- on duty = 勤務時間中 ・ 当番
- off duty = 勤務時間外 ・ 非番 = out of duty
昔から、
公務系、 とりわけ 警察 ・ 消防 ・ 救急 ・ 軍隊
で使われてきた。
主として、
「 当番 」 「 非番 」 が 明確な職種
の用語である。
「 昔から 」 と述べたが、次のハイフン入りの複合語 ( 複合形容詞 )
の初出は、 1743年。
https://www.etymonline.com/word/off-duty#etymonline_v_45669
-
on-duty ( 勤務時間中の ・ 当番の )
-
off-duty ( 勤務時間外の ・ 非番の )
” be on / off duty ”
to be working or not working at a particular time,
especially when you are doing a job
which people take turns to do,
so that someone is always doing it.
( ロングマン、LDOCE6 )
※ 下線は引用者
–
【 下線部 参考和訳 】
特に、 常時従事する者を必要とする 当番制の仕事
–
–
【 英英辞典の基本表記 】 スラッシュ( / ) = 「 または ( or ) 」
→ ” be on duty ” または ” be off duty “
- ” Stay safe both on and off duty. ”
( 勤務中も勤務外も、安全に過ごしてください。)
( 当番でも非番でも、安全に過ごすこと。)
–
現在では 「 勤務中 」 「 勤務外 」 を示す表現として、
他業種に広まった。
シンプルで分かりやすい強みが、 普及した一因だろう。
–
–
◆ ” duty ” は名詞のみ。
【発音】 dúːti
【音節】 du-ty (2音節)
語源は、 古フランス語 「 負う 」 ( deu )。
可算名詞 と 不可算名詞 を兼ねる。
区別が難しい。
–
◇ 基本的意味は 「 職務 」 「 任務 」
–
この場合、 可算名詞が原則。
■ 「 軍務 」 「 兵役 」 は、不可算名詞
■ 「 義務 」 は、可算・不可算兼用
- jury duty
( 陪審義務 )
※ 市民の司法参加 ( 裁判員 ) の義務
非常に分かりにくいが、 抽象的に「 仕事 」を指す際は、
無冠詞の不可算名詞で使われる。
表題も該当。
- “In the course of duty, we should not eat out.”
(職務遂行中は外食すべきでない。)
– - “Employees shall report for duty as scheduled.”
(従業員は予定通りに出勤しなければならない。)
名詞 ” duty ” は多義だが、 その多くが 「 職務 」 から派生したもの。
「 職務 」 として単独で用いる場合、 複数形 ” duties “
で使われることが多い。
- household duties
( 家事 )
– - collateral duties
- incidental duties
( 付随的任務 )
– - related duties
( 関連する業務 )
– - temporary duties
( 暫定職務 ) ( 一時的な職務 ) → ” acting ” ( 代理 ) 参照
– - ”They perform official government work duties every day.”
( 彼らは毎日公務に従事している。)
– - “She was relieved due to a loss of confidence in her ability
to perform her duties. ”
( 職務遂行能力に対する信用を失い、彼女は解任された。)
– - “The commander has been suspended from his duties.”
( 司令官は職務を停止された。)
( 司令官は停職扱いとなった。)
–
◆ ” on duty ” と “ off duty ” は、 「 職務 」に
” on ” や ” off “ をつけただけなので、 小学生にも理解しやすい。
この ” on ” と ” off ” は、前置詞 と 形容詞 の
どちらにもなるという説が有力である。
–
–
- “He is now on duty.”
(彼は今は勤務中だ。)
– - “She is off duty until tomorrow.”
(彼女は明日まで非番だ。)
– - “Off-duty police officers are being investigated.”
(非番の警察官が捜査対象となっている。)
(非番の警察官が捜査されている。)
– - “An armed suspect killed an off-duty police officer.”
(武装した容疑者が非番の警察官を殺害した。)
– - “They go on duty later today.”
(彼らは今日これから当番につきます。)
– - “You cannot watch YouTube while on duty.”
(勤務中、ユーチューブを見てはいけません。)
– - “This rule prohibits employees from
engaging in political activity while on duty.”
(この規定は、従業員が勤務中に政治活動
に携わることを禁じています。)
– - “She went off duty this morning.”
(彼女は今朝非番になった。)
(彼女は今朝勤務を終えた。)
– - “She was off duty this morning.”
(彼女は今朝は非番だった。)
(彼女は今朝は勤務外であった。)
– - “Every employee here should always
be prepared, whether on-duty or off-duty.”
