This is not the case.
2022/12/14
(1) これは該当しない、 そうではない、 そのことではない
(2) これは事実ではない
–
直訳は「 これは、そのケースではない 」。
とにかく、 確信を持って、
「 そうではない 」
と言いたい。
【 趣旨 】
内容を 真っ向から 否定したい
◇ 「 そのケース 」に該当しない–
◇ これは 「 無関係 」 「 違う 」
–
こう結論づけている。
口語使用が目立つ印象だが、文面でも使える。
–
◆ 主な意味は2つ。
(1) これは該当しない、そうではない、そのことではない
(2) これは事実ではない
どちらかの場合も、両方使える場合もあるので、文脈で判断する。
和訳として、「 これは 」の代わりに「 それは 」でもよいだろう。
この2つも日頃より見聞きする。
- That is not the case.
- That’s not the case.
指示代名詞 ” this ” と ” that ” は、日常的には、
そう厳密に区別されていない模様である。
–
◆ –ポイントは ” case “。
【発音】 kéis (1音節)
名詞のみの単語で、 かなり多義。
可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
英単語全体における位置づけは、 最高レベル。
すなわち、 最頻出かつ最重要の英単語。
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
–
◆ 名詞 ” case ” の基本的意味は、 日本でも多用されている感がある。
- 場合
- 事例
- 真実
- 真相
- 状態
- 訴訟
- 事件
- 該当者
こちらでもお馴染み。
- ケーススタディ
( 事例研究 )
– - ケース バイ ケース
( 一件一件 )
→ 一律ではなく、 場合 場合 に応じて個別対応
上記はいずれも可算名詞なので、 不定冠詞 ” a ” が基本。
多義とはいえ、 どうにか語源から連想可能な意味合いが大半。
「 落下 」 → 「 落ちてくるもの 」 → 「 降って( 沸く )」
–
どれも、 どことなく厄介な雰囲気を帯びる。–
–
【ご注意】
「 容器 」の ” case ” は、 完全に別物。
発音・音節は同じ。
– 語源は、 ラテン語 「 箱 」 ( capsa )
– 原義は、「 握る 」「 つかむ 」
– 可算名詞中心だが、 他動詞 「 箱に入れる 」 もある
【発音】 kéis (1音節)
–
–
◆ ” This is not the case. ” の ” case ” は、
上記の基本的意味をそのまま適用。
–
(1) これは該当しない
そうではない、そのことではない
–
” case ” = 事例、 場合
< 直訳 >
・ これはその事例ではない
・ これはその場合ではない
–
(2) これは事実ではない–
–
” case ” = 事実、 真相
< 直訳 >
・ これは事実ではない
・ これは真相ではない
–
既記のように、 これらの意味の ” case ” は可算名詞のため、
冠詞は不定冠詞 ” a ” が原則。
けれども、 この用法では、 定冠詞 “ the ” となる。
理由は次の通り。
(1) これは該当しない、 そうではない、 そのことではない
→ その 事例、 その 場合 = 特定 の対象を指す
(2) これは事実ではない
→ 「 事実 」「 真実 」は、 本質的に 1つ だけ存在する
–
◆ ” This is not the case. ” は、副詞 ” not ” を用いて、
その 内容を強く否定する。
–
「 違います!」と 言い切る勢い–
–
よって、根拠を示す 自信がない限り、やたらと使う文言ではない。
否定は簡単にできる。
だが、 求めに応じて、 その理由や対案を論理的に
提示できなければ、 信用は得られにくいのが現実。
- “No, this is not the case.”
(いいえ、そうでありません。)
(いいえ、これは事実でありません。)
– - “This is not the case in the US.”
(米国では、そうでないです。)
(米国では、事実でないです。)
(米国には、当てはまりません。)
– - “I guess this is not the case.”
(どうやら、そうでないようです。)
(どうやら、事実でないみたいです。)
※ ” guess ” → 他動詞・自動詞・名詞「 推測(する)」
– - “If this is not the case here, then I have to think again.”
(もしそうでないなら、自分の考えを改めなければ。)
(もし事実でないなら、自分の考えを改めなければ。)
– - “My experience tells me this is not the case.”
(私の経験上、これは該当しません。)
(私の経験上、これは事実ではありません。)
– - “That isn’t the case anymore.”
(もはや、そうではない。)
(もはや、それは該当しない。)
–
–
–
◆ 逆に、譲歩する際、
これまでの否定の副詞 ” not ” に代わって出てくるのが、
「 仮定・条件 」の従属接続詞 ” if ” ( もしも ~ なら )。
- If that is the case –
- If that’s the case –
- If this is the case –
仮定・条件 「 もしも、その内容通りである なら 」 の意。
(1)
もしも、 これに該当するなら ~
もしも、 そうであるなら ~
もしも、 そのことであるなら ~
–
(2)
もしも、 これが事実であるなら ~
–
しかし、 あくまでも「 仮定・条件 」の If。
「 If 関数 」の ” If ” ( 条件指定 )と重なる機能。
仮定の話では、 力説できず、 説得力もない。
それゆえ、 表題 ” This is not the case. ” にみなぎる、
「 違います!」と 言い切る勢い–
–
こうした迫力には欠ける。
それもあってか、 さほど見聞きしない、 地味な言い回しの印象。
◆ 真っ向から、 確信を持って否定するのではなく、
やんわりと疑念を挟みつつ 推量 する には、
助動詞 ” would ” を用いて、
- That would not be the case.
