プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Without further delay

      2018/03/26

これ以上遅れることなく、少しでも早く

「少しでも早く」を意味する<3語ワンセット>。
文頭・文中・文末どこでも可。また、筆舌不問。
口頭では、研修や説明会などで司会進行役がよく使う。

状況を先に進めようと、急かすための決まり文句。
既に遅れている現状を意識している
ことを示唆するのが、形容詞 “further”(これ以上の)。

もっとも、ほとんど遅れていない状態であっても、
「少しでも早く」「遅延なく」「すぐさま」
の意味で使われることも多々ある(例文参照)。
この場合、「少しでも遅れる余地を与えない」意味で
“further” を用いている。
【関連表現】
without any delay“(遅らせることなく、即刻)

◆ 急がせる行為は、その場の雰囲気と安定を乱すため、
当事者に緊張感をもたらす。
言い方を間違えると、反発を招くだけ。

その点、表題のような決まり文句であれば、
皆が聞き慣れている。
そのため、心情を刺激することなく、意図を伝達
しやすい利点がある。

文面でも同様の効果が期待できる。

事を荒立てたくない場合は、変に個性を出さずに、
日常に馴染んだ決まり文句を上手に練り込むとよい。
時宜を見計らって、さらりと流せば、相手を興奮
させることなく、聞き入れてもらえたりする。

英語として大切なのはもちろんだが、問題解決手段
としても役立つのが、決まり表現や常套句である。
そのため、弊サイトでは優先的に取り上げている。

◆ “without further delay” の使用単語は、
どれも基本。ここでの意味も基本的意味。
中級学習者であれば既習であろう。

それぞれ見ていく。まず “without”から。

without” には、前置詞・副詞・名詞
・接続詞がある。

– 前置詞「~なしに」「~にしないで」
– 副詞「外側に」「なしで」
– 名詞「外側」 ※ 文語、まれ
– 接続詞「~でなければ」 ※ 文語、まれ

ここでは、前置詞「~なしに」。

語源は、古英語 “withūtan”。中身は、
前置詞 “with”(一緒)+接尾辞 “out”(離れて)
で、「一緒でない」→ 「~はない」。

<with または within の反対> のイメージ
で、すべての品詞は一貫している。
前置詞が最頻出で、副詞が続く。
名詞と接続詞は、マイナー用法。

◆ “further” には、副詞・形容詞・他動詞
がある。

語源は、古英語「さらに前へ」(furthor)。
“forth” と同根で、この比較級に当たる。

– 副詞「もっと遠くへ」「これ以上に」
– 形容詞「もっと遠い」「さらに進んだ」「これ以上の」
– 他動詞「さらに進める」「促進する」

副詞・形容詞 “farther” も「さらに遠く」。
同じ “far” の比較級なので、似た成り立ち、意味、
そして発音(後述)。

“further” の方が、重要度も頻出度もずっと高い。
副詞 “further” は、前置詞 “without” と同じく、
英単語として最頻出かつ最重要。すなわち、

  • 重要<トップ3000語以内>
  • 書き言葉頻出<トップ1000語以内>
  • 話し言葉頻出<トップ1000語以内>

どれも最高ランクの位置づけにある。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)

一方、”farther” はすべてランク外。
位置づけの大差のためもあって、最近では “further”
に取って代わられている。

In everyday English, people usually say
further rather than farther, and furthest
rather than farthest.
(LDOCE6)

従来は、副詞・形容詞ともに、次のように
区別されてきた。

表題では、形容詞「これ以上の」。

◆ “delay” には、名詞・他動詞・自動詞
がある。名詞は、可算・不可算を兼ねる。

語源は、古フランス語「遅れる」(delaier)。
発音は「ディイ」(diléi)。
アクセントが後半に来るので、要注意。

– 名詞「延期」「遅延」「遅れること」
– 他動詞「遅延する」「遅らせる」
– 自動詞「遅れる」

ここでは、不可算名詞「遅れること」。

以上より、”without further delay” の
直訳は、「これ以上、遅れることなしに」。
何らひねった点はない。
すべてが基本レベルなのは、既述の通りである。

◆ では、使用例を見ていこう。
冒頭に記したように、文面・口頭及び
文頭・文中・文末を問わない。

各使用場面の合計6文を挙げてみる。

<文面>

  • Without further delay, he set up
    the second appointment.”
    (彼はすぐさま2回目のアポを取り付けた。)
  • “Detainees should be given a fair trial
    without further delay or be released.”
    (収容者に対し、すぐさま公正な裁判を行うか、
    解放するべき。)
  • “The government should publish its plans
     without further delay.
    (政府はこれ以上遅らせずに計画を公表すべきである。)

<口頭>

  • Without further delay,  I present you the
    photograph of the dog.”
    (ではさっそく、その犬の写真をお見せしましょう。)
  • ”I will make sure that payments are processed
    without further delay by my team.”
    (支払いがこれ以上遅延しないように、私
    のチームに確実に処理させます。)
  • “We have to start construction
    without further delay.”
    (これ以上引き伸ばさずに、工事を始めないと。)

【関連表現】
“without further ado”
(それでは、さっそく本題に入りましょう)

※ “ado” = 中英語の “at do”
名詞「騒ぎ」「面倒」「遅滞(delay)」
発音:アドゥー(ədúː

“until further notice”
https://mickeyweb.info/archives/159
(改めて通知するまでの間)

 

 

 

 

Sponsored Link




Jetpack

 - 英語, 英語フレーズ