プロ翻訳者の単語帳

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Grope

      2022/01/19

( 他者の ) 身体をまさぐる、  いじる

セクハラ事件でよく出てくる単語。

■  男女間に限らず、同性間のトラブルにも使う。
■  加害者が女性、被害者が男性のケースもOK。

  • ” She was fired for groping his groin. ”
    ( 彼女は彼の股間を触って解雇された。)

    ※  ニュース記事より

 

◆  発音に要注意で、 」。

【発音】   gróup  (1音節)

 」ではない。    ※  後述

ニュースに多用される  ” grope ” も、やはりセクハラ事件が目立つ。

後掲の通り、ごく 普通の使い道もある


しかし、

  grope ” と聞く、悪事を想起する

これが、今時の反応だろう。

「 性癖 」同様、 うかつに口にできない気配。

 

◆  ” grope ” には、自動詞・他動詞・名詞がある。

語源は、 古英語「 つかみ取る 」( grāpian )。

全品詞を貫く意味合いである。

grope 

  •  自動詞 「 暗中模索する 」「 身体をまさぐる 」
  •  他動詞 「 手探りする 」「 身体をまさぐる  ←  性的用法の中心
  •  名詞 「 手探りすること 」「 身体をまさぐること 」


【発音】   gróup  (1音節)
【活用形】   gropes – groped – groped – groping

  ” groping ” は、上記活用形の「 動詞の現在分詞 」に加えて、

 名詞  痴漢行為

を表す。

動詞  ” grope ” に、 接尾辞 ” ing ” を添えて名詞に。

【発音】   gropɪŋ
【音節】   grop-ing  (2音節) 

名詞 ” grope ” も「 痴漢行為 」を意味するが、名詞
groping ” の方が、ニュースで起用されがちの模様。

痴漢報道で、頻繁に見聞きする。    ※  例文参照

後述の ” inappropriate touching ” と重なる内容。

【発音】   ìnəpróupriət
【音節】   in-ap-pro-pri-ate  (5音節) 

すなわち、「 不適切に触ること 」 「 スケベなお触り 」  →  痴漢行為

要は、みだらに 「 ッチ すること 」。

日本の英字新聞でも見かける。

 名詞  痴漢する人 

groper


【発音】   gróupər
【音節】   grop-er  (2音節)

男女不問だが、 どうしても男性に結び付きやすい。


いやらしい …


◆  ” er ” は、 ここでは「 ~ する人 」を意味する接尾辞。

動詞  ” grope ” に付けると、「 grope する人 」 なので、
「 痴漢する人 」。

同一用法の  ” er ” ( ~ する人 ) の代表例を10語。

日本語母語話者が難なく把握できる語を選んでみた。

無論、ユーチューバー ( YouTuber ) も該当する。



◆  近頃、 インターネット上のコメント欄などで、
カタカナ 「 レイパー 」 を見かける。

英語では  ” raper ” よりは、 ” rapist ”  の方が一般的。

【発音】   réipist
【音節】   rap-ist  (2音節) 


ist ” も、 同じく「 ~ する人 」を意味する接尾辞。

「 ~ 主義者 」 「 ~ 専門家 」 としても用いる。

動詞  ” rape ” に付けると、「 rape する人 」 なので、
「 性的暴行する人 」。

【発音】   réip  (1音節)

語源は、 ラテン語「 強奪する 」( rapere )。

ist ” ( ~ する人 )( ~ 主義者 ) の代表例を10語。

  •  アーティスト  ( artist
  •  エゴイスト  ( egoist
  •  エコノミスト  ( economist
  •  ジャーナリスト  ( journalist
  •  スタイリスト  ( stylist
  •  スペシャリスト  ( specialist
  •  バイオリニスト  ( violinist
  •  ピアニスト  ( pianist
  •  メダリスト  ( medalist
  •  フェミニスト  ( feminist

 

