Cross one's fingers
2020/05/01
成功を祈る
Just keep your fingers crossed for me.
(うまくいくよう祈ってね。)
相手に依頼する言葉だが、茶目っ気を含む場合
がほとんど。
–-
本気のお願いとしては、一方的で図々しいだろう。
甘えすぎの感がある。
–-
児童用(時に大人も)の使い方として、
嘘をつく時の<免罪符>の用途もある。
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が、「祈る」を意味する。–
—
1本の指では交差できないので、常に
複数形 “fingers” となる。
右手でも左手でもよい。
–
–
この2指を交差(cross)することで、
十字架(a cross)を形づくる。
これが「祈り」につながる流れ。
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◆ この手振りは、ローマカトリック教会の歴史と重なる。
–
イエス・キリストが処刑された際に使用された
十字架(the True Cross)がその由来とされる。
–
キリストが弟子たちと共にした「最後の晩餐」
(the Last Supper)の一部の絵画には、この
ジェスチャーが描かれる。
生前から意識していたらしい。
ーBy Francisco Ribalta (1604)
↑ キリストの右手(拡大図)
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◆ “one’s” は、交差する指の持ち主の所有格。
人称代名詞であれば、
- my 私の
- your あなたの
- his 彼の
- her 彼女の
- their 彼らの
- our 我々の
“one’s” は、所有格の代表形として、
辞書の項目などで起用される。
具体的には、不定代名詞 ”one” の所有格が “one’s”。
上記の所有格を代表する。
–
いわば、所有格のワイルドカードとして、
英語辞書で使われる。
–
冒頭の一文のように、直接お願いする時は、
その相手の指を用いるため “your” に。
◆ “just” は副詞で、「ちょっと」「少々」。
【発音】 dʒʌ́st
語源は、ラテン語「公正な」(jūstus)。
依頼時に丁寧で控えめな態度を表す。
“only”、”simply”、”merely” と同等の
比較・程度の副詞で、
「ただ~だけ」「ちょっとだけ」「念のため」。
露骨さを軽減する婉曲用法で重宝 される。
◆ “keep” は他動詞で「(動作を)続ける」。
【発音】 kíːp
【語形変化】 keeps – kept – kept – keeping
–
直訳は「ちょっと私のために、指を交差し続けてね」。
◆ “cross” には、名詞・他動詞・自動詞・形容詞・副詞がある。
【発音】 krɔ́(ː)s
語源は、ラテン語「十字形」(crucem)。
–
基本イメージは、カタカナ「クロス」の通り。
すなわち、「クロスパンチ」「クロスカウンター」
「クロスパス」など、「交差」する様子。
– 名詞「十字架」「十字路」「交差」
– 他動詞「横切る」「交差させる」
– 自動詞「横切る」「交差する」
– 形容詞「ご機嫌斜めの」「交差した」
– 副詞「交差して」「横切って」
ここでは、他動詞「交差させる」。
【語形変化】 crosses – crossed – crossed – crossing
名詞は可算名詞のみ。
< Shibuya Crossing >
渋谷ハチ公前の「スクランブル交差点」は、
“Shibuya Crossing” として、外国人に大人気の
観光地になっている。
世界一の交差点 “world’s busiest intersection”
として名を上げ、”lonely planet” をはじめとする
英文旅行ガイドの大半に載る東京名所。
- 渋谷の「スクランブル交差点」はやっぱりすごい
2019年11月23日付
あまりの人気に、年中無休のライブ映像が
世界発信されている。
◆ “finger” には、名詞・他動詞・自動詞がある。
【発音】 fíŋgər
語源は、古英語「指」(finger)。
– 名詞「手指」 ※ 親指 “thumb” を除く
– 他動詞「指で触れる」「いじる」
– 自動詞「指で触れる」
名詞は可算名詞のみで、表題でも名詞「指」。
※ 足指は “toe”
不定冠詞 “a” つきが原則だが、ここでは代わりに
所有格(下線)を用いている。
- “I’ll keep my fingers crossed for you.”
(うまくいくよう祈っておくからね。)
– - “I’m keeping my fingers crossed.”
(うまくいくよう祈っているからね。)
– - “We are keeping our fingers crossed
that everything will be fine.”
(すべてがうまくいくよう、我々は祈っております。)
– - “Let’s keep our fingers crossed for her.”
(彼女がうまくいくよう、みんなで祈りましょう。)
– - “My fingers are crossed.”
(うまくいくよう祈っています。)
◆ このジェスチャーは「絵文字」として、
有名どころに登録されている。
–
Google
––
“good luck” の意味合いで広まったため、
人受けがよい。
ただし、ベトナムでは、女性器を示唆する
ジェスチャーのため、使わないほうがよい。
◆「絵文字」は “emoji” と称され、インターネット上の
<世界共通語>として発展を遂げた。
この快挙をご存知だろうか。
“emoji” 以前は、”emoticons” などと称した。
“emotion”(感情)と “icon”(アイコン)の合成語。
ASCII文字の組み合わせで、「エモーティコン」または
「顔文字」と和訳されていた。
今や “emoji” が優勢。
まったくの偶然だが、”emotion” を想起させる “emoji”
のスペルが、グローバルな拡散を促進した。
ー
【関連表現】 –※ “emoji” 関連
- “shrug off”
https://mickeyweb.info/archives/31997
(受け流す、あしらう、一笑に付す、相手にしない、スルーする)