証明して。
You have to prove it.
(証明していただかないと。)
–
Why don’t you prove it ?
(証明してみたらいかが。)
–
Go ahead and prove it.
(どうぞやってみせて。)
これらより、ぶっきらぼうな「証明して」。
丁寧さはないが、簡明直截である。
相手が大風呂敷を広げた直後の勢いで
多用されるため、失礼はほとんどないだろう。
大言壮語に応じるには、ちょうどよい加減。
「なら、証明しな。」
良くも悪くも、相手を挑発する際にも使う。
「ほな、やってみなはれ。」
たった2語のシンプルな表現。
趣旨も使用場面も分かりやすい。
日本語「証明して。」同然。
実際のところ、率直すぎる2語のみより、
冒頭のような言い回しが一般的。
それでも、”Prove it.” だけでも十分意図が通じる
ことを理解することは、英語学習では重要である。
<2語完結>の頻出表現はとても多い。
- “No worries.“(心配無用です。)
- ”No rush.“(急ぎません。)
- “No need.“(不要です。)
- “No joke.“(冗談ではない。)
- “No kidding.”(本当ですか! ウソでしょ!)
- “No way ! “(お断りだ!)
- “No buts ! “(「でも」じゃない! 口答えするな!)
- “Go ahead.“(お先にどうぞ。)
- “Try me.“(やってみて。試して。)
- “You bet ! “(そのとおり。もちろん。どういたしまして。)
- “Show me.”(見せて。)
- “Tell me.”(教えて。)
- “Get out.”(出て。)
◆ “prove” には、他動詞と自動詞がある。
語源は、ラテン語「調べる」(probāre)。
多義ではなく、語源を貫く意味中心である。
– 他動詞「証明する」「立証する」「検算する」
– 自動詞「判明する」
英単語としての重要度は<トップ3000語以内>。
LDOCE6 では最高レベルに位置する。
文面の頻出度は<トップ1000語以内>。
口頭の頻出度は<トップ2000語以内>。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)
「証明する」「立証する」「判明する」
を示す、最も基本的な英単語 “prove”。
自他動詞ともに、ビジネスでは不可欠である。
ここでは自動詞「証明する」。
◆ “it” は、人称代名詞「それを」。
“Prove it.” は「それを証明せよ」。
「それ」は、相手の壮語した内容または
挑発の中身を指す。
その対象は、実際にはピンポイントで特定される
性質のものではなく、漠然とした場合が多い。
そのため、通常は訳出されない。
つまり、この “it” は概ね総称的。
次の表現の “it” にも共通するパターンである。
<総称的な “it” 例> ※ 普通は訳出しない
- “I’ve had it.”
(もうたくさんだ。 ) - “Have it your way.”
(どうぞご勝手に。) - “Let’s face it.”
(直視しよう。素直に認めよう。) - “Go for it ! ”
(頑張れ! やってみろ!) - “You asked for it.”
(ご自分で招いたことです。自業自得ね。) - “I got it.”
(了解です。分かりました。) - “Just do it.”
(とにかくやりなさい。) - “We can work it out.”
(なんとかなるさ。) - “Get it over with.”
(けりをつける。) - “as it turned out”
(蓋を開けてみれば)
先述の通り、2語完結の “Prove it.” は、
高言や挑発の応答に多用される。
あらゆる場面が想定できるため、状況と言い方
によっては “Prove it.” の語調もバラエティに富む。
和訳も同様で、次のように訳せる。
- 「証明してごらん」
- 「態度で示せ」
- 「やってみろよ」
- 「お手並み拝見」
基礎単語2つで、これほど異なる語勢を表現できる。
これは、繊細で多彩な日本語の深遠さの証でもある。
さらに敷延すると、こんな具合か。
“This proves that Japanese is one of the hardest
languages to learn for native English speakers.”
(英語ネイティブにとって、日本語は習得するのに
最も難しい言語のひとつであることを示す。)
※ “prove” = 他動詞「立証する」
外国語を学ぶ機会がなければ、なかなか気づきにくい
私たちの母語の持ち味である。