I know you can do better than that.
2020/01/04
あなたなら、もっとよくできると分かっています。
相手の過失や不満な点を非難しつつ、
励ましている口語の常套句。
- “I know” (私は知っている)
- “you can do better“(あなたはもっとよくできる)
- “than that” (それよりも)
ほぼこの直訳のまま、何の変哲もない。
日本の中学校で学ぶ英文法で構成されており、
理解は難しくないだろう。
<責め>と<励まし>
の両方が含まれており、
そのバランスが絶妙
相手の実力を認めた上での咎め
なので、反発が生じにくい
つまり、当人の 実際の力量まで考慮し、
「先程の言動(”that”)は、
あなたの本来の実力未満。
もっとちゃんとできるはず」
と述べている。
これまでのその人の努力をしっかり把握し、
それを前提とした上での発言である。
一方的になじるのとは訳が違う。
比較対象は日頃の本人であり、他人ではない。
人間的な共感や愛情がなくして、ありえない見方。
こう言われてしゅんとなる人もいるだろうが、
大きなショックを受けることはまずないだろう。
「普段の自分を見ていてくれたんだ」
という安心を感じるから。
【関連表現】
“Don’t make me do this.”
https://mickeyweb.info/archives/9201
(こんなこと、私にさせないでよ。)
発言者の顔の表情は、怒りまたは呆れのいずれか。
(ミックスもあり)
さすがに慈愛に満ちた表情はまれ。
少なくとも、私の経験上は。
◆ 責めと励ましの割合次第で、
受け手に与える影響も違ってくる。
言い方でも、インパクトに差が出る。
(1)表題と同程度(責め 6~7 : 励まし 4~3)
- “You know better than that.“
(あなたなら、もっとよく分かってるはず。) - “You can do better than that.“
(あなたなら、もっとよくできるよ。)
You’re better than that !
(お前はもっと強い人間だ!)
https://www.youtube.com/watch?v=D_Vg4uyYwEk
米映画『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006年)
で、息子に贈ったロッキーの叱咤激励
※ 開始後 2分21秒 で出てくる台詞
(全長:3分9秒)
(2)少し酷(責め 8~9:励まし 2~1)
- “I thought you were better than that.“
(もっとましな人だと思ってた。)(見損なったよ。) - “You should know better than that.“
(そんなことするべきでないのが分かんないの。)
上記例文は、いずれも似通っているものの、
ニュアンスが異なる。
そのため、責めと励ましのバランスを
あえて数値化(比率)してみた。
(1)は、表題同様に励ましも含む。
そもそも、とがめることを趣旨とする発言なので、
責めの割合が過半数だが、励ましも3割以上含む。
(2)は、怒りの度合いが増しており、
受け手のショックも大きくなるだろう。
そしるだけで、愛情が乏しい。
突き放すというより、見捨てるに近い。
◆ 特筆すべきは、(2)も日頃の本人を勘案している点。
その時点に至るまでの本人に対する認識が土台となっている。
確かに冷たい文句だが、他人と比べていない点で救いがある。
その意味から、励ましに1点を加えた。
普段接する人を注意するのは容易でない。
受け手のタイプも様々で、過敏に反応する人もいれば、
平気の平左な人もいる。
さらに、励ましをうっとうしく(うざく)思う人も。
ガンガン叱られて伸びる若手すら珍しくない。
上司であれば、注意することは、
職務上の権利であり義務でもある。
しかし下手すると、その後の人間関係に亀裂が入る。
業務に支障が出るとすれば、代償は大きい。
だから細心の注意を払うことが大切なのだが、
トラブル時にはなかなか難しい。
効果的な策として挙げられるのは、
適切な言い方をいくつか用意しておき、
それを冷静に口にする訓練を重ねておくこと。
日常的なトラブルにはパターンが見られる。
人の上に立つ中堅以上の社会人ならば、
想定すべき典型場面を経験から抽出できるだろう。
表題と(1)のフレーズは、
用意すべき候補にお勧めできる。
【関連表現】
“Take a chance.”
https://mickeyweb.info/archives/3329
(一か八かやってみなさい。)
“Just do it.”
https://mickeyweb.info/archives/1722
(とにかくやりなさい。)
“Hang in there ! ”
https://mickeyweb.info/archives/597
(頑張れ!)
“Go for it ! ”
https://mickeyweb.info/archives/7377
(頑張れ! やってみろ!)
“Give it a shot.”
https://mickeyweb.info/archives/10716
(試してみたら。やってみれば。)
“You can do it ! ”
(あなたならできる!)