◆  以上、 日本社会に根付いた名詞ばかり挙げた。

もともと英単語なのに、 どれも常日頃より飛び交うカタカナ語。

別の言い方が思いつかないくらい、 日々の暮らしに溶け込んでおり、
外来語の中では軒並み大出世した。

主要因として、これらの接尾辞  ” er ”  や  ” ist ”  に随伴する
動詞または名詞が、 日本人に馴染んでいることが考えられる。

この点、 ” grope ”  と ” groper ” は、 ハードルが高く、
今後も我が国の世間一般には浸透しないと私は推断する。

もっとも、「 グローパー 」の語感は、そこそこよい感じ。

なんだか、 かわいらしい。

健全な活気に満ちた響きを放ち、 和気あいあいとした
楽しい雰囲気が味わえそうな気がするが、いかがだろう。

日本語との相性も良好かも。

けれども、 意味を知ると、 一転して気分がしぼむ。


◆  ” grope ”  は多義でない。

このことが、かえって ” grope ” をセクハラに
結びつけている様相。

もし、語義が多ければ、印象が分散されたはず。

ところが、語源の「 つかみ取る 」のイメージで
一貫した単語なので、この用法がニュースで定着
してからは、あまねく一般化した感がある。

その結果、むやみやたらに、

  卑猥な語感  

を帯びるようになってしまった。

screw ” の一般認識に似通う流れである。

◆  とはいえ、

  本来は 際どい用だけで ない 

ことを、再度強調しておきたい。

  • “I groped for the doorknob.”
    (ドアノブを手探りした。)
  • “I groped in the darkness.”
    (暗闇の中を手探りした。)
  • “I groped for an answer.”
    (答えを模索した。)
  • “I groped my way to the kitchen.”
    (手探りで台所まで進んだ。)
  • “I’m groping for my own writing style.”
    (自分なりの書き方を模索中です。)
  • “I groped for a simple English word.”
    (シンプルな英単語を見つけようとした。)

I am groping, groping, groping for my own particular style.
(私は今、自分独自のスタイルを、懸命に探っているのです。)

Jack London (1876-1916)
ジャック・ロンドン  米作家
1899年6月12日付  私信

The Letter of Jack London  Volume One: 1896-1905 “,  p.83
Stanford University Press  (1st ed. 1988).

 

◆  上文には、みだらな要素は一切ない

◇  はっきり見えない中、手先の感触で探る様子

これぞ 手探り

grope  は、それをズバリと示す。


身体をまさぐる 」  「 身体をいじる

を表すのに、おあつらえ向き。

ただし、自分の身体をいじくる際は、通常使わない。    ※  後述

 まさぐる【弄る】

1.  もてあそぶ。  いじる。
2.  指先などでさがし求める。

( 広辞苑 第七版 )


まさにこちら。

 ◇  情欲に駆られた魔の手の動き 

その描写に用いられるのも不思議でない。


3大学習英英辞典( EFL辞典 )から、この意味の語釈を
引用すると、性的表現が明記されている( 下線 )。

” grope ”

4.  transitive
to move your hands over someone’s body

to get sexual pleasure, especially when they
do not want you to do this.
( LDOCE6、ロングマン )

3.  transitive
to touch somebody sexually, especially when
they do not want you to.
( OALD9、オックスフォード )

transitive
to touch someone’s body in order to get sexual pleasure,
usually when the person does not like it.
( CALD4、ケンブリッジ )

※  下線は引用者

【発音】   gróup  (1音節)


transitive ”  verb とは、「 他動詞 」のこと。

【発音】   trǽnsətiv 
【音節】   tran-si-tive  (3音節) 

性的な用途では、 他動詞が一般的であることを示す。

3つの語釈すべてが、不定代名詞 ( an  indefinite  pronoun
の複合語である、” someone ”  または  ” somebody ” を含む。

