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Top off

      2019/02/01

締めくくる 、きめる   

結果報告の際に出てくる句動詞。
過去の描写が中心なので、過去形 “topped off”
を基本とする(例文参照)。

他動詞の句動詞なので、句他動詞となる(後述)。

「締めくくる」が定訳。
「締めて、くくる」で、”top off” の語感によく合う。

国語辞典から該当語釈を抄出すると、

  しめくくる【締め括る】

2. 話や仕事のまとまりをつける。結末をつける。
(大辞林 第三版)

2. まとまりをつけて終わりにする。
(三省堂国語辞典 第七版)

「きめる」は、俗に「キメる」と書く語義に近い。

  きめる【決める・極める】

3. 〔「キメる」とも書く〕
〔俗〕かっこよくととのえる。
(三省堂国語辞典 第七版)

5. 結果・結論を出して、変わらない状態にする。
(大辞林 第三版)

4. あること(特に、重要なこと)を決定づける。
(明鏡国語辞典 第二版)

1. 動きや変化のあったものを固定した状態に
落ち着かせる。一つに定める。決定する。
確定する。決着させる。
(広辞苑 第七版)

プライベートでもビジネスでも使える。
硬軟両様で有効ということ。

◆ それぞれ代表例を挙げる。

“We topped off our dinner with a cup of coffee.”
“We topped our dinner off with a cup of coffee.”
(コーヒーで夕食を締めくくりました。)

image.png

食事(meal)の締めにぴったりな “top off”。
実際に、慣用句に近いレベルで多用される。

  • Top off your lunch with our special cake ! ”
    (ランチの締めは特製ケーキでどうぞ!)
  • “You can top your dinner off with our famous pies.”
    (お食事の最後に弊店自慢のパイを召し上がれ。)
  • “Let’s top off with ramen as always.”
    (いつものように、ラーメンで締めよう。)
  • “I topped the evening off with a horse ride.”
    (夕べを乗馬で締めくくった。)
  • “Finally we topped off the party with karaoke.”
    (最後はカラオケでパーティーを締めくくった。)


◆ 続いて、ビジネス用途。

“He topped off the season with a victory.”
“He topped the season off with a victory.”
(彼はシーズンの最後を勝利で飾った。)

image.png

  • “We topped the year off with a fantastic achievement.”
    (素晴らしい実績でその年を締めくくった。)
  • “We topped off our trip in Tokyo.”
    (東京で旅行を終えた。)
  • “She will top off 2018 with even more wins.”
    (彼女はさらなる勝利で2018年を締めくくるだろう。)
  •  “He topped his career off with a silver medal.”
    (彼は銀メダルでキャリアを終えた。)
  • “He topped off the look with a gold watch.”
    (彼は金の腕時計できめた。)

以上の例文で示されているように、目的語の位置は、
“off” の前後どちらも可能。

◆ “LDOCE” と “OALD” の項目立てでも明らか。

top something ↔ off
to complete something successfully by
doing 
one last thing.
(LDOCE6、ロングマン)

top something ↔ off (with something)
to complete something successfully by
doing 
or adding one final thing.
(OALD9、オックスフォード)

↔ 位置の入れ替え可能  

※ 下線は引用者

両者はやけに似ているが、語義が単純な場合、
英英辞典には頻繁に見られる現象。

その好例は、“hilarious”(かなりおもしろい)。

下線部の通り、「成功」での締めが原則。
したがって、ネガティブな内容に “top off”
を用いることは少ない。

もっとも、英英辞典によっては「成功」に触れていない。

“top off”

よって、「悲劇」に起用することも可能。

  • “He topped off the affair by committing suicide.”
    (彼は自殺で情事を終えた。)

何とも救いようのない「締めくくり」である。
上述の “successfully” から程遠い。

この一文は、次の英語ネイティブ向け辞書から引用したもの。
Collins English Dictionary, 12th Edition
だから、ネガティブな使い方は間違いでない。

