Dumb down
2019/12/25
難しい内容をやさしくする
“dumb” には、形容詞・名詞・他動詞・自動詞がある。
【発音】 dʌ́m
語源は、古英語「愚鈍な」(dumb)。
– 形容詞「頭の悪い」「口のきけない(差別語になりうる)」
– 名詞「あほ」
– 他動詞「沈黙させる」
– 自動詞「沈黙する」
器官障害により、口がきけない状態を示す形容詞が本義。
形容詞としての頻出度・重要度は、
- 重要度:<3001~6000語以内>
- 書き言葉の頻出度:3000語圏外
- 話し言葉の頻出度:<2001~3000語以内>
現在では差別語に通じるとの解釈から、
“dumb” の代わりに “speech-impaired”
などと表すことが一般的になった。
日常的には、はるかに軽い意味合いで用いる。
「ばか」「あほ」同然の用途 で、形容詞または名詞。
同義語の筆頭は “stupid”。
本格的な差別や侮蔑を意図しないのは、日本語と同じ。
–
◆ “dumb down” は「頭の悪い」より派生した句動詞。
意味は「沈黙させる・する」でないので注意。
形容詞 “dumb”(頭の悪い)+ 副詞 “down”(下げる)
から転じて「やさしい方向に直す」。
つまり、物事を簡単にし、難易度を下げる こと。
平たく言えば、程度を下げて、野暮にする。
-「大衆化(俗物化)する」「大衆向けにする」(他動詞)
-「大衆向けになる」「俗物化される」(自動詞)
と解説する辞書(『ジー二アス英和大辞典』)もある。
–
◆ 3大学習英英辞典(EFL辞典)の語釈は次の通り。
赤字 “simple” と “easier” が「簡単にする」。
“dumb something ↔ down”
to present news or information in a simple
and attractive way without many details so
that everyone can understand it
– used to show disapproval.
(LDOCE6、ロングマン)
–
“dumb down | dumb something ↔ down”
(disapproving)
to make something less accurate or educational,
and of worse quality, by trying to make it easier
for people to understand.
(OALD9、オックスフォード)
–
“dumb something down”
INFORMAL DISAPPROVING
to make something simpler and easier for people
to understand, especially in order to make it
more popular.
(CALD4、ケンブリッジ)
–
- “disappoval” /ˌdɪs.əˈpruː.vəl/
- “disapproving” /ˌdɪs.əˈpruː.vɪŋ/
= 「非難する表現」「好意的でない表現」。
英英辞典の凡例用語である 。反意語は「褒め言葉」。 - “approval” /əˈpruː.vəl/
- ”approving” /əˈpruː.vɪŋ/–
– - 「 ↔ 」位置の入れ替え可能
CALD4 の “more popular”(青字) が、
先の「大衆化」の意味合い。
ー
◆ 組織にはいろんな人がいる。
理解力がそれほど高くない人に合わせて、
業務内容や文章を手直しする必要があったりする。
そんな時に使う句動詞である。
特に、大勢を対象とするプロジェクトでは、広範な大人数に
理解してもらうため、難易度を下げる項目が増える。
その際、ひと言で目的を説明できる “dumb down” は便利。
時に差別的に聞こえる場合もありうるが、
その趣意はないとされ、人前で普通に使える。
- “I think we need to dumb this down.”
(このレベルを下げなければならないと思います。)
– - “The experiment has been dumbed down.”
(その実験のレベルは下げられた。)
– - “The change brought about the dumbing down of the group.”
(その変化はグループのレベル低下をもたらした。)
– - “Should I dumb this down for you ?”
(あんたのために、もっと簡単にしてやろうか?)
– - ”We had to dumb down our programs for negligent people.”
(怠慢な人々のために講座の水準を下げねばならなかった。)
– - “It was easy enough to read without being dumbed down.”
(難易度を下げなくてよいほど、たやすく読めた。)