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Behind closed doors

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非公開で、  水面下で   

” door ”  の語源は、 古英語「 扉 」( duru )。
【発音】  dɔr  (1音節)
可算名詞である。
よって、 < 不定冠詞 + 単数形 >  の

” behind a closed door


こちらも正しい。

しかし、 表題に掲げた、 無冠詞 かつ 複数形  ” doors ”
の方が圧倒的に使われる。

辞書でもそう。

4大学習英英辞典 ( EFL辞典 ) は、 この通り。

“ behind closed doors ”

■  if something happens behind closed door, it
happens in private and the public are not allowed in.

( LDOCE6、ロングマン )

■  without the public being allowed to attend, or
know what is happening;  in private.

( OALD9、オックスフォード )

■  If something happens behind closed doors,
it is hidden or kept secret from public view.

( CALD4、ケンブリッジ )

■  If people have talks and discussions behind
closed doors, they have them  in private  because
they want them to be kept secret.

( COBUILD9、コウビルド )


キーワードは、 ” public ”  及び  ” private “。

両者が < 対 > になる基礎知識は、 中級学習者 ならご存知だろう。

ここでの意味は、

これだけ見ても、” behind closed doors ”  の大要はつかめる。

◆  続いて、3語の分析。

したがって、 直訳は 「 閉まったドアの後ろに 」。

ドアの正面側から見れば 「 閉まった ドアの向こう に 」。

このように、立ち位置次第で和訳が違ったりする。

いずれにせよ、

視点は ドアの向こう の閉ざされた部屋


すなわち 「 密室 」 を意味するのが、この表現のポイント。

 ■ 「 お尻 」 の英語表現  

お尻の表現はさまざま。

下品さと隣り合わせ なのが、 日英共通の持ち味。

排泄物 の出口だから無理もない。

ゆえに、 普段用と 婉曲 表現が豊富にそろっている。

名詞  ” behind ”  は、 「 お尻 」 の婉曲語の代表格でもある。

「 お尻 」 は、 後ろ・背後 ( =  behind  ) に位置するから。

” behind ”  の語源は、 古英語 「 後ろに 」( behindan )。

【発音】  biháind
【音節】  be-hind  (2音節)

強さアクセント( 強勢 ) も後ろ。

「 お尻 」にあつらえ向きの成り立ちである。

  • “ He groped her behind on the bus. ”
    ( 彼はバス内で彼女のお尻を触った。)
    ※  ニュース記事より

【参照】  ” behind time ” ( 予定より遅れて )

 

可算名詞なので、

■ お尻が2つ以上なら、” behinds


Don’t be silly. ”  及び  ” behind time ”  より 

  • “How did ancient people wipe their behinds ? ”
    (古代人は、どのようにしてお尻を拭いていたのか。)


気品のある婉曲表現である。

◆  同じ視点で、” rear ”  または  ” rear end ”  とも言う。

リア シート( 後部座席 )、リア ミラー( バックミラー )のそれ。

同様に、 ” backside ”  とも。

どれも婉曲語なので、 下品さはほぼない。

 

■ 日頃は  ” buttock(s) ”  が一般的


まあ無難ではある。

  • “He was arrested for touching her buttocks.”
    (彼は彼女のお尻を触って逮捕された。)
    ※  ニュース記事より


単数形と複数形が使われている。

どちらかといえば、 複数形が好まれる感触がする。

複数語尾 ” s ” つきが、 複数形 ( plural )。

 

◆  ” buttock(s) ”  を短くした、


butt

butts



こちらも非常に見聞きする。

私もよく使っている。

けれども、 「 下品な言い方 」 と述べる英和辞典もある。


《 米略式 》 しり、けつ ( buttocks )

《 ◆  bottomと異なり 下品な言い方 》


ジーニアス英和大辞典
大修館書店、2001年刊 ( アプリ版 )
…  ” butt1 ”  の語釈より
<大修館書店HP>


しかし、こう断定できるほど下品さはなく、

butt   ” butts “

ともに、 常日頃より使われている。

上記の通り、「 しり 」 「 けつ 」 にとどまる感じ。

そこまで下品( rude ) とは言えないのではないだろうか。

むしろ、 次の解釈の方が適切だと私は考える。


[ butt は ]
ass ほど下品な語ではないので,
慣用的表現で  ass  の代わりに用いられることがある。


ランダムハウス英和大辞典  第2版
小学館、1993年刊 ( アプリ版
…  ” butt1 ”  の語釈より


◆  ” bottom   も、 婉曲的な言い回し。

  • ” My Shiba Inu is scooting his bottom across the floor. ”
    ( 愛犬の柴が、お尻を床に擦りつけながら、前進している。)

この場合は、単数形。

略して   bum

  • ” My girlfriend flashed me her bum.”
    ( 恋人がお尻をちらっと脱いで見せた。)
  • ” I followed the guidelines by adding a sticker over my bum.”
    ( ガイドラインに従い、 お尻をシールで隠しました。)

