We'll see.
2020/01/05
そのうち分かる。様子を見てみよう。
会議でよく耳にする。
「ウォーシッ」などと聞こえる。
初めて接すると、意味不明だろう。
「’ll」は、”will” の縮約形。
よって、”We will see.” と同義。
<発言の趣旨>
そのうち分かるから、
-
しばらく様子を見よう。
-
今、こちらから動く必要はない。
-
(少々皮肉めいて)お手並み拝見。
基本的に中立的で無難な言葉だが、
時として日和見の印象が伴う
“we” は、複数の人称代名詞の主格「私たちは」。
“will” は、単純未来の助動詞「だろう」。
助動詞 “may” に比べ、確信のある推定となる。
“see” には、他動詞と自動詞がある。
語源は、古英語「見る」(sēon)。
動詞 “see” の特色は、「見る」にとどまらないこと。
他動詞も自動詞も、意味は多義に渡る上、
大半の用法が日常的に多用される点にある。
– 他動詞「理解する」「想像する」「考える」
「予測する」「体験する」「会う」
– 自動詞「理解する」「確かめる」「考える」
「気をつける」
頻出の相槌からも分かる。
- “I see.”(ええ。なるほど。分かりました。)
- “I’ll see.”(考えておきます。)
- “Let’s see.”(えっと。うーん。)
- “Let me see.“(えっと。そうですね。うーん。)
- “You see.”(ねえ。ほらね。)
“We’ll see.” では、自動詞「理解する」。
したがって、”We will see.” の直訳は、
「私たちは見るだろう」よりは、
「私たちは理解するだろう」が適切。
文法的には “We will have to see.”
の省略形とする説もある。
この場合、「私たちは理解しなければならない」
よりも「私たちは見届けなければならない」の
意味合いが合う。
–
–
いずれにせよ、趣旨は上掲黄枠内の通り。
「当方が、今、じたばたする必要などない」
トップマネジメントが “We’ll see.” を口にする
様子に接する度に、余裕を感じると同時に、
無定見で日和見の態度を決め込む様子が漂う気がする。
まさに「お手並み拝見」という感じで、
時に意地悪な印象が伴う。
基本的に中立的な言葉であるが、居合わせた者の
立場によっては、不快感を覚えてもおかしくない。
他人事として突き放されているだけでなく、
試されている感覚が反感を催すのだろう。
したがって、発言者は参加者の顔ぶれに注意を要する。
もっとも、通常の社内会議では、部外者の動向など、
いちいち考慮しない。
身内で構成される会議にて、このような発言が普通に
まかり通るのは、どこも似たり寄ったりだろう。