プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Accountable

      2018/05/03

責任・説明責任を負う 

職務や立場相応に、付いて回るのが「責任」。

責任」=
(1)人が引き受けてなすべき任務。

(2)政治・道徳・法律などの観点から
非難されるべき責(せめ)・科(とが)。
法律上の責任は主として対社会的な刑事責任
と詩として対個人的な民事責任とに大別され、
それぞれ一定の制裁を伴う。

(広辞苑 第七版)

英語では、”responsibility” と “accountability
が挙げられる。
※ “fault” は、最初から付随する責任ではなく、
落ち度や過失に対する責任。“blame” も同様。

“responsibility” は、最も一般的な「責任」。
性質的に最初から付随する責務
親の責任、利用者の責任、自由に伴う責任など。

可算と不可算を兼ねるが、原則は不可算名詞である。
報酬の有無を問わない。
この形容詞が “responsible”。
「責任を負う」の意。

一方、表題 “accountable” も「責任を負う」。
“responsibility” と異なり、報酬を伴う。
そのため、仕事中心に使う。

特に公務と大組織で好まれる、きっちり堅めの言い回し。
【参照】”on duty / off duty

大手企業の不祥事報道の際も、よく出てくる
形容詞 “accountable”。

“responsibility / accountability”(責任) と
“responsible / accountable”(責任を負う)
の和訳は重なる。かなり分かりにくい。

◆ 英語ネイティブにとっても、判別は単純
でない様子で、解説サイトは多数存在する。

基本イメージ(例)は、次の通り。

accountability
結果に対し、根拠に基づく説明を求められる
「プロの責任」↓

Inline image 2


responsibility
保護者としての日頃の責任 ↓

Inline image 1

accountability
プロの責任= 例:実務担当者

  • 報酬あり=責任範囲はピンポイントで明確
  • <結果>に対する責任と説明責任に焦点
    → 万一の場合、数値などの根拠説明する覚悟を要す
  • 担当者の責任なので、共同責任にそぐわない

————————————————

responsibility
役割としての責任= 例:保護者

  • 報酬不問 =プロ・アマ可 → 普段は自覚しずらい責任
  • 性質上、最初から付随し、事前事後に焦点はない
    → 状況に関係なく、役割に伴う常識的責任
  • 共同責任でも可 → ただし、責任範囲・内容はあいまい

“accountability” を負う人は、
役割としての “responsibility” も負う。
しかし、”responsibility” を負うからといって、
根拠を提示して、詳細に説明する “accountability”
まで負うとは限らない。

“accountable” の名詞形が、不可算名詞の “accountability” 。

アカウンタビリティー」=

(1)財産管理の受託者がその委託者に対して
負う会計上の責任。株式会社の場合、取締役が
株主に対して負う。会計責任。

(2)企業・行政などが自らの諸活動について
公衆や利害関係者に説明する社会的責務。
説明責任

(広辞苑 第七版)※ 下線は引用者

3本の下線をご覧いただきたい。
「会計上の責任」「企業・行政など」「説明責任」
とある。

ところが、一般実務で使われる英語の “accountability”
は、はるかに広義で「責任全般」を指す

責任は「会計上」に限定されない。
主体も「企業・行政」などの組織に限らず、
平社員の責任も “accountability” の対象となる。

accountability” =

formal
the fact of being responsible for your decisions
or
actions and expected to explain them
when you are asked
.

(オックスフォード、OALD9)

a situation in which someone is responsible
for things
that happen and can give a satisfactory
reason
for them.

