プロ翻訳者の単語帳

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Grope

      2024/02/27

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 18 minutes

他者の 身体をまさぐる、  いじる

セクハラ事件でよく出てくる単語。

■  男女間に限らず、 同性間のトラブルにも使う。
■  加害者が女性、 被害者が男性のケースもOK。

  • ” She was fired for groping his groin. ”
    ( 彼女は彼の股間を触って解雇された。)

    ※  ニュース記事より

◆  発音注意で、 」。

【発音】  gróup  (1音節)

 」ではない。    ※  後述

ニュースに多用される  ” grope ” も、 やはりセクハラ事件が目立つ。

後掲の通り、 ごく 普通の使い道もある


しかし、

  grope ” と聞く、 悪事を想起する


これが、 今時の反応だろう。

「 性癖 」 同様、 うかつに口にできない気配。

 

◆  ” grope ” には、 自動詞・他動詞・名詞 がある。

語源は、 古英語 「 つかみ取る 」( grāpian )。

全品詞を貫く意味合いである。

grope 

  •  自動詞 「 暗中模索する 」「 身体をまさぐる 」
  •  他動詞 「 手探りする 」「 身体をまさぐる  ←  性的用法の中心
  •  名詞 「 手探りすること 」「 身体をまさぐること 」


【発音】  gróup  (1音節)
【活用形】  gropes – groped – groped – groping

  ” groping ” は、 上記活用形の「 動詞の現在分詞 」に加えて、

 名詞  痴漢行為

を表す。

※  現在分詞 ( present participle

動詞  ” grope ” に、 接尾辞  ” ing ” を添えて名詞に。

【発音】  gropɪŋ
【音節】  grop-ing  (2音節) 

名詞 ” grope ” も「 痴漢行為 」を意味するが、名詞
groping ” の方が、ニュースで起用されがちの模様。

痴漢報道で、頻繁に見聞きする。    ※  例文参照

後述の  ” inappropriate touching ”  と重なる内容。

【発音】  ìnəpróupriət
【音節】  in-ap-pro-pri-ate  (5音節) 

すなわち、

  •  不適切に触ること
  •  スケベなお触り
  •  痴漢行為

要は、 みだらに 「 ッチ すること 」。

日本の英字新聞でも見かける。

 名詞  痴漢する人 

groper


【発音】  gróupər
【音節】  grop-er  (2音節)

男女不問
だが、 どうしても男性に結び付きやすい。

グローパー


◆  ” er ” は、 ここでは 「 ~ する人 」 「 ~ の行為者」
を意味する接尾辞。

動詞  ” grope ” に付けると、「 grope する人 」 なので、
「 痴漢する人 」。

同一用法の  ” er ” ( ~ する人 ) の代表例を10語。

日本語母語話者が難なく把握できる語を選んでみた。

も該当する。

そして、 無生物の 「 ~ するもの 」 の例として、

  •  神経作用を落ち着かせる( down )鎮静薬の俗称  ” downer
  •  神経作用を興奮させる( up )覚醒剤の俗称  ” upper

主な  ” downers ”  は、「 バルビツレート 」( barbiturate )。

主な  ” uppers ”  は、「 アンフェタミン 」( amphetamine )。

別稿  ” Let somebody down. ”  で取り上げた話である。

 

◆  以下、 ” perceive ” ( 知覚する ) より再掲。

超能力者のエスパー  ( esper ) である

  1977年から 『 マンガくん 』 で連載開始 ( 全9巻

Esper  =  エスパー  =   超能力者 ↓ 

頭文字  ” ESP ”   +  「 ~ する人 」の接尾辞 ” er

↓ 

extrasensory  perception ( ESP )

超感覚的  知覚  →   超能力

  •  extra ( 超 )  ※  接頭辞 「 範囲外の 」
  •  sensory ( 感覚的 )  ※  形容詞
  •  perception ( 知覚)  ※  名詞

” esper ” は SF用語 で、 中型辞書にも載っていなかったりする。

はるかに普及している呼び名は、  超能力者  =  ” psychic “。

【発音】  sáikik
【音節】  psy-chic  (2音節) 


