The sooner, the better.
2021/03/06
早いに越したことはない。
「さっさとやっちまおう」という具合に、
仕事の早い人やせっかちな人が好んで使う。
“sooner” と “better” が韻を踏んでいる。
( “The words sooner and better rhyme.” )
言いやすく耳触りがよい。–
→ 「韻」の詳細は、”first and foremost”
<作業開始が早ければ終了も早い>
という 効率面 以外にも、
<相手の気が変わる前にやってしまおう>
との 魂胆 があったりする。
◆ “soon” には、
副詞(早く、まもなく)と形容詞(早い)がある。
ここでの “sooner” は、副詞の比較級「より早く」。
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◆ “better” は多義で、名詞・副詞・形容詞・
他動詞・自動詞がそろう。
- 副詞 “better” 「よりよく」
→ “well”、”very much” の比較級 - 形容詞 “better” 「よりよい」
→ “good”、”well” の比較級
同じ比較級でも、”sooner” より複雑である。
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もっとも、カタカナ語「ベター」と用法が
重なっているため、理解はそう難しくないだろう。
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片や “good” は、形容詞が主。
副詞(かなり、うまく)はまれ。
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“good” の副詞用法は、”well” の代用
と解釈されている。
“The sooner, the better.”
構文「the + 比較級、 the + 比較級」
の代表例
この “the” は、副詞。
■ 最初の “the” → 関係副詞
“by how much“
■ 次の “the” → 指示副詞
“by so much“
「~すれば、ますます」の意味
< 副詞用法の “the” >
- the ~ 比較級、the + 比較級
- 最上級や比較級の形容詞(most、more など)、
序数(first、second など)、一部の形容詞(same など)
< 定冠詞 “the” の原義 >
「その」「この」「例の」などの指示代名詞
→ “that” と同様
→ 可算名詞・不可算名詞に関係なく用いられる
片や 副詞 “the” は、格変化で生じたもの。
定冠詞 “the” とは、意味も役割も違う。
したがって、副詞はマイナー用法と考えられる。
定訳は「 早ければ早いほどよい 」。
日本では高校で学ぶ構文で、一種のことわざと言える。
ことわざは、文法面が複雑なものが多い。
言いやすくするため、極限まで簡潔にした短句なので、
文法面が犠牲になるきらいがあるのだ。
ことわざの文法は、通常の文法とは一線を画するものが多い。
つまり、英文法の基本から外れる<特殊なケース>
が少なくない。
これらの文法解釈には、時間をかけすぎない方がよいと考える。
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【関連表現】
“Better late than never.”
(遅れても、何もしないよりはまし。)