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Wrongdoing

      2020/02/03

不正行為、犯行、悪行 

名詞のみの単語。

■ 名詞  “wrongdoing

  • 形容詞 “wrong“(悪い)
  • 名詞 “doing“(行い)

【発音】   rɔ́ːŋdùːiŋ

「悪行」「非行」「不行跡」。
さらに「犯行」「不正行為」「犯罪」を意味する。

程度の差はあれど、いずれも「悪い行い」。
文字通りである。

名詞 “doing” には、可算名詞不可算名詞
があるが、”wrongdoing” も同様。

“wrongdoing”

formal: illegal or immoral behavior.

(ロングマン、LDOCE6)

※ 下線は引用者

【発音】   rɔ́ːŋdùːiŋ

以下のオンライン英英辞典でも、
口裏を合わせたかのように、
説明はほぼ一致する。

ロングマン(LDOCE)
オックスフォード(OALD)
ケンブリッジ(CALD)
コウビルド(COBUILD)
マクミラン(MEDAL)
メリアム ウェブスター

◆ 法律辞典ではどう説明されているか。

アメリカには、Black’s Law Dictionary
ブラックス法律辞典)という有力な法律辞典が存在する。


Amazon Japan / Amazon US

1891年に発刊され、100年以上の歴史を誇る。

判例などに最も引用される辞典であり、
英米法を学ぶ学生で知らない者は皆無レベルの存在感

初稿時点(2018年5月)での最新版(第10版、2014年刊)
の解説は以下の通り。

wrongdoing.  n. (15c)

1. Illegal or improper conduct.
2. An instance of bad or immoral behavior. 

Black’s Law Dictionary, 10th Edition”,  page 1849.
※ 下線は引用者

どれも、以下の要素を含む。

(1)illegal(違法の)= not legal
(2)immoral(不道徳な)= not legal
(3)dishonest(不誠実な)= not honest

※ 公務員や医者などの業務上の不祥事は
misconduct” ともいう。

不可算名詞である。

  • “She was fired for gross misconduct.”
    (彼女は甚だしい違法行為のため解雇された。)
  • “His past sexual misconduct is coming to light.”
    (彼の犯してきた性的不正行為が表面化しつつある。)

※ “sexual misconduct” は、セクハラ(sexual harassment)
や性的暴行(sexual assault)を含む

misconduct. (17c)

1. A dereliction of duty; unlawful, dishonest,
or improper behavior, esp. by someone in a
position of authority or trust.

2. An attorney’s dishonesty or attempt to
persuade a court or jury by using deceptive
or reprehensible methods. 


Black’s Law Dictionary, 10th Edition
page 1149~1150.

※ 下線は引用者、”esp.” = “especially”(特に)

【発音】  ˌmɪsˈkɑːn.dʌkt

(1)illegal はすべてに記載されているため、
「違法の」は “wrongdoing” の根幹をなす。
「悪い行い」との成り立ちからも納得できる。

また、”formal”(正式)とほとんどにあるが、
普段のニュースでも年中使われている。

ニュースに頻出の一文が、これ。

He denied any wrongdoing.
(彼は犯行を一切否定しました。)
(彼は不正行為を一切否定しました。)

ここでは、不可算名詞である。

“wrongdoing” の場合、可算名詞でなく、
不可算名詞が基本となる。

本稿でも不可算名詞の用法に絞って、
取り上げる。

「犯行」とは「犯罪行為」

不可算名詞 “wrongdoing” は、

具体的な罪名や罪状に触れることなく、

「不正行為」や「犯行」を示唆


先述の通り、この「違法の」「犯行」こそ、
“wrongdoing” の根幹。

これ以外の “immoral” や “dishonest” が示す、
「不行跡」「不道徳」「不誠実」は、
ニュースではマイナー用法。

そもそも、瑣末な悪行なら報道価値はない。
ニュースになるには、「違法」「犯行」に至る必要がある。

これは、ニュース報道に限らない。
辞書にある “wrongdoing” の程度は様々だが、
日常的に使われる用途も、やはり「違法」「犯行」
が多い。

少々の不行跡では、問題視されにくいため
“wrongdoing” の出番が少ない。

日常使用の<頻出度>は、こんな流れで決まる
ことが珍しくない。

プロの検証が入るニュースと異なり、
日常では「不正行為」と総称されたりする。

不正を認めるには、正当な法の手続き(due process)
に従う必要があり、その手続きは煩雑で時間がかかる。

通例、形容詞 “any” を伴い、「何らかの悪い行い」
といったあいまいな内容を「疑い」の段階から表せる

便利さがある。

“any wrongdoing” は、
<2語ワンセット>で多用される。

  • 否定文に用いて「悪いこと何もしていない
  • 肯定文に用いて「何らか疑惑

副詞 “not” の他、他動詞 “deny”(否定する)
のような否定を意味する動詞にて、否定文を
構成することができる。

◆ 自分を弁護するには、

  • I deny any wrongdoing.
  • I didn’t do any wrongdoing.
  • I haven’t done any wrongdoing.
    (悪いことは何もしていない。)

 

逆に一部でも認める場合は、否定語は入れず、

  • I apologize for any wrongdoing.
    (疑惑に対して、お詫び申し上げます。)
    (不正に対して、お詫び申し上げます。)

繰り返すが、

具体的な罪名や罪状には触れずに、
あいまいな「何らかの悪い行い」を
「疑惑」段階から表現できる

ために、”wrongdoing” は重宝される。

  • “There is no evidence of wrongdoing.”
    (不正行為の証拠はない。)
  • “The company repeatedly denies any wrongdoing.”
    (その会社は不正行為を繰り返し否定している。)
  • “She was cleared of any wrongdoing.”
    (彼女の犯行の疑いが一切晴れた。)
  • “He was exonerated of charges of wrongdoing.”
    (彼は不正行為の容疑から解放された。)
  • “I never admitted any wrongdoing.”
    (私は不正をしたことを一度も認めていない。)
  • “I never intended any wrongdoing.”
    (意図的に悪事を行おうとしたことは一切ない。)

 

【類似表現】
“foul play”
https://mickeyweb.info/archives/25901
(不正行為、事件性)

 

 

【参考】

今回の事件[STAP細胞の小保方問題:引用者注]は、
科学的不正(misconduct)の典型例である。

ミスコンダクトは、事実のでっち上げ(fabrication)、
データの改竄(falsification)、他人の成果の剽窃(plagiarism
に代表される、科学的成果の信頼を損なうような行為を指し、
これらの頭文字から FFP問題と称されることもある。

(中略)

最も判断が難しいのは、研究者が意図的に行う
詐欺行為(research fraud)よりも、
無意識の不正(unconscious misconduct
の方が多いということである。

(2015.1.31)
(うえやま たかひろ・科学技術政策)

上山隆大(2015)「科学的不正と私益のはざま」, 
『図書』2015年4月号,  p.12-16,  岩波書店.

【発音】

misconduct    /ˌmɪsˈkɑːn.dʌkt
fabrication    /ˌfæb.rəˈkeɪ.ʃən/
falsification    /ˌfɑːl.sə.fəˈkeɪ.ʃən/
plagiarism    /ˈpleɪ.dʒɚ.ɪ.zəm/
fraud    /frɑːd/
unconscious    /ʌnˈkɑːn.ʃəs/

 

 

 

 

 

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