◆  近頃、 インターネット上のコメント欄などで、
カタカナ 「 レイパー 」 を見かける。

英語では  ” raper ” よりは、 ” rapist ”  が一般的。

【発音】  réipist
【音節】  rap-ist  (2音節) 


ist ” も、  同じく 「 ~ する人 」 を意味する接尾辞。

「 ~ 主義者 」 「 ~ 専門家 」  としても用いる。

動詞  ” rape ” に付けると、「 rape する人 」 なので、
「 性的暴行する人 」。

【発音】  réip  (1音節)

語源は、 ラテン語 「 強奪する 」( rapere )。

【参照】  ” Spike ”

ist ” ( ~ する人 )( ~ 主義者 ) の代表例を10語。

  •  アーティスト  ( artist
  •  エゴイスト  ( egoist
  •  エコノミスト  ( economist
  •  ジャーナリスト  ( journalist
  •  スタイリスト  ( stylist
  •  スペシャリスト  ( specialist
  •  バイオリニスト  ( violinist
  •  ピアニスト  ( pianist
  •  メダリスト  ( medalist
  •  フェミニスト  ( feminist

さらに、

も該当する。

 

◆  以上、 日本社会に根付いた名詞ばかり挙げた。

もともと英単語なのに、 どれも常日頃より飛び交うカタカナ語。

別の言い方がすぐ思いつかないくらい、 日々の暮らしに
溶け込んでおり、 外来語の中では軒並み大出世した。

主要因として、これらの接尾辞  ” er ”  や  ” ist ”  に随伴する
動詞または名詞が、 日本人に馴染んでいることが考えられる。

この点、 ” grope ”  と  ” groper ” は、 ハードルが高く、
今後も我が国の世間一般には浸透しないと私は推断する。

【参照】   ” Skill set / Skillset ”

 

◆  もっとも、「 グローパー 」 の語調は、 そこそこよい感じ。

なんか、  かわいらしい。

「  ウーパー ルーパー  グローパー

思わず 口ずさんでみたくなる、 たまらなく懐かしい心地。

健全な活気に満ちた響きを放ち、 和気あいあいとした
雰囲気が味わえそうな気がして、 弾んだ調子が楽しい。

日本語との相性も良好かも。

けれども、 意味を知ると、 一転して気分がしぼむ。


◆  ” grope ”   は多義ではない。

このことが、 かえって  ” grope ”  をセクハラに
結びつけている様相。

もし、 語義が多ければ、 印象が分散されたはず。

ところが、 語源の 「 つかみ取る 」 のイメージ
で一貫しているせいか、 この用法がニュースで定着
してからは、 あまねく一般化した感がある。


その結果、 むやみやたらに、

卑猥な語感


を帯びるようになってしまった。

screw ”  の一般認識に似通う流れである。

◆  とはいえ、

  本来は 際どい用途だけで ない 


再度強調しておきたい。

  • “I groped for the doorknob.”
    (ドアノブを手探りした。)
  • “I groped in the darkness.”
    (暗闇の中を手探りした。)
  • “I groped for an answer.”
    (答えを模索した。)
  • “I groped my way to the kitchen.”
    (手探りで台所まで進んだ。)
  • “I’m groping for my own writing style.”
    (自分なりの書き方を模索中です。)
  • “I groped for a simple English word.”
    (シンプルな英単語を見つけようとした。)


I am groping, groping, groping for my own particular style.

(私は今、自分独自のスタイルを、懸命に探っているのです。)



Jack London ( 1876-1916 )
ジャック・ロンドン  米作家
1899年6月12日付  私信

The Letter of Jack London  Volume One: 1896-1905 “,   p.83.
Stanford University Press  (1st ed. 1988).