だが、やはりポジティブ用法が一般的。

◆ 先に「語義が単純」と指摘したが、実は “top off”
には、もう一つ意味がある。

top up“(容器をいっぱいに満たす、満タンにする)
と同義の句他動詞(transitive phrasal verb)。

“top off”
fill a container completely.
Cambridge Academic Content Dictionary

主にアメリカ英語とされる。
表題と意味が大きく異なるため、文脈から容易に区別できる。

「締めくくる」に比べると、マイナー。
“LDOCE6” と “OALD9” にも見当たらないため、
本稿では取り上げない。

◆ 一方、句動詞でないが、見た目が似たものに、
「その上」「挙句の果てに」を意味する接続語がある。

こちらの表現は、文面でも口頭でも、まずまず見聞きする。

  • to top that off
  • to top this off
  • to top it off
  • to top it all off

それに加えて」「それだけでなく」ということ。
下線部は代名詞。「さらに」と追加する趣旨は全部同じ。
文頭または文中に用いる。

◆ これらの接続語は句動詞でないが、”top” と “off”
の語義は表題と一部重なる。

■ top

“top” には、名詞・形容詞・動詞がある。
語源は、古英語「頂上」(top)。
語形変化は、tops – topped – topped – topping。

名詞と形容詞の基本的意味は、カタカナ「トップ」と共通する。

 トップ【top】

1. 首位。一位。また、最上級。最高。
2. 先頭。第一番目。
3. 最上部。最高部。
4. 組織などの最高部に位置する者。最高幹部。首脳。
5. 新聞のページで一番目につく、最上段の右にあたる所。
6. トップ・ギアの略。
7. 紡績で、梳毛(そもう)工程でできた太い篠(しの)。

(大辞林 第三版)

大半が語源「頂上」に沿っていることが見て取れる。

動詞 “top” には、他動詞と自動詞があるが、基本は他動詞。
“top off” でも他動詞。それゆえに、句他動詞になる。

– 他動詞「上を覆う」「頂上に達する」「勝る」
– 自動詞「勝る」「高くそびえる」

動詞の基本的意味も、語源を継承していることが分かる。
句他動詞の “top off” では、「頂上に達する」の “top”
が転じて「終わりに至る」。

他方で、先の4つの接続語の “top” は「上を覆う」。
下線の代名詞(that、this、it)に加えて、
「その上」「さらに」。

■ off

“off” には、前置詞・副詞・名詞・形容詞・
他動詞・自動詞がそろう。
原義は「離れて」。時間と空間のいずれもOK。

“top off” の “off” は副詞。
句動詞に含まれる “off” の大半は副詞だが、いくつか
の意味に分かれる。

ここでは、原義そのものの「離れて」ではなく、
強調するための副詞「完全に」「すっかり」
副詞 “off” においては、マイナー用法である。

強意の副詞 “off” を用いた句他動詞

  • burn off (燃え尽きる)
  • clean off(すっかり片付ける)
  • drink off(飲み尽くす、一気に飲み干す)
  • finish off(完全に仕上げる)
  • pay off(完済する)
    ※ 句自動詞なら「奏功する」
  • work off(完全に晴らす)
  • write off (最後まで書き上げる)
    ※ 多義で「貸し倒れとする」なども含む

他動詞 “top” に副詞 “off” を加えた “top off” は、
冒頭に記した通り「句他動詞」となる。

  • 他動詞 “top”(「頂上に達する」→「終わりに至る」)
  • 強意の副詞 “off”(完全に、すっかり)

「完全に終わりに至る」で「締めくくる」。

 

◆ 冒頭では<語感>についても触れた。
「締めくくる」は、”top off” の語感によく合うと。

“top off” を含む上記の句動詞の例を見て、
「何となくしっくりする」感覚が生じるか否か。

この有無が、初学者との分かれ目と私は考える。

句動詞の基本的定義は「前置詞または副詞一緒に用いる
で、元々の動詞異なる意味となる複数の単語」。

そのため、初見で意味を推測するのは、なかなか難しい。
それでも、中級以上の英語力の持ち主であれば、学習後は
「何となくしっくりする」と感じるものである。

この感覚が体感できれば、英語に馴染んでいる。
自信をもってよい。

初学者は、まだ何も感じない。
なぜ、その前置詞や副詞を伴うのか。
まったく理解できない。

「句動詞はひたすら暗記」の世界に身を置いているから。

英語学習者であれば、誰しも通る道である。

 

 

 

 

 

 

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