プロ翻訳者の単語帳

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In the event of –

      2018/09/28

もし〜の場会には 

仮定された条件を示す典型フレーズ。
契約書や公文書の他、時事ニュース(文面・音声)
にも出てくる堅めの文言。

in case of” が同義。

この表現の方が、身近で分かりやすい。
英語学習者はもちろん、ネイティブにとっても同様。

【注意】
“the” の有無で意味が異なる
– “in case of”(もし~の場合)
– “in the case of”(~については)(~の場合は)
※ “the” がつくと、仮定ではない

“in the event of” と “in case of” の意味合いは、
副詞節を導く仮定の接続詞 “if”(もし~ならば)
に重なる。すなわち「if節」。

「if節」3用法   

■「もしも~」= 副詞節
→ 「if節」がなくても、文は成立する
直説法(現実または現実に起こる可能性があること)
= 現在形
仮定法(現実とは異なること)
= <今のこと>過去形、<昔のこと>過去完了形

■「~かどうか」= 名詞節
→ 「if節」がなければ、文が成立しにくい

日常会話であれば、”if” で済ます場面が普通。

ところが、契約書やニュースの仮定形では、
“if” ではなく、一般的に “in the event of” や
“in case of” などが用いられる。

◆ 接続詞 “if” は、1音節の短い単語で発音しやすく、
親しみやすい。
それゆえに、目でも耳でも識別しにくいきらいがある。

上記2つの表現に比べて、埋もれがちなのである。
シンプルで便利なので、頻用される反面、
見落とし、聞き落としが生じやすい。

その上、“if” は文法的に煩雑である。

「仮定・条件」を基本としつつも、推量・因果関係・
修辞条件・譲歩など多岐に渡る分類があり、かなり細かい。
その結果、難しい文脈に置かれた場合、即時に判別しにくい。

一方、”in the event of” または “in case of” は、
各々の塊が「もし〜の場会には」を表す。
聴覚・視覚問わず、際立つ感じ。

特に音声ニュースでは、ともに文頭に多用される
ため、聞き手は予め「仮定」と把握でき、すっと
頭に入りやすい。

“if” の場合、文頭に置いたとしても、続く助動詞
(shouldなど)や時制で文意が変わる可能性がある。
そのため、内容の理解には一層の集中力が求められ、
厄介である。

要件の込み入る契約書や複雑な文書では、性質上、
仮定・条件を区別する必要性は、さらに高まる。
したがって、”if” では不十分である。

対面であれば、その場で疑問点を質すことができ、
誤解も回避できるため、”if” でも問題ない。

だが、ビジネスの重要事項を口頭に頼ると、
トラブルを招くため、文書主義が重視されている。
“in the event of” や “in case of” などの出番である。

◆ “event” には、名詞・自動詞・他動詞がある。
語源は、ラテン語「出来事」(ēventus)。
カタカナ「イベント」も、「行事・出来事」を指す。

ここで「出来事」類語のおさらい。

  • event = 事の結果として生じる比較的重大な出来事
  • accident = 偶発的で好ましくない事故
  • incident = 付随的に起こる小事件
  • occurrence =(付随せず)単独で発生する一般的な出来事
  • episode = 一連の出来事に含まれる、個別な出来事

日常使用のほとんどは名詞用法。
可算名詞のみで、不可算はない。
自他動詞は、ほぼ専門用語。

– 可算名詞「出来事」「行事」「結果」
– 自動詞「馬術(eventing)に出場する」
– 他動詞「馬術(eventing)に出場させる」

“in the event of” では、文脈次第で、”event” は
「出来事」または「結果」。

in” は、事情・条件を示す前置詞「~(の場合)には」。
特定の “event” を示すため、定冠詞 “the“。
※ “in case of” は “the” なし

of” は、関連の前置詞 “~についての”

よって、直訳は「~についての出来事・結果の場合には」
で、仮定を意味する。
既記の通り、”if”(もし~ならば)と大意は同じ。

in the event of something” =
(also in the event that something happens)
used to tell people what they should do
if something happens.
(ロングマン、LDOCE6)

厳密に言えば、イギリス英語とアメリカ英語
では、解釈に僅差がある。
だが、前後の文脈で調整できる程度の差なので、
もし〜の場会には」と理解すれば、基本はOK。

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  • “In the event of a fire, call 119.”
    (火事の場合、119番に電話して。)
  • “In the event of rain, the concert will be cancelled.”
    (雨天の場合、コンサートは中止予定です。)

  • ” In the event of a tsunami, go to higher ground.”
    (津波の際は、高台に向かうこと。)
  • “In the event of a car crash, follow these steps.”
    (自動車事故の場合、以下の手順に従うこと。)

  • “Email me in the event of an emergency.”
    (緊急時は私にメールして。)

  • “In the event of a strike, I will stay home.”
    (もしストの場合、自宅で待機するわ。)
  • “We should know how to protect ourselves
    in the event of a missile attack. “-
    (万一、ミサイル攻撃を受けた場合の自衛手段を、
    我々は知っておく必要がある。)
  • “I will leave here in the event of his death.”
    (もし彼が死んだ場合、私はここから去ります。)

  • “In the event of a change in the ownership, X shall
    be obligated to inform Y by registered mail.”
    (所有者が変更する場合、Xは書留郵便でYに
    通知する義務を負うものとする。)
  • “In the event of any dispute, English version
    of this Agreement will prevail.
    (紛争が発生した場合は、本契約の英語版を
    優先するものとする。)
  • “In the event of the bankruptcy of either party,
    the other party may terminate this Agreement
    immediately.”
    (いずれか一方の当事者に破産した場合は、
    相手方は本契約を直ちに解除することができる。)

以上の例文でも明らかだが、自然災害などの非常時の手順
に活用される傾向がある。
最後の3つは契約書。慣用文言である。

いずれも、誤解があってはならない文面である。

【類似表現】
“upon the occurrence of”
(~が発生した場合)

 

 

 

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