That being said
2020/06/27
とはいえ、というわけで –
“with that being said” の略
前置詞 “with” 抜きで使う方が一般的。
<3語ワンセット>の副詞的な慣用句。
口頭中心だが、文面でも使う。
文頭が最多だが、文中もありうる。
頻出ではなく、会話や会議でたまに出てくる程度。
ところが、意味が推測しにくい。
直後に重要な主張が出てくる場合が多いため、
それを逃さないために知っておくとよい。
–
–
◆ これまでの発言や内容(”that”) を踏まえつつ、
一旦それを脇に置き、さらに主張を展開する際に用いる。
- それはそうですが
- そうとは言っても
- とはいえ
前の文脈を肯定的に受け止めている点で、
真っ向から否定する<逆接>とは異なる。
さらに、<順接>を意味する場合もある。
- というわけで
- つまり
こちらはマイナー用法。
–
◆ 要するに、 <順接>も<逆接>も表現できる。
その後の内容を聞いて、初めて判別できる。
日本語から考えると、両方を兼ねる表現は
妙に感じるかもしれない。
話の流れが予想しにくく、最後までしっかり聞かない限り、
趣旨を把握できなくなる。
だが、そんなことは大した問題ではないようだ。
それより大切なのは、次の視点。
■ “(with) that being said” の後、
本人の強調したい内容が来る。
そのため、文脈に区切りを差し込み、
話頭を転じるフレーズとして、
聞き手の注意を喚起する働き
がある。
- 省略されている前置詞 “with“ は、
付帯状況である「~した状態で」。
※ この用法の “with” は、しばしば省略される - 指示代名詞 “that“(それ)は、前の文脈を指す。
- “being“ は、助動詞 “be” の現在分詞「~の状態で」。
- “said“ は、自他動詞 “say”(言う)の過去分詞「言った」。
したがって「それを言った状態で」が直訳。
平たく言えば「そんなこと言いつつも」。
ニュアンスとしては「どうであれ」。
<逆接>か<順接>か。
これだけではよく分からない。
続く内容次第である。
■“that being said“
「そんなこと言いつつも」
-
<逆接> とはいえ
-
<順接> というわけで
基本は<逆接>
どこかあいまいで、ふわふわしており、
かっちり訳すのには向かない表現である。
話題の<転換>を露骨にしないための
婉曲表現と考えることもできる。
前後の文脈が分からないと、適切な和訳は難しい。
順接(肯定)か逆接(否定)かすら不明。
会話であれば、その場にいなければ困難である。
無理難題に近い。
ー
◆ “that being said” の雰囲気をつかむ目的で、
以下例文とその訳例を検討してみよう。
5文とも、私が直接耳にして書き留めたもの。
こんな感じで会話に出てくる。
順接・逆接のどちらもありうる。
- “That being said, I think the Plan A is better.”
(そうとは言っても、A案の方がよいと思う。)
– - “That being said, students enjoy being able
to speak English.”
(そういうわけで、生徒は英語が話せることを
喜んでいます。)
– - “I mentioned that people love beauty, but
that being said, I found not everyone loves it.”
(人々は美を愛すると私は述べたが、
全員がそうでないことを知った。)
– - “That being said, I need to find a job.”
(というわけで、職探ししないと。)
– - “That being said, I still go out with her.”
(それでも、まだ彼女と付き合っている。)
【類似表現】
意味も使用場面も、表題とほぼ同じ
- “having said that”
- “in saying that”
(とはいえ)(そうと言っても)