プロ翻訳者の単語帳

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This is not the case.

      2022/09/27

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 4 minutes

(1) これは該当しない、 そうではない、 そのことではない
(2) これは事実ではない


直訳は「 これは、そのケースではない 」。

とにかく、 確信を持って、

「 そうではない 」

と言いたい。

 

【 趣旨 】

内容を 真っ向から 否定したい

◇  「 そのケース 」に該当しない
◇  これは 「 無関係 」 「 違う 」


こう結論づけている。

口語使用が目立つ印象だが、文面でも使える。

◆  主な意味は2つ。

(1) これは該当しない、そうではない、そのことではない
(2) これは事実ではない

どちらかの場合も、両方使える場合もあるので、文脈で判断する。

和訳として、「 これは 」の代わりに「 それは 」でもよいだろう。

この2つも日頃より見聞きする。

  •  That is not the case. 
  •  That’s not the case. 

指示代名詞  ” this ” と ” that ” は、日常的には、
そう厳密に区別されていない模様である。

ポイントは ” case “。

【発音】  kéis  (1音節)

名詞のみの単語で、 かなり多義。

可算名詞と不可算名詞を兼ねる。

英単語全体における位置づけは、 最高レベル。

すなわち、 最頻出かつ最重要の英単語。

  •  重要度:最上位 <トップ3000語以内>
  •  書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
  •  話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
  •  ” case ”  の語源は、 ラテン語 「  落下  」 ( casus )
  • 「  落ちてくるもの  」  →  「  降って( 沸く )
    から  「  事例  」 になった
  •  ” cascade “( 滝 )、 ” occasion ” ( 出来事 ) と同源


◆  名詞 ” case ” の基本的意味は、 日本でも多用されている感がある。

  •  場合 
  •  事例 
  •  真実 
  •  真相 
  •  状態 
  •  訴訟 
  •  事件 
  •  該当者 

こちらでもお馴染み。

  •  ケーススタディ
    ( 事例研究 )
  •  ケース バイ ケース
    ( 一件一件 )
    →  一律ではなく、 場合  場合  に応じて個別対応

上記はいずれも可算名詞なので、 不定冠詞  ” a ”  が基本。

多義とはいえ、 どうにか語源から連想可能な意味合いが大半。

「 落下 」 → 「 落ちてくるもの 」 → 「 降って( 沸く )


どれも、 どことなく厄介な雰囲気を帯びる。

【ご注意】

「 容器 」の ” case ” は、 完全に別物

発音・音節は同じ。

–  語源は、 ラテン語 「 箱 」 ( capsa )
–  原義は、「 握る 」「 つかむ 」
–  可算名詞中心だが、 他動詞 「 箱に入れる 」 もある

【発音】  kéis  (1音節)

◆  ” This is not the case. ” の ” case ” は、
上記の基本的意味をそのまま適用。

(1)  これは該当しない
そうではない、そのことではない


case ”  =  事例 場合

< 直訳 >
・  これはその事例ではない
・  これはその場合ではない

(2)  これは事実ではない


case ”  =  事実 真相

< 直訳 >
・  これは事実ではない
・  これは真相ではない


既記のように、 これらの意味の ” case ” は可算名詞のため、
冠詞は不定冠詞  ” a ”  が原則。

けれども、 この用法では、 定冠詞  “ the ”  となる。

理由は次の通り。

(1) これは該当しない、 そうではない、 そのことではない

→  その 事例、 その 場合  =  特定 の対象を指す

(2) これは事実ではない

→  「 事実 」「 真実 」は、 本質的に 1つ だけ存在する


◆  ” This is not the case. ” は、副詞  ” not ” を用いて、
その 内容を強く否定する。

「 違います!」と 言い切る勢い


よって、根拠を示す 自信がない限り、やたらと使う文言ではない。

否定は簡単にできる。

だが、 求めに応じて、 その理由や対案を論理的に
提示できなければ、 信用は得られにくいのが現実。

  • “No, this is not the case.”
    (いいえ、そうでありません。)
    (いいえ、これは事実でありません。)
  • “This is not the case in the US.”
    (米国では、そうでないです。)
    (米国では、事実でないです。)
    (米国には、当てはまりません。)
  • “I guess this is not the case.”
    (どうやら、そうでないようです。)
    (どうやら、事実でないみたいです。)
    ※  ” guess ”  →  他動詞・自動詞・名詞「 推測(する)」
  • “If this is not the case here, then I have to think again.”
    (もしそうでないなら、自分の考えを改めなければ。)
    (もし事実でないなら、自分の考えを改めなければ。)
  • “My experience tells me this is not the case.”
    (私の経験上、これは該当しません。)
    (私の経験上、これは事実ではありません。)
  • “That isn’t the case anymore.”
    (もはや、そうではない。)
    (もはや、それは該当しない。)


