up her complaints.”
(彼女のクレームを要約してくれ。)
“That sums it up.”
(要は、そんなところさ。)
◆ なお、”sums up” と “thumbs up”
(賛成、絶好調、いいね!)
と混同しないこと。
文面では間違えようがないが、
聞き取りでの区別は簡単でなかったりする。