プロ翻訳者の単語帳

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I don't feel comfortable.

      2024/03/07

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 6 minutes

私には適切だと思えません。 

応用の効く 断り表現 である。

何かを拒否したい時や、 否定的な意見を
品よく表す際に便利。

◆  厄介な仕事を断る時に、 私はよく使っている。

怠慢な他部門の仕事を、 一方的に押し付けられた時など。

このフレーズに、< 理由 > を添えれば盤石

” I don’t feel comfortable.   なぜなら ~ “


この鉄板パターンで、 信用をほとんど落とす
ことなく、 断ることに成功してきたと考える。

添える理由は、 合理的かつ根拠の示せる内容。

必ずしも本当のことである必要はない。

目的は、 受け入れがたい要請を無難に断ること。

ご参考までに、 私が実際に送った英文メールを
本稿末尾に掲げる。

◆  ” comfortable ” は、形容詞のみ  の単語。

語源は、 アングロフランス語  「 慰めとなる 」
( confortable ) ←   ” m ”  ではなく  ” n ”

【発音】  kʌ́mftəbl
【音節】  com-fort-a-ble  (4音節)

4音節で、 初っ端の第1音節に強勢 ( 強さアクセント )。

基本的意味は、

  •  心地よい
  •  気持ちよい
  •  気楽である
  •  心休まる

” comfortable ”  は、 形容詞なので「 状態 」 を表す。

◆  軽妙な省略形が、  形容詞  ” comfy “.

【発音】  kʌ́mfi
【音節】  com-fy (2音節)

 

  名詞と記す大辞典もあるが、 ” comfy ”  も通常は形容詞。

接尾辞 ( suffix ) ” y ”  をつけて 「 現代俗語調 」 ( 下記の新英和6版 )。



『 研究社 新英和大辞典 第6版 』
研究社、 2002年刊 ( ロゴヴィスタ  アプリ版 )
…  ”  -y2  ”  の語釈より

※  下線は引用者


以下、 全文。


https://www.etymonline.com/search?q=comfy

2022年12月29日 アクセス


形容詞  ” colloquial ”  は、 「 口語の 」 「 話し言葉の」。

【発音】  kəlóukwiəl
【音節】  col-lo-qui-al (4音節)

  • a comfy sweater
    (着心地のよいセーター)
  • a comfy room
    (居心地のよい部屋)

 

◆  以下、 ” On duty / Off duty ”  より再掲。


Sometimes the dogs enable the individual to  open up
where they might not have otherwise been comfortable doing so.

( 犬がいるおかげで、打ち解けることに抵抗がある人の心を
開かせることができたりします。)

 

米海軍の艦船に配置された
初めての軍用犬「 セージ 」
– 
( 2023年5月 )

  乗組員の メンタルを助ける プロのワンコ

 

A furry friend gives sailors a boost aboard Navy carrier at sea

https://www.stripes.com/branches/navy/2023-05-15/navy-carrier-military-dog-health-10125154.html
2023年5月15日付

「 空母の軍人を元気づける、 毛むくじゃらな仲間 」

※  下線は引用者


【発音】  fə́ːri
【音節】  fur-ry  (2音節)

◆  ” comfortable ”  直前に、 他動詞  ” feel ” ( ~ に感じる )
を加えると、

  •  心地よく感じる
  •  気持ちよく感じる
  •  気楽に感じる
  •  心休まると感じる

表題は、上記を ” do not ” で否定したもの。

◇  英和辞典によくある和訳

  • 「 気分が落ち着かない 」
  • 「 不安だ 」


その通り。

プライベートな会話なら、 これでよいだろう。

  • “I do not feel comfortable with a stranger
    walking around my living room.”

    ( 居間で知らない人にうろちょろされたら不安だわ。)

けれども、


◇  ビジネス場面で多用されるのは、

「 私には、これが適切とは思いません 」

このような思いを込めて用いる場合が目立つ。

マナーに反する失礼な対応をされた折にも出てくる。

例えば、 理由もなく、 ぶしつけな質問を何度もされた時。

無礼さを指摘する 婉曲表現 として使い勝手がよい。

  • “I walked out of their interview because I did not feel uncomfortable.”
  • “I walked out of their interview because I felt uncomfortable.”
    ( 不快に感じたので、 面接の途中で退席しました。)
  • “I did not feel comfortable with the interviewer.”
  • “I was not comfortable with the interviewer.”
    (その面接官は感じが悪かったです。)

こうした言い分を見聞きすると、 どうやら侮辱的な扱いをされた
らしいと推察できる。

  なんて失敬な奴らだ、 一発ぶん殴ってやりたいわ !  

