プロ翻訳者の単語帳

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It’s a long story.

      2020/01/05

いろいろあって。話せば長くなる。

“a long story” の頻出用法は3つ。

  1. “It’s a long story.”
    (いろいろあって。)(話せば長くなる。)
  2. To make a long story short –
    (早い話が)(結論から言うと)
  3. “To cut a long story short – “
    (早い話が)(結論から言うと)

2 と 3 は同じ意味合い。
口頭でも文面でも使う。
2 で説明している。

表題の “It’s a long story.” は、
That‘s a long story.” ともいう。

代名詞が異なる。

  • it’s = it is
  • that’s = that is

“it” は人称代名詞、”that” は指示代名詞

“that” は前の文の内容すべてを指し、
“it” は前の文の名詞のみを指す。
これが原則。

しかし、表題の用法では、両者の趣旨に差が生じない
ケースが多い。

いずれも訳出しないことが多く、日常使用では、
使用者も細かく区別しないで使う場合が大半。

◆ “long” には、形容詞・副詞・名詞がある。

語源は、古英語 “lang”(長い)。
全品詞の基本的意味は、カタカナ「ロング」の
イメージと重なる。

すなわち、距離・時間・背丈などの長さが
長いことを指す。

ここでは、名詞 “story” を修る形容詞「長い」。
“long” の最も基本的な用法である。

 

◆ “story” には、名詞・他動詞・自動詞 がある。

語源は、ラテン語 “historia“(歴史)。

– 名詞「話」「報告」「事件」「階」
– 他動詞「歴史の絵で飾る」※ まれ
– 自動詞「話をする」※ まれ

名詞中心で、動詞はマイナー用法。

“story” は、可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
複数形は “stories”。

原則は可算で、ここでも可算名詞「話」。
したがって、不定冠詞 “a” をつける。

以上より、”a long story” は「長い話」。

“It’s” を加えた “It’s a long story.” の直訳は、
「それは長い話である。」。
基礎英文法のみの一文である。

◆ 使用場面は、冒頭の 2 と 3 に共通する。

すなわち、相手に詳しく話したくない時に用いる。

その主な理由は2つ。
まず、「その人に」詳細に述べる必要はないとの判断。
そして、説明が面倒なことである。

「長い話だから」と相手の関心や好奇心を散らした
経験は、誰にでもあるのではないだろうか。
それとほぼ似た様子、似た表現である。

長い話だから」の代わりに、
いろいろあってね」「話すと長くなるから
などと言ったりする。

執拗な相手に悪気がない場合、たちが悪い。
行き過ぎた行為に本人が気づいていないのに、
波風を立てるのは気が引ける。

状況にもよるが、いきなり荒ぶって、
None of your business ! ”
(あなたには関係ないでしょ!)

などと肘鉄を食らわすのは、後々の影響を
考慮するとお勧めできない。

下手すれば、
非礼を働いているのはこちら側
になってしまう。

 言葉遣いの怖さである。

この点、”It’s a long story.” は、
相手の追及をさり気なくそらす物言いとして、
はるかに上手である。

にっこり微笑んで、ささっ別の話題に移ろう。

◆ 器用に振り切る能力を身につけることは、
大切であると私は考える。

そのためには、相手に追従したり、嫌なことから逃げる
ことが主意でない点を自覚する必要がある。

深入りを避けることが、双方にとって最良の選択
そんな様相も、珍しくないのが日常。

この際、人間関係が得意でない方は、
過激で露骨な言動を示しがち。

その結果、損を被ることが少なくない。

私自身、気質的に簡明直截な言い振りを好むため、
30歳代まで「生意気」、”bossy”(偉そうに)
などと、とかく反発・反感を買ってばかりいた。

日本語でも英語でも、むき出しの言い回し
が過ぎて、日々摩擦が絶えなかったのだ。

だが、<苦手な相手を上手にかわす>ことの
【ゲーム的面白み】に目覚めてからは、
この欠点が急速に薄まった気がする。

これまで蓄えた知恵と経験を総動員し、
首尾よくとんずらするような爽快さは、
一度味わうと病みつきになる。

言い方ひとつで、対応がこんなに違うのか!

<この世の見方が変わる>ほど、新鮮な驚きだった。

長年語学を生業とし、世界中の人々と会話する機会
に恵まれてきたにもかかわらず、40歳代を過ぎて、
ようやく「コミュニケーションの真髄」に触れつつある感じ。

まったく情けない。

だが、こんなだからこそ、弊サイトでご紹介できる
“stories” も無数あると考えている。

【参照】”hopefully“(できることなら)

 

 

 

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