Sit down with -
2021/06/24
~ と話し合う
- I want to sit down with you.
(あなたと話し合いたい。)
– - I need to sit down with you.
(あなたと話し合う必要がある。)
– - I have to sit down with you.
(あなたと話し合わなければ。)
– - We need to sit down.
(私たちは話し合わなければ。)
いずれも職場でよく聞く口語。
–
単語も文法も基本そのもの。
なんら難しくない。
英語ネイティブにとっても同様。
幼児でも理解できる内容である。
しかし、それが落とし穴。
極めてシンプルで、使い勝手が素晴らしいために、
本来の意味に加え、別の意味へ展開する場合がある。
とりわけ、句動詞 ( phrasal verb )に目立つ。
こういうケースこそ、英語学習者の誤解を生みやすい。
額面通りに受け取ったら、まるで見当違いだった …
よくある話である。
一見簡単なフレーズなので、次のような推測や状況判断が
働きにくい傾向がある。
- 話の流れがおかしい
- 別の意味があるかも
- 聞いて確認してみよう
ー
◆ 私自身、何度も恥ずかしい思いをしてきた。
“I want to sit down with you.“ と声を掛けられ、
てっきりコーヒーブレークにでも誘われたのかと思い、
心弾ませて上司についていった。
ところがどっこい、純粋に仕事の話。
おまけに、お目玉まで食らって、意気消沈。
ショックの余り、即座に銘記してしまった。
見事撃沈されると、その表現は頭にこびりつく。
いきなり長期記憶( long-term memory、LTM )入り。
かくして学習が進む。
【参照】 語彙採集
” want ” やら ” need ” やら、強めの動詞が出てきた
時点で観念すべきであった。
【参照】 “want” や “need” は「差し迫った要求」
◆ “sit” には、自動詞・他動詞・名詞がある。
ー
圧倒的に使われるのは自動詞で、非常に多義である。
語源は、古英語「 座る 」(sitten)。
【発音】 sít
簡単なはずの ” sit ” だが、一般的な日本人が発音すると、
卑語 ” shit “(糞)に聞こえがち。
2語とも、1音節(one syllable)。
→ 「音声」「音節」の詳細と日英比較は、” integrity ” 参照
・ ” Please sit here. ” ( こちらにお掛けください。)
・ ” Please shit here. “ ( こちらにクソしてください。)
・ sit / sít / 1音節
・ shit / ʃít / 1音節
日本人の英語に聞き慣れている外国人ばかりでない。
「 ここに脱糞して 」とだしぬけに言われれば、誰しも驚く。
ビジネス場面では、冗談では済まされない。
“sit” の発音に自信がなければ、異なる言い回しを
用いる方が無難だろう。
“Have a seat.” でも、この問題に触れたので、
ご参考にしていただければ幸い。
–
◆ “sit” は、英単語として<最重要レベル> に位置する。
【発音】 sít
ー
口語・文面とも、頻出度は<トップ1000語以内>。
重要度<トップ3000語以内>。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)
基本的意味は、
– 自動詞「座る」「置かれる」「役職に就く」
– 他動詞「座らせる」「ベビーシッターをする」
– 名詞「座ること」「待ち時間」 ※ まれ
表題の “sit” は、自動詞。
副詞 “down“ を伴い、「座る」「着席する」。
同伴の前置詞 “with“(~と一緒に)を加えた
“sit down with – ” は、「~と一緒に座る」。
同席するということ。
ー
–
◆ 基本はこれでよい。
ー
日常的には「~と一緒に座る」の方が一般的である。
ところが、ビジネス用途では違ってくる。
■ 勤務時間中なら、
仕事関連で「~と話し合う」 が基本
“sit down and do something”
to try to solve a problem or deal with something
that needs to be done, by giving it all your attention.
(ロングマン、LDOCE6)
そもそも、仕事していて「一緒に座りたい」は不自然。
- “I want to sit down with you in/with regard to
your job performance.”
(あなたの仕事ぶりについて、話し合いたい。)
事前に学んでいれば、判別は難しくない。
◆ “sit down with – ” の趣旨は「膝を交える」こと。
「膝を突き合わせる」とも言う。
とにかく顔を合わせるという感じ。
その目的は不特定で、内容の深刻さも問わない。
- 打ち合わせ
- 進捗報告
- 状況説明
- 悩み相談
膝を交える
- 同席して親しく話し合う。うちとけて語り合う。
(精選版 日本国語大辞典)
– - 互いにうちとけて同席する。
(広辞苑 第七版)
仕事中に「一緒に座る」場合、通常なら
お互い無言のままでいることはない。
だから「話し合う」を指すに至った。
結果的には同じ「話し合う」とはいえ、事前に
目的を共有する “discuss” や “talk” と異なる。
プライベートでも使う句動詞だが、この場合は
<食事する><談笑する><だべる>などの目的
もありうる。
つまり、本来の「一緒に座る」である。
◆ なお、”sit down with – ” には、
「~に黙って耐える」の意味もある。
最大の違いは、前置詞 “with” の用法。
こちらは、同伴「~と一緒に」ではなく、
対象の「~に対して」で、我慢の相手を示す。
イメージとしては「じっと座って~に我慢する」。
- “I had to sit down with her racial slurs.”
(彼女の人種差別的な発言に耐えねばならなかった。)
– - “I won’t sit down with your offensive remark.”
(あなたの攻撃的な言葉に我慢する気はない。)
既述の通り、表題の “with” は同伴の「~と一緒に」。
話し合いする人に添える。
ビジネス会話での頻出度はぐっと下がるため、
最後に軽く触れた。
ー
ー
【類似表現】
“hash out”
https://mickeyweb.info/archives/2298
(徹底的に議論する)
“Talk things out”
https://mickeyweb.info/archives/5615
(徹底的に話し合う)
“We need to talk.”
(私たちは話し合う必要がある。)
“Can I talk to you in private ? ”
https://mickeyweb.info/archives/27972
(2人きりで話せますか?)