- きっとそうならないだろう。
- おそらくそれはないだろう。
使用場面は、 仲間が楽観的な見通しを話した時に、
自分としては、「 それはないね 」 と感じる時。
このまま仲間に述べても、 反発されにくいはず。
会話の流れとして、 この用法の ” would ” であれば、
主張を和らげる 婉曲 ・丁寧 の ” would “ も兼ねる。
語気・抑揚に配慮しながら、 ゆっくり穏やかに語れば、
「 まずそれはないでしょう 」 くらいに聞こえる。
以下と同じ機能の 婉曲 ・丁寧 ” would ” である。
- I would say – .
- I’d say – . ( 縮約形 )
断定を回避しつつ、 自らの考えをはっきり述べる際に便利。–
- I wouldn’t argue with that.
( それに反論はいたしません。)
( それに異論はございません。)
( 私なら反論はしませんね。)
–
–
◆ 助動詞 ” would ” の作用は、 非常に多くて悩ましい。
LDOCE6( ロングマン )の指標によれば、
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
【発音】 wəd (1音節)
英単語全体における立ち位置が、 最高水準の ” would “。
” case ” と同等ランク。
駆使できないと、 英語は使いこなせないと言うに等しいほどの
最重要単語なのだが、 扱いにくさは ” case ” の比ではない。
日本語との共通点が多い、 名詞 ” case ” とは段違いの複雑さ。
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◆ 語源は、 古英語 ” wolde “。
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古英語 ” wyllan ” ( ~ しようと欲する ) の過去形である。
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ドイツ語 ” wollen ” ( したい )、 ラテン語 ” velle ” ( 望む )
と同源。
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◆ 丁寧の真逆に近い、 いらだちの ” would “ も頻出。
- Why would she do that ?
( そんなこと、彼女がやるかよ。 )
( なんで彼女がそんなことするんだ。)
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どんな辞書を調べても、 語義がずらりと居並ぶ ” would “。
頭で理解するのは、 大したことない気もするが、
本当に分かるようになるまでは、 実に大変。
「 最難関の助動詞 」 と私は受け止めている。
「 最難関の英単語 」 のひとつかもしれない。
私たち日本人学習者にとって、 それほど難しいと思う。
” would ” は、 複雑多岐を極める含みが多すぎる。
母語にないタイプで、 イメージしずらく、 把握困難。
だから、 口に出して、 書き出して、 実際に使ってみて、
恥をかきつつ学びました。
◆ 使ったことのない ” would ” を見聞きしたら、
その文脈を丸ごと即日 「 単語帳 」 に加える習わし。
そして、 すぐさま真似して、 しれっと自分で使ってしまう。
語学の基本は 「 真似 」 だから、 幼児のように無邪気に真似る。
昨日学んだばかりでも、 今日のメールに忍び込ませたりする。
せっかく学んだ表現、 高揚感が冷める前に、 ちゃっかりと起用。
使い道を作り出し、 速やかに実行して、 一気に脳に焼き付ける。
こうすれば、 自律性・能動性を保ちながら、 ずんずん学習が進む。
どんどん使ってやれば、 新入りも喜び、 ちゃんと定着してくれる。
【参照】 ” What’s the use of – ? “、 「 Gmail 」 で作る単語帳
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長年こうした努力を積み重ねても、 次々新鮮な用法が出てくる
ため、 ” would ” は一貫して 「 最難関の英単語 」 なのです。
夜昼お構いなく、 助動詞 ” would ” には過敏になっている有様。
英語ネイティブが気軽に取り出す姿を見ると、 うらやましくなる。
悔しいわ。
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【参照】 ” Will you marry me ? ” は、 怖すぎる求婚か
◆ お勧め YouTuber ( ユーチューバー ) は、 ” No need ” でご案内。
ゴムのように伸縮自在な口唇と舌を持ち、 口周りの運動が大振りなため、
舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が分かりやすい、 推しの英語ネイティブ。
これほど分かりやすい口元の動きを示す英語話者を、 私は見たことない。
見本にする英語の先生を選ぶ際は、 ベロ出しの有無が目のつけ所。
平板で均一なリズムの日本語が母語の私たちの口周りは、 こんな風に動かない。
普段は 舌運び を意識しないからこそ、 物珍しい眺めでびっくりするはず。
” integrity ” 、 ” smooth out “、 ” hiatus ” にて、 学習上の着目点を
事細かに記した。
【類似表現】
“That’s a different story.”
https://mickeyweb.info/archives/15229
(それは話が違う。)