※  下線は引用者

※  ジャックが長女に書き送った絶縁状を全文掲載  →  ” Toxic relationship “
( 写真入り )

 

◆  上文には、  みだらな要素は一切ない

下記は混こぜ。

  •  “I found myself groping for words when she caught me groping her.”
    (彼女に痴漢したことを見とがめられ、 なんとか言い逃れようとした。)


本稿末尾にて、 有名翻訳サイト5つの和訳を検証した ( 図入り、 実名入り )。

 2サイト    1サイト    × 2サイト

◇  はっきり見えない中、手先の感触で探る様子


これぞ 手探り

grope  は、それをズバリと示す。


身体をまさぐる 」  「 身体をいじる

を表すのに、 おあつらえ向き。

ただし、 自分の身体をいじくる際は、 通常使わない。    ※  後述

 まさぐる【 弄る 】

1.  もてあそぶ。  いじる。
2.  指先などでさがし求める。

『 広辞苑 第七版 』
新村 出(編) 岩波書店、  2018年刊
( ロゴヴィスタ  アプリ版 )


まさにこちら。

情欲に駆られた魔の手の動き


その描写に用いられるのも不思議でない。


3大学習英英辞典( EFL辞典 )から、この意味の語釈を
引用すると、性的表現が明記されている ( 下線 )。


” grope ”

4.  transitive
to move your hands over someone’s body
to get sexual pleasure, especially when they
do not want you to do this.
( LDOCE6、ロングマン )

3.  transitive
to touch somebody sexually, especially when
they do not want you to.
( OALD9、オックスフォード )

transitive
to touch someone‘s body in order to get sexual pleasure,
usually when the person does not like it.
( CALD4、ケンブリッジ )

【発音】  gróup  (1音節)

※  下線、太字、ハイライトは引用者


transitive ”  verb とは、「 他動詞 」のこと。

【発音】  trǽnsətiv 
【音節】  tran-si-tive  (3音節) 

性的な用途では、 他動詞が一般的であることを示す。

3つの語釈すべてが、 不定代名詞 ( an  indefinite  pronoun
の複合語である、 ” someone ”  または  ” somebody ” を含む。

「 ある人 」 「 誰か 」の意。

  •  especially when they do not want you to do this. ( LDOCE6 )
  •  especially when they do not want you to. ( OALD9 )
  •  usually when the person does not like it. ( CALD4 )

上記の通り、 それぞれの後半の記述と併せて、 先述した
「 自分の身体をいじくる際は、 通常使わない 」 を裏付ける。

[ somebody someone ]

(1) somebody は someone より口語的 で、
呼びかけなどの場合に好まれる。

(2) 話し手と親密な関係にある特定の人を
念頭に置いている場合は someone が好まれる。
somebody はだれでもいい、とにかくだれか、
という気持を含む。

(3) 堅い書き言葉には通例 somebody は
用いない。



ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、 2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
…  “ somebody ”  の語釈より
<大修館書店HP>


英英辞典の見出しは、
” somebody ” だらけ。

略して、 ” sb “。

” someone ” は、語釈本文では使われるものの、
辞書見出しは慣習的に ” somebody = sb ” 中心
となっている。


◆  実際のニュース報道では、 詳述を避け、
” grope ”  の一言で終わらせる場合が多い。

あいまいにすることで、 当事者 ( 特に被害者 )の

名誉及び 「  プライバシー保護  」 を図っている。

日本も似た状況だろう。

この意味でも、 便利な言い回しである。

◆  留意すべき点は、 ” grope ”  は、
純粋な愛情表現 「 愛撫する 」 をも意味する。

非常にプライベートな愛情表現なので、
ニュースに出てこない。

事件性がなければ、 報道価値  は伴わない。

ニュース記事や他者との会話にも、 なかなかお目見えしない。

したがって、 一般用法として出回りにくい。

片や、官能小説においては、 お馴染みの他動詞。

  •  feel up ( 相手の体をまさぐる、 愛撫する )

も日常的に出てくる句他動詞 ( transitive  phrasal verb )。

  • ” He tried to feel her up.”
    (彼は彼女の体をまさぐろうとした。)
    (彼は愛撫を試みた。)