(ケンブリッジ、CALD4)※ 下線は引用者

【発音】əkàuntəbíləti

以上が不可算名詞 “accountability” の語釈。
“formal” とOALD9にあるように、堅い言葉。

2冊は大同小異で、二本柱で構成される。
(1)自分の言動や結果への責任
(2)その説明責任

「会計上」や「企業・行政」の記載はなく、
やはり広範囲に適用できることが推認できる。
会計職にない一般従業員にも適用できるということ。

間違った解釈ではないものの、射程が狭すぎで、
“accountability” の一側面を切り取った中身。

したがって、広辞苑の語釈は、狭義の解釈。
accountability >> アカウンタビリティー

その意味で「カタカナ語」とも考えられる。
accountability ≒ アカウンタビリティー

堅めとは言え、通常使用の “accountability” は、
「責任」と
「説明責任」を広範に表す。

これに対し、カタカナの
「アカウンタビリティー」は専門用語に近い。

意味合いが限られ、ビジネス用途で定着しても、
日本の社会一般に広まる見込みは薄いだろう。

◆ “accountability” は、形容詞 “accountable” から
派生した不可算名詞。

accountable” =
responsible for the effects of your actions
and willing to explain or be criticized for them
.
(ロングマン、LDOCE6)※ 下線は引用者

【発音】əkáuntəbl

“accountability” の二本柱は、”accountable” にも共通。
派生元なので、当然だろう。
(1)自分の言動や結果への責任
(2)その説明責任

LODCE6は、さらに「批判されること」(赤字)
を加える。

つまり、説明責任はもちろんのこと、
自分の言動・結果に対する批判込みである。
赤字 “them” は、”effects of your actions” を指す。

「自分の行動の結果」への責任・説明責任・批判
を背負うことが “accountable”

上掲3EFL辞典をまとめると、以上になる。

「平社員」も対象になると先に述べたが、学卒の新人に
対しても普通に使われる。
“accountable”、”accountability” ともに、社内規則
に明記されたりしている。よって、新人も対象内。

だからこそ、この2語の意味する「責任」は、身分不相応
の大袈裟なものではないのである。
お金をもらって仕事をする「プロ」として、その担当者が
負うべき範囲内の「責任」。
それが “accountability” であり、”accountable” であること。
※ “responsibility” は、報酬不問の責任

実際の使用場面を考慮すると、専門用語に入れる内容でない。
その担当者としての普通の責任

◆ その責任を相手に負わせるための動詞が、
他動詞 “hold”(思う)(みなす)。
語形変化は、holds – holding – held。

“She holds a good opinion of you.”
(彼女はあなたを好意的に思っている。)
と同じ用法。

  • “She hold me accountable.”
    (私に責任があると彼女は思っている。)
  • “I hold her accountable.”
    (私は彼女に責任があると思う。)

責任転嫁みたいで、言われた側はたまらないが、
相手に責任を負わせるための常套句。
“hold – responsible” と一緒に、
“hold – accountable” を押さえておこう。

ダッシュ部には、目的格を入れる。
人称代名詞であれば、
me / you / him / her / us / them / it。

◆ 以下例文のように、関連の前置詞 “for“(~について)
と対象の前置詞 “to“(~へ)を伴うのが、
頻出パターン。

先述の通り、通常の和訳では “responsibility / responsible”
とそれぞれ同じだから混乱はやまない。

  • “You are accountable for your actions.”
    (あなたは自分の行動に責任を負う。)
  • “Our president should be accountable to all the employees.”
    (うちの社長は全従業員に責任を持つべきだ。)

  • “This is my accountability to the shareholders.”
    (これが私の株主に対する責任です。)
  • “We demand greater accountability from our mayor.”
    (より大きな責任を負うよう、我々は市長に求める。)

  • “I am accountable only to my immediate boss.”
    (私は直属上司に対してのみ、責任を負います。)
  • “Politicians should be accountable to voters.”
    (政治家は有権者に対して責任を負うべきだ。)
  • “The city government should be held accountable.”
    (市が責任を負うべきだ。)
  • “He must be held accountable for the accident.”
    (その事故の責任は彼が負わなくてはならない。)
  • “Lawmakers are accountable to the Diet.”
    (議員は議会に対して責任を負う。)
  • “Managers are accountable to the committee.”
    (マネージャーたちは委員会に対して責任を負う。)

 

【関連表現】
“take the blame”
https://mickeyweb.info/archives/15094
(責任を取る)

“at fault”
https://mickeyweb.info/archives/11563
(落ち度がある、責任がある)

“unaccounted for”
https://mickeyweb.info/archives/24131
(行方不明である)

“by all accounts / from all accounts”
https://mickeyweb.info/archives/25345
(皆の話によれば、誰に聞いても)

 

Sponsored Link




Jetpack

 - 英語, 英語フレーズ