Not sit well with -
2018/10/01
~にとって納得できない
ニュース・ビジネス会話に出てくる。
心理的に「しっくりこない」「受け入られない」
という感じ。
“sit well with” の原則は否定文。
“sit” の直前に、副詞 “not” を置く。
この否定文の場合、”not” の前は、
“do” “does” “did” が一般的。
肯定文で使うこともある(後述)。
- not sit easily with –
- not sit right with –
- not sit comfortably with –
も同義だが、表題が最頻出。
「座る」意味での “sit” しか知らないと、
おそらく理解できない表現だろう。
◆ “sit” には、自動詞・他動詞・名詞がある。
圧倒的に使われるのは自動詞。
自動詞 “sit” は、実はかなり多義である。
基本的意味は、
– 自動詞「座る」「置かれる」「役職に就く」
– 他動詞「座らせる」「ベビーシッターをする」
– 名詞「座ること」「待ち時間」 ※ まれ
表題の “sit” は、マイナー用法の自動詞
「~を受け入れられる」「~に調和する」「~に合う」。
◆ “well” には、副詞・形容詞・名詞・間投詞
がある。
基本的意味は、
– 副詞「うまく」「十分に」「かなり」
– 形容詞「健康である」
– 名詞「よいこと」「繁栄」
– 間投詞「えーと」「まあ」「そうですね」
※ 井戸 “well” とは、語源の異なる別物
- 副詞 “not”(ない)
- 自動詞 “sit”(受け入れられる)
- 副詞 “well”(うまく)
- 対象の前置詞 “with”(~にとって)
よって、”not sit well with – ” の意味は、
「~にとって、うまく納得できない」
「~にとって、うまく受け入れられない」
「-」には対象者(目的格)を入れる。
me、him、her、us、them など。
「納得できない」状況だから、過去形(did)が多用される。
「納得できない」とは主観的な感情である。
内面(心)の作用なので、他者について述べる際は
<推測>となる。
だが、”not sit well with” の場合、
自動詞 “seem”(~のように見える)
などの動詞は、必ずしも必要としない。
実例を多数調べると、他人であっても、
「~にとって納得できないことだった」
と断言する方がむしろ普通である。
“She failed the exam and it did not sit well
with her.”
(試験に落ちたことは、彼女にとって
受け入れがたいことだった。)
“This result doesn’t sit well with me.”
(この結果に納得できなかった。)
“This did not sit well with John.”
(ジョンにはこれは納得いかないことだった。)
“His attitude just didn’t sit with me.”
(彼の態度は腑に落ちなかった。)
◆ 表題の否定文 “not sit well with – ” の他に、
肯定文 “sit well with – ” で使われる場合もある。
この “sit” も、上述のマイナー用法の自動詞
「~を受けいられる」「~に調和する」「~に合う」。
たが、否定文(原則)と異なり、「~に調和する」「~に合う」
の意味で使われるケースの方が多い。
よって、”sit well with – ” は、
「~にとって納得できる」に加えて、
「~によく調和する」「~によく合う」。
“I wonder whether this movie sits well with
Japanese people.”
(この映画は日本人に受け入られるだろうか。)
“I hope this outcome sit well with you.”
(あなたがこの結果に納得されることを望んでいます。)
“His efforts sit well with his mission.”
(彼の努力は任務に合うものだった。)
–
◆ こうして見ると、日本語の「座りがよい」
と意味合いが共通する要素があることに気づく。
すわり【座り・坐り】
1. すわること。
2. 据えたときの落ち着き具合。安定。
3. 人がある地位に着いたときの落ち着き具合。
(大辞林 第三版)
すわり【坐・座・据】
3. 心や考えなどのおちつき。
(精選版 日本国語大辞典)
“Top job sits well with her.”
(最高位の職は彼女に合う)
→ 坐りがよい
“My job sits well with my life goals.”
(私の仕事は人生の目的に合う。)
→ 坐りがよい