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Paperwork

      2021/03/17

文書業務、  事務作業、  事務手続き

紙を扱う仕事だから「文書業務」。

【発音】  péɪpɚwɝ̀k
【音節】  pa-per-work  (3音節)

不可算名詞(後述)である。

  • 名詞 paper (紙)
  • 名詞  work (仕事)

本来は、中立的な意味合い。

ところが、なぜかネガティブな文脈で
使われる場面が日常的に見受けられる。

粗末な扱い に甘んずる位置づけの印象。

  • I got sick and tired of endless paperwork.
    (とめどない書類作成にうんざりした。)
  • I have to deal with a lot of paperwork.
    (大量の書類仕事をやらねばならない。)
  • I’m wasting my time doing paperwork.
    (文書業務なんかで時間を浪費している。)
  • I spent my weekend preparing paperwork.
    (書類作成に週末を費やした。)
  • I did all my paperwork during lunch break.
    (昼休みに事務手続きをすべて終えたよ。)
  • I don’t want to wait until all paperwork is perfect.
    (書類が完全に整うまでなんて、待ちたくない。)

こんな風にぶちまけたりする。

オフィスにおける代表的な使用例である。

文書業務は、円滑な業務運用や手続きに
欠かせない仕事の一部(後述の語釈参照)。

しかし、創造性や生産性とは無縁で、誰に
でもできる「作業」とみなされている様子。

その割に注意力を要し、手抜きご法度で、
時間がかかる。

手書きで書き損じた場合、文書によっては、
一からやり直す必要が生じることさえある。

こうして、荷厄介な仕事未満の面倒事として、
大勢の人が毛嫌いするのが “paperwork”。

◆  冒頭に記した通り、成り立ちは単純。

2つの名詞を合わせた不可算名詞

“paper” と “work” は、ともに可算と不可算を兼ねる名詞である。

日本人学習者が混乱しがちな点なので、
これから詳しく見ていこう。


” paperwork ” の数々


■  paper  ( 可算・不可算 )

語源は、ラテン語「パピルス」(papȳrus)。

【発音】  péipər
【音節】  pa-per  (2音節)

パピルス とは、水生植物の一種。

紙がパピルスで作られたことから、”paper” に。

「 パピルス 」は、シャープの電子辞書の名称として、
かつて名を馳せた。( 現在は「 Brain 」に移行 )

□  名詞  ” paper ”  のポイント5つ

  1.  原則は、不可算

    「紙」と言えば、普通は「不可算名詞」
  2.  「紙」が成果物になったものは、可算名詞

    【例】  新聞、  論文、  答案、  紙袋
  3.  可算・不可算を兼ねるものもある

    【例】 「壁紙」(wallpaper)
  4.  複数扱いの “papers” で、総称的な「証明書」「書類」

    【例】
    –  身分証明書(identification papers)
    –  入管書類(immigration papers)
  5.  不可算の「紙」には、決まり表現がある

    【例】
    –  ” a sheet of paper ”
    –  ” three sheets of paper ”
    –  ” a roll of paper ”
    などの決まり表現がある。

    ◇  不可算の「水」の
    –  ” a glass of water ”
    –  ” three glasses of water ”
    と重なるパターンである。

    「単位」「容器」による < 輪郭づけ > である。

    【参照】   “hot water

 

■  work  ( 可算・不可算 )

語源は、古英語「労働」(weorc)。

【発音】  wərk
【音節】  work (1音節)

□  名詞  ” work ”  のポイント4つ

  1.  原則は、不可算

    「仕事」と言えば、普通は不可算名詞。
    職業としての「 総称的な仕事 」を指す。
  2.  具体的に課せられた「任務」や
    特定の「勤め口」としての「仕事」は、
    可算名詞が原則

    次の類義語と同じ。
    –  task
    –  job
    –  assignment
    –  duty
  3.  「仕事」が成果物になったものは、可算名詞

    【例】  著作、  芸術作品
  4.  複数扱いの “works” で、特に「工事」「事業」

    “work” のままでも使われることもある。

    【例】
    –  基礎工事( ground works
    –  公共事業( public works )

