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蔵書の「自炊」記録(5)

      2021/10/20

電子書籍ストアで電子書籍を購入することは、

  購読権のみを買う   ことである。

さしずめ 「 使用ライセンス取得契約 」 といったところか。

したがって、

■  書籍自体 を購入している のではない。

  サービス提供者に依存し続ける点で
  自炊本と決定的に異なる

※  PDF版などを除く  

これは、蔵書管理に不可欠な知識である。

 

◆  特に、次の2つのリスクを認識することが大切である。

1) 提供会社のサービスが終了すれば、
買ったはずの電子書籍とその利用権を失う
可能性がある。

※  端末ダウンロード済み分を除く

< 終了した電子書籍ストア >


◇  この他、2014年から2015年にかけて終了したのは、


【参考】    ※  外部サイト

「2014〜2016年で、これだけ多くの電子書籍サービス
と電子書籍端末が終了していた!」



2) 提供会社の規約に著しく違反すれば、
同等の 不利益処分を受ける 場合がある。

【 例 】  2012年、アマゾン(米国)の規約に違反した
ノルウェー在住者が、キンドル本を遠隔削除 された。

http://wired.jp/2012/10/25/amazons-remote-wipe


なお、以下の英語版( 原文 )には、

We would like to clarify our policy on this topic.
Account status should not affect any customer’s
ability to access their library.
If any customer has trouble accessing their content,
he or she should contact customer service for help.

https://www.wired.com/2012/10/amazons-remote-wipe-of-customers-kindle-highlights-perils-of-drm/

< 参考和訳 >

この件につきまして、当社( 米アマゾン )の方針をご説明いたします。
( キンドル )ライブラリへのアクセスに、お客様の
アカウント状況が影響することはございません。
もし、コンテンツにアクセスできない場合は、
カスタマーサービスまでご連絡ください。



◆  2021年8月、日本国内の読書家の間で話題になった投稿が、

「 Kindleの 4000冊の蔵書が 吹っ飛んだ 」

https://anond.hatelabo.jp/20210820235834
2021年8月20日付


アマゾンギフトを使った結果、Amazonアカウントが永久凍結。

「  400円✕4000冊の単純計算で 160万円くらいは 吹っ飛んだ  」

この事例を「 プレジデントオンライン 」が分析している。

https://president.jp/articles/-/49689
2021年9月9日付


2016年4月15日( 初稿日 )付の弊サイトの記事において、
当初から一貫して指摘してきたように 「 所有権がない 」。

あれから5年以上経過してものの、不安定な権利関係に
に大きな進展は見られない模様である。

電子書籍ストアの「 サービス終了 」についても、経験上不安視
していたため、後述の通り、2016年当時から取り上げてきた。

https://president.jp/articles/-/49689
2021年9月9日付


上掲の記事内で引用している記事も、良質と考えるので、
改めてリンクをご紹介させていただきたい。

電子書籍はサービス終了したら読めない?
対応事例一覧と最善の対策方法

https://www.kyodotokyo.com/book-movie/ebook-end-of-service/

2021年7月8日付
2021年10月2日付 ( 更新日 )


◆  自炊本の場合、上記実例のリスクとは無縁である。

電子書籍ストアで電子書籍を購入すると、
再ダウンロードができる等の安全網が種々付随する。

しかし、どれも

サービス提供の持続を前提

としている。

◆  また、2021年10月時点では、原則として 譲渡不可

いわば < 無期限レンタル > に近い契約になっている。

一部のキンドル本に明記されている文言がこちら。

  • 有償・無償にかかわらず
    本作品を第三者に譲渡することはできません。
  • 有償・無償にかかわらず
    このデータを第三者に譲渡することを禁じます。


【参考】    ※  外部サイト

◇  AMAZON KINDLE ストア 利用規約


自由に処分できない以上、
「 所有権 」はない


要は 「 自分のもの 」 でないということ。

自炊本とは比較にならない度合いで、

「 自己コントロール権 」が制限されている。

ひどくない  ?

 

◆  さらに、電子書籍の市場、会社間連携、
及び法的整備のいずれも成熟していない。

購入者の 継続使用を担保するシステムは不十分 である。

【出典元】  『 モバイルワーカーの超愛用品 』  枻出版社、 2018年刊


よって、

◇  現状で電子書籍を買うということは、
  蔵書のコントロール権を他者に委ねる行為  

と考えることもできる。

一方、自炊本は、専用端末やアプリに依存することなく、

■  著作権法の規定内で自由にできる

□  出版社などが廃業しても、継続使用に支障はない

  他者都合により読めなくなるリスクが存在しない  
に等しい。

以上が電子書籍と自炊本を比較検討する上で、
見落とされがちな重要相違点である。

蔵書管理を計画する上で、今一度考えてみたい。

 

<蔵書の「自炊」記録> 連載一覧

 

 

 

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