In the event of -
2024/01/22
もし 〜 の場会には
仮定された条件を示す典型フレーズ。
契約書や公文書の他、時事ニュース(文面・音声)
にも出てくる堅めの文言。
◇ 主な同義は、” in case of “
英語学習者はもちろん、ネイティブにとっても、
この表現の方が、身近で分かりやすい。
【注意】
冠詞 ” the ” の有無で意味が異なる
- “in case of”(もし~の場合)
- “in the case of”(~については)(~の場合は)
※ “the” がつくと、仮定ではない
“in the event of” と “in case of” の意味合いは、
副詞節を導く仮定の接続詞 “if”(もし~ならば)
に重なる。
すなわち「 if節 」。
「 if 節 」 3用法
■ 「もしも~」= 副詞節
→ 「if節」がなくても、文は成立する
- 直説法(現実または現実に起こる可能性があること)
—= 現在形
– - 仮定法(現実とは異なること)
—= <今のこと>過去形、<昔のこと>過去完了形
■ 「~かどうか」= 名詞節
→ 「if節」がなければ、文が成立しにくい
日常会話であれば、”if” で済ましたりする。
ところが、契約書やニュースの仮定形では、
“if” ではなく、一般的に “in the event of” や
“in case of” などが用いられる。
–
◆ 接続詞 “if” は、1音節の短い単語で発音しやすく、
親しみやすい。
【発音】 íf (1音節)
それゆえに、目でも耳でも識別しにくいきらいがある。
上記2つの表現に比べて、埋もれがち なのである。
シンプルで便利なので、頻用される反面、
見落とし、聞き落としが生じやすい。
–
◆ その上、“if” は文法的に煩雑 である。
「仮定・条件」を基本としつつも、推量・因果関係・
修辞条件・譲歩など多岐に渡る分類があり、かなり細かい。
その結果、難しい文脈に置かれた場合、意味をすんなり
読み取りにくい欠点 がある。
ー
◆ 一方、” in the event of ” または ” in case of ” は、
各々の塊が「もし〜の場会には」を表す。
聴覚・視覚問わず、際立つ印象
特に音声ニュースでは、ともに文頭に多用される
ため、受け手は「仮定」とあらかじめ把握でき、
すっと頭に入りやすい。
片や、”if” の場合、文頭に置いたとしても、続く 助動詞
(”should” など)や 時制 で文意が変わる可能性がある。
そのため、内容の理解には一層の集中力が求められ、
厄介である。
要件の込み入る契約書や複雑な文書では、性質上、
仮定・条件を区別する必要性は、さらに高まる。
対面であれば、その場で疑問点を質すことができ、
誤解も回避できるため、”if” でも問題ない。
だが、ビジネスの重要事項を口頭に頼ると、
トラブルを招くため、文書主義が重視されている。
そこで、”in the event of” や “in case of” が重宝される。
いわば、並置の接続詞 “and” を意味する日本語、
- 格助詞 「と」
- 接続詞 「及び」
これらの使い分けに、やや似ている感じ。
無論、埋もれがち なのは「と」であり、契約書や規定
などの堅い文書では、「及び」が目立つ。
–
◆ “event” には、名詞・自動詞・他動詞がある。]
【発音】 ivént
【音節】 e-vent (2音節)
2音節で、後半の第2音節に強勢(アクセント)を置く。
平板で均一なリズムの日本語では、4音節「 イ – ベ – ン – ト 」。
「音節」 (syllable、シラブル)とは、発音の最小単位。
→ 音節の差異が顕著な日英比較は、”integrity” 参照
◆ 語源は、ラテン語「出来事」(ēventus)。
カタカナ「イベント」も、「行事・出来事」を指す。
ここで「出来事」類語のおさらい。
- event
事の結果として生じる比較的重大な出来事
– - accident
偶発的で好ましくない事故
– - incident
付随的に起こる小事件
– - occurrence
(付随せず)単独で発生する一般的な出来事
– - episode
一連の出来事に含まれる、個別な出来事
日常使用のほとんどは名詞用法。
可算名詞のみで、不可算はない。
自他動詞は、ほぼ専門用語。
– 可算名詞「出来事」「行事」「結果」
– 自動詞「馬術(eventing)に出場する」
– 他動詞「馬術(eventing)に出場させる」
“in the event of” では、文脈次第で、”event” は
「出来事」または「結果」。
“in” は、事情・条件を示す前置詞「~(の場合)には」。
特定の “event” を示すため、定冠詞 “the“。
※ “in case of” は “the” なし
“of” は、関連の前置詞 “~についての”。
直後は、その対象(下記の不定代名詞 “something” に該当)。
“of” なしで、”if” を表す言い回しもある。
- “I will assist you in the event your package is lost.”
(もし荷物が紛失した場合、私がお手伝いします。)
よって、直訳は「~についての出来事・結果の場合には」
で、仮定 を意味する。
既記の通り、”if”(もし~ならば)と大意は同じ。
“in the event of something”
(also in the event that something happens)
used to tell people what they should do
if something happens.
(ロングマン、LDOCE6)
厳密に言えば、イギリス英語とアメリカ英語では、
解釈に僅差がある。
しかし、前後の文脈で調整できる程度の微差。
「もし〜の場会には」で、基本はOK
ー
- “In the event of a fire, call 119.”
(火事の場合、119番に電話せよ。)
– - “In the event of an emergency, call XXX.”
(緊急時には、XXX番に電話せよ。)
– - “In the event of rain, the concert will be cancelled.”
(雨天の場合、コンサートは中止予定です。)
–
- ” In the event of a tsunami, go to higher ground.”
(津波の際は、高台に向かうこと。)
– - “In the event of a car crash, follow these steps.”
(自動車事故の場合、以下の手順に従うこと。)
–
- “Email me in the event of an emergency.”
(緊急時は私にメールして。)
–
- “In the event of a strike, I will stay home.”
(もしストの場合、自宅で待機するわ。)
– - “Are rescue procedures in place in the event of
an earthquake?”
(地震発生時の救出手順は実施されているか。)
– - “Leave all personal belongings inside the aircraft
in the event of an evacuation.”
(避難する際、所持品はすべて航空機内に残すこと。)
– - “We should know how to protect ourselves
in the event of a missile attack. ”
(万一、ミサイル攻撃を受けた場合の自衛手段を、
我々は知っておく必要がある。)
– - “I will leave here in the event of his death.”
(もし彼が死んだ場合、私はここから去ります。)
–
- “In the event of a change in the ownership, X shall
be obligated to inform Y by registered mail.”
(所有者が変更する場合、Xは書留郵便でYに
通知する義務を負うものとする。)
– - “In the event of any dispute, English version
of this Agreement will prevail.
(紛争が発生した場合は、本契約の英語版を
優先するものとする。)
– - “In the event of the bankruptcy of either party,
the other party may terminate this Agreement
immediately.”
(いずれか一方の当事者に破産した場合は、
相手方は本契約を直ちに解除することができる。)
–
例文にあるように、
自然災害などの非常時の手順書
に頻繁に活用される。
最後の3つは契約書。
誤解があってはならない性質の文書ばかりである。
【類似表現】
“upon the occurrence of”
(~が発生した場合)
【参考】 ※ 外部サイト
「もし〜の場合」はなんと言う?
if ・ when ・ in case(of) ・ in the case(of) の英語の使い方
https://eikaiwa.dmm.com/blog/expressions/expression/if-when-in-case/