◆  ” grope ” 本領の用法を、< ニュース記事 > よりご紹介する。

新聞沙汰となった事件から、 せっせと集めたもの。

どこか あいまいさ が残る点に注目。

理由は既述した。

  • “He groped me as I was going to the restroom.”
    (トイレに行こうとしたら、彼につかまれたの。)
  • “No, I did not grope anyone.”
    (いいえ、私は誰にも触ってません。)
  • “She was groped by him.”
    (彼女は彼に触られた。)
  • “X had claimed Y groped her breast.”
    (Yに片方の胸をつかまれたと、Xは主張した。)

      単数  ” breast ”  ゆえ、 両手の「 鷲づかみ 」ではないはず
      両手で「 鷲づかみ 」( ” squeezing my breasts ” ) ニュース
  • “Woman claims doctor groped her breasts when
    she went to see him about a toothache”
    (歯痛で受診の女性、 医者に両胸をつかまれたと主張)

    【発音】  brést  (1音節)


  ” breast ” は、  女共 の 「 」。

語源は、 古英語 「 胸 」( brēost )。

原義は 「 ふくらみ 」。

ドイツ語  ” Brust ” ( 胸 )と同根。


 ” chest ” ( 胸郭 ) と比べれば、  」 を強調しがちで、

性の胸の印象が強い

おっぱい 」 を知的で上品に仕上げたイメージ。

よって、 女性の胸に使われる方が自然。

breasts ” ときたら、 「 おっぱい 」 を思い浮かべて当然。


◆  女性の胸に関する報道では、
breast ”  または  ” breasts ”  が大半。

  男性が女性一般に対して用いるには、 ややエッチかもしれない。

性的な誤解を防ぐため、 単数形  ” a chest ”  が無難。

おっぱい発言 」 同然の  ” breasts ”  はまずいから、 男性の場合、

” a chest ” ( 胸部 )にしておく方が、 概してベター。

気の置けない親友同士ならともかく、  職場を含む公共の場では避ける。

上掲一覧の決まり表現 ( breastfeeding など ) であれば、 問題ない。

◆  ” a chestは、 両胸でも単数扱い

片胸  a breast “、 両胸breasts ”  とは異なる点。

” chests ”  では、 複数人( 男女不問 ) の胸となる。

もとより、 ” chest ”  は 「 胸郭 」 なので単数。

「 胸郭 ( きょうかく ) 」 とは、 胸部の外郭を形成する部位。

語源は、 ギリシア語 「 箱 」 ( kistē )。


breast は chest の前部

『 ランダムハウス英和大辞典  第2版 』
小学館、1993年刊 ( 物書堂  アプリ版 )
…  ” chest ” の語釈より


breast は 胸の前部,  bust は女性の胸
– 

ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、 2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
…  “ chest ”  の語釈より
<大修館書店HP>


breasts ”  と異なり、 ” chest ”  は 「 おっぱい 」 に直結しない。

前述の通り、 単数 「 胸郭 」 を指すため、 いやらしくはない。

そのせいか、 人前では  ” chest ”  一途の女性も普通にいる。


◆  俗称( 卑語ではない ) は、

boobs “、 ” tits “、 ” titties ”  など。

【発音】  búːb  (1音節)

【発音】  tít  (1音節)

【発音】  títɪ
【音節】  tit-tie  (2音節)


これらは 「 ぱいぱい 」 程度だが、 男性が気軽に使うには際どい。

  •  カジュアルな場面 : ” my boobs ”  と女性が使う分にはOK
  •  堅めの場面 : ” my breasts ”   または   ” my chest

tits ” と ” titties ” の成り立ちは、 後述の ” teats “( 乳頭 )

短縮形

いずれも必ずしも下品な単語ではないが、 常に微妙な話題になる。

  • ” She flashed me her boobs.”    ←  複数形
  • ” She flashed me her tits.”    ←  複数形
  • ” She flashed me her titties.”    ←  複数形
    ( 彼女がおっぱいをちらっと見せた。)
  • ” I showed off my boobs to him.”    ←  複数形
  • ” I showed off my tits to him.”    ←  複数形
  • ” I showed off my titties to him.”    ←  複数形
    ( 彼におっぱい見せびらかしてやったわ。)