こん  悔しさの入り混じった苦々しい面持ち  にぴったりな印象。

品性を保ちつつ、 自分の腹立たしさを他者に表したい時、
知的な言い回しを可能にしてくれる形容詞が、” comfortable “。


◆  私が重宝しているのも、
「 気分が落ち着かない 」「 不安だ 」
ではない。

そうではなく、 意図する言い分は、

自分にとって適切な仕事とは思えない

 

 

やはり、 どこか悔しさが込み上げている。

 

◆  「 落ち着かない 」 「 不安だ 」…

そもそも、 仕事中にすべき発言ではない。

「 情緒不安定 」 ( emotionally unstable )  を疑われ、
社会人として「 自滅行為 」 ( a career suicide )  に近い。

ましてや、 課題を断るために 「 不安だ 」 などと言えば、
プロとして信用を落とすのは目に見えている。

 仕事中の  ” I don’t feel comfortable. 


△ 「 落ち着かない 」「 不安だ 」

適切とは思わない


” I feel uncomfortable. ”  と意味合いは同様だが、
以下のように、 ニュアンスに少々違いがある。

  否定の接頭辞 ” un “( ~でない )を加えた
” uncomfortable ” は、「 comfortable でない」。

すなわち、 「 心地よくない 」「 不愉快である 」。

” comfortable ”  のみを否定する < 語否定 > となる。

【発音】  ʌnˈkʌm.fɚ.t̬ə
【音節】  un-com-fort-a-ble  (5音節)

  これに対し、” I don’t feel comfortable. ”
の場合、 ” feel comfortable ” を否定している。

否定が文全体に及び、結果的に < 文否定 > となる。

原則として、

< 文否定 > は < 語否定 > より、
否定の度合いが強め

  • I don’t feel comfortable.( 文否定 )は、
  • I feel uncomfortable.( 語否定 )に比べ、

強い否定


よって、前者( don’t )は、「 適切と思わない 」旨を、
ぐっと強調して 相手に伝えることができる。

つまり、

” Don’t ” ( ドント )は、

 

相当きつい否定 なので、

対人用途では 要注意!

 

やめろ !嫌だ !

と 命令・峻拒 する に近い


【参照】

need ” と “ want ” は 「 差し迫った要求 」 →  対人用途では高リスク


◆  ” don’t ”  は、 もともと  ” do not ” の縮約形。

※  助動詞( してはならない )、 名詞( 禁止事項 )もある

破裂音[d]で飛ばす「 1音節 」 の迫力満点な響きが、
語感・語気・語調にかなり影響しているに違いない。

【発音】  dóunt
【音節】  don’t (1音節)

ぴしゃっと 「  やめろ !  」 という感じ。

「 音節 」の日英比較は、” integrity ”  で事細かにご案内している。


  否定の接頭辞 ” un “、” in “、” non ” が同じ語につく場合、

強い否定の順に、 in  >  un  >  non

◇  これらの「 接頭辞 」以上に 強い否定 が、副詞 ” not ”

副詞 ” not ”  >  接頭辞 ” in ”  >  ” un ”  >  ” non “

■  < 文否定 > と < 語否定 > は、
副詞 ” not ” の説明によく用いられる。

したがって、 接頭辞( prefix )に適用する場合、本来
の文法定義とやや異なるが、 趣旨は重なるため準用した。

◆  意見を英語で伝える際に、

下手に謙遜すると 混乱を招く。

受け手にしてみれば、「 なに言いたいの 」という印象。

遠慮して、 相手を当惑させるくらいなら、
誤解のない 素直な口調の方がベターかも。

相手の提案・要求に納得できず、

絶対に断りたい 


断る気満々

 

< 理由 > を論理的に説明できる。


そんな時にお勧めしたい表現が、
” I don’t feel comfortable. ” である。

◆  最後に、今年2017年に私が送付した
お断りメールの一部を、 3つご紹介する。

宛先は、 他部門の私に 仕事を丸投げ してきた、
怠惰で ずさんクソ 部署である。

かすかに悔しさを帯びているどころか、
いまいましく、 癪に障ったもんだ。

(1)
” I don’t feel comfortable translating their comments.
I didn’t sign an NDA and I’m not supposed to see them. ”

( 彼らのコメントを、私が翻訳するのは不適切と考えます。
私は守秘義務契約に署名しておらず、それらのコメントに目を
通すことは許されていないはずです。)

※  ” NDA “( non-disclosure  agreement
=  守秘義務契約、 機密保持契約

(2)
” I don’t feel comfortable interpreting at the meeting.
I believe your subordinate would feel the same
if I were to interpret the disciplinary action against him. ”

( 私がその会議で通訳するのは不適切と考えます。
あなたの部下に対する懲戒処分を私が通訳するのは、
その方にとっても違和感があるでしょう。)

※  ” disciplinary  action ”  =  懲戒処分

(3)
” I don’t feel comfortable doing this task for you.
I’m not on your team and I don’t know anything about you. ”

( あなたのために私がこの仕事を行うのは不適切だ
と考えます。私はあなたのチームの一員ではなく、
あなたのことは一切知りません。)

※  カチンときたので、ぶしつけ

 

◆  もう1つ、 押さえておきたい 効果抜群 の断り表現が、

I hope you understand. ” 

( ご理解いただければ幸いです。)

 

【関連表現】

” comfortable in one’s own skin ”
https://mickeyweb.info/archives/31604
( ありのままの 〇〇 自身 で心地よい  )

 

 

 

 

 

 

 

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