単語自体に、 下品さはほとんど感じ取れない上、
どことなく愛嬌のある響きを放つ 1音節 ( シラブル、 syllable
単語のためか、 芸能記事でかなり重宝されている。

◇  衣類の「 ボトム 」( ズボン、スカート )は、複数形 ” bottoms” が通例

お尻の割れ目は、 bottom cleavage “。

” bottom ” 抜きだと、「 胸の谷間 」


◆  同じく、下品さの少なめな俗語に 
heinie
 

” bum ”  も  ” hiney ”  も、 悪くても 「 けつ 」 程度。

何度か全国ニュースにて接したことがあり、卑語でないはず。

booty ” ( 時に  “ bootie ”  ) も卑語にやや近い感だが、

YouTube 動画などでは、 尻の婉曲語として普通に出てくるから、

やはり 「 けつ 」 レベル。

  • ” My mom has a  chunky  booty. ”
    ( ママのけつはでかい。)

◆  卑語手前 の  ass ( けつ )は、 主に私的な用途用。

イギリス英語では、 arse ( けつ ) とも言う。

  • “I wasn’t aware of the camera recording me groping her ass.
    (彼女のけつを触っている様子がカメラに撮られていたなんて、
    私は気づきませんでした。)


asshole ”  は  「 けつの穴 」。

この省略語は、  a-hole ”   エイ  ホール )。

【参照】  ” Joce’s YouTube ”  ←  ” a-hole ”  の説明
( 図入り、 写真入り、 動画入り )

伏字・婉曲 表記として起用されたりもする  a-hole ”  とはいえ、

butthole ”  に比べると、  どうしても下卑ている。

両方とも、 「 ばかやろう 」 「 くそやろう 」 「 あほったれ

などの罵詈雑言で多用される。

典型的な悪口の印象が強い。

当然、 下品である。

そもそも 「 けつ( 尻・穴 )」 は、 「 あな( 穴 ) 」 から派生。

音読みで 「 けつ 」 だから、  俗にお尻を表すように。



『 大辞林 第四版 』
松村 明(編集)三省堂、  2019年刊
( アプリ版 )
<三省堂HP>


◆  したがって、 「 けつの穴 」 は 「 穴の穴 」 になり、
素直に書き出すと  ” asshole hole ”  になるかもしれない。

無論、 ” asshole ”  1語で「 けつの穴 」 が正しい。

日常会話に 「 肛門 」 が顔を出すことは珍しいせいか、
とかく罵倒用   “ asshole ”   の出番が目立つ気がする。

” ass “、” asshole ”  は下品な表現に違いないものの、
bleep out “( 放送禁止用語 ) の対象外とする
報道メディアが多い。

卑語  ” fuck ”  などと、 同格に至らないのは確実。

– 

” anusは、 医学用語なので、 世間一般には親しまない。

【参照】  ” private parts “( 陰部 )

◆  仕上げに、 早口で発音練習して締めたい。

But a bat bit my butt !

でも コウモリが  けつ  噛んだんだ !


【参照】  「 お胸 」 の英語表現、  「 陰部 」の英語表現


尾籠な話はこれくらいにして、 本題に戻る。

 

【参考】    ※  YouTube ( 全長 13分39秒 )

 

◆  ” behind closed doors ” は、ドアの向こうの「 密室 」
がポイントと上述した。

 みっしつ【密室】

1.  しめきってあって、 出はいりのできない部屋。
また、 中の様子のわからない 部屋。

2.  秘密の部屋。

( 三省堂国語辞典 第八版 )

※  下線は引用者


下線 「 中の様子のわからない 」 が 「 非公開 」を示唆する。

次の 「 水面下 」 とも重なる。

 すいめんか【水面下】

1.  水の中。 水中。

2.  転じて、隠れて見えない所。 表面には現れない部分。

大辞林 第四版

※  下線は引用者


下線部「 わからない 」「 見えない 」「 現れない 」のは、
先述の  ” the public ” ( 一般の人々 ) にとってである。

2語をハイフンをつなぎ、 複合語 ( compound word )として、
「 非公開の 」 「 密室の 」 「 水面下の 」  を意味する表現もある。

” closed-door “

private; barred to members of the public.
→  a closed-door meeting

Collins English Dictionary, 12th Edition


a closed-door meeting ” は、「 密室会議 」の定訳でもある。


What’s going on behind closed doors ?
閉まったドアの向こうで、なんやかんや

上図のように、密室で話し合う密会をイメージすると理解しやすい。

 

◆  意味だけ見れば、” in private ” で置き換えることができる。

現に同義扱いする辞書が多い( 上掲EFL辞典 )。

だが、” in private ” が誰でも気軽に使える常用語
なのに対し、 ” behind closed doors ”  の頻出分野は
偏っているのが実態である。

behind closed doors ”  の主な用途

政治・経済・外交・ビジネス


「 ねぇ、今夜デートしない ? 」と逢い引きするのも、
「 密会 」に違いない。

この場合、” in private ”  はよいが、
” behind closed doors ”  はそぐわない。

つまり、ランデブーなど純粋に個人的な集いに
似つかわしくないのが、” behind closed doors “。

先の絵図及び直訳 「 閉まったドアの後ろに 」 からも、
「 契約 」 がちらつく 物々しい雰囲気が伝わる。

一つ間違えると、 命にかかわるような殺伐たる光景。

もともと、米国のジャーナリズム、 すなわち
報道メディアから定着した表現である。

” behind closed doors “

JOURNALISM
If something is done behind closed door,
it is done in private.