(当番・非番に関わらず、弊社の全従業員は
常に備えていなければならない。)
◆ 英学界の巨人、斎藤秀三郎 ( 1866-1929 ) の訳をご紹介したい。
1928年6月発行の 『 斎藤和英大辞典 』 が原版。
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–
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『 NEW 斎藤和英大辞典 』 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
–
以上、 「 勤番 」 全文。
「 勤番 」 とは、
–
–
まさしく、 「 当番 」 の感。
–
◆ 注意喚起の掲示板
–
当番 ワンコ ?
–
■ 番犬 ( a guard dog )
→ a working dog / a service dog の代表格 ※ 後述
の 存在 に注意を促す。
–
GUARD DOG ON DUTY
「 番犬がいます 」
–
以下に比べると、 上記の方が適訳。
- 勤務中の 番犬がいます
- 当番の 番犬がいます
–
「 番犬 」 といっても、 並大抵のかわいいペットであれば、
- a guard dog
- a working dog
- a service dog
と呼ばない。
社会的認識としては、 規定の正式訓練( trained )を経た、
- 警察犬 ( police dog )
- 軍用犬 ( military dog )
- 聴導犬 ( hearing assistance dog )
- 救助犬 ( rescue dog ) … 災害
- 探知犬 ( detection dog ) … 麻薬 ・ シロアリ ・ トコジラミ
- 捜索犬 ( search dog )
- 介助犬 ( medical assistance dog )
- 補助犬 ( assistance dog )
- 盲導犬 ( Seeing Eye dog / guide dog )
など、 資格認定された プロのワンコ を表す。
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▲ LDAE5 ( ロングマン米語英英辞典、 書籍版 ) p. 1009.
(Pearson Education 2014).
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▲ LDOCE6 ( ロングマン現代英英辞典、 書籍版 ) p. 1643.
(Pearson Education 2014).
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◇ ロングマン辞書 については、 別稿 「 LDOCE 」 で深掘りしている。
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◆ ざっくりした総称が、
- working dog
- service dog
まさしく、 「 勤務中の 犬 」 であり、
人間に準じた 「 責任 」 を伴う ” on duty “。
ペット禁止の場にも、 堂々と出入りできたりする。
- The service dogs have the right to be in public.
( プロのワンコ は公共の場に出る権利が認められている。)
一覧で例示した プロのワンコ の他、 ” PTSD service dog ” などもある。
盲導犬・介助犬・聴導犬の3種を育成・認定できる日本唯一の団体は、
「 公益財団法人 日本補助犬協会 」 https://www.hojyoken.or.jp/
Guide Dog & Service Dog & Hearing Dog Association of Japan
◆ 寄り添う任務であれば、 ラブラドール・レトリーバー が大活躍。
【発音】 lǽbrədɔ̀r
【音節】 Lab-ra-dor (3音節)
【発音】 ritrívər
【音節】 re-triev-er (3音節)
愛称は、 ” Lab “。
【発音】 lǽb
【音節】 lab (1音節)
※ 写真は後掲
–
日本でも 「 ラブ 」 が通称。
愛の 「 ラブ 」 に聞こえがち。
【発音】 lʌ́v
【音節】 love (1音節)
/ʌ/ は、 「 ア 」 を短く発する短母音 ( short vowel )。
口を小さく開ける。
” love ” なら、 日本語の 「 ラ 」 と 「 ロ 」 の中間くらい。
/æ/ も短母音だが、 「 ア 」 に 「 エ 」 を加えたような音で、
「 ア 」 と 「 エ 」 を同時に発する感じ。
◆ 米国では、 ADA ( The Americans with Disabilities Act、
米国障がい者法 ) などで、 法的権利を認められている。
- ” Interrupting or distracting a service dog is illegal. ”
( プロのワンコ を妨害したり気を散らす行為は違法である。)–
厳しい訓練と資格認定を経て、 法律上の権利が確立している点が、
感情支援動物 ( emotional support animal、 ESA )と異なる。
入店の際に、 プロのワンコ か ESA か、 判別に揉める事例がある。
飼い主は、 ESAにも権利があると思い込み、 施設側とトラブルに。
心身の拠り所の愛犬だ、 と主張したくなる気持ちには共感できる。
正規の プロのワンコ を確認する質問は、 法的に限定されている。
すなわち、 次の2つに限られる。
–
–
• Is the dog a service animal required because of a disability ?
• What work or task has the dog been trained to perform ?https://www.ada.gov/resources/service-animals-2010-requirements/
–
【 参考和訳 】
- その犬は、障がいのために必要となる介助動物ですか ?
- その犬は、どんな仕事をするために訓練されていますか ?
