プロ翻訳者の単語帳

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Accountable

      2021/03/10

責任・説明責任 を負う

職務や立場相応に、付いて回るのが「責任」。

「責任」

(1) 人が引き受けてなすべき任務。

(2) 政治・道徳・法律などの観点から
非難されるべき責(せめ)・科(とが)。
法律上の責任は主として対社会的な刑事責任
と詩として対個人的な民事責任とに大別され、
それぞれ一定の制裁を伴う。

(広辞苑  第七版)   ※  2018年刊


英語では、”responsibility” と “accountability
が挙げられる。

◇  “ fault ” 及び  “ blame ” は、最初から付随する責任
ではなく、落ち度や過失に対する責任。

◆  “responsibility” は、最も一般的な「責任」。

【発音】   rispɑ̀nsəbíləti
【音節】   re-spon-si-bil-i-ty (6音節)

性質的に最初から付随する責務
親の責任、利用者の責任、自由に伴う責任など。

可算と不可算を兼ねるが、原則は不可算名詞である。

報酬の有無を問わない。

この形容詞が  “responsible”。

【発音】   rispɑ́nsəbəl 
【音節】   re-spon-si-ble (4音節)

「責任を負う」 の意。

◆  一方、表題 “accountable” も「責任を負う」。

【発音】   əkáuntəbl
【音節】   ac-count-a-ble  (4音節)

“responsibility” と異なり、報酬を伴う。

そのため、仕事中心に使う。

特に公務と大組織で好まれる、きっちり堅めの言い回し。

【参照】   “on duty / off duty

大手企業の 不祥事 報道の際も、よく出てくる
形容詞 “accountable”。

■  responsibility  /  accountability  責任
■  responsible  /  accountable 責任を負う )

こうして和訳は重なる。

かなり分かりにくい。

◆  英語ネイティブにとっても、判別は単純ではない模様。

その証左に、解説サイト は多数存在する。

もはや、学術論文の世界なので、必要以上に深入りするのは、
あまりよくないと考える。

英語学習者が向き合うべき、語学上の問題を超えているから。

◆  基本イメージは、次の通り。

まずは、ざっくり見ていく。

accountability
結果に対し、根拠に基づく説明を求められる
プロの責任

 

responsibility
保護者としての日頃の責任 


◆  一般社員向けの事務連絡では、大雑把に、

■  accountability  説明責任
■  responsibility 責任能力

厳密さに欠けるとはいえ、定訳ばりに幅を利かせた和訳である。

大づかみだが、通常はこのくらいでOKだろう。

もっと掘り下げると、

accountability
プロの責任  【例】 実務担当者

  • 報酬あり = 責任範囲はピンポイントで明確
  • <結果>に対する責任と説明責任に焦点
    →  万一の場合、数値などの根拠説明する覚悟を要す
  • 担当者の責任なので、共同責任にそぐわない

responsibility
役割としての責任  【例】 未成年の保護者

  • 報酬不問  = プロ・アマ可  →  普段は自覚しずらい責任
  • 性質上、最初から付随し、事前事後に焦点はない
    →  状況に関係なく、役割に伴う常識的責任
  • 共同責任でも可  →  ただし、責任範囲・内容はあいまい


“accountability” を負う人は、
役割としての “responsibility” も負う。

しかし、”responsibility” を負うからといって、
根拠を提示して、詳細に説明する “accountability”
まで負うとは限らない。

◆  “accountable” の名詞形が、不可算名詞の “accountability” 。

  アカウンタビリティー 【accountability】

(1) 財産管理の受託者がその委託者に対して
負う会計上の責任。株式会社の場合、取締役が
株主に対して負う。会計責任。

(2) 企業・行政などが自らの諸活動について
公衆や利害関係者に説明する社会的責務。
説明責任

(広辞苑  第七版)   ※  2018年刊

◇  下線は引用者

上記『 広辞苑 第七版 』は、2018年発行。

3本の下線をご覧いただきたい。

「会計上の責任」「企業・行政など」「説明責任」とある。

2021年発行のこちらも同様。

  アカウンタビリティー 【accountability】

[名]
行政・企業などが社会に対して
事業内容や収支の情報公開をする責任。
説明責任

(明鏡国語辞典  第三版)   ※  2021年刊

◇  下線は引用者

比較的最近に発行された日本語の国語辞典でも、
こうした語釈が典型的である。

◆  ところが、一般実務で使われる英語の “accountability”
は、はるかに広義で「責任全般」を指す

責任は、「会計上」「収支」に限定されない

主体は、「企業・行政」などの組織に限らず、
平社員の責任も “accountability” の対象となる。

accountability 

formal
the fact of being responsible for your decisions
or
actions and expected to explain them
when you are asked
.

(オックスフォード、OALD9)

a situation in which someone is responsible
for things
that happen and can give a satisfactory
reason
for them.