「 ぱいずり 」 は  ” tittie fuck ” で、 こちらは確実に卑語。

【発音】  fʌ́k  (1音節)

◆  私のおすすめYouTuberである  Joce Bedard  は、
” boobs “、 ” tits “、 ” titties ”  などの女性の胸を
yabos ”  ( = ” yabbos ” ) と言い換えるのが常。

【発音】  jɑ́bous
【音節】  ya-bos  (2音節) 

” boobs ”  も  ” tits ”  も、 YouTube にて使用禁止ではない語。

規約上のペナルティはないはずだが、 動画上で 「 おっぱい 」 発言
するには女性であっても気が引けるらしく、 ” yabos ”  と置き換える。

→  学習上の着眼点は、 ” No need ”  に事細かく解説 ( 図入り、 写真入り )
→  このYouTuberの 頻出表現  で、yabos ” / ” yabbos ” に言及

 

◆  「 ぱいぱい 」  は概ね2つの乳房を指すから、 基本的に
名詞の複数語尾  “ s ”  を伴い、 ” boobs “、 ” tits “、
 ” titties “。

” tits ” と  ” titties ”  は、 2つの 「 乳首 」 のみを指すこともある。

後述の ” teats ” ( 乳頭 ) 由来だから、 「 乳房 」 なしもあり。

小ぶりの胸は、  ” flat breasts ”  よりは、

”  a flat chest  ”  が圧倒的に使われている。

婉曲語 として、  ” chest ”  が起用される場面。



ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、 2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
…  “ chest ”  の語釈より
<大修館書店HP>

  •  ” I have a flat chest.”    ←  単数形
  •  ” I have flat breasts.”    ←  複数形
    ( ぺちゃぱいなの

◇  形容詞 「 平たい 」 ” flat ”  / flǽt / (1音節)

パンクしたタイヤは、 ” a flat tire “。

 

◆  「 乳首 」 といえば、 ” nipples “。

人間以外の動物の場合、 ” teats ”  ( 乳頭 )とも言う。

概ね複数あるから、 大部分が名詞の複数語尾  “ s
を伴う点は、 ” boobs “、  ” tits “、 ” titties ”  と同じ。

【発音】  nípl
【音節】  nip-ple  (2音節)

上述の通り、 さほど品のない短縮形が、  ” tits “、 ” titties “。

ポー  と私には聞こえるが、 いかがだろう。

◆  配管に用いる、 継ぎ手パイプの 「 ニップル 」 は、

この 「 乳首  nipple 」 と同一単語。

  •  グリース  ニップル  ( grease nipple )
  •  スポーク  ニップル  ( spoke nipple )

乳首と違い、 複数あるとは限らないので、 単数形も使う。

出っ張りがあれば、 オスニップル ( male  nipple )。
くぼみがあれば、 メスニップル ( female  nipple )。

「 ニップル交換 」 など耳にすると、 照れてしまいます。

 

◆  赤ちゃんの 「 おしゃぶり 」 も  ” nipple ”  なのだが、

いかにも生々しい語調ゆえか、 ” pacifier ”  が好まれる。

 

nipple-shaped device for babies
赤子用  乳首型  デバイス
( 直訳! )

 

他動詞  ” pacify “( なだめる )の 動作主名詞( agent noun )。

乳児をなだめて、 落ち着かせる用品だから、 ” pacifier “。

1904年  までには記録されている用例。

【発音】  pǽsəfàiər
【音節】  pac-i-fi-er (4音節)

4音節で、 発音は複雑。

2音節の  ” nipple ”  の方が言いやすい。

【発音】  nípl
【音節】  nip-ple  (2音節)



◆  こうした流れで眺めると、 なぜ  ” Nippon ”  が回避する
方がよい英字表記の国名か、 推察できるのではないだろうか。

【発音】  nɪpάn
【音節】  Nip-pon  (2音節) 

口頭では  ” nipple ”  を略して、 ” nip “( 乳首 ) とも言う。

日本  ” Nippon ”  を略して、 ” Nip ” と陰で中傷する人もいる。

JAP ”  ほどではなくても、 ” NIP ”  は侮蔑的 ( derogatory )。

【発音】  níp  (1音節)