上記のポイントは似通っている。

なぜなら、可算と不可算を区別する視点が
同じだからである。

◇  不可算  →  抽象的な概念
◇  可算  →  形の見える具体的なもの

中級学習者なら、これらの原則は学習済み。

「例外」が多すぎるように感じるため、混乱してしまうのだ。

paper
「 紙 」は、
もともと 「 ロール状の塊 」
 どうにも 数えようのない、どでかい 物質 
として、不可算。

例えば、こちら。

両端に写る人間を凌駕する「ジャンボロール」である。

【出典】   https://www.asahi.com/articles/ASN3366LZN33UQIP02Z.html

食パン 」も、同様の考え方で、不可算名詞。

work
割り当てられるまで は、

 抽象的な、職業としての「 総称的な仕事 」
として、不可算。

【参照】   “ in place “、  “ take action ”、  “ acting

区別の基本は、以上の通り。

私たち日本人には、かなり分かりにくい。

確かに、数ある「例外」を学ぶのは大変だが、
「基礎知識」を押さえるのは、それほど難しくない。

【参考】    ※  外部サイト

可算と不可算を見分ける簡単なコツ
可算と不可算を兼ねる名詞について
可算と不可算についてよくある質問
不可算名詞は「物質」「抽象」「固有」の3つ

 

◆  “paperwork” が 不可算名詞 であることに、
異説はない模様。

後掲の4大学習英英辞典(EFL辞典)は、すべて
uncountable “(不可算) と明記する。

  • 不可算名詞  ” paper “(紙)
    →  具体的な成果物ではない
  • 不可算名詞  ” work “(仕事)
    →  総称的なやるべきこと

ここでは両方が不可算名詞。

それが合わさった “paperwork” が
不可算なのは、自然の成り行き。

初出は、1587年。

最初は「 紙製の作品 」を意味したが、
1889年から「 文書業務 」に。

” paperwork “

  • 1.  work such as writing letters or reports,
    which must be done but is not very interesting.
    2.  the documents that you need for a business
    deal, a journey etc.
    (LDOCE6、ロングマン)
  • 1.  the written work that is part of a job,
    such as filling in forms or writing letters
    and reports.
    2.  all the documents that you need for
    something, such as a court case or
    buying a house.
    (OALD9、オックスフォード)
  • –   part of a job that involves writing
    letters and reports and keeping records.
    –   the written records connected with a
    particular job, deal, trip, etc.
    (CALD4、ケンブリッジ)
  •  Paperwork is the routine part of a job
    which involves writing or dealing with
    letters, reports, and records.
    (COB9、コウビルド)

【発音】  péɪpɚwɝ̀k
【音節】  pa-per-work  (3音節)

※  下線は引用者

4点とも似たり寄ったりで、月並みの
「文書業務」「事務作業」を説明する。

唯一、個性を認めるのは下線部(赤字)。
「退屈」を示唆する “LDOCE6″。

軽視の対象であることを匂わせている。

そうなる理由は既に触れた。

カタカナの「ペーパーワーク」にも、
「ペーパードライバー」(和製語)のような
軽い響きをかすかに覚える。

いかがだろうか。

  ペーパーワーク【paperwork】

  • 事務処理。事務手続き。
    (大辞林 第三版)
  • 1. 文書を扱う事務の仕事。
    書類を作成する仕事。
    2. 紙で作ること。またその作品。
    (広辞苑 第七版)


◆  “paper” とはいえ、2019年現在は、
電子版の文書が盛んに導入されている。

英語圏の記入用紙では普通に見られる書式。

社員対象の事務手続きの場合、大組織であれば、
電子的な “paperwork” の方が一般的であろう。

電子メール経由の提出や決裁が容易で、時間短縮
につながる。

デジタル署名や電子署名を用いれば、「紙」と
変わらぬ効力をもたらす。

全般的に管理しやすいのが、電子版の利点である。

電子化の流れは、時代の趨勢に沿っている。

【参考】    電子版  vs  「自炊」

 

◆  先に掲げた5つの例文は、不可算名詞
“paperwork” の使い方の基本を表す。

“paperwork” につながる主な単語(連語)
は、次の通り。

Oxford Collocations Dictionary for
Students of English
“(アプリ版)より転載。

※  漢字は追加

このように「 コロケーション辞典(連語辞典)」を
引けば、組むべき単語をすぐ調べることができる。

< コロケーションについて >

・ “aware
・ LDOCE(ロングマン現代英英辞典)
・ 辞書の「自炊」と辞書アプリ
・ 英語辞書は「紙」か「電子版」か

【実例】    ※  辞書アプリの転載あり
threshold“、”damage“、 “scrutiny“、
backdrop“、”struggle”、”downfall“、
bombshell“、”alternative”、”feasible“、
disparity“、”presence

 

 

 

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