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From time to time

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時々 

最も身近な「時々」の英語。
それは、副詞 “sometimes” だろう。

【発音】 sʌ́mtàimz

1語で完結する上、文頭・文中・文尾に使用できる。
使い勝手がよく、気軽に使える簡潔さが強み。

見掛け倒しではなく、真の実力を備え持つ。

LDOCE6(ロングマン)の指標によれば、英単語全体における
副詞 “sometimes” の位置づけは、3項目すべて最高ランク。

基本的意味は「時々」。

初出は14世紀。  成り立ちは、

「いくらかの時」なので「時々」。
“sometimes” は「50%くらいの頻度」とされている。

同じ「時々」でも、”occasionally” より、頻度は高い。
“often” や “frequently” より、頻度は低い。

その根拠として、『ジーニアス英和大辞典』を引用する。

類語・関連語を頻度順・可能性の順に並べると
だいたい次のようになる。

■ 100%
always

■ 80%
generally

■ 60%
often, frequently, not always

■ 50%
sometimes

■ 20%
occasionally

■ 10%
seldom, rarely

■ 0%
never

ただし、always, never 以外は
判断基準によって実際の%は異なることもある。

『ジーニアス英和大辞典』  “always1” の「語法」より  

青字の英単語は、ここでは副詞。
普段使いの「時々」は、日英ともに副詞が一般的。

副詞の語義であることは、国語辞典でも確認できる。

  ときどき【時時】

2.(副詞的に)いつもではないが、時として。
ときおり。まま。
天気予報では、その現象が断続的に起こり
合計時間が予報期間の2分の1未満のときをいう。
(広辞苑 第七版)

二(
頻度がかなり低いさま。ときおり。
(大辞林 第三版)

二《
ある程度の時間をおいて物事が繰り返されるさま。
ときおり。
「たびたび」「しばしば」より頻度が低く、
「たまに」よりは高い。
(明鏡国語辞典 第二版)

※ 下線は引用者

上記で省略した筆頭の語釈(1)は、名詞の「ときどき」。

その時その時」「その季節その季節」「そのおりおり
のいずれかで説明されるのが、名詞用法である。

なんだか文語風。

世間一般が親しむ「時々」ではない。
やはり副詞こそ、日常用法に該当すると考えられる。


◆ さて、表題の “from time to time”。

LDOCE6の指標では全項目ランク外の熟語であるものの、
それなりに出てくるのは確か。

上表青字の単語よりとっつきにくそうだが、
下記の「時々」に比べれば、比較的使いやすいフレーズ。

それゆえ、”sometimes” と併せて押さえておきたい。

“sometimes” 同様、文頭・文中・文尾に置ける。ーー
字面が「時々」と重なる利点も大きい(後述)。

【参考】 “in this day and age“(このご時世に)

◆ “from time to time” の頻度はいかほどに。

3大学習英英辞典(EFL辞典)をチェックしてみる。

“from time to time”

  • sometimes, but not regularly or very often.
    (LDOCE6、ロングマン)
  • occasionally but not regularly.
    (OALD9、オックスフォード)
  • sometimes, but not often.
    (CALD4、ケンブリッジ)

    ※ 下線は引用者

そろって淡白。 一体これで理解できるか。

上掲『ジーニアス英和大辞典』の数値化した解説の方が親切。

下線の「時々」を再び掲げると、

■ 50%
sometimes

■ 20%
occasionally

確率論においては、この差は大きい。

しかし、日常感覚からは有意差はない
と解釈されている模様。

それが、辞書間の違いとして表れている。
数値は、あくまで参考程度にするとよい。

念のため、追加で2点調べてみた。

“from time to time”

  • If you do something from time to time,
    you do it occasionally but not regularly.

    (COBUILD9、コウビルド)
  • sometimes, but not often.
    (Macmillan Dictionary、マクミラン)

    ※ 下線は引用者

だめだ、こりゃ。

埋め合わせに、
LDOCE記載の “thesaurus”(類語辞典)をご案内する。


↑ “LDOCE5” ロングマン現代英英辞典 第5版
(アプリ版)”sometimes” より転載

※「LDOCE6」アプリの問題点は、こちら

◆  時間の意識は、人によって相当異なる。

文化・習慣・価値観の異なる外国人なら、なおさら。
この点は、弊サイトにて何度も取り上げてきた。

例えば、以下でご説明している。

ASAP” やら “real quick” やら、すぐやると言われ、
てっきり即時対応してくれるものと任せていたところ、
しれっと翌月回しにされていたりする。

気づいた時には後の祭決して珍しい話ではない。

事前に取り決めておかないと、泣きを見る。
日時を明確にしておくことで、トラブルを防ぎたい。

もっとも、締切日なんて、どこ吹く風とやり過ごす輩
も少なくない。

待てど暮らせど、納期遅れの原稿が上がってこない。

しびれを切らして、ぷりぷり焦慮する日々。
待ちぼうけを食わすのは、多忙な高官が多かったり。

【参考】 “Let somebody down“(~を失望させる)

これぞ、我がルーチン。
もう、慣れっこになっている。
それでも、時々立ち去りたくもなる。

◆  日英の字面が似通っていることには触れた。

こんな感じ。

from time to time 」から」まで 時々

 

直訳が「時から時まで」だから「時々」。

LDOCEの3項目で最上位を占める単語ばかり。
“sometimes” と同じく、最重要・最頻出ということ。

「時から時まで」が「時々」に転じる流れの理解も、
そう難しくないはず。

同義の “from moment to moment” も同じ構造。

「時から時まで」は、先述の『明鏡国語辞典 第二版』の
語釈そのもの。

再掲すると、

ある程度の時間をおいて物事が繰り返されるさま。

(明鏡国語辞典 第二版)

したがって、単語も文法も、基礎レベルなのが、
“from time to time”。

おまけに、文頭・文中・文尾に使用可。
これも、既に述べた。

「比較的使いやすい」とは、そういうこと。


◆ 基礎3単語のうち、中級学習者に再確認を促したい
のが、”time”。

“time” には、名詞・形容詞・他動詞・自動詞がある。
語源は、古英語「時」「時間」(tīma)。

圧倒的な出番を誇るのは名詞。
表題でも、名詞「時」。
これは、可算か不可算か。

基本的知識は、以下の通り

「時」は、個数として数えられないので、
基本は無冠詞の不可算名詞

この場合でも、<この時間・あの時間>など
「区別」する場合は、可算名詞。

一方、何時何分、何月何日など出来事の時間
を示す場合は、可算名詞が原則。

次の差異が分かるだろうか。

  • Do you have time ?
    (今、時間ある?)

  • Do you have the time ?
    (今、何時?)

名詞 “time” については、どの辞書を調べても、
不可算が優先されている。

よって「基本は不可算名詞」と覚えてよい。

“from time to time” の “time” も、不可算名詞。

◆ そこそこ使われる可算名詞 “time” は、いわば
例外的な立ち位置にとどまる。

代表的な「可算」用例を示す。

複合語として「~回」「~倍」で使う場合も、可算名詞扱い。

片や格言の “time” は、基本通りの不可算名詞が大半。


◆ 名詞 “time” のおさらいを終えたので、
文頭・文中・文尾ごとの例文を用いて、大団円を迎えたい。


<文頭>


<文中>


<文尾>

 

 

 

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