乳首 」 は、 日英そろって、 卑猥な響き  を帯びる傾向がある。

この点、 英語学習者の優れた語感と 「 異文化理解力 」 を発揮
するまでもなく、 すぐさま察知できるはず。

breasts ”  以上に、 明け透けな鮮烈さを放つかもしれない。

おっぱい 」 と 乳首 」、 どっちがエロチックかしらん。


◆  ” Nippon ” は、 見た目も発音も、 どぎつい印象。

破裂音[p]入りの 促音 で、  なんだか寸詰まって余裕ない感じ。

漢字で書くと、 左右対称でとても美しい 「 日本 」 なのに、

お口の悪い人に言わせれば、 「  乳首  のお国  」 なのよ。


ニッポン   チャチャチャ 」  どころでないかも。

乳首 !  乳首   乳首 」  と連呼しつつ、 応援するのは

どうよ …

言いたくないけど、 聞いてて、  小っ恥ずかしいわ。

I hate to say this,  but yes so cringey.

 

 

ペプシコ・ジャパン ( 1991年発売 )




◆  ” Japan ”  は、 「  漆( うるし ) 」 も意味し、 品がある。

まさしく、 我らが 「 日本  Japan 」 から派生した名詞である。

発音と音節は共通。

【発音】  dʒəpǽn
【音節】  Ja-pan  (2音節)

2音節で、 アクセント( 強勢 ) は後半

カタカナ発音では通じにくく、 案外難しい。

こんな風に私には聞こえる。

【カタカナ】  ジャ  –  パ  –  ン  (3音節)
【英語】  ジュ –  ン  (2音節)



『 ランダムハウス英和大辞典  第2版 』
小学館、1993年刊 ( 物書堂  アプリ版 )
…  ” Japan ” の語釈より


「  子音  J ・ 母音  A ・ 子音  P ・ 母音  A ・ 子音  N 

安定感抜群の文字配列。

知性きらめき情趣あふれる、 しっとり落ち着いた味わい。

左右対称の 「 日本 」 に負けず劣らず、 しめやかな字面。

 

「  乳首  のお国  」 と比べてみて。

「  子音  ・ 母音  ・ 子音  P ・ 子音  P ・ 母音  O ・ 子音  N 

 

JAP ”  は 侮蔑語・差別語として確立・周知されている。

めったに使われない侮蔑語同士でも、 うっかり吹き出す

NIP( = 乳首 ) と異なり、 スケベな下品さはない。

 

◆  乳首が透けないよう貼り付けるシール 「 ニップレス 」 は、

現在は  男性用  も販売されている。

水着やレオタードの着用時に、 昔から女性に利用されてきた。

ネーミングの由来は、 接尾辞  ” less “( ~ のない ) を

名詞  ” nip ” ( = 乳首 ) に加えた和製語。

直訳は 「 乳首のない 」。

英語では、 ” nipple covers ”  でだいたい通じる。

大抵は両方の乳首に貼るので、 複数語尾  “ s ”  付き。

米国アマゾン でも買える。



◆  日本で使われる 「 バスト 」 は、 ” bust “。

【発音】  bʌ́st  (1音節)

おっぱい用途では、 普段あまり見聞きしないものの、
前出の通り、 「 bust は女性の胸 」。

主に衣服との関連で使われる 「 女性の胸 」

a chest ” 同様、 胸でも単数扱い  a bust “。

男性の 「 胸像 」 も   ” a bust ”  と称する。

  • ” I have a huge bust.”    ←  単数形
  • ” I have a huge chest.”    ←  単数形
  • ” I have huge breasts.”    ←  複数形
  • ” I have huge boobs.”    ←  複数形
  • ” I have huge tits.”    ←  複数形
  • ” I have huge titties.”    ←  複数形
    ( でかぱいなの

◇  形容詞 「 大きい 」 ” huge ”  / hjúːdʒ / (1音節)


