ぴしゃりと言う、 ブチ切れる
「 スナップボタン 」 「 スナップ写真 」 で
お馴染みの ” snap “。
【発音】 snǽp (1音節)
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どちらも パチンと手早く 済む。
これが ” snap ” の基本イメージ。
◆ ” snap ” には、自動詞・他動詞・名詞・形容詞・
副詞・間投詞がある。
語源は、 オランダ語 「 ぐいっとつかむ 」(snappen)。
どこか小生意気な感じがする ” snap “。
【発音】 snǽp (1音節)
後述の通り、 「 1音節 ( one syllable ) 」 なので、
意味合いに加えて、 発音にも勢いがある。
多義で品詞は多いものの、 この語感が基本的意味を貫く。
また、自他動詞の意味はほぼ重なる。
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- 自動詞
「 パチンと閉まる 」 「 ポキッと折れる 」 「 ブチ切れる 」
「 スナップ写真を撮る 」 「ぴしゃりと言う 」 「 素早く動く 」
– - 他動詞
「 パチンと閉める 」 「 ポキッと折る 」
「 スナップ写真を撮る 」「 ぴしゃりと言う 」 「 素早く動く 」
– - 名詞
「 パチン、 ポキッ 」 「 指パッチン 」 「 活力 」 「 怒声 」
※ 可算・不可算兼用。 「 怒声 」は 可算名詞
– - 形容詞
「 パチンと閉まる 」 「 即座の 」
– - 副詞
「 ポキッと 」 「 ぷっつりと 」
– - 間投詞
「 わあ、 同じだ! 」 → 同種のものを見た時の叫び
「 間投詞 」( interjection ) とは、 感動や応答を表す語で、
単独で文となりうる呼掛け言葉。
「 感嘆詞 」( exclamation ) とも言う。
「 ! ( 感嘆符 )」 は、
” an exclamation mark ” または ” an exclamation point “。
【例】
Oh ! Alas ! Oops ! Whoa ! Gross !
Welcome back ! Well done ! Barf ! Check !
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基本的意味のみでも、 これほど多彩である。
「 パチン 」 「 ポキッ 」 という語感を、
共通して感じ取ることができるだろうか。
いずれも副詞で、 実際の音を真似た言葉。
擬音語 ( onomatopoeia ) または 「 擬声語 」 と言う。
【参照】 “ tingling sensation (ASMR) ”、 “ ring a bell ”
さて、 表題 「 ぴしゃりと言う、 ブチ切れる 」。
上掲( 緑字 )にあるように、 自動詞・他動詞・名詞
が関係する。
相手の言動にカチンと来て、反発し、
—— 態度に出して いる状態
- ぴしゃりと言った
- ブチ切れた
描写の対象となる行動は、こうして既に終わっている場合が大半。
すなわち、実際に行われた言動や態度を表現する場面が多い。
したがって、 現在形よりも過去形 ” snapped ” が普通。
特に、 文中では過去形が目立つ。
この傾向は、 英語ほど 「 時制 ( tense )」 に厳格ではない
日本語でも同様であろう。
ただし、ニュース見出しは、 過去分も現在形 が原則。
よって、” snap ” や ” snaps “( 主語が単数で I、You 以外 )
となる。
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◇ 「 見出し 」 英語の解説は、 ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方 ( 見出し編 ) RNN時事英語
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” snap ”
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■「 びしゃりと言う 」: 自動詞・他動詞
to say something quickly in an angry way.
■「 ブチ切れる 」: 自動詞のみ
to suddenly stop being able to control your
anger, anxiety, or other feelings in a difficult situation.
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:<2001~3000語以内>
- 話し言葉の頻出度:3000語圏外
上記指標と英語の語釈は、 LDOCE( ロングマン )より
【発音】 snǽp (1音節)
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多義の中、この2つの意味を取り上げたのは、
見出しや いざこざ 記事で見かけることが少なくないから。
< 感情露わ > の芸能ニュースで重宝される用法である。
最頻出には至らないが、上記の通り重要ではある。
「 写真を撮る 」 と異なり、 字面から意味を推測しにくく、
事前に知らないとお手上げ。
弊サイトでは、 このような英語を 優先させる 方針を採用する。
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◆ ” snap ” も ” snapped ” も、 「 1音節 ( one syllable ) 」 。
語勢が強く、 まさに「 ぴしゃり 」の語感。
「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位。
日本語の場合、 原則として 「 仮名一字が1音節 」。
そのため、 音節を意識する機会は乏しい。
「 音節 」 の日英比較は、” integrity ” で事細かに取り上げた。
( 図入り、 動画入り )
「 ぴしゃりと言う 」 と 「 ブチ切れる 」 の区別は、 文脈で判断する。
後者は自動詞のみゆえ、 そこでも判別できる。
次の各文を見て、 区別できるとよい。
いずれも、 今年2017年に発表された記事である。
- ” What do you want ? ” he snapped.
( 「 なんの用?」 彼はぴしゃりと言った。)
– - ” After a stressful day at work, I snapped at my kids.”
( 仕事でストレスの多かった一日を終えてから、
私は子どもにつらく当たった。)
– - ” One morning I just snapped.” ※ 心が壊れる様子
( ある朝、私は突然ブチ切れた。)
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- ” Something inside me snapped, and I walked out.”
( 心の中で何かがブチ切れて、私は立ち去ったのです。)
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- X Snaps in Interview: ” Why the F–k Am I Doing This ? “
( Xがインタビュー中にブチ切れ
「 なぜ俺がこんなことしなけりゃならんの?」) ※ 見出し
→ ” F–k ” は卑語 ( expletive ) ” fuck ” の伏字
◆ 動詞 ” snap back ” は、 「 跳ね返る 」 「 言い返す 」。
ひいては 「 逆ギレする 」。
「 カムバック 」( come back、 戻る・帰る )
と同じ用法の 副詞 ( adverb ) ” back ” である。
既記の 「 ぴしゃり 」 が勢い余って、 反動で揺り返されて、
” back ”( 戻る ) する具合。
総じて 「 反発 」 する有様が、 ” snap back ” 。
◆ 名詞 ” snapback ” は、 ばねなどの 「 跳ね返り 」。
ハイフン入りの複合名詞 ( compound noun ) として、
” snap-back ” と表記することもある。
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【参考】 ※ 外部サイト
- ハイフンの基礎知識
https://www.enago.jp/academy/hyphen/
【発音】 háifn
【音節】 hy-phen (2音節)
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「 スナップバック成形 」 ( snapback forming ) は、
ダイボックス内で軟化した成形材を真空引きで伸張した後、
オス型を押し込んでから、 圧縮空気を吹き込んで、
成形材をオス型に密着させる方法。
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「 スナップバック条項 」 ( snapback clause / provision ) は、
自由貿易協定で、 相手国の協定違反により重大な損害が生じた場合、
その対抗措置として関税を特恵税率以前の税率に引き上げることを
規定した条項。
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■ 本の「自炊」 に大人気のスキャナが 「 スキャンスナップ 」
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▲ ScanSnap iX1500 FI-IX1500 ( 2018年発売 )
” snap ” の形容詞「 即座の 」 と動詞「 写真を撮る 」
で見事にアピールする、掛詞 のネーミングである。
2021年には、 ScanSnap iX1600 が発売された。
snap fingers