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Wacky / Wacko

      2018/06/15

風変わりな、奇妙な人

風変わりな人物や商品が持てはやされる時代である。
YouTube をはじめとする動画サイトでも、一昔前なら
鼻つまみ必至だった、はちゃめちゃな言動が話題となり、
世界中に拡散される現象は珍しくなくなっている。

見る分には面白いから、と奇想天外な個性が
受け入れられるようになったのかもしれない。

形容詞 “wacky” と可算名詞 “wacko” は、こんな
時代を象徴すると考えるのでご紹介したい。

型破りで、人々に楽しい興奮をもたらす突飛な
様子が “wacky”。その主体が “wacko”。
※ “wacko” には、形容詞用法もある(例文参照)

■ “wacky“(wǽki) =
informal
silly in an exciting or amusing way.
SYN: crazy

□ “wacko“(wǽkou) =
informal
a crazy or strange person.

(ロングマン、LDOCE6)

※ SYN = 同義語(synonym)
下線は引用者

ッキー」と「ッコー」。親しみやすい発音。

2語とも “informal” とある。
くだけた、非正式の表現との意味。
正式な言い回しではないものの、基本的に “slang”
のもつような下品さはない。

その証拠に、トークショーなどで司会者が用いたりする。

“wacky” の初出は1930年代半ば。
語源は動詞 “whack”(ひっぱたく)。
さらに、”wacko” の初出は1970年代。
“wacky” に接尾辞 “o”(~である人)を加えたもの。

上記LDOCE6の語釈は好意的である。
その他5点の英英辞典は、以下の通り。

■ “wacky“(各上段) =
□ “wacko“(各下段) =

funny or amusing in slightly crazy way.
□ crazy; not sensible
(オックスフォード、OALD9)

■ unusual in a pleasing and exciting or silly way.
□ a person whose behavior is strange and different
from that of most people.
(ケンブリッジ、CALD4)

■ eccentric, unusual, and often funny.
□ you are saying in an unkind way that they are strange
and eccentric.
(コウビルド(COBUILD)/ Collins)

■ funny, or silly.
□ crazy, or very strange.
マクミラン

■ amusing and very strange.
□ a person who is crazy or very strange and unusual.
メリアム ウェブスター)

※ 合計10点すべてに “informal” 表示あり

形容詞 “wacky” の語釈では、「愉快な」を意味する “funny” と
“amusing” が最頻出である。
一方、可算名詞 “wacko” は、”crazy”(正気でない) と “strange”
(奇妙な)が最多。

以上より、両者の意味合いを感じ取ることができるのではないだろうか。

定訳に近い日本語は、“wacky” は「風変わりな」。
“wacko” が「奇妙な人」。
上記<緑字>の比較で分かるが、”wacky” 
は好意的、
“wacko” はそうでない。

平たく例えると、それぞれ「イカれた」「変人」という感じ。

該当する語釈を国語辞典から引用すると、

◆「風変り」「風変わり」「風変」=

・ おもむき・ありさま・性格・行動などが普通とはちがっていること。
(広辞苑 第七版)

・ 様子や性質などが普通と変わっている・こと(さま)。
(大辞林 第三版)

・ 性癖や様子、行動などが普通と変わっているさま。また、その人。
(精選版 日本国語大辞典)

◆「いかれる」=

頭がどうかなる。あるものに心を奪われる。
(広辞苑 第七版)

まともでなくなる。また、不良じみる。
(大辞林 第三版)

頭の働き、考え方がまともでなくなる。
ふぬけになる。
(精選版 日本国語大辞典)

同時に、主要な英和辞典を4冊調べたものの、英英辞典が
示したような “wacky” の好意的な語釈は見当たらなかった。

総じて「変わっている」で終始しているのが英和辞典。
一方、英英辞典6点の “wacky” 語釈は「面白い」中心である。
抽象的なイメージの言語化なので、日英間には溝は埋めがたい
要素がつきまとう。 これはやむを得ない。

本家は英英辞典なので、こちらの解釈に軍配が上がるだろう。
【参照】弊サイトがお勧めする EFL辞典 の選び方

ともかくも、文脈にかなり左右されるため、和訳時は気を遣う。

◆ 以前に比べて、社会全体の多様化が進み、普通と普通でない
(unusual)ものの基準があいまいになってきている。
これは日本に限らず、世界規模で見られる傾向であるらしい。

従来の基準から外れた少数派にとっては、個性を発揮しやすい時勢
が来たのだろう。
その代表的な活躍の場が、先の動画サイトだったりする。

“My father is wacky.”
(父は風変わりです。)

“My father is a wacko.”
(父は変人です。)

“I have some wacky ideas.”
(私は突飛なアイデアがあります。)

“My ideas are wacko.” ※ 形容詞用法
(私のアイデアはぶっ飛んでいます。)

“I don’t like your wacky opinions.”
“I don’t like your wacko opinions.”  ※ 形容詞用法
(あなたの変な意見が気に入らない。)

“I have many wacky friends.”
(私はたくさんの風変わりな友人がいる。)

“Many of my friends are wackos.”
(私の友人の多くは変人です。)

“Welcome to the wacky world of YouTubers.”
(ユーチューバーのイカれた世界にようこそ。)

“I watched wacky videos today.”
(今日、おかしなビデオを観ました。)

“This guy is a complete wacko.”
(彼は完全にやばい人。)

 

 

 

 

 

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