【参照】  「 お尻 」 の英語表現、  「 陰部 」の英語表現

  • “He is the kind of guy that boasts about groping women.”
    (彼は、女性たちにちょっかいを出すことを自慢するタイプの男性。)
  • “He groped her behind on the bus.”
    (彼はバス内で彼女のお尻を触った。)
  • “I wasn’t aware of the camera recording me groping her ass.”
    (彼女のけつを触っている様子がカメラに撮られていたなんて、
    私は気づきませんでした。)
  • “Man arrested for groping woman in station”
    (男が駅で女性に触り逮捕)
    (男が駅で痴漢行為して逮捕)  ※  見出し
  • “He was accused of groping on a train.”
    (彼は電車内での痴漢行為の罪に問われた。)
  • “He was accused of groping a woman on the street.”
    (彼は路上で女性に触り、罪に問われた。)
  • “Groping is a big no-no in our workplace.”
    (身体をまさぐるのは、私たちの職場ではご法度です。)
  • “She allegedly groped her student.”
    (申立てによると、彼女は教え子にいたずらした。)
  • “He woke suddenly to a hand groping his genitals.”
    (性器に触れる手にはっとして、彼は目覚めた。)
  • “The lawyer was accused of groping his junior colleague.”
    (その弁護士は後輩を触ったとして告発された。)
  • “He groped and kissed a woman.”
    (彼は女性に触り、キスした。)
  • “He denies groping the boy.”
    (彼は少年へのいたずらを否定している。)
  • “The nurse groped the patient in a coma.”
    (その看護師は、昏睡状態の患者にいたずらした。)
  • “He was being overly friendly and I guess kind of groping me.”
    (彼はなれなれしくなり、 私を触っていたような気がします。)

    ※  ” guess ”  →  他動詞・自動詞・名詞 「 推測( する )」

      会議中に耳にしたので、 作図してみた ( ” overly ”  参照 ) 

You’re  a  groper

 

◆  ” grope ” のスペルは、 集まりのグループ  ” group ” に似ている。

発音の区別は、私たち日本人学習者には容易ではない。

■  まさぐる  ” grope  gróup  (1音節)    

■  集まり  ” group  grúːp  (1音節)   


2語とも  「 1音節( one syllable )」  だから、
腹の底から
 ゲロする 勢いで、 一気に吐き出す。

  •   プ    /  gróup /
  •   プ    /  grúːp  /

日英の音は、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
まったく違います

  英   語 「 息の音 」
  日本語 「 声の音 」

グ ロ ウ プ  

日本語母語話者にとって、

英語の発音は動物の鳴き声に近い。

日本語で表記しがたいのは言うもおろか。

犬猫の声と一緒で、 そもそも日本語では書き起こし

きれないのに、 英語音を無理くり邦文で表現しようとする。

等しく不条理だからアプローチを変える。

口周りをまじまじと見据えて、 模倣する。

※  やり方は、 ” integrity ”  へ  ( 図入り、 動画入り )

【参考】    ※  外部サイト

 

 

「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位

1音節には、 「 発音の最小単位 」 に切れ目がないため、
ゲロ の迫力が出る。

一方、 原則として 「 仮名一字が1音節 」 なのが日本語。

そのため、 音節を意識する機会は乏しい。

日英の 「 音節 」 については、 ” integrity ”  で深掘りしている
( 図入り、 動画入り )。

 

◆  締めくくりに、 機械翻訳の検証。

先ほど記した一文を、 有名どころの5つのウェブ翻訳サイトで和訳してみた。


I found myself groping for words

when she caught me groping her.

