こういうことなのです。
思い切った切り口で、意見をずばり述べる。
成人男女の口語としてよく耳にする。
やや言いにくい話を切り出す前に、
相手に呼び掛け、注意を促す表現
決めの文句として、相手の注目を一身に浴びる
効果が期待できる。
少々くだけた語感だが、ビジネスでも使われる。
適訳が見つからないが、こんな感じ。
- こういうことなのです
- こんな感じです
- こうなのです
- こうしましょう
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◆ ” Here is the thing. ” は、高校生くらいから
使われ始める印象がある。
同じ呼び掛けでも、日本の学校教育で学ぶ
” Listen. ” は 「 聞いてよ 」。
こちらは万能に近いものの、妥協や受身の余地がある。
ところが、
◇ ” Here’s the thing. ” は、呼び掛けと同時に、
「 こうだ 」と最初から主張を前面に出す、強気な言い様。
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◇ 単なる 呼び掛けや注意喚起にとどまらず、 自分の
主張を論理的に説明し、相手を説得する能力
が問われる。
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したがって、小学生も使う ” Listen. ” に比べて、ハードル高め。
” Here’s the thing. ” がビジネスでも重宝されるのは、
このような言い回しがなにかと便利だからであろう。
堅苦しすぎず簡潔で、 相手の反感を刺激しにくい。
これは、 出し抜けの自分の主張に傾聴を求める
上で、大切な要素となる。
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◆ 同じ特色は、次の3表現にも通じる。
- ” I’ll tell you what. ”
( では こうしよう。)
– - ” You know what ? ”
( ちょっといい ? )
– - ” The thing is – ”
( 要するに )
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◆ 上記3つと比較すると、” Here’s the thing. ” は
なんだか分かりにくい。
対応する的確な日本語が存在しないので困る。
基本的な用途と印象は既述の通り。
直訳は「 物事は以下の通り 」。
平たく言えば「 こういうこと 」。
シンプル表現で、文法も単語も難しくはない。
◆ ” here’s ” は、” here is ” の縮約形。
副詞 ” here “( ここに )+ be動詞 ” is “( ある )
で「ここに ~ があります 」。
転じて「 以下の通り 」で、これから自分が示す内容
を紹介する文言となる。
複数を示す場合は ” here are ” だが、表題の用法では
単数形が通例。
” Here are the things – ” または ” Here are things – ”
は文法的になんら問題ないが、文字通り「 以下の通り 」
となり、単なる紹介に他ならない。
よって、 表題の趣旨とは違ってくる。
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◆ “ thing ” は名詞のみで、可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
原則は可算名詞。
■ 基本的意味は 「 物事 」 = 「 物 」「 事 」
日本語の「 物事 」と同様、
抽象的・総称的 な意味合いがある。
【参照】 “ in place “、 “ take action “、 “ paperwork ”
【参考】 ※ 外部サイト
・ 可算と不可算を見分ける簡単なコツ
・ 可算と不可算を兼ねる名詞について
・ 可算と不可算についてよくある質問
・ 不可算名詞は「物質」「抽象」「固有」の3つ
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◆ 単数 ” here is ” が通例であれば、” thing ” も単数。
すなわち、発言者の紹介したい「 物事 」は1つ。
論理的にはこうなる。
この ” the ” は「 限定 」を受ける名詞の前に置く定冠詞 であり、
最も基礎的な ” the “。
定冠詞 ” the ” にも、名詞単数形の前で
「 ~ というもの 」を意味する < 総称用法 > があるが、
ここでは「 限定の語句を伴う 」基本用法が該当する。
限定された ” thing ” である以上、中身がいくつも
あってはならないことになる。
だが実際のところ、” Here is the thing. ” の
直後に出てくる内容は1つに限らない。
” the thing ” と啖呵を切っておきながら、その後も
とりとめなく ベラベラ話す 人は、そう少なくない。
日常的に見かける姿だが、せっかくの決め台詞が
台無し である。
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◆ 周囲に直接作用する慣用句を用いる際は、
前もって 言いたい内容を整理しておくとよい。
特に、英語ネイティブではない私たちの場合、
準備 の心構えをぜひとも大切にしたい。
即興 でどうにかなると、ゆめゆめ思うことなかれ。
なめてかかると、 いずれ痛い目を見る。
ビジネスの場でこのような 失態 を繰り返すと、
徐々に軽視される立場に落ちていく。
つまり、自分自身がなめられるようになる。
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https://www.wnycstudios.org/shows/heresthething/
米国人俳優 アレック・ボールドウィン(1958-)の
ラジオトークショー、” Here’s The Thing “。
公共ラジオ放送局 の番組で、
2011年 から毎月2〜4点の新作がアップされている。
有名人へのインタビューを、ボールドウィンが単独担当する構成。
無料 なのに、米ショウビズ界を中心とする錚々たる人物が出ている。
本音や裏事情が聴けておもしろい。
Podcasts などのメディアでも楽しめる。
ボールドウィンはしゃがれ声の持ち主だが、
発音は非常に明瞭で、聞き取りやすい。
さすが、ベテラン俳優である。
彼のきれいな発音は、一聞に値する。
インタビューを受ける側の英語は自然体。
ネイティブ英語そのものなので、中級~上級学習者向け となる。
各インタビューは、20分から1時間程度。
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声質はともかく、発音はあっぱれ。
際どい会話が弾み、思わず頬がとろける。
ホストが若手であれば、きっと無理な突っ込みもままある。
円熟の域に達しつつある、ボールドウィンの面目躍如たる出番。
長寿番組に成長したのは、順当な結果に違いない。
これほど濃い内容が、無料で聴けるのは幸せ。
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別稿 「TuneIn Radio」で英語リスニング より、一部再掲。
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< Here’s the Thing >
https://tunein.com/podcasts/Arts–Culture-Podcasts/Heres-The-Thing-with-Alec-Baldwin-p460956/
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「 X 」をクリック
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※ 2021年10月、撮影現場で誤射し、過失致死が発生。
アレック・ボールドウィン の今後の動向が注目される。
トランプ元大統領のモノマネでも知られる。
https://youtu.be/3Ar80sFzViw
【類似表現】
“The bottom line is – ”
https://mickeyweb.info/archives/26351