Go viral
2020/01/04
急速に広まる、拡散する
インターネット時代を象徴する表現。
この10年ほどで(2006年頃~)
年中見かけるようになった。
過去形 “went viral” で使用されることが多い。(後述)
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◆ “viral” は形容詞のみの単語で、「ウイルスに関する」「ウイルス性の」
【発音】 ˈvaɪ.rəl
- “virus” 名詞(可算・不可算)のみで「ウイルス」
- “al” 接尾辞(suffix)で「~に関する」
“virus”(ウイルス) の語源は、ラテン語 “virus”(毒、粘液)。
古代ギリシアのヒポクラテス(前460頃~前375頃)が使っている。
近代に入り、医学上の「ウイルス」(ビールス)に用いられた。
さらに、コンピュータ時代を迎え、「コンピュータウイルス」
(他のコンピュータに悪さをするプログラム)をも意味するようになった。
医学上のウイルスは、可算と不可算を兼ねるが、
コンピュータのウイルスは、可算名詞のみ。
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◆ 一方、英単語としての “viral” は、1937年が初出。
電子顕微鏡でウイルスが可視化できるようになった頃より、
「ウイルスに関する」「ウイルス性の」の意味で使われ始めた。
通信手段が急激に発展したインターネット時代になると、
“viral” は「ウイルスのように感染的に広まる」
として、一般社会に普及し始めた。
情報拡散の様子をウイルスの感染に例えて分かりやすく、かつ語感よし。
人々に受け入れられるのが早かった。
本来の「ウイルスのように感染的に広まる」という意味に加え、
SNSなどによる情報が、広く拡散する
“go viral” は「急速に広まる」
- 自動詞 “go“(〜になる)
- 形容詞 “viral“(ウイルスのように感染的に広まる)
本来、インターネット内の情報拡散を中心に
使用されていたが、今やネット世界を飛び出して、
一般化している感がある。
日本でも、「バイラル」で普通に通じる社会がある。
“virus” と “viral” は、「毒」「ウイルス」「汚染」の成り立ち
からして、ネガティブ満載で、イメージは非常に悪かった。
だが最近では「急速に広まる」の意味が一般化してきたため、
マイナスイメージは薄れつつある。
結果的に、
一般使用の “go viral” は、中立的な印象
現在形「急速に広まる」よりも、事後的に
「急速に広まった」と報道される方が多い。
そのため、先述の通り、
過去形 “went viral” が目立つ
和訳時は、「急速に広まった」後の現象を反映させ、
「大きな話題になった」などと意訳することもある。
- “The video went viral last night on YouTube.”
(その動画は昨夜ユーチューブで一気に拡散した。)
– - “Her emoji went viral on Facebook.”
(彼女の絵文字はフェイスブックで急速に広まった。)
– - “I never imagined that my book would go viral.”
(自分の本が広まるなんて思いもしなかった。)
– - “That video has gone viral since then.”
(あの映像はその後に広まった。)
– - “My video is now going viral after two years.”
(私の動画は2年経った今になって拡散している。)
– - The news went viral around the world.
(そのニュースは世界中にすぐ広まった。)
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