Dire
2025/07/06
ひどい、 不吉な、 悲惨な、 差し迫った
社会・経済記事で見かける形容詞。
内容は総じてネガティブ。
すなわち、陰惨で不吉な感じ。
ー
絶望的な衰運の兆しに、一刻も早く
逃げ出したくなるような状況を示す。
【発音】 dáiər (1音節)
1音節だから、 腹の底から ゲロする 勢いで、
「 ダイャ~ 」 と一気に吐き出して発音。
→ 音節の差異が顕著な日英比較は、” integrity ” 参照
( 図入り、 動画入り )
-あゃあ
◆ 語源は、 ラテン語 ” dīrus “。
–
「 恐ろしい 」 「 不吉な 」 の意。
やばい
この語源をそのまま継承している ” dire “。
酸鼻な状態を表すのは当然であろう。
- ” The situation is dire. ”
( 状況は悲惨です。)–
◆ 英単語全体から見た頻出度は高くない。
–
LDOCE6( ロングマン )の指標によれば、
- 重要度 :<6001~9000語以内>
- 書き言葉の頻出度:3000語圏外
- 話し言葉の頻出度:3000語圏外
ところが、特定分野では目立つ印象がある。
冒頭の通り、社会・経済方面の記事である。
停滞して悲観的な先行きほど、報道価値 が上がる
わけではないだろうが、 経済変動はあって当然。
また、暗いニュースも現実の社会にはつきもの。
そのためか、本来マイナーなはずの形容詞 ” dire ”
が、この2分野では幅を利かせている感がある。
成り立ちからして、 忌まわしく不祥である。
よって、 多用される分野が偏る。
しかし、 意味の単純な1音節( syllable )の単語である。
–
しっかり覚えておけば、気分が滅入っている際に、
” dire ” 入りのむごたらしいニュースを回避できる。
–
◆ ” dire ” は、形容詞のみ。
–
語源に忠実で、 ネガティブ一辺倒。
次の7語がほぼすべて。
–
【 語源 】
恐ろしい、 不吉
—↓
陰惨な、 悲惨な
—↓
差し迫った、 緊急の
—↓
ひどい
–
悪い意味での「 ひどい 」。–
それが ” dire “。
–
–
ひどい 【酷い】1. だまって見ていられないほど残酷だ。 むごい。
2. 非常に悪い。 きわめてお粗末だ。
3. 程度がはなはだしい。 はげしい。
( 大辞林 第四版 )
–1. むごい。残酷である。苛酷である。
2. 甚だしい。過度である。
特に、甚だしく出来栄えが悪い。
( 広辞苑 第七版 )
–
3大学習英英辞典( EFL辞典 )によれば、
–
–
direexteremely serious or terrible.
( LDOCE6、ロングマン )
–1. (formal) very serious.
2. (British English, informal) very bad.
( OALD9、オックスフォード )
–– very serious or extreme.
– MAINLY UK INFORMAL very bad.
( CALD4、ケンブリッジ )
–【発音】 dáiər (1音節)
–
とてもシンプルな語釈だが、 ひたすら暗い。
–
ハイライトした「 ベリーバッド 」など、
カタカナでも通じる不気味な雰囲気。
先の国語辞典の語義(青字)とも重なる。
意味合いが単純なのは、これで分かるだろう。
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◆ めぼしい熟語は、 次の2つだけ。
1. in dire straits
( ひどい窮地に陥って )
- ” I’m in dire straits.”
( ひどくまずい状態です。)
( ものすごくピンチです。)
–
※ ” strait ” = 窮地、苦境( 可算名詞 )
この用途では、”s” つきの複数形 ” straits ” が通例
–
2. in dire need
( すぐさま必要としている )
–
” in desperate need ” ( 深刻に必要としている )と同趣旨。
- ” I’m in dire need of help.”
( 助けをすぐ必要としています。)
( 至急助けて。)
–
※ ” need ” は「 差し迫った要求 」
–
これらの決まりきった言い回しも、かなり深刻な中身。
縁起が悪い成り立ちだからこうなる。
先の絵図を思い出していただきたい。
とにかく “ very bad ” で一貫しているのが、” dire ” の特色。
–
ー
◆ 今月2018年10月発表のニュース見出し ( headlines ) をご紹介。
- ” Major Climate Report Just Issued a Dire Warning ”
( 気候報告書が緊急警告を発令 )
ー - ” Human rights situation ‘dire‘ in X ”
( X国の人権状況は悲惨 )
ー - ” We are in dire straits, please help us’ a desperate
Y urged govt ”
(「 苦境を救済して 」 窮余のY社が政府に懇願 )
ー - ” Dire Need for New Therapies for PTSD ”
( PTSDの新しい療法が深刻に必要 )
ー - ” Adopting dogs in dire need in Z ”
( 犬の引き取り手に差し迫った必要があるZ地方 )
ー - ” Orphan teenager in dire need of help ”
( 孤児の若者が深刻に救いを求めている )
ー - ” How To Tell If You Are In Dire Need Of A Life Makeover ”
( あなたが人生改革を必要とする証拠 )
ー - ” The race to create world’s most powerful supercomputer
– that could have dire consequences “ー
( 世界一のスパコン開発競争に、悲惨な結果を招く可能性 )
ー - ” ‘Great Depression’ ahead? IMF sounds dire warning ”
( 大恐慌がやってくる? 国際通貨基金が警鐘を鳴らす )
ー - ” A student has stage 5 kidney failure, in dire need of donor ”
( ステージ5の腎機能不全の学生、 今すぐ腎移植が必要 )
ー
- ” X in dire shape and desperately needs help. ”
( Xが悲惨な状態で、すぐ助けが必要 )
すさまじく滅入るニュースばかりである。
2018年以降のニュース報道からも、 追加でご案内。
- ” Dire UK coronavirus warning ”
( 英国の新型コロナウイルス緊急警報 )
– - ” Refugees in Dire Need of a Safe Haven”
( 安全な避難場所を切実に必要とする難民たち )
– - ” 51 Dead as Search for Missing Grows More Dire ”
( 51人が死亡、行方不明者の捜索が深刻化 )
– - ” Trump’s ‘dire‘ tariffs set to hit ‘the most vulnerable people’ the hardest ”
( トランプの「 悲惨な 」関税は「 最も弱い人々 」を最も苦しめる )
https://www.mirror.co.uk/news/us-news/donald-trumps-dire-tariffs-set-34983531
2025年4月3日付
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◇ 「 見出し 」英語の解説は、 ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方( 見出し編 )RNN時事英語
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【類似表現】
- ” shell-shocked ”
https://mickeyweb.info/archives/13823
( 強烈なショックを受けて)
– - ” devastated ”
https://mickeyweb.info/archives/25962
( 打ちひしがれた、がっかりした )
– - ” doldrums ”
https://mickeyweb.info/archives/27328
( 停滞、 不振、 ふさぎ込み )