Jot down
2021/12/26
ささっと書き留める
Can you jot this down ?
(これをメモしてくれる?)
Would you jot this down ?
(これをメモしていただけますか?)
電話の相手に、こう指示されることがある。
「メモして」と依頼する際の常套句である。
意味は “write down” と同じ。
【俗語】ではなく、ごく普通の句動詞である。
“jot down” は、通話時に特に好んで使われる。
英語学習者にとって、電話は対面よりハードルが高い
場合が多いので、ぜひ押さえておきたい。
◆ “jot” には、他動詞と名詞がある。
多義でなく、日常的な用途は2つだけ。
– 他動詞「書き留める」
– 名詞「少し」
語源は、ギリシア語「少量」(iōta)。
“iōta” は「イオタ」。
ギリシア語アルファベットの第9字で、
ローマ字の “I” に相当する。
ギリシア語 “iōta” → ラテン語 “jota”(微量) → “jot”
名詞「少し」は、通例否定文で用いられる。
実際には、”not a jot“(少しも~ない)
とその変化形ばかりで、これ以外はほぼ見かけない。
“not a jot”
old-fashioned: not at all or none at all.
(ロングマン、LDOCE6)
LDOCE6 に「old fashioned」(昔の言い方)と
明記されているように、現在ではあまり使わない。
– “I don’t give a jot.”
(少しも構わない → どうでもよい)
– “There is not a jot of truth.”
(少しも真実がない → まったくでたらめ)
◆ 表題の “jot” は、他動詞「書き留める」。
長々と書くのではなく、
ささっとメモする感じ
“jot” の名詞「少し」は語源に直結するが、
他動詞「書き留める」はかけ離れている。
日常的には、比較にならないほど他動詞が多用される。
◆ これに、副詞 “down“(記入する)を足して、
句動詞 “jot down” のでき上がり。
副詞 “down” の「記入する」用法は、次の通り。
-
“write down“(書き留める)
-
“jot down“(ささっとメモする)
-
“note down“(書き留める)
-
“scribble down“(走り書きする)
※ 副詞 “down” は句動詞が一般的だが、
単独でも「メモする」を意味する
- “I have it down in my notebook.”
(それはノートに書きました。)
1音声(one syllable)の “jot” は、英語ネイティブには
言いやすく聞き取りやすい。
その変化形 “jotter” は、呼称として長く根付いている。
“Let me jot down your phone number.”
(電話番号をメモさせてください。)
“I’ll jot down my email address for you.”
(私のメルアドを書いてあげますね。)
“I always jot down vocabularies.”
(私はいつも語彙をメモしている。)
“She jotted down my address.”
(彼女は私の住所をメモした。)
“Jot down any ideas before you forget them.”
(アイデアは忘れる前にすべてメモしなさい。)