–
勤務中 ( on duty ) の勇姿を目の当たりにすれば、
なでなでする相手でないことは、 すぐ分かる。
迫力がみなぎり、 もう圧倒される。
–
◆ プロのワンコ が 「 巡回しています 」 と警告されたら、
めっちゃびびる。 ↓
–
–
↑ 在日米軍基地前の掲示板
( 2023年3月 筆者撮影 )
パトロール中は、 人( dog handler など ) が付き添うはず。
この和訳では、 ” teams ” ( チーム ) が訳出されていない。
擬人法 ( personification ) の一種かもしれない。
プロのワンコ による 「 巡回 」 の方が、 人間より怖いわ。
そんな気がする。
視認性を高めるため、 看板はニュース見出し ( headllines )と同じく、
「 冠詞 」 や 「 be 動詞 」 の省略された表示が目立つ。
–
◇ 「 見出し 」 英語の解説は、 こちらが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方 ( 見出し編 ) RNN時事英語
–
Sometimes the dogs enable the individual to open up
where they might not have otherwise been comfortable doing so.
( 犬がいるおかげで、打ち解けることに抵抗がある人の心を
開かせることができたりします。)
米海軍の艦船に配置された
初めての軍用犬「 セージ 」
–
( 2023年5月 )乗組員の メンタルを助ける プロのワンコ
–
–
A furry friend gives sailors a boost aboard Navy carrier at sea
–
https://www.stripes.com/branches/navy/2023-05-15/navy-carrier-military-dog-health-10125154.html
2023年5月15日付
–「 空母の軍人を元気づける、 毛むくじゃらな仲間 」
※ 下線は引用者
–
【発音】 fə́ːri
【音節】 fur-ry (2音節)
–
■ 同様に、 海水浴場やプールで見かける掲示は、
LIFEGUARD ON DUTY
「 監視員がいます 」
< 勤務中 > < 当番 > < 稼働中 >
の趣旨は共通する。
NO LIFEGUARD ON DUTY
「 監視員がいません 」
–
・ Swim at your own risk.
・ X is not responsible for accidents or injuries.
などの文言が続く。
「 なにかあっても、 当方( X ) は責任は負いません 」 ということ。
自己責任を明記し、 事業者の損害賠償責任を否定する。
ー
◆ ここで、 ぜひ強調しておきたいこと。
「 仕事中 」は、” at work ” が一般的
–
” I’m on duty now. “
と唐突に言われれば、
「 今、当直なの 」 と聞こえても不思議でない。
–
前述したように、 もともと 「 当番制 」 「 交代制勤務 」 の用語。
当然、 「 当直 」 と相性がよい。
■ 冒頭の職種周辺以外で、
「 今、仕事中です。」 「 今、職場にいます。」–
I’m at work now.
–
この方が普通。
–
【発音】 wərk
【音節】 work (1音節)
–
- ” I took a very big, smelly dump at work.“
( 職場で、めっちゃでかくて臭いくそしたんだ。)
◆ 締めくくりに、 先ほど引用した斎藤秀三郎が受け持った授業中、
名詞 ” duty ” に触れた箇所をご案内。
聴講生が「 斎藤先生の講義ぶり 」と称して、 非公式に書き起こした。
1915年( 大正4年 )、『 英語青年 』( 研究社 )に連載された記事。
話者はもちろん、 斎藤秀三郎。
動詞 「 Do の使用法 」 の説明の流れで取り上げている。
100年以上前であり、 解釈はやや古めかしく感じるが、 いかがだろう。
–
–
p. 114.–
–
–
上掲分の 「 資料出所 」は、 以下の通り。
p. 162. ※ 当該「 第34巻 」第1-6号 は、 1915年( 大正4年 )10-12月刊
–『 英語天才 斎藤秀三郎 』
竹下 和男 (著)
日外アソシエーツ、 2011年刊
A5判 340頁
–
◆ 斎藤秀三郎は、 世界初のEFL辞典 を生んだ、 影の立役者。
大村喜吉 ( 1916-2003 ) の名著 『 斎藤秀三郎伝 』( 1960年刊 )
は、出版元の吾妻書房の廃業により絶版となり、 今や入手困難とされる。
昔は、 割かし容易に手に入ったため、 何気なく6冊購入しておいた。
高価な希少本として扱われる時代が来るとは、 思いもよらなかった。
同書の読みどころ20ページに加えて、 現物の表紙と帯の写真も、
辞書は「 紙 」か「 電子版 」か に掲載中。
弊サイトでは、 斎藤秀三郎( さいとう ひでさぶろう ) について、
何度も言及している。
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【関連表現】
” On and off ”
https://mickeyweb.info/archives/4956
( 断続的に )
” Paperwork ”
https://mickeyweb.info/archives/16535
( 事務手続き、 事務作業、 文書業務 )