Pull – aside
2020/10/05
(話をするため)~を脇に連れ出す
複数人がいる場所から、特定の人を連れ出す行為。
趣旨は、個別に話をすること。
話の主目的は < 注意を与えること >
うれしい知らせの場合もあるが、
わざわざ陰に連れていく流れより考えると、
好ましくない話の方が自然と言える。
–
◆ その人だけに話すべき内容は、周囲に聞かすべきでない。
–
大勢の前で忠告しない配慮は大切である。–
ご本人の面子のためにも、他者から離れた所で、そっと行う。
こうして、
その場で傍らに連れ出す行為 が、
”pull – aside”
“pull – to a side” と表すこともある。
“side”(脇、そば、サイド) は、可算名詞。
いずれも、ダッシュ部には、連れ出す相手(目的格)を入れる。
人称代名詞の目的格は、
me、you、him、her、us、them、it
代名詞ではなく、具体的な氏名でもよい。
◇ 「人称代名詞」の解説は、ここが秀逸↓
ーちょいデブ親父の英文法「人称代名詞」
◆ “pull – aside” は、決まり文句。
–
口頭でも文面でも使われる。
このような言い回しは、日本語には思い当たらない。
- “I pulled him aside to talk.”
(彼に話をするため、脇に引っ張った。)
– - “That’s why I pulled Mary aside.”
(だからメリーを脇に連れ出したんだ。)
ー - “Our teacher pulled Jack aside and told him
that his father had passed away.”
(先生はジャックを連れ出し、父親が亡くなった
ことを伝えた。)
– - “Mom pulled me aside and hit me.”
(ママは私を連れ出してぶったのよ。)
– - “Mary pulled me aside and gave me this.”
(メリーが陰でこれくれたの。)
口頭でも文面でも、連れ出した後に描写する機会が多い。
そのため、現在形よりは、過去形 “pulled” が多用される。
◆ “pull” には、名詞・他動詞・自動詞がある。
【発音】 púl
【音節】 pull (1音節)
–
非常に多義であり、成句・熟語・句動詞も豊富。
だが、語源の古英語「引っ張る」(pullian)から
派生した意味中心なので、比較的分かりやすい。
【活用形】 pull – pulls – pulled – pulled – pulling
基本的意味は、
– 名詞「引くこと」 ※ 可算・不可算
– 他動詞「引く」「引き寄せる」
– 自動詞「引く」「こぐ」
ここでは、他動詞「引く」。
–
【関連表現】
- “Pull over the car.” ※ 他動詞の決まり文句
(この車を止めて。)
◆ “aside” には、副詞・名詞・前置詞がある。
【発音】 əsáid
【音節】 a-side (2音節)
–
接頭辞 “a“(~に)+名詞 “side“(脇、そば)
が成り立ち。
日常使用では、次の副詞がほとんど。
「脇へ」「別にして」「さておき」。
ここでは、副詞「脇へ」。
よって、直訳は「脇へ引く」。
「脇」とは、「傍ら」「そば」の意。
もろに「脇の下」(”armpits” または “under the arms”)
ではないのだが、人を脇に連れ出す際、なぜか
–
脇の下あたりを、がっちりつかんでくる外国人が
やたらといる。
私たち日本人の大半は、そんな部位を
前触れなく、他人に触られることには慣れていない。
–
–
◆ あまりの強引ぶりに、一般的な日本人なら、
「 ええっ! なに? なんなの !? 」
とショックを受けること必至。
いきなり脇をぎゅっと握られ、連行された上に、
叱責を浴びれば、大抵の日本人はびっくりする。
不意を衝かれて、トラウマになりかねないほど。
誘拐めいていて、かえって目立つ。
これでは周囲も気づくはず。
わざわざ脇に連れ出す意味が半減してしまう。
相手を< 注意 >する意図で引っ張るため、
気色ばんで、勢いづくのだろう。
文化の違いを強く感じる場面である。
映画・ドラマにもよく出てくるシーンなので、
じっくり観察していただければと思う。