(ケンブリッジ、CALD4)

◇  下線は引用者

【発音】   əkàuntəbíləti
【音節】   ac-count-a-bil-i-ty  (6音節)


以上が不可算名詞 “accountability” の語釈。

“formal” とOALD9にあるように、堅い言葉。

2冊は大同小異で、二本柱で構成される。

(1) 自分の言動や結果への責任
(2) その説明責任

「会計上」や「企業・行政」の記載はなく、
広範囲に適用可能なことが推認できよう。

会計職にない一般従業員にも適用できるということ。

間違った解釈ではないものの、射程が狭すぎで、
“accountability” の一側面を切り取った様相。

したがって、広辞苑の語釈は、狭義の解釈。

accountability  >>  アカウンタビリティー

その意味で、和製語に近い「カタカナ語」とも考えられる。

accountability  ≒  アカウンタビリティー

■ accountability
→  「 責任 」と「 説明責任 」を広範に表す

■  「 アカウンタビリティー 」
→  専門用語
に近い

こんな印象か。

意味合いが限られ、ビジネス用途では定着しても、
日本の世間一般に広まる見込みは薄い気がする。


◆  一般向けの「カタカナ語辞典」では、


『 コンサイス  カタカナ語辞典  第5版 』
三省堂編修所(編集)三省堂、  2020年刊
<三省堂HP>

語釈全文である。

この「第5版」は、2020年9月10日に発行された。

それから、ちょうど26年前の1994年9月10日に発行
された「初版」の全文はこちら。


『 コンサイス カタカナ語辞典  初版 』
三省堂編修所(編集)三省堂、  1994年刊

「初版」はこれだけ。

「説明」には一切触れていない。

「 日本の世間一般に広まる見込みは薄い気がする 」としたためつつ、
「初版」から「第5版」に至るまでの26年間の日本社会の変化こそ、
“accountability” の中身の充実をもたらした、と推断する自分がいる。

◆  “accountability” は、形容詞 “accountable” から
派生した不可算名詞。

accountable

responsible for the effects of your actions
and willing to explain or be criticized for them
.
(ロングマン、LDOCE6)

◇  下線は引用者

【発音】   əkáuntəbl
【音節】   ac-count-a-ble  (4音節)


“accountability” の二本柱は、”accountable” にも共通。

派生元なので、自然だろう。

(1) 自分の言動や結果への責任
(2) その説明責任

LODCE6は、さらに「批判されること」(赤字)
を加える。

つまり、説明責任はもちろんのこと、

自分の言動・結果に対する批判込みである。
赤字 “them” は、”effects of your actions” を指す。

◇  「自分の行動の結果
への責任・説明責任・批判

を背負うことが、”accountable

上掲3EFL辞典を、大づかみにとらえると、以上になる。

「平社員」も対象になると先に述べたが、学卒の新人に
対しても普通に使われる。

“accountable”、 “accountability” ともに、 社内規則
に明記されたりしている。

よって、新人も対象とする。

やはり、この2語の意味する「責任」は、身分不相応
の大袈裟なものではないのである。

お金をもらって仕事をする「プロ」として、その担当者が
当然負うべき範囲内の「責任」。

それが “accountability” であり、”accountable” であること。
片や  “responsibility” は、報酬不問の責任。

実際の使用場面を考慮すると、専門用語に入れるべき内容でない。

担当者として、当たり前に想定される責任


◆  その責任を相手に負わせるための動詞が、
他動詞 “hold”(思う)(みなす)。

【活用形】   holds – held – held – holding

  • “She holds a good opinion of you.”
    (彼女はあなたを好意的に思っている。)

と同じ用法。

  • “She hold me accountable.”
    (私に責任があると彼女は思っている。)
  • “I hold her accountable.”
    (私は彼女に責任があると思う。)

責任転嫁みたいで、言われた側はたまらないが、
相手に責任を負わせるための常套句。

“hold – responsible” と一緒に、
“hold – accountable” を押さえておこう。

ダッシュ部には、目的格を入れる。

人称代名詞であれば、
me / you / him / her / us / them / it。

◆  以下例文のように、関連の前置詞 “for“(~について)
と対象の前置詞 “to“(~へ)を伴うのが、頻出パターン。

先述の通り、通常の和訳では  ” responsibility / responsible
とそれぞれ重なるから、混乱はやまない。

  • “You are accountable for your actions.”
    (あなたは自分の行動に責任を負う。)
  • “Our president should be accountable to all the employees.”
    (うちの社長は全従業員に責任を持つべきだ。)

  • “This is my accountability to the shareholders.”
    (これが私の株主に対する責任です。)
  • “We demand greater accountability from our mayor.”
    (より大きな責任を負うよう、我々は市長に求める。)

  • “I am accountable only to my immediate boss.”
    (私は直属上司に対してのみ、責任を負います。)
  • “Politicians should be accountable to voters.”
    (政治家は有権者に対して責任を負うべきだ。)
  • “The city government should be held accountable.”
    (市が責任を負うべきだ。)
  • “He must be held accountable for the accident.”
    (その事故の責任は彼が負わなくてはならない。)
  • “Lawmakers are accountable to the Diet.”
    (議員は議会に対して責任を負う。)
  • “Managers are accountable to the committee.”
    (マネージャーたちは委員会に対して責任を負う。)

 

 

【参照】     ※  外部サイト

 

【関連表現】

“take the blame”
https://mickeyweb.info/archives/15094
(責任を取る)

“at fault”
https://mickeyweb.info/archives/11563
(落ち度がある、 責任がある)

“unaccounted for”
https://mickeyweb.info/archives/24131
(行方不明である)

“by all accounts / from all accounts”
https://mickeyweb.info/archives/25345
(皆の話によれば、 誰に聞いても)

 

 

 

 

 

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