( 彼女に 痴漢 したことを見とがめられ、

なんとか 言い逃れ ようとした。)


結果は次の通り。

   2つ  Bing 」 「 Mirai 」 

△  1つ  Weblio 」   ※  3つの訳文のうち、  1つ  × 2つ

×   2つ  「 DeepL Pro 」 「 Google

※   「 DeepL Pro 」 以外は、 無料版。   誰でも利用可能。

2023年2月4日実施。

〇  【 和訳OK 】 Bing 」 「 Mirai 」

 〇  「 Bing 」  ↑  画像の拡大

   「 Mirai 」  ↑  画像の拡大


====================================

△  【 和訳一部OK 】 Weblio 」 

※  3つの訳文のうち、 「1」は OK、 「2」と「3」は 誤訳

   Weblio 」  ↑  画像の拡大


====================================

×  【 誤訳 】 DeepL Pro 」 「 Google

 ×  DeepL Pro 」  ↑  画像の拡大

 ×  Google 」  ↑  画像の拡大


たった一文でも、 こうも違う。

今回は 「 若干不自然な日本語であっても、 どうにか通じる 」
という、比較的甘い評価基準を採用した。

痴漢を 「 手探り 」 と訳した 「 Mirai 」 を   にしたのは、
全体としては 「 どうにか通じる 」 からである。

同じ 「 手探り 」 でも、 「 DeepL 」 を  ×  としたわけは、
” she ”  も  ” her ”  も訳出されず、 「 やっているのがバレて 」
は 「 自慰 」 を指すと解釈される可能性が高めと考えるため。

【発音】  mæ̀stərbéiʃən
【音節】  mas‑tur‑ba‑tion  (4音節)

被害者の存在が完全に消されたために、 文意が変わった感。

ここは、 決して省略してはならない 「 彼女 」 である。

「 DeepL Pro 」 の文言が示すように、 有料版なのだが …

2017年のサービス開始以来、 「 世界一高精度な翻訳ツール 」 と
自称し、 世に名声をとどろかせる多言語翻訳サイト DeepL 」。

本拠地はドイツ。

末尾のグーグル翻訳では、 「 彼女 」 が痴漢をやらかした。

なんてこった。

ひどい和訳だわ …   なにが、 AI ( 人工知能 ) だ  !


◆  ” vocal about – ”  には、 その他の誤訳例もたっぷり掲載している。

( 図入り、 実名入り )

『 AI翻訳革命 』 と題する和書 ( 2022年刊 )の 評論 も試みた。


AI翻訳革命  あなたの仕事に英語学習はもういらない

隅田 英一郎 (著)
朝日新聞出版、 2022年刊
四六判並製、 272頁

<出版社HP>    <アマゾン>    <楽天ブックス>

ひと口で愚見を申し上げると、

でかでかと表紙に掲げる販促文言として、

これで大丈夫なのでしょうか。


自動翻訳 の英語力は TOEIC 900点


日本人の大好きな英語資格だから、 この上ない説得力を持つが、

現場の内幕に熟知する者が読めば、 気恥ずかしくなるだろう。


人工知能は TOEIC900点 の英語能力

ネイティブ一歩手前  に到達した


同書  p. 22.


思わず苦笑してしまう。

vocal about – ”  で理由を述べた。

学者・研究者の視座はユニークである旨、 改めて思い知った。

誤訳の恐ろしさと語彙運用の機微を知らぬ 「 日本の第一人者 」。

★  とんでもない趣旨を、「 第一人者 」 が恬として表明する 「 トンデモ本 」


自動翻訳の歴史・仕組みの詳述と引用文献は素晴らしく、

さすが 「 日本の第一人者 」 とつくづく感服する反面、

素人じみた翻訳実務の解説とのギャップがもったいない。

◆ 「 打開策は全件を自動翻訳で処理してしまうことだ 

( p. 212. )

とは、 いかんともしがたい思考回路。

精度9割 」 やら
TOEIC 900点 」 やら
ネイティブ一歩手前 」 やら、

のけぞりたくなるほど、 見当違いの見所がいかにも惜しく、

よもやと学識を疑う。


Vocal about – ”  より


検証不十分の訳文を一般公開するよう組織に奨励する学者

これほど乱暴な邪説を、 よくまあ商業出版したもんだ。

こんなにずれていれば、 日本の英語教育はうまくいかないわ。

この辺りの話は、 ” conclusive ”  で深掘りした ( 地図入り )。

2022年11月公開のAIチャットボット  ” ChatGPT “  の

潜在的かつ深刻な危険性も、 ” vocal about – ”  に記した。

【関連表現】

 

 

 

 

 

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