プロ翻訳者の単語帳

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Sit down with –

      2020/03/17

~と話し合う

  • I want to sit down with you.
    (あなたと話し合いたい。)
  • I need to sit down with you.
    (あなたと話し合う必要がある。)
  • I have to sit down with you.
    (あなたと話し合わなければ。)
  • We need to sit down.
    (私たちは話し合わなければ。)

いずれも職場でよく聞く口語。

単語も文法も基本そのもの。
何ら難しくない。

英語ネイティブにとっても同様。
幼児でも理解できる内容である。

しかし、それが落とし穴。

極めてシンプルで、使い勝手が素晴らしいために、
本来の意味に加え、別の意味へ展開する場合がある。

特に句動詞に多い。

こういうケースこそ、英語学習者の誤解を生みやすい。
<額面通りに受け取ったら、まるで見当違いだった>

よくある話である。

一見簡単なフレーズなので、次のような推測や状況判断が
働きにくい傾向がある。

  • 話の流れがおかしい
  • 別の意味があるかも
  • 聞いて確認してみよう


◆ 私自身、何度も恥ずかしい思いをしてきた。

I want to sit down with you. と声を掛けられ、
てっきりコーヒーブレークにでも誘われたのかと思い、
心弾ませて上司についていった。

ところがどっこい、純粋に仕事の話。

おまけに、お目玉まで食らって、意気消沈。
ショックの余り、即座に銘記してしまった。

見事撃沈されると、その表現は頭にこびりつく。
いきなり長期記憶(long-term memory)入り。

かくして学習が進む。

【参照】  語彙採集

“want” やら “need” やら、強めの言葉が出てきた
時点で観念すべきであった。

【参照】 “want” や “need” は「差し迫った要求」

 

“sit” には、自動詞・他動詞・名詞がある。

圧倒的に使われるのは自動詞で、非常に多義である。

語源は、古英語「座る」(sitten)。

【発音】   sít

1音節で簡単なはずの “sit” だが、一般的な日本人が発音すると、
卑語 “shit”(糞)に聞こえがち。

Please sit here.”  (こちらにお掛けください。)
Please shit here. (こちらにクソしてください。)

・ sit  / sít /
・ shit  / ʃít  /

日本人の英語に聞き慣れている外国人ばかりでない。

ここに脱糞して」とだしぬけに言われれば、誰しも驚く。

ビジネス場面では、冗談では済まされない

“sit” の発音に自信がなければ、異なる言い回しを
用いる方が無難だろう。

Have a seat.” でも、この問題に触れたので、
ご参考にしていただければ幸い。

◆ “sit” は、英単語として<最重要レベル> に位置する。

【発音】   sít

口語・文面とも、頻出は<トップ1000語以内>。
重要<トップ3000語以内>。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)

基本的意味は、
– 自動詞「座る」「置かれる」「役職に就く」
– 他動詞「座らせる」「ベビーシッターをする」
– 名詞「座ること」「待ち時間」 ※ まれ

表題の “sit” は、自動詞。
副詞 down を伴い、「座る」「着席する」。

同伴の前置詞 with(~と一緒に)を加えた
sit down with – ” は、「~と一緒に座る」。
同席するということ。


◆ 基本はこれでよい。

日常的には「~と一緒に座る」の方が一般的である。

ところが、ビジネス用途では違ってくる。

■ 勤務時間中なら、

  仕事関連で「~と話し合う」 が基本

“sit down and do something”

to try to solve a problem or deal with something
that needs to be done, by giving it all your attention.

(ロングマン、LDOCE6)

そもそも、仕事していて「一緒に座りたい」は不自然。

  • “I want to sit down with you in/with regard to
    your job performance.”
    (あなたの仕事ぶりについて、話し合いたい。)

事前に学んでいれば、判別は難しくない。

◆ “sit down with – ” の趣旨は膝を交えること

膝を突き合わせるとも言う。


とにかく顔を合わせるという感じ。
その目的は不特定で、内容の深刻さも問わない。

膝を交える

  • 同席して親しく話し合う。うちとけて語り合う。
    (精選版 日本国語大辞典)
  • 互いにうちとけて同席する。
    (広辞苑 第七版)

仕事中に「一緒に座る」場合、通常なら
お互い無言のままでいることはない。
だから「話し合う」を指すに至った。

結果的には同じ「話し合う」とはいえ、事前に
目的を共有する “discuss” や “talk” と異なる。

プライベートでも使う句動詞だが、この場合は
<食事する><談笑する><だべる>などの目的
もありうる。

つまり、本来の「一緒に座る」である。

◆ なお、”sit down with – ” には、

~に黙って耐えるの意味もある。

最大の違いは、前置詞 “with” の用法。
こちらは、同伴「~と一緒に」ではなく、
対象の「~に対して」で、我慢の相手を示す。

イメージとしては「じっと座って~に我慢する」。

  • “I had to sit down with her racial slurs.”
    (彼女の人種差別的な発言に耐えねばならなかった。)
  • “I won’t sit down with your offensive remark.”
    (あなたの攻撃的な言葉に我慢する気はない。)

既述の通り、表題の “with” は同伴の「~と一緒に」。
話し合いする人に添える。

ビジネス会話での頻出度はぐっと下がるため、
最後に軽く触れた。

【類似表現】

“hash out”
https://mickeyweb.info/archives/2298
(徹底的に議論する)

“Talk things out”
https://mickeyweb.info/archives/5615
(徹底的に話し合う)

“We need to talk.”
(私たちは話し合う必要がある。)

“Can I talk to you in private ? ”
https://mickeyweb.info/archives/27972
(2人きりで話せますか?)

 

 

 

 

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