* JOURNALISM  =  used mainly in newspapers,
television, and radio

Collins COBUILD Idioms Dictionary, 3rd ed.

特ダネ狙いのメディアから広まったのだから、
もとより日常茶飯事には不釣り合いである。

存在すら知られていない密かな会合。
部外者は立入禁止の施錠した密室。
目張りをして、 見張りを立てる。

イメージとして、こんな様相。

公開なんてとんでもない。

あくまでも水面下に隠れて、 着々と進行する
性質のものであるから、 表沙汰になる  契機
の大半が、「 スクープ 」 と 「 リーク 」である。

  スクープ【英 scoop】

1. 新聞・雑誌で、他社を出し抜いて、重大な
事実をつかみ、それをいちはやく記事にする
こと。また、その記事。特ダネ。

  リーク【英 leak】

2. 意図的に機密などを漏らすこと。

精選版 日本国語大辞典

※  語釈該当引用

 

◆  ” behind ”  つながりで、 似た言い回しに
behind the scenes ” がある。

定訳は「 舞台裏で 」。

次のハイライト部がそのまま該当する。

「 水面下で 」「 黒幕的に 」と和訳されたりもする。

” behind the scenes “

secretly, while other things are happening publicly.
( LDOCE6、ロングマン)

1.  in the part of a theatre, etc. that the public
does not usually see.
2.  in a way that people in general are not aware of.
( OALD9、オックスフォード )

1.  backstage
2.  in private or in secrecy; not for public knowledge.
Webster’s New World College Dictionary, 5th Edition

※  下線は引用者


英英辞書を比べる限り、表題と大差ない。

これまで示した複数の語釈がそれを物語る。

しかし、 実用場面を調べると、趣を異にする
ケースが多い。

in private ” 同様、  カジュアルな場面で使える
ばかりでなく、 秘匿の度合いに差が生じることが多い。

定訳が「 舞台裏で 」なのは、それもそのはず、
” scenes ” は 「( 劇などの )場面 」 を指す。

「 ラブシーン 」 「 ラストシーン 」のそれ。

「 お尻 」 で強調したように、 ” behind ” は「 後ろ 」。
それゆえ、  直訳は 「 場面の後ろに 」。

転じて、「 舞台裏 」。

ジャーナリズム発祥の  ” behind closed doors ”  に対し、
演劇 から普及した熟語なのである。

もっとも、 芸能もビジネスなので、重なる用途も数多い。

さらに、 政経・外交記事でも ” behind the scenes ” は
使われる。

決定的な違いは、「 舞台裏 」 があらかじめ公開
する前提で設営される場合が多々ある点である。

「 すっぱ抜く 」 「 垣間見る 」 舞台裏であれば、
” behind closed doors ”  寄りかもしれない。

例えば 「 DVD特典 」 に含まれる ” behind the scenes ”
となれば、 当初から公開目的で撮影しているのが普通。

実際、今や 興行面 を補う、 一大ビジネスになっている模様。

DVDの他、書籍・雑誌 、特集番組、 特設ウェブサイト
などを通じて、 客席( =  the public ) から見えないはずの
< 秘密の舞台裏 > が堂々披露され、ファンを魅了している。

◆  一方の  ” behind closed doors ”  は公開を意図しない。

先に触れた通り、「 スクープ 」や「 リーク 」 が機縁で
世に出る事例が一般的。

< 舞台裏 > と < 締め切った室内 > の開放感の違いからも、
以上の表現の違いを感じ取ることができるだろう。

【例】  メリアム ウェブスターの新春恒例の記事

Word of the Year  ←  名称変更 ( 2020年以降 )
※  過去分  ” Past Words of the Year ”  にも言及

・ 2019 Word of the Year: Behind the Scenes
・ 2018 Word of the Year: Behind the Scenes
・ 2017 Word of the Year: Behind the Scenes
・ 2016 Word of the Year: Behind the Scenes
・ 2015 Word of the Year: Behind the Scenes
・ 2014 Word of the Year: Behind the Scenes

◆  今月2018年11月発表のニュース見出しをご紹介。

◇   「 見出し 」 英語の解説は、 ここが秀逸  ↓
英語ニュースの読み方( 見出し編 )RNN時事英語

 

【関連表現】     ※  前置詞 ” behind ” つながり

 

 

 

 

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