Speak volumes
2020/01/04
多くを物語る
初めて聞くと、意味が分からないかも。
「多くを物語る」を示す堅めの常套句である。
この場合、常に “s” つきの “volumes“。
音声でも文面でも使われる。
◆ “speak” には、自動詞と他動詞がある。
細かく見れば、多義な単語である。
それでも、語源の古英語「話す」(sprecan)
に沿っており、<伝達>する点で一貫する。
“speak” は、「口で話す」以外に、
表情・物品・写真・態度・行動などが、
「物語る」「示す」
つまり、<音声>のみならず、
<視覚>が与える印象を表現する
場合にも使える。
“speak” → 自動詞、他動詞
表情・物品・写真・態度・行動などが、
「物語る」「伝える」
本人の意思に沿う場合はもちろん、
受け手が感じた印象のみに基づく「物語る」
も “speak” で表せる。
この点、日本語の「物語る」と重なる。
“speak volumes” =
It clearly shows the nature of something
or the feelings of a person.
(ロングマン、LDOCE6)※ 下線は引用者
「話す」の同義語である “talk” には、
上記の太字すべて(日英)の意味を含まない。
よって、”talk volumes” とは言わない。
◆ “volume” には、名詞・形容詞・
自動詞・他動詞がある。
– 名詞「本」「巻」「容量」
「大量」
– 形容詞「大量販売の(量販の)」
– 自動詞「(煙が)もくもく上がる」※ まれ
– 他動詞「音量を上げる」「製本する」
語源は、ラテン語「巻物」。
ここから、「本」→「量」→「大量の」。
【注意】「ボリューミー」は、和製英語
“volume” の場合、名詞使用がほとんど。
他の品詞の記載のない英和辞典も多い。
『ジーニアス英和大辞典』と
『リーダーズ英和辞典 第3版』にもなかった。
“speaks volumes” の場合は、
形容詞と思いきや、実は名詞「大量」。
“volume” には、可算名詞と不可算名詞がある。
【類似表現】 ※ たくさんの
各表現に続く名詞は、複数形(原則)
- a host of / hosts of
- a lot of / lots of
- a load of / loads of
- a number of / numbers of
- a pile of / piles of
- a score of / scores of
- a ton of / tons of
- a world of / worlds of
- a plenty of / plenty of
※ どちらも “plenty”
“speak volumes” が文末の場合も多いが、
さらに続く場合の前置詞は、
“about” または “for” 中心。
また、主語が単数なら、”speaks volumes”。
過去形なら、”spoke volumes”。
- “His word speaks volumes.”
(彼の言葉が多くを物語っている。) - “How you behave speaks volumes about you.”
(振る舞いこそがその人を物語る。) - “His outfit spoke volumes about him.”
(彼の服装が自身を物語っていた。) - “Her eyes spoke volumes for her love of her dog.”
(彼女の目は、愛犬への愛情を物語っていた。)
“speak volumes” は、常套句。
中型以上の辞書の多くで、独立項目が立つ。
常套句や慣用句は<決まり表現>なので、
文法面を冗長に解説するに及ばない。
だが、成立ちに一度目を通しておけば、
<丸暗記>より頭に入りやすいと考え、
詳述した。