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The damage is done.

      2019/08/14

後の祭。 時すでに遅し。

 – ,  but the damage was done.
(~だが、後の祭だった。)

「既に起こってしまった」→「後の祭」
の流れで使うことが多い。

要は、”too late”(手遅れ)。

 あとのまつり【後の祭】

1. 祭のすんだ翌日。神饌を下して宴会をする。
2.(祭のすんだ後の山車の意から)
時機におくれてどうにも仕様のないこと。
手おくれ。
(広辞苑 第七版)

※ 神饌(しんせん)= 神に供える飲食物

表題は、上の<語釈2>が該当する。

やるべきことはやった。
しかし、タイミングを外したがゆえ、結果的に
すべてが無用・不要になってしまう。

「後の祭」になるくらいなら、こんなに苦労
して仕上げなければよかった!  バカみたい!!

おじゃんになったのは自業自得とはいえ、
この悔しさと情けなさは、多くの方が理解できる
のではないだろうか。

ぐずぐずして締切に遅れ、評価ゼロを何度か頂戴
した私には、実によく分かる。

その度に、やけっぱちになり、ふてくされたものだ。

「0点」「F」を食らうよりは、品質面を妥協して、
とにかく提出してしまう方がベター。

<完全なる存在(Perfect Being)は、神様のみ>
などと考え、最後は「えいやっ」と腹をくくる。
完璧主義は自滅を招く。

こう悟ってからは、締切厳守できるようになった。

◆「後の祭」と同じく、”the damage is done” は、
決まり文句。

残念無念が漂うのも同様で、このフレーズが
使われる際は、上記のような欲求不満を伴う。

もっとも、使い手の置かれた状況によっては、
残念でした! もう手遅れ。ざまあみろ!」
といった、冷やかしやあざけりが込められている
場合も珍しくない。

これまた「後の祭」に似た傾向であろう。

つまり、使い手の立場によって、印象に差がつく。
それでも、基本的な意味合いは、以上の説明通り
である。

英英辞典によると、

the damage is done

  • something bad has happened which 
    makes it impossible to go back to
    the way things were before it happened.
    (ロングマン、LDOCE6)
  • harm has been caused and it is too late 
    to change the situation.
    (ケンブリッジ、CALD4)
  • it is too late now to prevent the harmful
    effects of something that has already 
    happened.
    Collins COBUILD

◆ 単語・文法ともに、基本レベルである。

まず、”damage”。
カタカナでも完全定着している。

 ダメージ【damage】

痛手。打撃。損害。
(広辞苑 第七版)

※ 英語発音は「ミッジ」 dǽmidʒ

カタカナ「ダメージ」は名詞中心。

本家 “damage” は、名詞・他動詞・自動詞
をカバーする。

– 名詞「被害」「損傷」「損害賠償」
– 他動詞「損害を与える」「傷つける」
– 自動詞「損害を受ける」「傷つく」

語源は、ラテン語「損害」(damnum)。
自他動詞 “damn”(ののしる)と同根である。

どの品詞も、語源の「損害」に沿った意味中心。
名詞は、カタカナ「ダメージ」と重なる。
よって、イメージは難しくないはず。

表題でも名詞で、不可算名詞「被害」「損傷」。
「損傷」として、もっとも一般的な語。

harm“(主に生物への肉体的・精神的損傷)や
injury“(主に生物への機能的損傷)
よりも、守備範囲が広い。

すなわち、
生物への肉体的・精神的損傷に加えて、
無生物が被る被害全般。

財産・価値・有用性・健全さ・評判・経済
への損傷も、”damage” で表せる。

LDOCEのコロケーション(連語)解説が上出来
なので、ここに転載する。


LDOCE5 アプリ版より
→「LDOCE6」アプリの問題点は、こちら


◆ 表題の “done” は、”do” の過去分詞形。

be動詞(is)+過去分詞(done)で、
受動態(受身)である。

ここでの “do” は、自動詞「生じる」「起きる」。
その受身なので、「生じた」「起きた」。

ニュース報道では、”is” よりも “was”
を見聞きする機会が多い(後述)。

“was” は、be動詞の過去形なので、過去形の
受動態となる。
過去形のbe動詞 “was” の場合の和訳も、
ほとんど変わらない点が紛らわしい。

主な理由は、日英の時制及び受動態の違いにある。
端的に言えば、日本語の時制のあいまいさ

さらに、“done” という過去分詞形が特徴的
であることも原因となる。

不可算名詞 “damage”(被害、損傷)は、
現実に発生した特定の状態を指すのが一般的な
ため、定冠詞 “the” がついて “the damage”。

以上より、”the damage is done.” の直訳は、
「その被害は生じた」。

先述のように、「後の祭」を表す常套句。

使い手(書き手)の立ち位置により、文意に
差がつく可能性についても先に触れた。

◆ 今年2018年発表のニュースを題材に、
“the damage is done” とその変化型について
見ていこう。

実際のところ、前後の文脈が分からないと、
ニュアンスはほとんど読み取れない。

この限界はあるものの、実例をご紹介する。


“By the time he realized his checkbook
was missing, the damage was done.”
(小切手帳がなくなっているのに彼が
気づいた時には、後の祭だった。)

“He would later apologize to the public via
social media, but the damage was done.”
(その後に彼はSNSを通じて世間に謝罪
したが、後の祭だった。)

“But by this time, the damage was done.”
(だがこの時点では、時すでに遅しだった。)

“The article was eventually retracted,
but the damage was done.”
(その記事はやがて撤回されたが、
時すでに遅しであった。)

“She had much support from our family,
but the damage was done a long time ago.”
(彼女には家族からの相当の支援があった
ものの、とっくの昔に損傷を受けていた。)

“He admitted the damage was done in the
first half.”
(前半の段階で、既に被害を受けていたこと
を彼は認めた。)

“They fought back in the second half
but the damage was done.”
(彼らは後半で反撃したが、時すでに遅し
だった。)

◆ 以上、7文を抽出したが、どれも “is” でなく “was”。

これは偶然の一致ではない。

結果として「後の祭」に終わったことを描写する内容ばかり
のため、過去形 “was” に偏ることとなった。

典型的なニュース用途である。

 

【関連表現】

“hindsight”
https://mickeyweb.info/archives/6869
(後知恵)

 

 

 

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