What’s the use of – ?
2020/07/31
~なんて、何の役に立つのか?
「そんなものが役に立つわけない!」
–
これが発言者の本心で、最初から結果ありきの口語。
つまり、反語的に使う場合が多い。
“What’s the use (of something)”
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spoken: used to say that something seems
to be a waste of time.
(ロングマン、LODCE6)
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※ spoken = 口語体、話し言葉
「反語」
断定を強めるために、言いたい意の肯定と
否定とを反対にし、かつ疑問の形にした表現。
「そんな事知るものか」の類。
(広辞苑 第六版)
強調のために反語を用いる表現が「反語法」。
“What’s the use of – ? ” もこれに類似する。
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◆ この表現のポイントとなるのが、
頻出の<3語ワンセット>”the use of“。
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公文書やニュースでもよく見聞きする。
“use” には、他動詞・自動詞・名詞がある。
語源は、ラテン語「使用する」(ūtī)。
この語源の意味合いが、”use” の全品詞を貫く。
多義ではない。
名詞 “use” は、可算と不可算を兼ね、
基本は不可算名詞の単数名詞。
「単数名詞」(singular noun)とは、
単数形で使われるのが一般的な名詞。
英英辞書では “S” または “sing” と略記されたりする。
大まかに言えば、
・ 可算名詞「使用法」「習慣」
・ 不可算名詞「使うこと」「役に立つこと」
だが先述の通り、名詞 “use” の基本は不可算の
単数名詞なので、「使用法」と「習慣」も
不可算扱いされる場合がある。
ここでは、不可算名詞「使用」。
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主格関係の前置詞 “of”(~の)を伴い、主な定訳は2つ。
- ~の使用(利用)
- ~の行使
“of” の直後に名詞(+冠詞)が続くのが通例。
日本語では、助詞「の」の直前に名詞を置くのが基本。
使い方が相当似ており、理解しやすい。
英日とも、少々堅めの表現であるが、
応用範囲は極めて広い。
「~の使用(利用)」または「~の行使」と言いたい場面
のほとんどで使え、実に便利である。
“the use of something“
the ability or right to use something.
(ロングマン、LDOCE6)
基礎単語3語のみで構成されるフレーズなので、
堅めではあっても、堅苦しさはない。
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そのため、日常に用いても違和感はなく、
誤解のない分かりやすさが “the use of” の強み。
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◆ 次の5例は、日頃、日本語でも見聞きするだろう。
- the use of force
(武力の行使)
– - the use of racial slurs
(人種差別表現の使用)
– - the use of smart phones
(スマホの使用)
– - the use of rental cars
(レンタカーの使用)
– - the use of public transportation
(公共交通機関の利用)
– - the use of physical punishment
(体罰の行使)
“what’s” は、”what is”、”what has”、”what does”
の省略形。
ここでは、“what is”「何がある」。
- 疑問代名詞 “what“(なに)
- 動詞 “is”(ある) ※ be の三人称単数直説法現在形
- “the use“(使用)
- 前置詞 “of“(~の) ※ 主格関係の前置詞
直訳は「~の使用に何がある?」。
疑問文のため、疑問符「?」で閉じる。
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◆ 冒頭の通り、反語法に準じた表現で、
「役に立つわけがない」が真意。
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上掲 LDOCE6 には「時間の無駄のよう」とある。
よって、” It’s no use. “(無用です)とほぼ同義になる。
そんな扱いなので、軽視の意を表す助詞「~なんて」
「~なんか」を用いて意訳することが多い。
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発言者のうんざりした気持ちが伝わってくる。
伴う感情や言い回しを含め、全体的に日英共通の表現。
頻出の “the use of” と併せて、自ら使えるとよい。
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“What’s the use of going to school ? ”
(学校なんか行って、何の役に立つのか?)
“What’s the use of being number one ? ”
(1位になることに、どんな意味があるか?)
“What’s the use of studying English ? ”
(英語なんて勉強して、何の役に立つのか?)
“What’s the use of staying up all night ? ”
(徹夜なんかして、何の役に立つのか?)
“What’s the use of crying ? ”
(泣いてどうなる?)
“What’s the use of yelling at me ? ”
(私にわめいてどうする?)
“What’s the use of a smartphone if you can’t use it? ”
(スマホを持っていても、使えなければ何の役に立つ?)
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◆ マイナー用法として、反語ではなく、文字通り
「何の役に立つのですか?」の意味もある。
“What’s the use of this phrase ? ”
(このフレーズの用途は何でしょう?」
【参照】–※ 反語的
- “What’s the point ? ”
(それに何の意味があるの?)
– - “What do you know? ”
(あなたに何が分かるの?)
– - “Who benefits ? ”
(誰が得するの?)