プロ翻訳者の単語帳

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Bleep out

      2018/12/09

(放送禁止用語を)ピーと消す

CNN were unable to bleep out the expletives
on live television.
(CNNは、テレビの生放送で卑語を消せなかった。)
NEW YORK DAILY NEWS,  Jan 21, 2017

【YouTube】全長:24秒
CNN airs Madonna saying “fuck” three times
https://www.youtube.com/watch?v=mj9nZmjMxkk
(マドンナの3度の “fuck” 発言を、CNNがそのまま放送)

マドンナが一発かました直後の周囲のどよめきが、
事の大きさを示唆する。

expletive = 卑語(可算名詞)
【発音】éksplətiv

トークショーやインタビューを取り上げた記事で
目につく “bleep out”。

F-wordF-bomb、“four-letter word
とも称される fuckfʌ́k)が expletive の代表格。

複数の統計において、No.1 の罵り言葉と目されている。
swear wordscurse wordscuss words

洋画ではよく使われている印象もあるが、
<社会人は使わない>と覚えておく方が無難。

米国メディアでは、FCC(連邦通信委員会、Federal
Communications Commission)などが規制する。

◆ 登場人物が政治家、作家、学者、企業幹部の場合は、
“bleep out” や “expletive deleted“(卑語省略)の
記載を見かける機会はほとんどない。

知的教養のある文化人が中心なので、当然だろう。

ところが、俳優・女優、ミュージシャン、アーティスト、
などエンタメ方面の有名人がゲストの際は、それなりに
出てくる表現である。

教養の差以上に、社会的に期待される役割が異なるから、
と私は考えるがどうだろうか。

◆ “bleep out” 入りの記事では、思う存分に発言して
いる様子が鮮やかに描写されている。
奇譚なく自説をまくし立てており、正直おもしろい。
何よりも<生の英語>のまま。その期待が楽しい。

態度は堂々としており、意図的に禁忌語を使っている
のが分かる。おそらく何らかの趣旨があると推察できる。

大人であれば、卑語や放送禁止用語は区別できるのが
通常であり、それを口にした際の波及も予想する。
とすれば、大概が覚悟があっての行動である。

そもそも、不注意で口を滑ったようなケースでは、
書き手も遠慮し、わざわざ書き起こさないもの。
よって、”bleep out” は無用。

◆ “bleep out” が出てくる場面では、本人の強烈な
メッセージが背後に潜んでいたりする。
だからこそ、視聴する価値があると私は考えている。

なぜ、この人はこの場でタブー語を用いたのか。

いろいろ考察し調べていくと、確たる動機に
突き当たることも多い。

そうだったのか、と思わず膝を打つ気づきは、
知的興奮を伴うもので、敢えて相当のリスクを冒した
当人を見直すこともしばしば。特に中年以降の方々。


公然と卑語を使うことは悪いに違いないものの、
自分の影響力とキャリア上のリスクを天秤にかけた
末の決断には、額ずきたくもなる。

もっとも、下種張るだけの若い人も少なくない。

◆ “bleep” には、名詞・自動詞・他動詞がある。
  語源は擬声語で、電子的な「ピー」という
したがって、初出は電子機器が普及し始めた1950年代。

– 名詞「ピー(音)」「ペケペケ(卑語の代用)」
– 自動詞「ピーと鳴る」
– 他動詞「ピー(信号音)と消す」

擬声語だけあって、どれも「ピー」つながり。
私たち日本人に「ピー」と聞こえる音が、
英語ネイティブには “bleep” だとさ。

犬の鳴き声「わんわん」と “bow-wow” 以上に
大差を感じるが、英語に慣れると違和感が薄まる。
不思議なものである。

◆ “bleep out” の “bleep” は、他動詞。
副詞 “out” を加えて句他動詞「ピーという音で消す」。

副詞 “out” は非常に多義だが、“bleep out” では
「消える」「なくなる」の意。
この副詞用法には、以下の句動詞がある。

  • put out(明かり・タバコを消す)
  • run out(尽きる)
  • blow out(吹き消す)
  • die out(死に絶える)
  • weed out(取り除く)
  • sold out(売り切れる)
  • wash out(洗い落とす)
  • gave out(尽きた)
  • turn out(消す)
  • fade out(フェードアウトする)
  • phase out(段階的になくす)
  • black out(真っ暗になる、黒塗りする、失神する)

“bleep out” の場合、上掲の句動詞の大半と異なり、
“bleep” のみで用をなす。
すなわち、“bleep” 単独でも「ピーと消す」

実際に、”out” 抜きも目立つ。
今回調べた8点の英英辞典のうち、”bleep out” で
項目立てされていたのは、たった2点のみ。

 “bleep out” 
phrasal verb
In a television or radio programme, when
someone bleeps out an offensive word, they
use an electronic device to make the sound
of a bleep so that people cannot hear the word.
COBUILD Advanced English Dictionary

PHRASAL VERB [TRANSITIVE]:
to replace a swear word in a television or radio 

broadcast with a shorthigh sound, so that
people 
are not offended.
Macmillan Dictionary

※ phrasal verb (transitive) = 句他動詞

マイナーな句動詞だが、特定場面では欠かせない。
どのような場面かは、説明するまでもない。

“bleep out” は、初見だと意味を推測しにくいため、
本稿にてご案内してみた。

◆ 以下、”out” なしの “bleep” のみで、すべて通用する。

  • “We have to bleep out his offensive words.”
    (彼の侮辱的な言葉をピーと消さないと。)
  • “They failed to bleep out her swearing.”
    (彼らは彼女の罵りをピーと消せなかった。)
  • “All the cuss words had been bleeped out.”
    (すべての罵り言葉はピーと消されていた。)
  • “The talk show bleeped out those words.”
    (それらの言葉はトークショーではピーと
    置き換えられていた。)
  • “Can you bleep that out ? ”
    (それ、ピーしてくれる?)

◆ なお、冒頭に掲げたマドンナ(1958年~)は、
デビューした1982年から現在に至るまで、
破廉恥な振る舞いを繰り返してきた確信犯。

最も悪名高いのは、この番組出演。
米CBSの看板番組で、葉巻をくゆらせ、
“fuck” 連発。

Madonna on Letterman 1994 (Full Uncut Swearing)
https://www.youtube.com/watch?v=PBm5kzTYfNU
(全長:22分)

実際のマドンナの知性が高いことは、断トツのキャリア実績
(「世界で最も売れた女性アーティスト」2007年度版
ギネス認定)に加え、給付型の奨学金を受けてミシガン大学
に進学した事実からも推し量られる。

【関連表現】

Watch your language.
“Watch your mouth.”
“Watch your tongue.”
(言葉遣いに気をつけなさい。)

“Your language is too disgusting.”
(あなたの言葉遣いはひどすぎです。)

“Don’t use offensive language.”
(侮辱的な言葉を使うな。)
(攻撃的な言葉を使うな。)
(卑わいな言葉を使うな。)

【参考サイト】

 

 

 

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