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Aging

      2020/01/05

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老朽化した、経年劣化した

老化」といえば、”aging”。

こう覚えておけば、とりあえず通じる。

<形容詞 / 不可算名詞 / 自他動詞の現在分詞形>

“aging” = 老化・老化した・老化する

人間・動物・植物・建物・施設・機械・物品
など、おおかたカバー

日本語の「老化」と同じく応用が利く。

<最適>な表現とは限らないが、当たらずとも遠からず。
大きく外れることはない。

 

◆ “aging” には、上掲の通り、形容詞名詞(不可算)・
自動詞及び他動詞の現在分詞形がある。

イギリス英語では “ageing” とつづることもある。

“aging” は “age” から派生した。
“age” には、名詞(可算、不可算)・自動詞・他動詞
があり、語源はラテン語「生涯」「時」(aevum)。

品詞にかかわらず、”age” の基本的意味は語源に忠実で、
「時」に直結する。

そして、”aging” もこの流れを汲んでいる。

– 形容詞
老化した「年代物になってきた」
– 不可算名詞
「老化」「高齢化」
– 自動詞の現在分詞形
「年をとる」「古くなる」
– 他動詞の現在分詞形
「年をとらせる」「古めかせる」

◆ LDOCE6(ロングマン)の “aging” は明解である。

– 形容詞:
becoming old.

– 不可算名詞:
the process of getting old.

– 自動詞・他動詞の現在分詞形
1. to start looking older or to make someone
or 
something look older.
2. to become older.

ところで、「劣化」と言えば、形容詞 “old”(古い、
年老いている) を想起する英語学習者は少なくない。

しかし、これは適切ではない。

新しくても(若くても)、劣化の著しいケースは
あり、その逆も少なくない。
<古い=劣化>とは限らない。

したがって、”old” の単独使用は「劣化」の英訳
として誤訳となる。

「劣化」の主な英語は、不可算名詞の

deterioration“(ditìəriəréiʃən
degradation“(dègrədéiʃən

自他動詞の “deteriorate” と ”degrade”
の名詞形である。

それぞれに形容詞 “aging”(または、同 “aged”)
を前付けすれば「経年劣化」となる。

  経年劣化【経年劣化】
年月を経て製品の品質や性能が低下すること。
(大辞林 第三版)

  • aging deterioriation
  • aging degration
  • aged deterioration
  • aged degration

実務では、
上記 “aging” や “aged” 抜き
「経年劣化」と訳されることが多々ある。

こう見ると、”old” は「劣化」に直結しない一方、
なぜ “aging” ならOKなのか、疑問に思う。

“old” には形容詞と名詞があり、最も基本となる
形容詞「老化した」は “aging” と重なる。

最大の違いは、”old” は「老化した」状態そのもの
の表現なのに対し、
“aging” は老化のプロセスに着目している点である。

“the process of getting old”(上記 LDOCE6 赤字)
“the process of becoming older”(Wikipedia
と定義されるように、

aging” は、
経過(process)による変化を含む表現

その時点での老いた様子を示す “old” と異なる。

※ “getting old” であれば、変化を示す

だからこそ、<old = 劣化>にはならず、
<aging = 劣化> はありうるのである。

“old” には動詞がないのに対し、”aging” に
自動詞・他動詞があるのも無関係でない。

和訳は同然なので、混乱しやすい。

「老化した」または「年老いた」だが、
静的な “old” と動的な “aging” の違い
は、押さえておきたい。

 

 

もっとも、“aging” の基本イメージは “old” と
等しくネガティブである。

ただ、単に毛嫌いされているだけでなく、
「生あるもの」「形あるもの」の宿命として、
諦念とともに受容されている感がある。

◆ その反面、”aging” は経年変化によって熟成させる
技法を指す専門用語でもある。

すなわち「ねかす」こと。

自動詞・他動詞の “aging” には、先に挙げた2つ
に加えて、次の意味もある。

“aging”

3. to improve and develop in taste over a period
of time, or to allow food or alcohol to do this.

(ロングマン、LDOCE6)

※ 下線は引用者

– 自動詞の現在分詞形「熟成する」
– 他動詞の現在分詞形「熟成させる」

この用法の具体例を挙げる。

  • 電化製品:
    工場出荷前に初期不良除去と特性安定化のため、
    製品に通電すること。「ならし」。
  • ファッション・家具:
    わざと使い込まれたように渋くみせること。
    風合いを再現すること。「エイジング加工」。
  • チーズ・酒・木材:
    「熟成」「ねかし」
  • 冶金:
    「時効硬化」「ねかし」
  • コレクション全般:
    「年代物」「アンティーク加工」

どれも、経時に伴う製品の変化を味方にし、
商品価値を上げている。

“improve and develop”(LDOCE6 下線)である。

◆ 一方、人間はどうか。

悲しいかな、人間の “aging” は「老い」一筋。

ポジティブな意味合いを期待して、懸命に調べたが、
<加齢を前向きに捉えよう>の論調の記事が
辛うじて見つかるばかり。

つまり、「アンチエイジング」か「エイジングケア」
の一点張り。

日本語の【老】には、「物慣れる」「長い経験を積む」
の意味も含み、「老熟」「老成」「老練」の印象は良好。

これらの代表的な英訳は、以下の通り。

  • 形容詞・自動詞・他動詞・名詞 “mature
  • 形容詞・自動詞・他動詞・名詞 “mellow
  • 形容詞 “experienced” 

結局、人間の「老熟」「老成」「老練」と “aging”
を確実に結びつける拠り所は見つからなかった。

人間の場合、上記 LDOCE の語釈「3」は対象外なのだろうか。

  • “rapidly aging population”
    (急速に高齢化する人口)
  • “aging baby-boomers”
    (高齢化しつつある団塊世代)
  • “an aging society”
    (高齢化社会)
    ※ 3つとも、現代日本を表すのに多用される
  • “aging actresses”
    (老いつつある女優たち)
  • “an aging building”
    (老朽化している建物)
  • “due to aging”
    (老化のため)
  • “My parents show some signs of aging.”
    (両親に老化の兆候が見られている。)
  • “We need to dismantle aging plants”
    (老朽化している工場を解体する必要がある。)
  • “Hearing loss is often a part of aging.”
    (難聴は加齢に伴うものであることが多い。)

【類似表現】

decrepit“ ※ 形容詞

1.(人が)老いぼれた、よぼよぼの
2. (物が)老朽化した、おんぼろの
3.(経済などが)弱体化した

【発音】dikrépit

 

 

 

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