◆  逆に、譲歩する際、

これまでの否定の副詞  ” not ”  に代わって出てくるのが、
「 仮定・条件 」の従属接続詞  ” if ” ( もしも ~ なら )。

  •  If that is the case – 
  •  If that’s the case – 
  •  If this is the case – 

仮定・条件 「 もしも、その内容通りである なら 」 の意。

(1)
もしも、 これに該当するなら ~
もしも、 そうであるなら ~
もしも、 そのことであるなら ~

(2)
もしも、 これが事実であるなら ~


しかし、 あくまでも「 仮定・条件 」の If

「 If 関数 」の ” If ” ( 条件指定 )と重なる機能。

仮定の話では、 力説できず、 説得力もない。

それゆえ、 表題  ” This is not the case. ”  にみなぎる、

「 違います!」と 言い切る勢い


こうした迫力には欠ける。

それもあってか、 さほど見聞きしない、 地味な言い回しの印象。

 

◆  真っ向から、 確信を持って否定するのではなく、

やんわりと疑念を挟みつつ 推量 する  には、

助動詞  ” would ”  を用いて、

  •  That would not be the case.
  •  きっとそうならないだろう。
  •  おそらくそれはないだろう。

使用場面は、 仲間が楽観的な見通しを話した時に、
自分としては、「 それはないね  」 と感じる時。

このまま仲間に述べても、 反発されにくいはず。

会話の流れとして、 この用法の  ” would ”   であれば、
主張を和らげる  婉曲 ・丁寧 の  ” would “  も兼ねる。

語気・抑揚に配慮しながら、 ゆっくり穏やかに語れば、

まずそれはないでしょう 」 くらいに聞こえる。

以下と同じ機能の  婉曲 ・丁寧  ” would ”  である。

  •  would  say  –  .
  •  I’d  say – .  ( 縮約形 )

断定を回避しつつ、 自らの考えをはっきり述べる際に便利。


◆  助動詞 ” would ” の作用は、 非常に多くて悩ましい。

LDOCE6( ロングマン )の指標によれば、

  •  重要度:最上位 <トップ3000語以内>
  •  書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
  •  話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>

【発音】  wəd  (1音節)

英単語全体における立ち位置が、 最高水準の   ” would “。

” case ” と同等ランク。

駆使できないと、 英語は使いこなせないと言うに等しいほどの
最重要単語なのだが、 扱いにくさは  ” case ”  の比ではない。

日本語との共通点が多い、 名詞 ” case ”  とは段違いの複雑さ。

◆  語源は、 古英語  ” wolde “。

古英語  ” wyllan ” ( ~ しようと欲する ) の過去形である。

ドイツ語  ” wollen ” ( したい )、 ラテン語  ” velle ” ( 望む )
と同源。

◆  丁寧の真逆に近い、 いらだちの  ” would “  も頻出。

  • ” Why would she do that ?
    ( そんなこと、彼女がやるかよ )
    ( なんで彼女がそんなことするんだ。)

どんな辞書を調べても、 語義がずらりと居並ぶ  ” would “。

頭で理解するのは、 大したことない気もするが、
本当に分かるようになるまでは、 実に大変。

「 最難関の助動詞 」 と私は受け止めている。

「 最難関の英単語 」 のひとつかもしれない。

私たち日本人学習者にとって、 それほど難しいと思う。

” would ” は、 複雑多岐を極める含みが多すぎる。

母語にないタイプで、 イメージしずらく、 把握困難。

だから、 口に出して、 書き出して、 実際に使ってみて、
恥をかきつつ学びました。

 

◆  使ったことのない  ” would ”  を見聞きしたら、
その文脈を丸ごと即日 「 単語帳 」 に加える習わし。

そして、 すぐさま真似して、 しれっと自分で使ってしまう。

昨日学んだばかりでも、 今日のメールに忍び込ませたりする。

せっかく学んだ表現、 高揚感が冷める前に、 ちゃっかりと起用。

使い道を作り出し、 速やかに実行して、 一気に脳に焼き付ける。

こうすれば、 自律性・能動性を保ちながら、 ずんずん学習が進む。

どんどん使ってやれば、 新入りも喜び、 ちゃんと定着してくれる。

【参照】  ” What’s the use of – ? “、 「 Gmail 」 で作る単語帳


長年こうした努力を積み重ねても、  次々新鮮な用法が出てくる
ため、 ” would ”  は一貫して 「 最難関の英単語 」 なのです。

夜昼お構いなく、 助動詞  ” would ” には過敏になっている有様。

英語ネイティブが気軽に取り出す姿を見ると、 うらやましくなる。

悔しいわ。

【参照】  ” Will you marry me ? ”  は、 怖すぎる求婚か

 

【類似表現】

“That’s a different story.”
https://mickeyweb.info/archives/15229
(それは話が違う。)

 

 

 

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