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Work wonders

      2020/05/30

効果てきめんである

一見すると、宣伝のキャッチコピーのようだ。

実際は普通の熟語なのだが、宣伝文にも使う。

確かに、人目を引くインパクトがある。

目立つ一因は、2語の頭が一致していること。

どちらも “wo” から始まる。
おまけに、”w” と “o” は左右対称の文字。

シンプルだが、どこか華があり、遠目にも認識可能。
個性を咲かせるアルファベットに見える。

文法的には、頭韻法(とういんほう、head rhyme、
alliteration)の一種。

first and foremost” にて説明したが、
頭で韻を踏んでいる。

一部再掲すると、

◆ 英語の頭韻(alliteration)は、有名な
商標名・固有名詞にも多く採用されている。

  • Big Ben
    (ビッグベン)
  • Coca-Cola
    (コカコーラ)
  • Intel Inside
    (インテル社のキャッチコピー)
  • World Wide Web
    (ウェブサイト)
  • Donald Duck
    (ドナルド・ダック)
  • King Kong
    (キング・コング)
  • Mickey Mouse
    (ミッキー・マウス)
  • Minnie Mouse
    (ミニー・マウス)
  • Peter Parker
    (スパイダーマン)

幅広い層に好まれるため、商品名にも起用される。

頭韻で我が子を命名した知人は少なくない。
英語ネイティブにとって、頭韻は言いやすく耳触りがよいらしい。

加えて、見かけの  華やかな “W” となれば、いいことづくめ。
むしろ、好かれない方がおかしい “work wonders”。

この強みが何となく把握できれば、英語に馴染んできている。
自信をもってよい。

初学者の場合、理解は上辺にとどまる。

◆ 今回調べた7点すべての英英辞典で、”work wonders” は
項目立てされていた。

総なめは珍しい。

そろって簡潔なので、全部ご紹介する。

do/work wonders” 
to be effective in solving a problem.
(LDOCE6、ロングマン)

“do wonders (for somebody / something)” 
to have a very good effect on somebody / something.
(OALD9、オックスフォード)

■ work wonders” 
to achieve very good results.
(同上)

“do / work wonders”
INFORMAL
to have a very good effect.
(CALD4、ケンブリッジ)

“works  / does wonders”
have a very good effect on something.
(COBUILD9、コウビルド)

“do / work wonders”
to achieve spectacularly fine results.
(Collins English Dictionary)

“do / work wonders”
to have a very good effect on someone or something.
(Macmillan Dictionary)

“do / work wonders”
to help or improve something greatly.
(Merriam-Webster)

【発音】wʌ́ndər

【英英辞典の基本表記】スラッシュ( / )=「または (or) 」
→ “do wonders” または “work wonders”

どれも簡素で美しく感じる。 いかがだろうか。

do wonders” が同義扱いされていることが分かる。

◆ ここでの “work” と “do” は他動詞。

効果を「もたらす」「生む」の意。

目的語となる “wonders” は名詞の複数形。
名詞のほか、自動詞、他動詞、形容詞がある。

語源は、古英語「奇跡的な出来事」(wundor)。

– 名詞「不思議」「驚き」「不思議なもの」「奇跡」
– 自動詞「不思議に思う」「自問する」「疑う」
– 他動詞「不思議に思う」「~でしょうか」
– 形容詞「不思議な」「驚くべき」

良くも悪くも「不思議」または「驚き」が
伴う点で共通する。

名詞 “wonder” は、可算と不可算を兼ねる。
抽象的な「不思議」「驚き」は不可算名詞。

特定の「不思議なもの」「驚くべきもの」は、
数えられるから可算名詞。

これは可算と不可算を区別する頻出パターンである。
【参照】”concern“、”worry“、”pain

表題では「不思議なこと」または「奇跡的なこと」として、
対象をほぼ特定しているため、可算名詞。

さらに、決まり表現として複数形になるのが通例である。

同じく複数形 “wonders” が通例の決まり表現は、

  • Wonders will never cease.
  • Wonders never cease.

両方とも「驚きの念を禁じえない」が定訳に近い。
直訳は「驚きは後を絶たない」。

時に皮肉を帯びるのは、日英共通。

He passed the test.
Wonders never cease ! 

(彼が試験に合格した。
驚き、桃の木、山椒の木!)

→ 少し嫌味っぽいので、意訳してみた。

※ “cease” = 途絶える(自動詞)

以上より、”work wonders”、”do wonders” の直訳は、
「不思議なことをもたらす」「奇跡的なことをもたらす」。

転じて「効果てきめん」。

語感も似ており、和訳として好んで使われる。

  こうかてきめん【効果覿面】

■ 期待していた通りの効き目や結果が、その場ですぐに
現れること。
(広辞苑 第七版)

■ 効果がすぐにはっきり現れること(さま)。
(大辞林 第三版)

※ 下線は引用者

先の英英辞典7点と国語辞典2点の語釈を比較すると、
下線「すぐに」の要素は英英にはない。

したがって、どんぴしゃりの和訳ではない。

しかし、用途・語感・趣旨を総合的に考慮すれば、
定訳にかなり近いと結論してよいと考える。

  言語が異なる以上、完全一致は難しい。


“Regular exercise works wonders for your health.”
(定期的な運動は健康に効果てきめん。)

“This book has worked wonders for me.”
(この本が私に奇跡をもたらした。)
(この本は私にとって、効果てきめんだった。)

“Cold water works wonders for my skin.”
(私の肌にとって、冷水は効果てきめん。)

“Smiles can work wonders.”
(笑顔は奇跡をもたらすことができる。)
(笑顔は効果てきめん。)

“This medicine works wonders for headaches.”
(この薬は頭痛に効果てきめん。)
(この薬は頭痛に驚くほどよく効く。)

“It worked wonders for us.”
(それが我々に奇跡をもたらしたのです。)

“Time works wonders.”     ※ ことわざ
(時のもたらす奇跡。)
(時がすべてを癒す。)
(時間がすべてを解決する。)
(時間が薬。)→  時は偉大なり

→  “just a phase.
→  “comfortable in one’s own skin.”

 

【同義表現】
works like a charm

 

 

 

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