「 ある人 」「 誰か 」の意。

先述した「 自分の身体をいじくる際は、通常使わない 」を裏付ける。

→  「 somebody と someone の違い


◆  実際のニュース報道では、詳述を避け、
” grope ” の一言で終わらせる場合が多い。

あいまいにすることで、当事者( 特に被害者 )の
名誉及び 「  プライバシー保護  」を図っている。

日本でも、似たような状況だろう。

この意味でも、便利な言い回しである。

◆  さらに留意すべきは、” grope ” は、
純粋な愛情表現 「 愛撫する 」 をも意味する。

非常にプライベートな愛情表現なので、
ニュースに出てこない。

事件性がなければ、報道価値 は伴わない。

ニュース記事や他者との会話にも、なかなかお目見えしない。

したがって、一般用法として出回りにくい。

片や、官能小説においては、お馴染みの他動詞。

◆  ” grope ” 本領の用法を、< ニュース記事 > よりご紹介する。

新聞沙汰となった事件から、せっせと集めたもの。

どこか あいまいさ が残る点に注目。

理由は既述した。

  • “He groped me as I was going to the restroom.”
    (トイレに行こうとしたら、彼につかまれたの。)
  • “No, I did not grope anyone.”
    (いいえ、私は誰にも触ってません。)
  • “She was groped by him.”
    (彼女は彼に触られた。)
  • “X had claimed Y groped her breast.”
    (Yに片方の胸をつかまれたと、Xは主張した。)
    ※  単数 ” breast ” ゆえ、 両手の「 鷲づかみ 」でないはず
  • “He is the kind of guy that boasts about groping women.”
    (彼は、女性たちにちょっかいを出すことを自慢するタイプの男性。)
  • “He groped her behind on the bus.”
    (彼はバス内で彼女のお尻を触った。)
  • “Man arrested for groping woman in station”
    (男が駅で女性に触り逮捕)
    (男が駅で痴漢行為して逮捕)  ※  見出し
  • “He was accused of groping on a train.”
    (彼は電車内での痴漢行為の罪に問われた。)
  • “He was accused of groping a woman on the street.”
    (彼は路上で女性に触り、罪に問われた。)
  • “Groping is a big no-no in our workplace.”
    (身体をまさぐるのは、私たちの職場ではご法度です。)
  • “She allegedly groped her student.”
    (申立てによると、彼女は教え子にいたずらした。)
  • “He woke suddenly to a hand groping his genitals.”
    (性器に触れる手にはっとして、彼は目覚めた。)
  • “The lawyer was accused of groping his junior colleague.”
    (その弁護士は後輩を触ったとして告発された。)
  • “He groped and kissed a woman.”
    (彼は女性に触り、キスした。)
  • “He denies groping the boy.”
    (彼は少年へのいたずらを否定している。)
  • “The nurse groped the patient in a coma.”
    (その看護師は、昏睡状態の患者にいたずらした。)
  • “He was being overly friendly and I guess kind of groping me.”
    (彼はなれなれしくなり、私を触っていたような気がします。)

    ※  ” guess ”  →  他動詞・自動詞・名詞「 推測(する)」

      会議中に耳にしたので、 作図してみた ( ” overly ”  参照 ) 

なんや、こいつ

 

◆  ” grope ” のスペルは、 集まりのグループ  ” group ” に似ている。

発音の区別は、私たち日本人学習者には容易ではない。

■  まさぐる  ” grope  gróup  (1音節)    

■  集まり  ” group  grúːp  (1音節)   


2語とも 「 1音節( one syllable )」 だから、
腹の底から
 ゲロする 勢いで、一気に吐き出す。

  •   プ    /  gróup /
  •   プ    /  grúːp  /

 

グ ロ ウ プ

 

「 音節 」( syllable、シラブル )とは、発音の最小単位。

1音節には、「 発音の最小単位 」に切れ目がないため、
ゲロ の迫力が出る。

一方、原則として「 仮名一字が1音節 」なのが日本語。

そのため、音節を意識する機会は乏しい。

日英の「 音節 」 については、” integrity ” で深掘りしている。

 

【関連表現】

 

 

 

 

 

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